地域加算とは何のための加算か(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「地域加算」って名前はよく聞くんですが、どんな加算なんでしょうか?入院基本料に関係するって聞いたんですが。
あおい(元・医療事務)
地域加算は、物価や生活水準が高い地域に所在する病院が、入院患者の入院基本料等に上乗せできる加算です(区分番号: A218)。人事院規則で定める「地域手当」の考え方と連動していて、公務員の地域手当の仕組みに準じた形で医療機関にも適用されています。令和8年度(2026年度)時点での算定単位は「1日につき」で、患者が入院している日ごとに算定します。
みらい(新人医療事務)
なるほど!地域によって点数が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。「級地区分」によって点数が5段階に分かれています。どの級地に当たるかは、人事院規則で定める地域と、厚生労働大臣が別に定める地域に基づいて決まります。算定要件の本文には「同令で定める級地区分に準じて、所定点数に加算する」と明記されています。

地域加算の点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
5段階って、どんな点数なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の点数は次のとおりです。いずれも入院1日ごとの加算点数です。出典は令和8年厚生労働省告示第69号(別表第一 医科診療報酬点数表 区分番号A218)です。
| 区分 | 点数(1日につき) |
|---|---|
| 1級地 | 18点 |
| 2級地 | 14点 |
| 3級地 | 11点 |
| 4級地 | 7点 |
| 5級地 | 4点 |
みらい(新人医療事務)
1日18点の差があるんですね。長期入院の患者さんがいる病院だと、積み重なっていきますね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし、あくまでも「算定候補」として捉えてほしいのですが、自院がどの級地区分に該当するかは、必ず公式資料や地方厚生(支)局で確認が必要です。住所地が複数の区分にまたがる境界地域の場合もあるため、思い込みで算定しないよう注意してください。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関が対象なんですか?診療所でも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
地域加算の対象は病院です。診療所は対象外になります。また、対象患者については、次のいずれかの料を現に算定している入院患者に限られています。入院基本料(特別入院基本料等を含む)・特定入院料・短期滞在手術等基本料(対象に限る)を算定している患者が対象です。
みらい(新人医療事務)
つまり、入院基本料や特定入院料を算定している患者が入院している日に、地域加算を上乗せするイメージですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。入院基本料の種類によっては地域加算を算定できないものもあるため、算定対象となる入院料かどうかを確認することが大切です。
対象の確認ポイント(令和8年度)
- 対象医療機関: 病院のみ(診療所は対象外)
- 対象患者: 入院基本料・特定入院料・短期滞在手術等基本料(対象に限る)を算定中の入院患者
- 算定単位: 1日につき(入院している日ごと)
- 届出: 不要(施設基準の届出は不要)
- 施設基準: なし
地域要件の確認方法
みらい(新人医療事務)
「人事院規則で定める地域」って、どうやって確認するんですか?
あおい(元・医療事務)
大きく2つの経路があります。ひとつ目は人事院が定める「地域手当」の指定地域です。国家公務員の給与に関する法律(一般職給与法)第11条の3第1項に基づく人事院規則で、地域ごとの「支給割合」が定められていて、この地域区分が診療報酬の地域加算の級地区分に準じて適用されます。
みらい(新人医療事務)
もうひとつの経路はどんな場合ですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働大臣が別に定める地域があります。人事院規則の対象にならない地域でも、厚生労働大臣の告示で指定されている地域が対象になる場合があります。基本診療料施設基準告示(令和8年厚生労働省告示第70号)の「第八 十四」に「地域加算に係る地域」として規定されています。
みらい(新人医療事務)
ということは、ざっくり「都市部の病院は算定候補になりやすい」ということでしょうか?
あおい(元・医療事務)
概ねそのイメージに近いですが、地域区分は市区町村単位で細かく設定されています。同じ市内でも区によって級地が異なるケースもあるため、必ず自院所在地の級地区分を公式資料で確認してください。人事院のウェブサイトや、地方厚生(支)局への問い合わせが確認の近道です。
地域区分の確認は必ず公式資料で
病院の所在地によって算定できる点数が異なります。「うちは都市部だから1級地」と思い込まずに、必ず人事院規則の地域区分や厚生労働省告示で自院の所在地を確認してください。境界地域では区分が変わることもあります。
届出・施設基準
みらい(新人医療事務)
届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
地域加算は届出不要です。施設基準の設定もありません。対象地域に所在する病院であれば、対象患者が入院基本料等を算定している日に、级地区分に応じた点数を加算する仕組みです。
みらい(新人医療事務)
届出が不要なのはシンプルでわかりやすいですね。でも、逆に「届出なくていいから確認しなくていい」という落とし穴はありませんか?
あおい(元・医療事務)
鋭い指摘です。届出不要であっても、自院が対象地域に所在しているかどうかの確認は必須です。対象外の地域にいるのに誤って算定してしまうと、審査で指摘される可能性があります。また、市区町村の合併や区域変更などで地域区分が変わることもあるため、定期的に確認することをおすすめします。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定で、地域加算は何か変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の改定において、地域加算(A218)の点数・算定要件・施設基準・届出要件について、公式資料の範囲では変更は確認されていません(確認日: 2026年6月・厚労省一次情報ベース)。
変更なし確認の範囲(令和8年度)
- 算定方法(1日につき): 変更なし
- 点数区分(1〜5級地・18点〜4点): 変更なし
- 算定対象(入院基本料等算定患者): 変更なし
- 届出要件(不要): 変更なし
- 施設基準(なし): 変更なし
- 告示根拠: 令和8年厚生労働省告示第69号・告示第70号で確認
- 疑義解釈(令和8年3月23日 その1): 地域加算に関するQ&Aは確認されていません
みらい(新人医療事務)
変わっていないとわかっているのは安心ですね。ちゃんと確認してから使えるのが大事ですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。「変更がない」と明記できるのも、公式資料を確認してこそです。毎年改定のたびに点数表・告示・疑義解釈を照合することが、正確な算定につながります。
自院が算定候補かどうか確認する流れ
みらい(新人医療事務)
実際に自院で地域加算を算定できるか確認するとき、どんな順番で進めればいいですか?
あおい(元・医療事務)
こんな流れで確認するとスムーズです。

自院で確認する順番
- 自院が「病院」であることを確認 — 診療所は対象外です
- 自院の所在地が対象地域に含まれるか確認 — 人事院規則の地域手当指定地域または厚生労働大臣が定める地域に該当するかを、公式資料または地方厚生(支)局で確認
- 自院が何級地に該当するか確認 — 1〜5級地のどれかを特定し、対応する点数を確認
- 対象患者の確認 — 入院基本料・特定入院料・短期滞在手術等基本料(対象に限る)を算定している入院患者であるか確認
- レセプトへの反映を確認 — 対象日の入院料に地域加算を正しく加算できているか、レセプトを確認
よくある取り漏れ・注意点
みらい(新人医療事務)
地域加算で取り漏れが起きやすいポイントはありますか?
あおい(元・医療事務)
実際によく見られる取り漏れのパターンがいくつかあります。
よくある取り漏れ・注意点
- 「届出不要だから確認しなくていい」という思い込み — 対象地域かどうかの確認は必須です
- 院内コードへの未反映 — レセプトシステムに地域加算のコードが正しく設定されていないと、自動では加算されません
- 転棟・転院時の算定漏れ — 同一病院内での転棟の場合、入院基本料の種類が変わっても対象であれば引き続き算定候補です
- 特定入院料への算定確認漏れ — 特定入院料(ICU等)を算定している患者も、地域加算の対象となる場合があります。個別に確認が必要です
- 市区町村の区域変更の未反映 — 合併・境界変更により級地区分が変わった場合、レセプトシステムの設定変更が必要です
みらい(新人医療事務)
レセプトシステムに正しく設定されているかどうかも、定期的に確認した方がいいですね。
あおい(元・医療事務)
おっしゃるとおりです。特に施設移転や所在地変更があった病院では、新たな所在地の級地区分を確認し直して、必要に応じてシステム設定を更新することが大切です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
地域加算はすべての入院患者に算定できますか?
あおい(元・医療事務)
すべての入院患者というわけではありません。算定できるのは、入院基本料(特別入院基本料等を含む)・特定入院料・短期滞在手術等基本料(対象に限る)のうち地域加算を算定できるものを現に算定している患者に限られます。入院しているだけでは不十分で、対象となる入院料を算定していることが条件です。
みらい(新人医療事務)
1日の起算はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
地域加算は「1日につき」の加算です。入院している日ごとに算定します。入院日・退院日の取り扱いは入院基本料の算定ルールに準じて確認してください。
みらい(新人医療事務)
転院した場合、転院先でも地域加算を算定できますか?
あおい(元・医療事務)
転院先の病院が対象地域に所在していて、入院基本料等を算定している患者であれば、転院先でも算定候補になります。ただし、転院先の所在地の級地区分に応じた点数になります。転院前後で病院の所在地が異なれば、算定できる点数も変わる可能性があります。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度(2024年度)改定)では地域加算に何か変更がありましたか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度(2024年度)改定)の時点でも、地域加算(A218)の点数・算定要件には大きな変更はなく、令和8年度(2026年度)の現行の点数区分(1〜5級地)は継続している形です。ただし、点数表の全体的な改定状況は毎年確認することをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や所在地・体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。入院基本料 地域加算の算定に向けた確認事項を一つずつ整理するのに役立ちます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。