HIV感染者療養環境特別加算とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「HIV感染者療養環境特別加算」って加算名を初めて見たんですけど、どういう患者さんが対象になる加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の医科点数表にある区分A220の加算です。保険医療機関に入院している、後天性免疫不全症候群(AIDS)の病原体、つまりHIVに感染している患者さんについて、入院基本料や特定入院料に上乗せして算定する加算になります。
みらい(新人医療事務)
入院患者さんが対象なんですね。外来では算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、告示の区分自体が「入院基本料等加算」に位置づけられていて、対象は病院に入院している患者さんに限られます。診療所の外来や在宅診療では対象になりません。
みらい(新人医療事務)
個室にするか、複数人部屋にするかで点数が変わったりするんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
そこはまさにポイントです。次の章で点数の区分を確認していきましょう。
点数・算定コードの確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的に何点になるのか、区分ごとに教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年度時点での点数はこちらの表のとおりです。区分番号はA220、単位は1日につきの算定です。
| 区分 | 加算名 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|---|
| 1 個室の場合 | HIV感染者療養環境特別加算 | 350点 | 1日につき |
| 2 2人部屋の場合 | HIV感染者療養環境特別加算 | 150点 | 1日につき |

みらい(新人医療事務)
個室のほうが200点も高いんですね。個室と2人部屋、どちらになるかは病院側が決めるんですか?
あおい(元・医療事務)
病室の運用は病院の判断によりますが、告示上は「個室の場合」「2人部屋の場合」という部屋タイプの区分だけが定められていて、それ以外の細かい割り振り基準までは告示・留意事項通知には書かれていません。この点は資料の範囲では確認できないため、実際にどちらの区分で算定するかは自院の病室運用と診療録の記載で確認する必要があります。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
具体的にどんな患者さんなら対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の注には、次の3つのポイントが書かれています。
対象患者の3つのポイント(令和8年度)
① 保険医療機関に入院していること: 病院への入院患者が対象で、外来患者は対象外です。 ② 後天性免疫不全症候群の病原体(HIV)に感染していること: 入院基本料(特別入院基本料等を含む)または特定入院料のうち、この加算を算定できるものを現に算定している患者に限られます。 ③ 除外規定に該当しないこと: 小児療養環境特別加算または無菌治療室管理加算を算定する患者は、この加算の対象から除かれます。
みらい(新人医療事務)
「現に算定している患者に限り」というのが引っかかるんですが、どういう意味ですか?
あおい(元・医療事務)
入院基本料や特定入院料の中でも、この加算を算定できる区分を実際に算定している患者、という意味です。すべての入院料でこの加算が組み合わせられるわけではないので、レセプト作成時にどの入院料と組み合わせているかの確認が必要です。
施設基準・届出は必要ですか?
みらい(新人医療事務)
加算というと、たいてい施設基準の届出が必要なイメージがあるんですが、この加算はどうですか?
あおい(元・医療事務)
今回確認した告示・留意事項通知の範囲では、この加算について特別な施設基準や地方厚生局長等への届出は記載されていません。対象となる患者の要件(HIV感染者であること、対象の入院料を算定していることなど)だけが定められている形です。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、届出なしでもすぐ算定候補になるということですか?
あおい(元・医療事務)
「届出の記載がない」というのはあくまで確認した公式資料の範囲での話です。届出が不要だからといって、無条件に算定できると断定はできません。対象患者の要件を満たしているか、入院基本料の算定状況と診療録の記載を必ず自院で確認してください。
算定要件を詳しく(告示・留意事項通知)
みらい(新人医療事務)
もう少し詳しく、どういう場合に算定できるのか知りたいです。
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、判定の基準についてもう少し具体的に書かれています。
算定要件の詳細(留意事項通知ベース)
判定基準: CD4リンパ球数の値にかかわらず、抗体の陽性反応があれば算定の対象になります。 除外ケース: 患者の希望により、特別の設備の整った個室に入院する場合は、この加算の対象から除かれます。
みらい(新人医療事務)
CD4の数値は関係ないんですね。抗体検査が陽性かどうかがポイントということですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。ただし、患者さん自身の希望だけで特別な設備の個室に入院した場合は対象外になる、という除外規定がある点は見落としやすいので注意してください。医学的な必要性に基づく入院かどうかも、確認しておきたいポイントです。
併算定の注意点
みらい(新人医療事務)
似たような名前の加算がいくつかあると聞いたんですが、一緒に算定できるものはあるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
併算定については、告示の注に明確な除外規定があります。
併算定できない加算(令和8年度)
- 小児療養環境特別加算とは併算定できません
- 無菌治療室管理加算とは併算定できません
- これらの加算を算定する患者は、HIV感染者療養環境特別加算の対象から除かれます
みらい(新人医療事務)
つまり、同じ入院期間で重複してチェックしてしまうミスに気をつけないといけないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。無菌治療室管理加算の告示にも同じ趣旨の除外規定が書かれていて、双方向で重複を避ける仕組みになっています。レセプト作成時にどちらか一方しか算定できない前提で確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定で、この加算に何か変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
今回確認した令和8年度の医科点数表(告示)と留意事項通知の範囲では、HIV感染者療養環境特別加算について、点数・対象患者の要件・施設基準の有無に関わる主な変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚生労働省の令和8年度告示・留意事項通知ベース)。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、前回の令和6年度からずっと同じ内容の加算ということですか?
あおい(元・医療事務)
今回参照できた公式資料の範囲では、そう見えます。ただし、前回改定(令和6年度)時点の告示・通知そのものは今回の記事作成では直接照合していないため、「変更なし」というのはあくまで今回確認した令和8年度資料の記載内容から読み取れる範囲での判断です。改定内容は今後見直される可能性もあるので、最新の厚生労働省通知は定期的に確認することをおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちの病院で算定候補になるか調べるには、どんな順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
こういう順番で確認するとスムーズです。
自院で確認する順番
-
入院患者かどうかを確認 — HIV感染者療養環境特別加算は入院患者専用です。外来患者は対象になりません
-
HIV抗体の陽性反応があるかを確認 — CD4リンパ球数の値は関係なく、抗体の陽性反応の有無がポイントです
-
対象となる入院基本料・特定入院料を現に算定しているかを確認 — この加算を算定できる区分の入院料を実際に算定している患者に限られます
-
個室か2人部屋かを確認 — 個室なら350点、2人部屋なら150点と点数が異なります
-
小児療養環境特別加算・無菌治療室管理加算と重複していないかを確認 — これらを算定する患者はこの加算の対象から除かれます
-
患者の希望のみによる個室入院ではないかを確認 — 医学的必要性に基づく入室かどうかを診療録で確認してください

みらい(新人医療事務)
これだけ確認すれば、うちが算定候補かどうかの目安がつきそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただ最終的に「算定できる」と言い切れるかどうかは、自院の診療録の記載内容や届出状況、審査支払機関の判断によります。目安を確認したい場合は 加算チェッカー も活用してみてください。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実務でよく見落とされるポイントがあれば教えてください。
よくある取り漏れポイント
- HIV抗体陽性の患者であっても、対象となる入院基本料・特定入院料を算定していない場合は加算の対象外
- 個室・2人部屋の区分を誤ったまま算定してしまうケース
- 小児療養環境特別加算または無菌治療室管理加算と重複して算定してしまうケース
- 患者の希望のみによる個室入院であるにもかかわらず、加算を算定してしまうケース
- 診療録に判定根拠(抗体陽性反応の結果など)が記載されていないケース
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よく聞かれそうな質問もまとめて確認したいです。
あおい(元・医療事務)
いくつかピックアップしますね。
みらい(新人医療事務)
この加算は診療所でも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ。告示上、入院基本料等加算に位置づけられているため、病院に入院している患者が対象です。診療所の外来では算定できません。
みらい(新人医療事務)
個室と2人部屋、どちらの点数を使うかは誰が決めるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示では部屋タイプごとの点数が定められているだけで、それ以外の判断基準は今回確認した資料の範囲では書かれていません。実際の病室運用と診療録の記載内容から、自院で確認してください。
みらい(新人医療事務)
無菌治療室管理加算とはどちらが優先されるんですか?
あおい(元・医療事務)
「優先」というより、そもそも両方を同時に算定することができない関係です。告示の除外規定により、無菌治療室管理加算を算定する患者はHIV感染者療養環境特別加算の対象から除かれます。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は以下の厚生労働省公式資料を根拠としています。詳細な算定要件は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚生労働省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号・医科点数表 区分A220) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号・区分A220該当部分)
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。