早期離床・リハビリテーション加算とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「早期離床・リハビリテーション加算」って名前を聞いたんですけど、これはどんな場面で出てくる加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)現在の診療報酬では、特定集中治療室管理料などの集中治療系の病室に入室した患者さんに対して、多職種の早期離床・リハビリテーションチームが総合的な離床の取組を行った場合に評価される、注加算です。入室した日から起算して14日を限度に、500点が所定点数に加算されます。
みらい(新人医療事務)
「注加算」というのは、単独では算定できないということですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。特定集中治療室管理料や救命救急入院料など、ベースになる入院料の「注」として規定されている加算なので、対象となる病室に入院していることが前提です。当サイトが確認した告示(診療報酬の算定方法の一部を改正する件、令和8年厚生労働省告示第69号)の該当区分では、「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た病室に入院している患者に対して、入室後早期から離床等に必要な治療を行った場合に、早期離床・リハビリテーション加算として、入室した日から起算して14日を限度として500点を所定点数に加算する」と規定されています。
みらい(新人医療事務)
うちの病院は一般病棟だけなんですが、それでも関係ありますか?
あおい(元・医療事務)
この加算は入院(病院)が対象で、外来・在宅・診療所は対象になりません。さらに、対象になる病室も限定的です。特定集中治療室・救命救急入院料の病室・ハイケアユニット・脳卒中ケアユニット・小児特定集中治療室のいずれかを有し、そこに入室した患者さんに限られます。一般病棟のみの医療機関では、算定候補にはなりにくい加算です。
点数・算定区分の確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的にどの入院料に、どの区分で乗っかるのか整理したいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)時点で、早期離床・リハビリテーション加算が規定されているのは次の5つの区分です。いずれも点数は500点、上限日数は入室日から14日で共通しています。
| 基本点数区分 | 該当する注 | 加算点数 | 上限日数 |
|---|---|---|---|
| 特定集中治療室管理料(A301) | 注4 | 500点 | 入室日から14日 |
| 救命救急入院料(A300) | 注8 | 500点 | 入室日から14日 |
| ハイケアユニット入院医療管理料(A301-2) | 注3 | 500点 | 入室日から14日 |
| 脳卒中ケアユニット入院医療管理料(A301-3) | 注3 | 500点 | 入室日から14日 |
| 小児特定集中治療室管理料(A301-4) | 注3 | 500点 | 入室日から14日 |

みらい(新人医療事務)
どの区分でも点数は同じなんですね。じゃあ、複数の病室を持っていれば、それぞれで届出すればいいということですか?
あおい(元・医療事務)
はい、区分ごとに施設基準の届出が必要です。特定集中治療室で届け出ているからといって、ハイケアユニットで自動的に算定候補になるわけではありません。区分ごとに、後述する多職種チームの配置などの要件を満たしているかを確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
併算定で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
大事な注意点があります。告示の同区分には続けて「この場合において、同一日に区分番号H000に掲げる心大血管疾患リハビリテーション料、H001に掲げる脳血管疾患等リハビリテーション料、H001-2に掲げる廃用症候群リハビリテーション料、H002に掲げる運動器リハビリテーション料、H003に掲げる呼吸器リハビリテーション料、H007に掲げる障害児(者)リハビリテーション料及びH007-2に掲げるがん患者リハビリテーション料は、算定できない。」と明記されています。
同一日の疾患別リハビリテーション料は算定不可
早期離床・リハビリテーション加算を算定した同一日には、心大血管疾患リハビリテーション料(H000)・脳血管疾患等リハビリテーション料(H001)・廃用症候群リハビリテーション料(H001-2)・運動器リハビリテーション料(H002)・呼吸器リハビリテーション料(H003)・障害児(者)リハビリテーション料(H007)・がん患者リハビリテーション料(H007-2)は算定できないと告示に規定されています。レセプト作成時は同日算定の重複がないか確認が必要です。
施設基準: どんな体制が必要ですか?
みらい(新人医療事務)
500点という点数、けっこう高いですよね。施設基準も厳しそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。まず基本となるのが、多職種で構成された早期離床・リハビリテーションチームの設置です。特定集中治療室管理料の施設基準通知では、次のように規定されています。「当該治療室内に、以下から構成される早期離床・リハビリテーションに係るチームが設置されていること。ア 集中治療に関する5年以上の経験を有する専任の医師 イ 集中治療を必要とする患者の看護に従事した経験を5年以上有し、集中治療を必要とする患者の看護に係る適切な研修を修了した専任の常勤看護師 ウ 急性期医療を提供する保険医療機関において5年以上従事した経験を有する専任の常勤理学療法士、専任の常勤作業療法士又は専任の常勤言語聴覚士」。
みらい(新人医療事務)
医師・看護師・リハビリ職、それぞれ5年以上の経験が必要なんですね。看護師の「適切な研修」ってどんな研修ですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準通知の注意点として、「集中治療を必要とする患者の看護に係る適切な研修とは、国又は医療関係団体等が主催する600時間以上の研修(修了証が交付されるもの)であり、講義及び演習により集中治療を必要とする患者の看護に必要な専門的な知識及び技術を有する看護師の養成を目的とした研修又は保健師助産師看護師法第37条の2第2項第5号の規定による指定研修機関において行われる集中治療を必要とする患者の看護に係る研修であること」と定義されています。600時間という長時間の研修が要件になっているので、対象となる看護師が実際に修了しているかの確認が欠かせません。
早期離床・リハビリテーションチームの人員要件(令和8年度・特定集中治療室管理料の例)
- 専任の医師: 集中治療に関する5年以上の経験
- 専任の常勤看護師: 集中治療の看護経験5年以上 + 国等が主催する600時間以上の研修修了
- 専任の常勤理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のいずれか: 急性期医療機関での5年以上の従事経験
みらい(新人医療事務)
病室の種類によって要件が変わることはありますか?
あおい(元・医療事務)
あります。たとえば小児特定集中治療室管理料の施設基準では、医師の要件が「小児の集中治療に関する5年以上の経験を有する専任の医師」となっており、成人の集中治療経験とは区別されています。区分ごとに細かい違いがあるため、自院が届出しようとしている区分の施設基準通知を個別に確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
救命救急入院料の場合は何か特別な要件がありますか?
あおい(元・医療事務)
はい。当サイトが確認した資料の範囲では、救命救急入院料の場合、施設基準通知に「救命救急入院料を算定する病室における早期離床・リハビリテーションに関するプロトコルを整備していること」という記載があります。あわせて、「H000」心大血管疾患リハビリテーション料、「H001」脳血管疾患等リハビリテーション料又は「H003」呼吸器リハビリテーション料に係る届出を行っている保険医療機関であることも要件として挙げられています。プロトコル整備と既存リハビリ料の届出、両方の確認が必要になる点は見落としやすいところです。
早期離床・リハビリテーションチームの取組内容とタイミング
みらい(新人医療事務)
「多職種チームによる取組」って、具体的にどんなことをするんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準通知の留意事項には、次のような取組内容が示されています。「当該患者を診療する医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士又は臨床工学技士等が、早期離床・リハビリテーションチームと連携し、当該患者が特定集中治療室に入室後48時間以内に、当該計画に基づく早期離床の取組を開始する。」つまり、入室してから漫然と経過を見るのではなく、48時間以内に計画に基づいた早期離床を開始することが求められています。
みらい(新人医療事務)
48時間って、意外とタイトですね。計画自体はいつ作るんですか?
あおい(元・医療事務)
同じ留意事項では、チームが患者の状況を把握・評価したうえで、運動機能・呼吸機能・摂食嚥下機能・消化吸収機能・排泄機能などの維持・改善・再獲得に向けた支援方策について、関係学会の指針等に基づき治療室の職員とともに計画を作成することが前提とされています。その後、取組を定期的に評価し、実施内容や実施時間を診療録等に記載することも求められます。

みらい(新人医療事務)
記録がないと、算定の根拠として弱くなってしまいますね。
あおい(元・医療事務)
おっしゃる通りです。計画作成・48時間以内の取組開始・定期評価・診療録への記載という一連の流れが、施設基準を満たしているかどうかの確認材料になります。
届出はどうすればいいですか?
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていそうでも、届出をしないと算定候補にはなりませんよね?
あおい(元・医療事務)
はい、地方厚生局長等への届出が前提です。当サイトが確認した施設基準通知には、「早期離床・リハビリテーション加算の施設基準に係る届出は、別添7の様式42の3を用いること」と明記されています。届出済みであれば算定候補になり得ますが、未届出の状態では算定できません。
みらい(新人医療事務)
区分ごと(特定集中治療室・救命救急・ハイケアユニットなど)に別々に届出が必要なんですよね?
あおい(元・医療事務)
そうです。同じ病院内に複数の区分がある場合でも、それぞれの区分で施設基準を満たしたうえで届出を行う必要があります。ただし、施設基準通知では「当該保険医療機関内に複数の特定集中治療室等が設置されている場合、(1)に規定するチームが複数の特定集中治療室等の早期離床・リハビリテーションに係るチームを兼ねることは差し支えない」といった、人員の兼任を認める記載もあります。人員体制をどう組むかは、自院の状況に応じて個別に確認が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定(令和6年度)から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した令和8年度の一次資料(告示・施設基準通知)の範囲では、早期離床・リハビリテーション加算の点数(500点)・上限日数(14日)・施設基準の記載に、前回改定からの変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省一次情報ベース)。
みらい(新人医療事務)
ということは、ずっと同じ内容が続いている加算なんですね。
あおい(元・医療事務)
少なくとも当サイトが確認できた資料の範囲ではそう言えます。ただし、施設基準の運用や疑義解釈が改定のたびに追加されることもあるため、届出前には必ずその時点の最新の公式資料を確認するようにしてください。
早期栄養介入管理加算との違いに注意してください
みらい(新人医療事務)
似た名前の「早期栄養介入管理加算」というのも聞いたことがあるんですが、同じものですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、これは別の加算です。混同されやすいので整理しておきましょう。当サイトが確認した告示の同じ区分の並びには、次のように連続して規定されています。「早期離床・リハビリテーション加算として、入室した日から起算して14日を限度として500点を所定点数に加算する」の直後に、「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た病室に入院している患者に対して、入室後早期から必要な栄養管理を行った場合に、早期栄養介入管理加算として、入室した日から起算して7日を限度として250点(入室後早期から経腸栄養を開始した場合は、当該開始日以降は400点)を所定点数に加算する」という別の注が続きます。
みらい(新人医療事務)
点数も上限日数も違うんですね。早期離床・リハビリテーション加算は500点で14日限度、早期栄養介入管理加算は250点(経腸栄養開始後は400点)で7日限度、ということですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。早期離床・リハビリテーション加算は離床・運動機能等のリハビリテーションを評価する加算、早期栄養介入管理加算は早期からの栄養管理を評価する加算というように、当サイトの整理では着眼点が異なります。それぞれ別の注として規定されており、対象となるチーム構成(早期離床・リハビリテーションチーム/管理栄養士を含む栄養管理体制)や施設基準も別立てです。どちらか一方だけを検討するのではなく、自院の体制に応じて区別して確認することをおすすめします。
自院で確認する順番
自院で確認する順番
- 対象となる病室(特定集中治療室・救命救急入院料の病室・ハイケアユニット・脳卒中ケアユニット・小児特定集中治療室のいずれか)を有しているか確認する
- 早期離床・リハビリテーションチーム(専任の医師・専任の常勤看護師・専任の常勤理学療法士等)の人員要件を満たしているか、経験年数と研修修了状況を確認する
- 看護師の「600時間以上の研修」修了証など、根拠資料が整っているか確認する
- 入室後48時間以内に計画に基づく早期離床を開始し、定期評価と診療録記載ができる運用になっているか確認する
- 該当区分の届出(様式42の3)を地方厚生局長等に提出し、受理されているか確認する
よくある取り漏れ
見落としやすいポイント(令和8年度)
- 病室ごとに施設基準・届出が別立てであること(特定集中治療室で届出済みでも、ハイケアユニットでは別途届出が必要)
- 看護師の「適切な研修」が600時間以上という長時間の要件であること
- 同一日の疾患別リハビリテーション料(H000〜H007-2の一部)と併算定できないこと
- 早期栄養介入管理加算と名称が似ているが、点数・上限日数・要件が異なる別の加算であること
記録面での確認ポイント
- 入室後48時間以内に計画に基づく取組を開始した記録が診療録に残っているか
- 早期離床・リハビリテーションチームによる定期評価の記録が継続的に残っているか
- 救命救急入院料の場合、早期離床・リハビリテーションに関するプロトコルが文書として整備されているか
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか気になる点を聞いてもいいですか?診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、この加算は特定集中治療室管理料・救命救急入院料・ハイケアユニット入院医療管理料・脳卒中ケアユニット入院医療管理料・小児特定集中治療室管理料のいずれかを有する病院が対象です。診療所や、これらの病室を持たない病院は対象外の可能性が高いです。
みらい(新人医療事務)
早期離床・リハビリテーションチームは、必ず専従の職員でなければいけないんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した施設基準通知では「専任」という表現が使われています。専従・専任・常勤といった配置要件の細かい定義は区分や職種によって異なりますので、届出を検討する際は該当区分の施設基準通知の原文で、専任・常勤等の条件を職種ごとに確認してください。
みらい(新人医療事務)
14日を超えて集中治療室に入室している場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
告示上、加算の算定は「入室した日から起算して14日を限度」とされています。15日目以降は、この加算の対象からは外れる可能性が高いです。入室が長期化するケースでは、算定日数の管理も含めて確認しておく必要があります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちの病院で算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象となる病室の種類や、早期離床・リハビリテーションチームの人員体制、届出状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は以下の厚労省公式資料を根拠としています。詳細な施設基準・届出手続きは必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713882.pdf
- 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第7号・0619訂正後) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713893.pdf
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・診療録の記録・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。早期離床・リハビリテーション加算の算定に際しては、対象病室の施設基準の充足と届出の有効性を必ず自院で確認してください。