眼科医療機関連携強化加算とは何のための加算か
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「眼科医療機関連携強化加算」って、なんか難しそうな名前ですよね。どんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
一言でいうと「糖尿病の患者さんを眼科にきちんとつなぐ取り組みを評価する加算」です。糖尿病は合併症として網膜症(糖尿病網膜症)を起こすことがあって、失明の原因にもなります。でも内科やかかりつけ医で診ているだけでは、眼の状態に気づきにくい。そこで令和8年度(2026年度)に新設されたのがこの加算です。
みらい(新人医療事務)
令和8年度に新しく作られた加算なんですね!
あおい(元・医療事務)
そうです。厚生労働省告示第69号(令和8年度 医科診療報酬点数表)で「B001-3 生活習慣病管理料(Ⅰ)」の「注5」として新設されました。糖尿病の重症化予防を推進する観点から、眼科を標榜する他の医療機関との連携を評価するものです。
みらい(新人医療事務)
生活習慣病管理料(Ⅰ)に紐づく加算ということですね。
あおい(元・医療事務)
正確にはそのとおりです。生活習慣病管理料(Ⅰ)を算定しているクリニックや200床未満の病院が、糖尿病の患者さんを眼科へ紹介・連携する一連の手順を踏んだ場合に上乗せで算定できる加算です。
対象医療機関と対象患者
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関が対象になるんですか?うちのクリニックはどうでしょう?
あおい(元・医療事務)
まず「眼科を標榜する保険医療機関は対象外」とはっきり告示に書かれています。つまり眼科クリニックは算定できません。内科・代謝内科・一般診療所などで、かつ生活習慣病管理料(Ⅰ)の施設基準を満たしている医療機関が対象です。
みらい(新人医療事務)
眼科が自分で算定するものではないということですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。また算定できる許可病床数についても、生活習慣病管理料(Ⅰ)本体が「200床未満の病院又は診療所」が条件なので、この加算もその枠の中で動きます。
対象外となるケース
- 眼科を標榜する保険医療機関(眼科クリニック・眼科病院)
- 生活習慣病管理料(Ⅰ)を算定していない医療機関
- 許可病床数が200床以上の病院(生活習慣病管理料(Ⅰ)本体の制限による)
みらい(新人医療事務)
対象患者はどんな患者さんですか?
あおい(元・医療事務)
「糖尿病を主病とする患者さん」だけが対象です。脂質異常症や高血圧症を主病とする患者さんには算定できません。この点は要注意です。
みらい(新人医療事務)
脂質異常症や高血圧症の患者さんには使えないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。告示の条文にも「糖尿病を主病とする患者に対して、診療に基づき、糖尿病合併症の予防、診断又は治療を目的とする眼科診療の必要を認め」とあります。糖尿病合併症(特に眼合併症)の予防・診断・治療を目的とした連携です。
点数と算定ルール
みらい(新人医療事務)
何点もらえるんですか?
あおい(元・医療事務)
60点です。ただし算定できるのは「患者1人につき年1回に限り」です。
眼科医療機関連携強化加算の基本情報(令和8年度)
- 点数: 60点(年1回)
- 算定区分: 生活習慣病管理料(Ⅰ)B001-3「注5」
- 対象患者: 糖尿病を主病とする患者のみ
- 対象医療機関: 眼科を標榜しない保険医療機関(生活習慣病管理料(Ⅰ)算定医療機関)
- 算定タイミング: 連携の「イ」(次回診療で受診状況を確認した日)に算定
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 点数 | 60点 |
| 算定頻度 | 年1回(患者1人につき) |
| 算定日 | 次回診療時に受診状況を確認した日(連携のステップ「イ」実施日) |
| 対象疾患 | 糖尿病(主病)のみ |
| 届出要否 | 加算単体の別途届出なし(生活習慣病管理料(Ⅰ)本体の施設基準を満たすこと) |
みらい(新人医療事務)
「算定日は次回診療で確認した日」っていうのが独特ですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。連携のプロセスが2ステップに分かれていて、「紹介・情報提供」の後に「次回診療で受診状況を確認したとき」が算定日になります。この流れをきちんと理解しておくことが大切です。
必要な連携とは: 2ステップのプロセス
みらい(新人医療事務)
「眼科医療機関との必要な連携」って、具体的には何をするんですか?「眼科に送った」だけでは足りないですか?
あおい(元・医療事務)
足りません。留意事項通知(保医発0305第6号 令和8年度版)には、必要な連携として「ア」と「イ」の2段階が明示されています。両方を実施しないと算定できないので注意が必要です。
自院で確認する順番
ステップ「ア」: 眼科医療機関への情報提供と受診予定日の設定
- 眼科を標榜する他の保険医療機関に対して、「診療状況を示す文書」を添えて患者の情報提供を行う
- 患者と相談の上、眼科診療の必要性について患者に十分な説明を行う
- 紹介先の眼科医療機関に患者が受診する「予定日」を定める
ステップ「イ」: 次回診療での受診状況確認(この日が算定日)
- 次回の診療時に、紹介先の眼科医療機関への受診状況について確認する
- 確認した内容を診療録に記載する
- 紹介先から診療状況を示す文書の提供があった場合は、その文書を診療録に添付する
みらい(新人医療事務)
ただ紹介状を書くだけでなく、「受診予定日まで決める」「次回来院時に受診できたか確認して診療録に記録する」というセットなんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。留意事項通知には「診療状況を示す文書を添えて患者の情報提供を行う。その際、当該患者と相談の上、眼科診療の必要性について患者に十分な説明を行い、当該他の保険医療機関に当該患者が受診する予定日を定めること」と書かれています。

みらい(新人医療事務)
文書で情報提供して、次回受診時に結果を確認する、この2ステップで初めて算定できるということですね。もし患者さんが眼科に行かなかった場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
「次回の診療時に受診状況について確認」とあるので、受診できていなかった場合でも「確認した事実」を診療録に記録することが必要です。ただ確認の結果として算定できるかどうかは、自院の運用ルールや審査支払機関の判断にもかかわってくる部分があるため、「確認が必要」です。受診状況の確認そのものが記録に残っていることが大前提になります。
みらい(新人医療事務)
すでに患者さんが別の眼科に定期的に通院している場合はどうなりますか?新しく紹介するわけではないので、算定できないのかなと思うのですが。
あおい(元・医療事務)
そこは令和8年9月2日付の疑義解釈資料(その12)問5で確認が示されています。現に患者が眼科を標榜する他の保険医療機関に通院中である場合であっても、医学的な必要性に基づき、診療情報提供書等を用いて毎年定期的に情報提供を行う場合は、同一患者に対して年に1回継続して当該加算を算定可能、とされています。
みらい(新人医療事務)
通院中だから対象外、というわけではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。ただし条件は「医学的な必要性に基づく」ことと「診療情報提供書等を用いて毎年定期的に情報提供を行う」ことの両方です。単に紹介状を毎年出すだけでなく、主治医が医学的に必要と判断した上での定期的な情報提供という位置づけになります。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するには、別途届出が必要ですか?
あおい(元・医療事務)
眼科医療機関連携強化加算単体では、別途の施設基準届出は求められていません。告示本文(注5)にも、この加算に限定した施設基準の届出要件は設定されていません。ただし前提として、生活習慣病管理料(Ⅰ)自体の施設基準を満たして届出を行っていることが必要です。
みらい(新人医療事務)
生活習慣病管理料(Ⅰ)の届出をしている医療機関であれば、追加の手続きなしに算定候補になるということですね。
あおい(元・医療事務)
算定候補にはなり得ます。ただし「届出をしているから自動的に算定できる」ではなく、2ステップの連携プロセスを実際に実施し、必要な記録を残すことが条件です。算定の可否は、連携の実施状況と記録の内容によります。
届出に関する確認ポイント
- 生活習慣病管理料(Ⅰ)の施設基準届出を行っているか(必須)
- 眼科医療機関連携強化加算単体の別途届出は告示上は不要とされているが、自院の届出状況は審査支払機関に確認することを推奨
算定上の注意点
みらい(新人医療事務)
気をつけるべきことは何かありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
算定上の注意点
- 年1回制限: 同一患者に対して年1回しか算定できません。同じ年度に複数回算定しないよう管理が必要
- 糖尿病のみ対象: 生活習慣病管理料(Ⅰ)は脂質異常症・高血圧症の患者にも算定しますが、この加算は糖尿病を主病とする患者に限定されます
- 眼科標榜医療機関は対象外: 自院が眼科を標榜する場合は算定できません
- 算定日に注意: 「紹介した日」ではなく「次回診療で受診状況を確認した日(ステップ「イ」実施日)」が算定日になります
- 診療録への記録: 受診状況の確認内容、紹介先からの文書添付など、記録が必要な事項が定められています
みらい(新人医療事務)
「紹介した日」ではなく「確認した日」が算定日というのは、レセプト請求のタイミングで混乱しそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ステップ「ア」(紹介・情報提供)を行った月と、ステップ「イ」(受診状況確認)を行った月が異なる場合もあり得ます。算定月の管理には注意が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算は前の改定から変わったものですか?
あおい(元・医療事務)
これは令和8年度(2026年度)診療報酬改定で新設された加算です。令和6年度(2024年度)改定の生活習慣病管理料(Ⅰ)には存在しなかった区分で、厚生労働省告示第69号(令和8年度 医科点数表)で生活習慣病管理料(Ⅰ)の「注5」として新たに設けられました。
みらい(新人医療事務)
令和8年度から全く新しく作られたんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。同じタイミングで歯科側でも糖尿病合併症の予防・管理を目的とした他科連携を評価する同種の加算が新設されています。本記事で取り上げる眼科医療機関連携強化加算(注5)は医科点数表に規定された加算で、内科・かかりつけ医から眼科への連携を対象とするものです。
令和8年度改定のポイント(前回改定比較)
- 令和6年度(2024年度)改定: 眼科医療機関連携強化加算は存在しなかった
- 令和8年度(2026年度)改定: 生活習慣病管理料(Ⅰ)注5として60点・年1回で新設
- 同時期に歯科側でも糖尿病合併症予防を目的とした同種の連携評価が設けられた(詳細は歯科点数表を参照)
みらい(新人医療事務)
新設されたあと、運用について追加の説明が出たりしていますか?
あおい(元・医療事務)
はい。令和8年9月2日付の疑義解釈資料(その12)問5で、この加算の運用に関する確認が示されました。現に眼科(歯科医療機関連携強化加算の場合は歯科)を標榜する他の保険医療機関に通院中の患者であっても、医学的な必要性に基づき、診療情報提供書等を用いて毎年定期的に情報提供を行う場合は、同一患者に対して年に1回継続して当該加算を算定可能、という内容です。
疑義解釈その12・問5のポイント(令和8年9月2日保険局医療課事務連絡)
- 現に他の眼科(または歯科)に通院中の患者でも、対象外にはならない
- 条件は「医学的な必要性に基づく」ことと「診療情報提供書等による毎年定期的な情報提供」の両方
- 同一患者に対して年に1回、継続して算定可能
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
うちのクリニックで算定できるか確認するには、どこから手をつければいいですか?
あおい(元・医療事務)
以下の順番で確認するとスムーズです。
自院で確認する順番
ステップ1: 生活習慣病管理料(Ⅰ)の届出確認 地方厚生局への生活習慣病管理料(Ⅰ)の施設基準届出を行っているかを確認します。届出なしでは算定できません。
ステップ2: 対象患者の確認 糖尿病を主病とする患者で、生活習慣病管理料(Ⅰ)を算定している患者を特定します。
ステップ3: 眼科診療の必要性の判断 主治医が診療に基づき、眼科診療の必要を認めることが前提です。医師の判断が必要な部分です。
ステップ4: 連携プロセスの体制整備 「診療状況を示す文書」の作成、眼科への紹介、受診予定日の設定、次回診療での確認記録といったフロー手順を院内で確認します。
ステップ5: 診療録の記録様式の確認 受診状況の確認内容・紹介先からの文書添付など、記録すべき事項が告示・留意事項通知で定められています。自院の診療録の記載欄を確認します。

よくある取り漏れ・確認ポイント
算定漏れ・誤算定を防ぐためのチェック
- 糖尿病主病かどうかの確認: 脂質異常症・高血圧症の患者さんに誤って算定しないよう、レセコンでの区分管理が重要
- 年1回管理: 同一患者・同一年度内の算定回数管理(2回目以降は算定不可)
- 算定月の管理: 紹介した月ではなく「受診状況確認(ステップ「イ」)を行った月」が算定月
- 記録の不備: 診療録に受診状況の確認内容が記録されていないと査定対象になる可能性があります
- 眼科の返書: 紹介先の眼科から診療状況を示す文書が届いた場合は、診療録への添付が義務付けられています
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
自分のクリニックが算定候補かどうか、もう少し具体的に確認してみたいです。
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や診療体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。眼科医療機関連携強化加算は令和8年度の新設加算なので、まだ知らない医療機関も多いですから、ぜひチェックしてみてください。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。