みらい(新人医療事務)
院長から「うちの救命救急センター、評価が上がったから救急体制充実加算を見直してほしい」って言われたんですけど、そもそも救急体制充実加算ってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
救急体制充実加算は、救命救急入院料(A300)を算定している保険医療機関が対象の加算ですよ。重篤な患者さんに救命救急医療を行った場合に、施設基準の区分に応じて1日につき点数が上乗せされる仕組みです。令和8年度(2026年度)の告示でも、救命救急入院料の「注3」として位置づけられています。
みらい(新人医療事務)
「注3」ということは、救命救急入院料そのものとは別に届出が必要な加算なんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。単独では算定できず、まず救命救急入院料の届出があることが前提になります。そのうえで、救急体制充実加算独自の施設基準を満たして届け出た医療機関だけが、算定候補になります。
救急体制充実加算とはどんな加算か
みらい(新人医療事務)
具体的にどんな場面で算定するものなんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示では、救命救急入院料の算定対象患者(意識障害や急性心不全、ショック状態など重篤な救急患者)に対して救命救急医療が行われた場合に、施設基準の区分に従って1日につき加算するとされています。対象は救命救急センターを持つ病院で、外来だけの医療機関は対象になりません。
みらい(新人医療事務)
患者さん一人ひとりというより、病院の救急体制そのものを評価する加算ということですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。個々の処置内容というより、救命救急センターとしての体制の充実度が評価軸になっています。だからこそ、後で説明する「評価段階」がポイントになるんです。
対象医療機関のイメージ
救命救急入院料(A300)の届出を行っている病院が前提です。救急体制充実加算はこの入院料に対する「注3」の加算であり、入院料の届出がない医療機関では算定候補になりません。
点数区分(令和8年度)救急体制充実加算1・2・3
みらい(新人医療事務)
気になる点数を教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表では、救急体制充実加算は3段階に分かれていて、それぞれ次のように定められています。
| 区分 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|
| 救急体制充実加算1 | 1,500点 | 1日につき |
| 救急体制充実加算2 | 1,000点 | 1日につき |
| 救急体制充実加算3 | 500点 | 1日につき |
みらい(新人医療事務)
500点から1,500点まで、けっこう幅がありますね。
あおい(元・医療事務)
はい。この差は救急医療の提供体制がどれだけ充実しているかで決まります。厚生労働省の告示では「当該基準に係る区分に従い、1日につき次に掲げる点数をそれぞれ所定点数に加算する」とされていて、区分ごとに金額が固定されている形です。

みらい(新人医療事務)
医科診療行為マスターを見ると、この加算に紐づくコードがいくつもあるみたいなんですが、これはなぜですか?
あおい(元・医療事務)
算定している救命救急入院料の区分(入院料1なのか2なのか等)によって、レセプト上のコードが枝分かれしているためです。当サイトでは、こうした複数のコードを「救急体制充実加算」という一つの加算概念にまとめて掲載しています。個別のコード番号は医科診療行為マスターで確認するのが確実です。
施設基準(令和8年度)救急体制充実加算1/2/3の評価段階S・A・B
みらい(新人医療事務)
施設基準がいちばん知りたいところです。1500点の区分と500点の区分、何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の施設基準の告示・通知では、それぞれ次のように定められています。
施設基準の一次情報(令和8年度)
救急体制充実加算1の施設基準は、「救命救急センターの新しい充実段階評価について」(令和8年1月26日医政地発0126第1号。新評価基準)による救命救急センターの評価が充実段階Sであること、とされています。救急体制充実加算2は評価が充実段階A、救急体制充実加算3は評価が充実段階Bであることが施設基準です。
みらい(新人医療事務)
つまり、点数区分は「点数」で決まるんじゃなくて、救命救急センターの評価結果そのもので決まるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。院長先生が「評価が上がった」とおっしゃっていたのは、この充実段階評価(S・A・B)のことだと思います。評価がSなら救急体制充実加算1、Aなら2、Bなら3が施設基準の対象になります。逆に、評価区分に該当しない場合は、この加算の対象外になる可能性があります。
みらい(新人医療事務)
評価はどこが決めるんですか?
あおい(元・医療事務)
「救命救急センターの新しい充実段階評価について」という通知に基づいて、都道府県や地方厚生局が関わる評価の枠組みで決まります。自院がどの評価段階に位置づけられているかは、まずこの評価結果を確認することが出発点になります。
届出は必要か
みらい(新人医療事務)
届出をしていないと算定候補にならないんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。救急体制充実加算は「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」であることが算定の条件です。評価段階がSやAに該当していても、届出が済んでいなければ算定候補にはなりません。届出済みであれば候補になる、という順序で考えてください。
評価段階と届出はセットで確認
充実段階評価の結果が上がった・下がったタイミングでは、届出内容の見直しが必要になることがあります。評価結果だけで自動的に点数区分が切り替わるわけではなく、地方厚生局への届出手続きが前提になる点に注意が必要です。
レセプトへの記載
みらい(新人医療事務)
レセプトを書くとき、何か特別な記号とかあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。厚生労働省の通知では、救急体制充実加算1を算定した場合は「救充1」、加算2は「救充2」、加算3は「救充3」という略号を、レセプトの「特定入院料・その他」の項の「入院」欄に記載することとされています。事務担当者としては、この略号がどの区分に対応しているかを覚えておくと、確認作業がスムーズになります。
併算定・算定単位の注意点
みらい(新人医療事務)
他の加算と一緒に算定できないケースはありますか?
あおい(元・医療事務)
救急体制充実加算そのものについて、告示の注3には他の加算との併算定制限は明記されていません。ただし、同じ救命救急入院料の注に定められた精神疾患診断治療初回加算などは、それぞれ算定要件が個別に決まっているので、混同しないよう注意してください。
よくある取り漏れ
救命救急センターの充実段階評価が上がったのに、届出の変更手続きをしていないために、実際の評価段階より低い区分でしか算定できていないケースがあります。評価結果の通知を受け取ったら、届出内容の見直しを検討することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
算定できる日数に上限はあるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
救急体制充実加算は「1日につき」の加算として告示に定められています。救命救急入院料本体には14日や60日などの算定日数の限度が別途定められていますが、加算部分の算定可能日数の扱いについては、自院の届出内容や運用と合わせて、公式資料や審査支払機関で個別に確認することをおすすめします。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
今回の改定で何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できる一次資料の範囲では、救急体制充実加算1・2・3の点数区分(1,500点・1,000点・500点)そのものについて、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません。一方で、施設基準が参照する評価基準の通知は、令和8年1月26日付で「救命救急センターの新しい充実段階評価について」として更新されており、令和8年度の施設基準はこの新しい通知に基づく評価結果を用いる、とされています。
みらい(新人医療事務)
点数は変わっていないけど、評価の物差しになる通知そのものは新しくなっている、ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。評価基準の通知が更新されるタイミングでは、過去にも経過措置が設けられた例があります。自院の評価結果がどの通知に基づくものか、届出の際に確認しておくと安心です。
自院で確認する順番
- 自院が救命救急入院料(A300)の届出医療機関であるかを確認する
- 「救命救急センターの新しい充実段階評価について」(令和8年1月26日医政地発0126第1号)に基づく自院の評価段階(S・A・B)を確認する
- 評価段階に対応する区分(救急体制充実加算1・2・3)で、地方厚生局への届出内容が最新かを確認する
- レセプト記載の略号(救充1・救充2・救充3)が届出区分と一致しているかを確認する

自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。