救急時医療情報取得加算とは?令和8年度の対象と要件を確認
みらい(新人医療事務)
最近、事務長から「救急時医療情報取得加算って届け出た方がいいか確認してほしい」と言われたんですが、これって何のための加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
救急外来に運ばれてきた患者さんが意識を失っているとき、担当医が「この患者さん、どんな薬を飲んでいたんだろう?既往歴は?」って困る場面、想像できますよね?
みらい(新人医療事務)
ああ、本人に聞けない状況ですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。その困りごとを解決するために、救急時医療情報閲覧機能と電子処方箋の仕組みを使って診療情報を取得した場合に算定できる加算が、令和8年度(2026年度)時点で設けられています。名称は「救急時医療情報取得加算」です。B001-2-6 救急外来医学管理料の「注5」加算として位置づけられています。
みらい(新人医療事務)
つまり、マイナポータルとか電子処方箋管理サービスで患者情報を確認した、ということを評価するんですか?
あおい(元・医療事務)
大きな方向性はそのとおりです。患者本人が話せなくても、デジタルの仕組みを使って必要な医療情報を確認した行為を評価しています。ただし、算定するには施設基準の届出が必要です。
救急時医療情報取得加算の算定要件(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
実際にどんな条件を満たせば算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
まず、注1または注2に規定する患者、つまり救急外来医学管理料の対象患者であることが前提です。その上で、意識障害の患者であることが必要です。
みらい(新人医療事務)
意識障害って、どのくらいの状態を指すんですか?
あおい(元・医療事務)
公式の要件では、次の2つが示されています。一つ目は「意識障害レベルがJCS(Japan Coma Scale)でII-10以上またはGCS(Glasgow Coma Scale)で12点以下の患者」です。二つ目は「無動症の患者」で、閉じ込め症候群・無動性無言・失外套症候群などが含まれます。
みらい(新人医療事務)
数字で基準が決まっているんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。JCSのII-10というのは「痛み刺激で開眼するが意思疎通は困難」くらいの状態です。救急搬送で意識があやふやな患者さんを想定しています。それ以外に、救急時医療情報閲覧機能と電子処方箋の仕組みを使って診療情報を実際に取得したことも要件です。
算定要件の3つのポイント(令和8年度)
- 救急外来医学管理料(注1または注2)の対象患者であること
- 意識障害の患者(JCS II-10以上 または GCS 12点以下、または無動症)であること
- 救急時医療情報閲覧機能および電子処方箋の仕組みを用いて診療情報を取得したこと
みらい(新人医療事務)
これ全部そろって、初めて算定候補になるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。さらに「施設基準の届出が済んでいる医療機関」という前提条件があります。届出なしには算定候補になりません。
点数と算定ルール(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はいくつなんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の告示(厚生労働省告示第69号)によると、月に1回に限り、50点を所定点数に加算します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 加算名 | 救急時医療情報取得加算 |
| 点数 | 50点(令和8年度) |
| 算定単位 | 月1回 |
| 対象 | 救急外来医学管理料(注1・注2)の患者であって意識障害の患者 |
| 届出 | 施設基準の届出が必要 |
みらい(新人医療事務)
月1回限りなんですね。毎回は取れない?
あおい(元・医療事務)
そうです。複数回来院があっても、同一月内は1回の算定です。これは告示に「月に1回に限り」と明記されています。
算定上の注意
救急時医療情報取得加算は月1回限りの算定です。同一月内に複数回の救急受診があっても、算定回数は1回です。また、施設基準の届出が前提のため、届出状況を必ず確認してください。
施設基準と届出(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
施設基準って具体的にどんな内容なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の厚生労働省告示第71号(特掲診療料の施設基準等)では、救急外来医学管理料の注5に規定する施設基準として2点が示されています。
注5の施設基準(令和8年度・告示71号)
- イ: 電磁的記録をもって作成された処方箋(電子処方箋)を発行する体制を有していること
- ロ: 救急時医療情報閲覧機能を有していること
みらい(新人医療事務)
電子処方箋の発行体制って、具体的には何をしておけばいいんですか?
あおい(元・医療事務)
電子処方箋を実際に運用できる体制が整っている必要があります。電子処方箋管理サービスへの参加と、対応する電子カルテ・レセコン環境が前提です。それと「救急時医療情報閲覧機能を有している」という要件もあります。
みらい(新人医療事務)
「救急時医療情報閲覧機能」って聞き慣れない言葉ですが、何を指しているんですか?
あおい(元・医療事務)
マイナンバーカードを使わずに、救急の現場で患者の医療情報を閲覧できる機能です。患者が意識を失っていても医師が情報を確認できる仕組みを整備している、という要件ですね。電子処方箋管理サービスや医療情報連携基盤(PHR等)と連携している場合が該当する可能性がありますが、具体的な充足確認は必ず保険医療機関の実態と照らし合わせてください。
みらい(新人医療事務)
うちが両方の体制を整えているかどうか、どう確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
まず電子カルテ・レセコンのベンダーに「電子処方箋の発行に対応しているか」「救急時医療情報閲覧機能に対応しているか」を確認するのが第一歩です。体制が整っている場合、地方厚生局への施設基準の届出が必要です。届出様式の確認も忘れずに。
自院で確認する順番
- 電子処方箋の発行体制が整っているか確認(ベンダー・システム側)
- 救急時医療情報閲覧機能が利用可能な環境かどうか確認
- 救急外来医学管理料(注1または注2)の届出状況を確認
- 施設基準の届出様式を地方厚生局で確認
- 届出が完了していれば、算定候補として要件照合へ

令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の令和6年度改定にもあったんですか?
あおい(元・医療事務)
「救急時医療情報取得加算」の名称で、電子処方箋・救急時医療情報閲覧機能を活用した場合を評価する仕組みは、医療DX推進の流れの中で整備されてきた加算です。令和8年度の告示第69号の規定ではB001-2-6の注5として50点(月1回)が明記されています。
みらい(新人医療事務)
前回から点数や要件は変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
厚労省告示(令和8年厚生労働省告示第69号・第71号)の一次情報の範囲で確認した結果、救急時医療情報取得加算の点数(50点)・意識障害の定義(JCS II-10以上またはGCS 12点以下・無動症)・施設基準(電子処方箋発行体制 + 救急時医療情報閲覧機能)について、令和6年度改定からの変更は確認されていません(確認日: 2026年6月・厚労省告示一次情報ベース)。
令和8年度における位置づけの整理
- 令和8年度告示(第69号)に「救急外来医学管理料 注5」として50点・月1回が規定
- 施設基準(告示第71号)で「電子処方箋発行体制」「救急時医療情報閲覧機能」の2点が要件
- 疑義解釈(令和8年3月23日 事務連絡)では本加算に係る個別問答は確認されていない
みらい(新人医療事務)
安定して続いている加算なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。医療DX推進の方針と連動した加算なので、体制が整った医療機関では継続的に算定候補となる可能性があります。ただし毎年度の告示改定内容は必ず確認してください。
対象医療機関・対象場面
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関がこの加算を取れる可能性があるんですか?
あおい(元・医療事務)
算定候補になりうるのは、救急外来機能を持ち、かつ施設基準の届出を行った医療機関です。診療所も病院も対象になりえます。ただし、外来のみが対象で、入院は対象外です。
みらい(新人医療事務)
救急外来を持っていない診療所はどうですか?
あおい(元・医療事務)
救急外来医学管理料(注1の救急搬送医学管理料、注2の夜間休日救急医学管理料)の算定要件を満たしている医療機関が前提です。搬送対応や夜間休日救急の届出がない場合は、そもそも親の加算の算定候補にならないため、この加算も算定候補にはなりません。

救急外来医学管理料の算定要件も確認が必要
救急時医療情報取得加算は、救急外来医学管理料(B001-2-6)の注1または注2の算定対象患者への加算です。親の加算の算定要件(施設基準・届出含む)も別途確認が必要です。
よくある取り漏れ・注意点
みらい(新人医療事務)
算定し忘れるパターンって、どんなことが多いんですか?
あおい(元・医療事務)
いくつか注意したいポイントがあります。
よくある取り漏れ・注意点
- 意識障害の確認記録: JCS・GCSのスコアが診療録に記載されているか。根拠が残っていないと算定の裏付けが困難になります
- 「取得した」の記録: 救急時医療情報閲覧機能や電子処方箋を使って情報を取得した事実が記録されているか
- 施設基準の届出: 届出なしで算定している場合は返戻・自主点検の対象になります
- 月1回制限の管理: レセプト作成時に同月内の二重算定がないか確認
みらい(新人医療事務)
診療録に記録が残っていることが大事なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。意識障害のレベル(JCSまたはGCSのスコア)と、情報を取得した手段・内容が記録されていることが望ましいです。レセプト審査の際に根拠を示せるようにしておくことが重要です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
届出をしていない状態で、今後取る可能性があるとしたら、何から始めればいいですか?
あおい(元・医療事務)
まず「救急外来医学管理料の施設基準届出が済んでいるか」を確認することから始めるのがよいと思います。親の加算の届出がなければ、この加算は算定候補にならないからです。次に電子処方箋の発行体制と救急時医療情報閲覧機能の有無を確認し、両方整っていれば地方厚生局に届出書類を問い合わせる流れになります。
みらい(新人医療事務)
電子処方箋と救急時医療情報閲覧機能、両方ないとダメなんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準(告示71号)では「イ: 電磁的記録をもって作成された処方箋を発行する体制を有していること」と「ロ: 救急時医療情報閲覧機能を有していること」の両方が示されています。どちらか一方では要件を満たせない可能性が高いです。必ず公式の施設基準通知と地方厚生局の案内で確認してください。
みらい(新人医療事務)
救急搬送で来た患者さん全員に算定できるわけじゃないんですね。
あおい(元・医療事務)
意識がある患者さんは対象外です。JCS II-10以上またはGCS 12点以下という基準を満たす意識障害の患者、または無動症の患者に限られます。毎月の算定対象を絞り込む作業が必要です。
みらい(新人医療事務)
月1回って、初回来院の月だけですか?同月に再来した場合は?
あおい(元・医療事務)
月1回ですので、同一患者で同月内に2回以上算定候補になる場面があっても、1回の算定となります。2回目以降は算定できません。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出状況や体制を自院でどう整理すればいいか、もう少し具体的に確認したいです。
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。救急外来の届出状況、電子処方箋の体制、救急時医療情報閲覧機能の有無などを入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。