みらい(新人医療事務)
先輩、「抗HLA抗体検査加算」って名前を初めて見たんですけど、これって普段の外来とかでも関係あるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
これは臓器移植の手術に関わる加算なんです。令和8年度の医科点数表で、肺移植・心移植・心肺移植・肝移植・膵移植・小腸移植・腎移植、それに造血幹細胞移植の手術区分の「注」に、共通して出てくる加算ですよ。
みらい(新人医療事務)
移植の手術限定なんですね。うちのクリニックは移植手術をしていないので、対象外の可能性が高そうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。この加算単体で確認するというより、「うちの病院・診療所が該当の移植手術を実施しているかどうか」がまず出発点になります。移植を実施していない施設では、対象外の可能性が高いと考えてよいと思います。
この加算は何のための加算か
みらい(新人医療事務)
そもそも、どういう場面で算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示では、複数の移植手術の区分にまったく同じ文言の注が置かれています。例えばK514-6生体部分肺移植術の注には「抗HLA抗体検査を行う場合には、抗HLA抗体検査加算として、4,000点を所定点数に加算する。」とあります。つまり、移植手術に際して抗HLA抗体検査を実施した場合に、その移植手術自体の所定点数に4,000点を上乗せする、という構造の加算です。
みらい(新人医療事務)
「所定点数に加算する」ということは、単独では算定できないんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。抗HLA抗体検査加算だけを単独で請求する加算ではなく、対象となる移植手術の点数に上乗せする形の注加算、という位置づけで理解しておくとよいですね。

対象医療機関・対象となる手術
みらい(新人医療事務)
対象になる移植手術って、具体的にどれとどれなんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集した令和8年度の告示の範囲では、次のような移植手術区分の注に、同じ「抗HLA抗体検査加算」の記載が確認できています。
| 区分番号 | 手術名 | 所定点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| K514-4 | 同種死体肺移植術 | 139,230点 |
| K514-6 | 生体部分肺移植術 | 130,260点 |
| K605-2 | 同種心移植術 | 212,210点 |
| K605-4 | 同種心肺移植術 | 286,010点 |
| K697-5 | 生体部分肝移植術 | 227,140点 |
| K697-7 | 同種死体肝移植術 | 193,060点 |
| K709-3 | 同種死体膵移植術 | 112,570点 |
| K709-5 | 同種死体膵腎移植術 | 140,420点 |
| K709-6 | 同種死体膵島移植術 | 56,490点 |
| K716-4 | 生体部分小腸移植術 | 164,240点 |
| K716-6 | 同種死体小腸移植術 | 177,980点 |
| K780 | 同種死体腎移植術 | 98,770点 |
| K780-2 | 生体腎移植術 | 62,820点 |
| K922 | 造血幹細胞移植(注7) | 移植区分ごとに別途設定 |
みらい(新人医療事務)
この一覧に載っている手術を自院で実施していれば、算定候補になり得るということですね。
あおい(元・医療事務)
はい、その理解でよいと思います。逆に言うと、これらの移植手術を実施していない医療機関では、抗HLA抗体検査加算そのものが対象外の可能性が高いです。一般の診療所や、移植を扱わない病院ではまず該当しません。
4,000点はどの手術にも共通なのか
みらい(新人医療事務)
表を見ると、手術ごとに所定点数はバラバラですけど、抗HLA抗体検査加算は全部4,000点なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できた範囲では、表に挙げたどの手術区分でも「抗HLA抗体検査を行う場合には、抗HLA抗体検査加算として、4,000点を所定点数に加算する。」という同一の文言になっています。移植手術本体の所定点数は手術の種類ごとに異なりますが、加算額自体は4,000点で共通、という整理です。
みらい(新人医療事務)
なるほど、加算額は一律なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。ただし個々の症例でどの区分の移植手術に該当するかは、実施した術式や移植臓器の種類によって変わりますので、自院で実施した手術がどの区分に当たるかは、診療録・術式名で必ず確認してくださいね。
検査そのもの(D014抗HLA抗体)との違い
みらい(新人医療事務)
「抗HLA抗体」という言葉、D014自己抗体検査のところでも見た記憶があるんですけど、同じものですか?
あおい(元・医療事務)
似た名前ですが、別の項目として区別されています。D014自己抗体検査には「47 抗HLA抗体(スクリーニング検査)1,000点」「49 抗HLA抗体(抗体特異性同定検査)4,850点」という検査項目があり、これは検査そのものの点数です。そしてD014の注では「本区分の47及び49に掲げる検査については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において実施した場合に限り算定する。」とされていて、検査項目ごとに独自の届出が必要とされています。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、今日の記事の「抗HLA抗体検査加算」とは別物なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。今回の記事で扱っている抗HLA抗体検査加算(4,000点)は、移植手術の区分の注に置かれた加算であり、D014の検査項目そのものとはコード・点数・届出要件が異なる別項目です。両方の名前が似ているので、レセプトを見るときは「検査(D014)の点数」なのか「移植手術に加算された4,000点」なのかを取り違えないように注意してください。
似た名前の項目に注意
「抗HLA抗体(スクリーニング検査/抗体特異性同定検査)」(D014自己抗体検査の項目)と、「抗HLA抗体検査加算」(移植手術の注加算・4,000点)は、当サイトが確認した告示の記載上、別の区分・別の点数の項目です。混同しないよう、どちらの話をしているか区分番号で確認しましょう。
施設基準・届出は必要か
みらい(新人医療事務)
この抗HLA抗体検査加算自体に、届出とか施設基準ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集した各移植手術区分の注の文言の範囲では、抗HLA抗体検査加算そのものに独自の届出要件が明記されている記載は確認できていません。加算の記載は「抗HLA抗体検査を行う場合には、抗HLA抗体検査加算として、4,000点を所定点数に加算する。」というシンプルな条件だけです。
みらい(新人医療事務)
じゃあ届出なしでも大丈夫、ということですか?
あおい(元・医療事務)
そこは言い切れません。移植手術自体には、それぞれの施設基準・実施医療機関としての要件があるはずですし、検査そのもの(D014の抗HLA抗体)には別途届出が必要な項目が含まれています。抗HLA抗体検査加算を算定する前提として、自院が該当の移植手術を実施できる体制・届出を満たしているかは、必ず確認が必要な要確認事項として扱ってください。
取り漏れやすいポイント
移植手術本体の点数だけを請求して、抗HLA抗体検査を実施したのに抗HLA抗体検査加算(4,000点)の加算を失念しているケースが起こり得ます。検査実施の事実と、対象手術区分への該当を診療録で確認したうえで加算候補として整理しましょう。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングや、他の加算との組み合わせで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか注意点があります。まず、移植者に係る組織適合性試験の費用は、多くの区分で「所定点数に含まれる」とされています。例えばK514-4同種死体肺移植術の注には「肺移植者に係る組織適合性試験の費用は、所定点数に含まれる。」とあり、K514-6生体部分肺移植術の注にも同様の記載があります。組織適合性試験自体は原則込みで、その中で抗HLA抗体検査を行った場合に限って4,000点の加算が別立てで認められる、という構造です。
みらい(新人医療事務)
他の加算と一緒に算定することもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。例えばK514-4・K514-6には「両側肺を移植した場合は、両側肺移植加算として、45,000点を所定点数に加算する。」という別の注もあり、抗HLA抗体検査加算と両側肺移植加算が同じ手術で併記されるケースがあります。関連する加算として両側肺移植加算や移植臓器提供加算、造血幹細胞移植ではコーディネート体制充実加算、非血縁者間移植加算などもあわせて確認しておくとよいでしょう。
みらい(新人医療事務)
昔の資料でも似たような話がありましたか?
あおい(元・医療事務)
平成24年度の疑義解釈では、K922造血幹細胞移植の注についての質問に「造血幹細胞移植を行うに当たり、医学的な必要性があって抗HLA抗体検査を行う場合に加算するものである。」という回答が出ています。この回答からも、抗HLA抗体検査加算は「検査を実施すれば自動的に付く」というより、医学的な必要性に基づいて検査を行った場合の加算、という位置づけであることがうかがえます。
算定単位のご注意
抗HLA抗体検査加算は、対象となる移植手術の所定点数に対する加算です。手術と切り離して単独で算定できる項目ではありません。また、組織適合性試験の費用は原則所定点数に含まれるため、検査費用を別立てで重複算定しないよう注意してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集した公式資料の範囲では、抗HLA抗体検査加算そのものについて、前回改定(令和6年度)からの変更点は確認されていません(確認日: 2026年8月)。今回確認できたのは令和8年度時点の告示で、各移植手術区分の注に「抗HLA抗体検査を行う場合には、抗HLA抗体検査加算として、4,000点を所定点数に加算する。」と記載されている、という内容です。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、これまでの取り扱いと大きくは変わっていない、という理解でいいですか?
あおい(元・医療事務)
断定はできませんが、少なくとも今回収集した令和8年度の一次資料の中では、抗HLA抗体検査加算の記載自体に新設・廃止・点数変更をうかがわせる記述は見当たりませんでした。念のため、自院が該当する移植手術を検討する際は、最新の告示・留意事項通知を都度確認することをおすすめします。
自院で確認する順番
自院で確認する順番
自院で該当の移植手術(肺・心・心肺・肝・膵・膵腎・膵島・小腸・腎移植、造血幹細胞移植)を実施しているか確認する 該当の症例で抗HLA抗体検査を医学的な必要性に基づいて実施したか、診療録で確認する 実施した移植手術がどの区分番号(K514-4など)に当たるかを特定する 移植手術本体の届出状況・施設基準を満たしているか確認する 抗HLA抗体検査加算(4,000点)を移植手術の所定点数に加算する候補として整理し、レセプト記載を確認する

自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。