みらい(新人医療事務)
「重症者等療養環境特別加算」っていう名前、初めて聞いたんですけど、これって集中治療室とは別物ですか?うちの病院は算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
良い質問ですね。重症者等療養環境特別加算は、区分A221として入院基本料等加算(A章)に位置づけられている加算です。ICUなどの特定入院料とは別に、個室または2人部屋の病室で重症者等の看護にあたっている場合に、所定点数へ上乗せする形で算定されます。令和8年度(2026年度)時点でも、この位置づけ自体は変わっていません。
みらい(新人医療事務)
「重症者等」というのがどういう患者さんを指すのか、まずそこが気になります。
あおい(元・医療事務)
そこはとても大事な確認ポイントです。常時監視を要し、随時適切な看護及び介助を必要とする状態の患者さんが対象です。単に「個室に入院している」というだけでは対象になりません。看護体制と病室の届出、両方がそろって初めて算定候補になる加算です。後ほど順番に確認していきましょう。
重症者等療養環境特別加算とは
みらい(新人医療事務)
そもそも、この加算は何のためにあるんですか?
あおい(元・医療事務)
常時監視が必要で、随時適切な看護・介助を要する重症者等について、個室または2人部屋という手厚い療養環境を確保している保険医療機関を評価する加算です。入院基本料や特定入院料の算定対象になっている病棟・病室のうち、施設基準を満たして地方厚生局長等に届け出た病室であれば、入院基本料等加算の一つとして所定点数に加算されます。対象は病院で、外来や在宅では算定対象になりません。
みらい(新人医療事務)
診療所は関係ないんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。この加算は入院基本料等加算に分類されているため、病床を持つ病院での入院診療が前提です。診療所は対象区分ではないので、まず自院が病院かどうかを確認してください。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
対象になる病院・患者について、もう少し具体的に教えてください。
あおい(元・医療事務)
当サイトが参照している公式資料には、次のように記載されています。
対象の整理(令和8年度)
- 対象医療機関: 病院。入院基本料等加算(A章)に位置づけられ、施設基準に適合し地方厚生局長等に届け出た病棟・病室を持つこと
- 対象病室: 個室または2人部屋の病床であって、療養上の必要から重症者等を入院させるのに適した病室として届出されているもの
- 対象患者: 常時監視を要し、随時適切な看護及び介助を必要とする重症者等であって、入院基本料(特別入院基本料等を除く)または特定入院料のうち、本加算を算定できるものを現に算定している患者
- 除外される患者: 小児療養環境特別加算または無菌治療室管理加算を算定する患者
みらい(新人医療事務)
小児療養環境特別加算や無菌治療室管理加算とは、同時に算定できないということですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。公式資料では、重症者等療養環境特別加算を算定できるものを現に算定している患者に限り、かつ小児療養環境特別加算または無菌治療室管理加算を算定するものを除く、と明記されています。同じ病室・同じ患者について、これらの加算が重複しない仕組みになっています。自院でどの加算を算定しているか、患者ごとに整理しておく必要があります。
点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
肝心の点数はどれくらいなんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表では、病室のタイプによって2区分に分かれています。
| 区分 | 病室タイプ | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|---|
| A221・1 | 個室の場合 | 300点 | 1日につき |
| A221・2 | 2人部屋の場合 | 150点 | 1日につき |

みらい(新人医療事務)
個室だと300点、2人部屋だと150点で、ちょうど倍の差があるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、病室のタイプによって点数が変わります。どちらも1日につきの算定なので、届出病室に入院している日数分だけ積み上がっていきます。ただし、実際に算定できるかどうかは、患者ごとの入院料の算定状況・病室の届出状況によって変わりますので、レセプト作成時に個々の患者について確認する必要があります。
施設基準
みらい(新人医療事務)
施設基準は具体的にどう定められているんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の告示では、次の2点が要件として定められています。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 看護体制 | 常時監視を要し、随時適切な看護及び介助を必要とする重症者等の看護を行うにつき十分な看護師等が配置されていること |
| 病室の種別 | 個室又は二人部屋の病床であって、療養上の必要から当該重症者等を入院させるのに適したものであること |
みらい(新人医療事務)
「十分な看護師等が配置されている」というのは、具体的な人数や配置基準が決まっているんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の文言だけでは、具体的な人数比率までは示されていません。「常時監視を要し、随時適切な看護及び介助を必要とする重症者等の看護を行うにつき十分」という定性的な表現になっています。自院の看護配置がこの水準を満たしているかどうかは、届出の手引きや疑義解釈も含めて確認したほうが確実です。当サイトで確認できる範囲を超える細部は、必ず地方厚生局への届出時の手引きで確認してください。
常時監視できる体制であることが前提
この加算は、単に個室・2人部屋であることだけでなく、常時監視・随時の看護介助ができる体制が伴っていることが前提です。「空いている個室に入院してもらった」というだけでは施設基準を満たしません。看護体制と病室の届出、両方の要件をそろえて確認してください。
届出
みらい(新人医療事務)
届出はどこにすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
地方厚生局長等への届出が必要です。施設基準に適合する病室について、届出が受理されていて初めて算定候補になります。届出をしていない状態で加算を算定することはできませんので、「届出済みであれば候補」という前提を必ず押さえておいてください。
みらい(新人医療事務)
一度届け出たら、その後はずっとそのままで大丈夫ですか?
あおい(元・医療事務)
看護配置の体制を変更した場合や、病室の使い方を変更した場合(個室・2人部屋以外の用途に転用した等)は、施設基準を満たさなくなる可能性があります。そうした変更があったときは、速やかに地方厚生局へ変更の届出をする必要がありますので、定期的な自院確認をおすすめします。
算定タイミング・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングや、他の加算との関係で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか整理しておきたい点があります。
算定タイミング・併算定の確認ポイント(令和8年度)
- 算定単位: 1日につきの加算のため、届出病室に入院している日数分を積み上げて算定します
- 前提となる入院料: 入院基本料(特別入院基本料等を除く)または、本加算を算定できる特定入院料を現に算定していることが前提です
- 併算定不可の組み合わせ: 小児療養環境特別加算・無菌治療室管理加算とは同時に算定できません
- 転室・転棟時の確認: 患者が届出病室と非届出病室の間を移動した場合、算定日数の切り分けを個別に確認する必要があります
みらい(新人医療事務)
特定入院料を算定している病棟は、一律で対象外になるんですか?
あおい(元・医療事務)
一律に対象外とは言い切れません。特定入院料の中には、重症者等療養環境特別加算を算定できるものとできないものがあります。自院がどの特定入院料を算定しているかによって扱いが変わるため、資料上「算定できるもの」に該当するかどうかを個別に確認する必要があります。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったところはありますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表(告示)を確認すると、重症者等療養環境特別加算は区分A221・個室300点/2人部屋150点・1日につき、という現行の内容が示されています。当サイトが参照している一次資料の範囲では、前回改定からの点数・施設基準の変更点を示す資料までは確認できていません。そのため、変更の有無を断定はせず、「(一次資料の範囲で)変更は確認されていません」という位置づけでご案内します。
改定差分の確認範囲
本セクションは、令和8年度の医科点数表告示・施設基準告示(区分A221)の内容に基づいています。前回改定(令和6年度)との詳細な比較資料は当サイトでは未確認のため、変更の有無について断定的な表現は避けています。差分の詳細を確認したい場合は、厚生労働省が公表する個別改定項目の資料もあわせてご確認ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの病院で何から確認すればいいのか、順番を教えてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、次の順番で確認していくのがおすすめです。
自院で確認する順番
- 病院かどうかを確認 — 重症者等療養環境特別加算は入院基本料等加算のため、病床を持つ病院であることが前提
- 病室のタイプを確認 — 個室または2人部屋として、重症者等の入院に適した病室であるか
- 看護体制を確認 — 常時監視・随時の看護及び介助を行うにつき十分な看護師等が配置されているか
- 施設基準の届出状況を確認 — 上記の看護体制・病室要件を満たす病室として、地方厚生局長等への届出が受理されているか
- 患者の算定状況を確認 — 入院基本料または本加算を算定できる特定入院料を現に算定していて、小児療養環境特別加算・無菌治療室管理加算と重複していないか

みらい(新人医療事務)
これを順番にたどっていけば、うちが算定候補かどうか、だいぶ整理できそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし、届出の受理状況や病室の実際の使われ方、看護配置の実態は、公式資料だけでは分からない部分もあります。最終的には自院の届出書類・病棟の運用実態を突き合わせて確認してください。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としがちなポイントってありますか?
よくある取り漏れ(令和8年度)
- 点数区分の取り違え: 個室300点と2人部屋150点を、病室の実態と異なる区分で算定してしまうケース
- 看護体制の実態確認漏れ: 病室の届出はしているが、常時監視・随時の看護介助を行う看護師等の配置が、繁忙期に実態として満たせていないケース
- 併算定不可の見落とし: 小児療養環境特別加算や無菌治療室管理加算を算定すべき患者に、重症者等療養環境特別加算を重ねて算定してしまうケース
- 転室・転棟時の日割り確認漏れ: 患者が届出病室と非届出病室の間を移動した際、算定日数の切り分けが漏れるケース
対象・対象外の整理
みらい(新人医療事務)
パターンごとに整理してもらえると助かります。
| ケース | 算定候補になりうるか |
|---|---|
| 施設基準の届出済み・個室または2人部屋に、常時監視を要する重症者等が入院している場合 | 算定候補(要届出確認) |
| 個室・2人部屋ではあるが、常時監視を要する看護体制が伴っていない場合 | 対象外の可能性 |
| 小児療養環境特別加算または無菌治療室管理加算を算定している患者の場合 | 対象外(併算定不可) |
| 施設基準の届出が未了・または看護体制の実態が要件を満たさない場合 | 対象外の可能性(要確認) |
あおい(元・医療事務)
あくまで一次資料の記載から整理した目安です。実際の算定可否は、自院の届出内容と患者の看護状況を突き合わせて個別に確認してください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後によくある疑問も聞いておきたいです。個室であれば自動的に300点の対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、個室であること自体が算定の全てではありません。常時監視を要し、随時適切な看護及び介助を必要とする重症者等が入院していて、かつ施設基準に適合する病室として届出が受理されていることが前提です。個室であっても、看護体制の要件を満たさなければ算定候補にはなりません。
みらい(新人医療事務)
ICU(特定集中治療室管理料など)を算定している患者にも、この加算はつけられますか?
あおい(元・医療事務)
資料上、本加算は入院基本料(特別入院基本料等を除く)または、本加算を算定できる特定入院料を現に算定している患者が対象とされています。特定入院料の中には、本加算を算定できるものとできないものがあるため、自院が算定している特定入院料の区分が該当するかどうかを個別に確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
小児患者にはこの加算は使えないんですか?
あおい(元・医療事務)
小児療養環境特別加算を算定する患者については、重症者等療養環境特別加算とは併算定できないと明記されています。15歳未満の小児で個室に入院している場合は、小児療養環境特別加算の対象になり得るかを別途確認する形になります。
公式資料・参考情報
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省公式資料をもとに整理しています。詳細な施設基準・届出手続きは、必ず一次資料と自院の届出内容を突き合わせてご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 基本診療料の施設基準等の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第70号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001675854.pdf
あおい(元・医療事務)
関連する加算として、同じ入院基本料等加算のグループには 療養環境加算 や 小児療養環境特別加算 もあります。あわせて確認しておくと、自院の届出状況の整理がしやすくなります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちの病院が算定候補になるか、もっと手軽に確認する方法はありますか?
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。看護体制や病室の届出状況を入力すると、確認すべきポイントを整理できます。
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。