みらい(新人医療事務)
小児科病棟から「小児療養環境特別加算って算定候補になりますか?」って聞かれたんですけど、正直よく分かっていなくて…。
あおい(元・医療事務)
小児療養環境特別加算(区分A221-2)ですね。令和8年度(2026年度)の医科点数表では300点(1日につき)の入院基本料等加算です。病院で、治療上の必要から個室に入院した15歳未満の小児について算定候補になる加算です。
みらい(新人医療事務)
「治療上の必要」って、具体的にはどんな場面なんですか?
あおい(元・医療事務)
厚労省の告示では「治療上の必要があって、個室に入院した15歳未満の小児」と定められています。留意事項通知ではさらに具体化されていて、対象となる患者は次のいずれかに該当する15歳未満の小児で、保険医が治療上の必要から個室での管理が必要と認めたものとされています。
対象になる医療機関・患者は?
みらい(新人医療事務)
まず、うちの病院で対象になりうる患者さんの条件を教えてください。
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(区分A221-2)には、次の2つの状態のいずれかに該当する15歳未満の小児患者が対象になると書かれています。1つ目は「麻疹等の感染症に罹患しており、他の患者への感染の危険性が高い患者」、2つ目は「易感染性により、感染症罹患の危険性が高い患者」です。どちらも保険医が治療上の必要から個室での管理が必要と認めたものである、という前提が付きます。
みらい(新人医療事務)
なるほど。でも「15歳未満」だったら小児科病棟じゃなくてもいいんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の条文上は病棟の種別を限定していません。ただし、算定できるのは第1節の入院基本料(特別入院基本料等を含む)または第3節の特定入院料のうち、小児療養環境特別加算を算定できるものを現に算定している患者に限られます。自院がどの入院基本料・特定入院料を届け出ているかによって、そもそもこの加算の算定対象になり得るかどうかが変わってくるので、そこは要確認のポイントです。
みらい(新人医療事務)
除外されるケースもあるんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。告示の注書きには、HIV感染者療養環境特別加算、重症者等療養環境特別加算、または無菌治療室管理加算を算定する患者は除く、と明記されています。同じ「個室での療養環境」に関する加算どうしは重複して算定できない、という整理です。
点数を確認しましょう
みらい(新人医療事務)
点数は300点で合っていますか?
あおい(元・医療事務)
はい。令和8年厚生労働省告示第69号(医科点数表 別表第一)に「A221-2 小児療養環境特別加算(1日につき) 300点」と明記されています。算定単位は1日につきなので、対象患者が個室で管理されている日数分、算定候補になります。
| 区分番号 | 加算名 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|---|
| A221-2 | 小児療養環境特別加算 | 300点 | 1日につき |

みらい(新人医療事務)
差額ベッド代とは別物ですよね?
あおい(元・医療事務)
そうです。留意事項通知には「当該患者の管理に係る個室が特別の療養環境の提供に係る病室であっても差し支えないが、患者から特別の料金の徴収を行うことはできない」と書かれています。つまり、いわゆる差額ベッド(特別療養環境室)を使っていても構いませんが、この加算を算定する患者からは差額ベッド代を別途徴収できない、という整理です。ここを混同すると窓口対応でトラブルになりやすいので、事務側で共有しておきたいポイントですね。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
ここは少し注意が必要なところです。今回確認した告示と留意事項通知の条文には、この加算自体に固有の施設基準や届出を求める記載は見当たりませんでした。データ上の分類でも「施設基準なし・届出不要」として整理されています。
みらい(新人医療事務)
じゃあ何も届け出なくても算定候補になるということですか?
あおい(元・医療事務)
そこまで断定はできません。この加算は「入院基本料等加算」という区分に属していて、算定の前提になっているのはあくまで自院が届け出ている入院基本料や特定入院料そのものです。告示の条文でも「小児療養環境特別加算を算定できるものを現に算定している患者」という言い方をしていて、土台になる入院基本料等の届出が有効であることが前提になっています。加算そのものの独自届出は不要でも、土台側の届出状況の確認は欠かせません。
施設基準・届出の整理は自院で確認を
小児療養環境特別加算そのものに固有の施設基準・届出は、今回確認した資料の範囲では見当たりません。ただし算定の前提となる入院基本料・特定入院料の届出状況によって算定候補になるかどうかが変わるため、届出内容と施設基準の充足は自院・公式資料・審査支払機関で必ず確認してください。
| 確認項目 | 今回確認した資料での整理 |
|---|---|
| 加算固有の施設基準 | 記載は見当たりません |
| 加算固有の届出 | 記載は見当たりません |
| 前提となる入院基本料・特定入院料の届出 | 有効であることが前提(要自院確認) |
算定のタイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定できる回数に制限はありますか?
あおい(元・医療事務)
「1日につき」という算定単位なので、対象患者が条件を満たして個室に入院している日ごとに算定候補になります。回数の上限そのものは、告示・留意事項通知の中には明記されていません。
みらい(新人医療事務)
他の療養環境系の加算と一緒には算定できないんでしたっけ?
あおい(元・医療事務)
そうです。先ほどお伝えしたとおり、HIV感染者療養環境特別加算・重症者等療養環境特別加算・無菌治療室管理加算のいずれかを算定している患者については、小児療養環境特別加算は算定できません。同じ患者について、どの療養環境系加算が最も実態に即しているかを主治医・医事課で確認してから算定する必要があります。
| 関連する療養環境系加算 | 小児療養環境特別加算との関係 |
|---|---|
| HIV感染者療養環境特別加算 | 併算定不可(いずれか一方) |
| 重症者等療養環境特別加算 | 併算定不可(いずれか一方) |
| 無菌治療室管理加算 | 併算定不可(いずれか一方) |
みらい(新人医療事務)
レセプト上で何か記載しないといけないことはありますか?
あおい(元・医療事務)
あります。留意事項通知には「当該加算を算定する場合は、対象患者の要件のうちどちらに該当するかを診療報酬明細書の摘要欄に記載すること」と明記されています。「麻疹等の感染症に罹患している」のか「易感染性による感染症罹患の危険性が高い」のか、該当する理由を摘要欄に書き分ける必要がある、ということですね。
摘要欄記載の注意
留意事項通知により、対象患者要件のどちらに該当するかをレセプトの摘要欄に記載することが求められています。記載漏れは返戻・査定の原因になり得るため、算定の都度チェックする運用をおすすめします。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、何か変わった点はありますか?
あおい(元・医療事務)
今回確認した令和8年厚生労働省告示第69号(医科点数表 別表第一)および留意事項通知の範囲では、小児療養環境特別加算(区分A221-2)について、点数・算定単位・対象患者要件のいずれにも変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省一次情報ベース)。
みらい(新人医療事務)
変わっていないなら安心ですね。
あおい(元・医療事務)
「今回参照した資料の範囲では変更が見当たらなかった」という意味での確認ですので、油断せず、自院で改定の全体像を扱う際は他の入院基本料等加算とあわせて公式資料で確認する習慣をつけておくと安心です。
自院で確認する順番
自院で確認する順番
-
入院基本料等の届出状況を確認 — 自院が届け出ている入院基本料・特定入院料が、小児療養環境特別加算を算定できる区分に該当しているか
-
対象患者の年齢を確認 — 15歳未満の小児であるか
-
医学的な該当理由を確認 — 「麻疹等の感染症に罹患しており感染の危険性が高い」か「易感染性により感染症罹患の危険性が高い」のどちらに当てはまるか、主治医が治療上の必要から個室管理が必要と判断しているか
-
他の療養環境系加算との重複を確認 — HIV感染者療養環境特別加算・重症者等療養環境特別加算・無菌治療室管理加算を算定していないか
-
診療録・レセプトへの記載を確認 — 個室管理が必要と判断した理由が診療録に残っているか、レセプト摘要欄に該当理由を記載しているか
-
差額ベッド代の取り扱いを確認 — 特別療養環境室を利用していても、当該加算を算定する患者から特別料金を別途徴収していないか

よくある取り漏れ
取り漏れがちなポイント(1): 該当理由の記載漏れ
対象患者要件は「麻疹等の感染症」か「易感染性」かの2パターンに分かれていて、留意事項通知はレセプト摘要欄への記載を求めています。個室に入っているという事実だけを記録して、どちらの理由に該当するかを診療録・レセプトに書き分けていないケースが取り漏れ・記載不備の原因になりやすいところです。
取り漏れがちなポイント(2): 差額ベッド代との混同
特別療養環境室(差額ベッド)に入っている小児患者について、小児療養環境特別加算の算定と差額ベッド代の徴収を両方行ってしまうと、留意事項通知の「特別料金の徴収を行うことはできない」という規定に抵触するおそれがあります。会計システム上、差額ベッド代の請求ルールと加算算定のルールを別々に管理している病院では、突き合わせの運用を決めておくと安心です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、現場でよく聞かれる質問も確認しておきたいです。診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
この加算は入院基本料等加算に分類されていて、対象は病院(入院)です。今回確認した資料の範囲では、診療所(外来)を対象にした記載はありません。入院を取り扱っていない診療所では対象外の可能性が高いです。
みらい(新人医療事務)
「治療上の必要」があるかどうかは、誰がどうやって判断するんですか?
あおい(元・医療事務)
告示・留意事項通知の文言上は「保険医が治療上の必要から個室での管理が必要と認めたもの」とされています。最終的な医学的判断は主治医が行うものであり、その判断の根拠を診療録に残しておくことが、算定候補としての整理の土台になります。個々の患者について実際に算定して良いかどうかは、自院で公式資料と照らし合わせて確認してください。
みらい(新人医療事務)
15歳の誕生日を迎えた場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
告示の条文は「15歳未満の小児」を対象としているため、15歳の誕生日を迎えて15歳以上になった時点で、この加算の対象年齢からは外れると考えられます。入院期間中に誕生日を迎えるケースでは、算定期間の区切りを自院で確認しておく必要があります。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事は以下の厚労省公式資料をもとにまとめています。詳細は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)/医科点数表 別表第一 区分A221-2 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)/区分A221-2(当サイトのデータベースに取り込み済みの一次資料。厚労省サイト側のPDF番号が更新されている場合があるため、最新版は厚労省の診療報酬改定ページからご確認ください)
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。