みらい(新人医療事務)
先生、「在宅医療DX情報活用加算」って名前を最近よく見かけるんですけど、これって何のための加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
在宅医療の現場で、オンライン資格確認等システムや電子処方箋、電子カルテ情報共有サービスなどを通じて得られる患者さんの診療情報や薬剤情報等を、計画的な医学管理に生かしながら訪問診療を行っていることを評価する加算です。令和8年度(2026年度)の医科点数表に規定されています。
みらい(新人医療事務)
つまり、医療DXの体制を整えて、実際にその情報を活用しながら訪問診療をしていると算定候補になる、ということですか?
あおい(元・医療事務)
はい、そのイメージです。ただし施設基準への適合と地方厚生局長等への届出が前提になるので、体制を整えていることと、届出が済んでいることの両方を確認する必要があります。
この加算は何のための加算?
みらい(新人医療事務)
具体的にどんな条文に出てくるんですか?
あおい(元・医療事務)
在宅医療の複数の基本診療項目の「注」に共通のルールとして規定されています。当サイトが収録している一次資料の範囲では、たとえば「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の注13や、「C003」在宅がん医療総合診療料の注8などに登場します。厚生労働省の告示ではこう説明されています。「注13」に規定する在宅医療DX情報活用加算は、在宅医療における診療計画の作成において居宅同意取得型のオンライン資格確認等システム等、電子処方箋及び電子カルテ情報共有サービス等により取得された患者の診療情報や薬剤情報等(以下この項において「診療情報等」という。)を活用することで質の高い医療を実施することを評価するものであり、別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関において当該診療情報等を踏まえて、計画的な医学管理の下に、訪問して診療を行った場合は、在宅医療DX情報活用加算として、月1回に限り、当該基準に係る区分に従い、所定点数に加算する。
みらい(新人医療事務)
なるほど、「情報を取得しているだけ」じゃなくて「実際に活用して診療している」ことが評価されているんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。ここが施設基準の確認でも重要になるポイントです。
対象になる医療機関・場面
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関、どんな場面で出てくる加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
訪問診療を行っている保険医療機関が対象です。在宅患者訪問診療料(Ⅰ)や施設入居時等医学総合管理料、在宅がん医療総合診療料など、在宅医療の複数の基本診療項目に付随する形で規定されています。診療所・病院のどちらでも、訪問診療の体制を持っていれば対象になり得る候補です。
みらい(新人医療事務)
外来だけの医療機関は関係ないんですか?
あおい(元・医療事務)
この加算自体は在宅医療(訪問診療)が前提です。外来の初診料・再診料・外来診療料の注に規定されている「電子的診療情報連携体制整備加算」は、名前は似ていますが在宅医療DX情報活用加算とは別の加算です。訪問診療をしていない外来のみの医療機関は、在宅医療DX情報活用加算そのものの対象外の可能性が高いですが、最終的には自院の診療体制で確認が必要です。
点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はいくらになるんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準に係る区分に従って2段階に分かれています。厚生労働省の点数表ではこう記載されています。イ 在宅医療DX情報活用加算1 11点 ロ 在宅医療DX情報活用加算2 9点
| 区分 | 点数 | 算定回数 |
|---|---|---|
| 在宅医療DX情報活用加算1 | 11点 | 月1回 |
| 在宅医療DX情報活用加算2 | 9点 | 月1回 |

みらい(新人医療事務)
1と2はどう違うんですか?
あおい(元・医療事務)
どちらの区分に該当するかは、施設基準への適合状況によって分かれます。自院がどちらの区分の届出を行っているかは、届出書類と地方厚生局への届出内容で確認するのが確実です。
施設基準
みらい(新人医療事務)
施設基準は具体的に何を整えればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
特掲診療料の施設基準等(令和8年保医発0305第8号)に定められています。要点をまとめると次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 診療報酬請求 | 電子情報処理組織を使用した診療報酬請求を行っていること |
| オンライン資格確認 | 健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認を行う体制があること |
| 居宅同意取得型の活用体制 | 居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムの活用により、医師等が患者の診療情報等を取得・活用できる体制があること |
| 電子処方箋 | 電子処方箋を発行する体制、または調剤情報を電子処方箋管理サービスに登録する体制があること |
| 電子カルテ情報共有サービス | 国等が提供する電子カルテ情報共有サービスにより取得される診療情報等を活用する体制があること |
| 掲示 | 医療DX推進の体制・マイナ保険証の利用促進の取組について、見やすい場所に掲示していること |
| ウェブサイト掲載 | 掲示事項は原則としてウェブサイトにも掲載していること(自ら管理するホームページがない場合を除く) |
みらい(新人医療事務)
「居宅同意取得型の活用体制」って、具体的にどこまでやればいいのか迷いそうです。
あおい(元・医療事務)
そこは疑義解釈でも取り上げられている論点です。オンライン資格確認等システムで情報を取得できるだけでは足りず、電子カルテシステム等で医師等が診療情報を実際に閲覧・活用できる体制まで必要、という整理が示されています。単に取得できる状態にとどまる場合は該当しないとされているので、運用実態まで確認しておくと安心です。
施設基準は7項目セットで確認
7項目のうち一部だけを満たしていても、施設基準全体には適合しない可能性があります。特に「情報を取得できる」と「実際に活用できる」の違いは見落としやすいポイントです。自院の運用が「活用」まで届いているか、実際のオペレーションで確認することをおすすめします。
届出
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていれば、自動的に算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、施設基準への適合に加えて、地方厚生局長等への届出が必要です。届出が済んでいなければ、体制を整えていても算定候補にはなりません。逆に言えば、届出済みであれば算定候補になる、という整理です。
みらい(新人医療事務)
届出のタイミングや様式はどこで確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
届出様式や具体的な提出方法は、地方厚生局が案内する届出書類一式で確認するのが確実です。当サイトの整理はあくまで一次資料に基づく確認ポイントの案内にとどまるので、実際の届出手続きは所管の地方厚生局の案内に沿って進めてください。
算定タイミング・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定できるタイミングにも決まりがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。初回の訪問診療のときは要注意です。厚生労働省の留意事項ではこう説明されています。在宅医療DX情報活用加算の算定に当たっては、初回の訪問診療の場合には、訪問診療に係る計画の作成において、あらかじめ、診療情報等を活用していない場合には算定できない。ただし、あらかじめ診療情報等を取得している場合であって、初回の訪問診療の際に患者の診療情報等を活用可能な場合には、初回の訪問診療から算定できる。
みらい(新人医療事務)
つまり「初回だから一律に算定不可」ではなくて、事前に情報を取得・活用できていれば初回からでも候補になり得るんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。あわせて、併算定にも注意が必要です。同じ医療DX関連の加算を重複して算定することはできません。ただし、区分番号A000に掲げる初診料の注16、区分番号A001に掲げる再診料の注19若しくは区分番号A002に掲げる外来診療料の注10にそれぞれ規定する電子的診療情報連携体制整備加算、区分番号C003に掲げる在宅がん医療総合診療料の注8に規定する在宅医療DX情報活用加算又は区分番号C005に掲げる在宅患者訪問看護・指導料の注17(区分番号C005-1-2の注8の規定により準用する場合を含む。)に規定する訪問看護医療DX情報活用加算を算定した月は、訪問看護医療DX情報活用加算は算定できない。
併算定は条文どおりに確認
併算定の可否は、どの区分番号・どの注に基づく加算かによって細かく規定されています。「同じ月に他の医療DX関連加算を算定していないか」は、条文の区分番号を突き合わせて確認する必要があり、名前が似ているだけで判断すると誤りやすいポイントです。
在宅データ提出加算・在宅医療情報連携加算との違い
みらい(新人医療事務)
「在宅データ提出加算」や「在宅医療情報連携加算」という似た名前の加算もありますよね。全部同じものだと思っていました…。
あおい(元・医療事務)
そこは取り違えやすいところなので、条文で確認しておきましょう。実は同じ条文の中で、注ごとに別々の加算として規定されています。まず在宅がん医療総合診療料の条文です。(在宅がん医療総合診療料)等に届け出た保険医療機関において、当該保険医療機関における診療報酬の請求状況、診療の内容に関するデータを継続して厚生労働省に提出している場合は、在宅データ提出加算として、月1回に限り、50点を所定点数に加算する。8 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認等により得られる情報を踏まえて計画的な医学管理の下に、訪問して診療を行った場合は、在宅医療DX情報活用加算として、月1回に限り、当該基準に係る区分に従い、次に掲げる点数をそれぞれ所定点数に加算する。
みらい(新人医療事務)
「在宅データ提出加算」と「在宅医療DX情報活用加算」が同じ条文の中で、別の注として並んでいるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。さらに在宅時医学総合管理料には、もう一つ別の「在宅医療情報連携加算」という規定もあります。(在宅時医学総合管理料)と連携する他の保険医療機関の保険医、歯科訪問診療を実施している保険医療機関の保険医である歯科医師等、訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局の保険薬剤師、訪問看護ステーションの保健師、助産師、看護師、理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士、管理栄養士、介護支援専門員又は相談支援専門員等であって当該患者に関わる者が電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法を用いて記録した当該患者に係る診療情報等を活用した上で、計画的な医学管理を行った場合に、在宅医療情報連携加算として、月1回に限り、100点を所定点数に加算する。
みらい(新人医療事務)
見比べると、評価している中身が全然違いますね。
あおい(元・医療事務)
はい、3つとも別の加算です。表にすると整理しやすいです。
| 加算名 | 評価している内容 | 点数の目安 |
|---|---|---|
| 在宅医療DX情報活用加算(この記事) | オンライン資格確認等・電子処方箋・電子カルテ情報共有サービス等で得た診療情報等を、計画的な医学管理のもとで訪問診療に活用していること | 11点または9点(月1回) |
| 在宅データ提出加算 | 診療報酬の請求状況・診療の内容に関するデータを、継続して厚生労働省に提出していること | 50点(月1回) |
| 在宅医療情報連携加算 | 連携する他の医療機関・薬局・訪問看護ステーション等の関係職種がICTで記録した診療情報等を活用し、計画的な医学管理を行っていること | 100点(月1回) |
みらい(新人医療事務)
名前に「在宅」「情報」が共通しているので混同しそうですが、評価対象がそもそも別物なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。届出の要否や施設基準も別々に定められているので、自院がどの加算の届出をしているか(あるいはしていないか)を、加算ごとに個別に確認することをおすすめします。
似た名前の加算は条文の注番号で区別
「在宅医療DX情報活用加算」「在宅データ提出加算」「在宅医療情報連携加算」はいずれも在宅医療の基本診療項目の「注」に規定されていますが、規定されている基本診療項目や注番号がそれぞれ異なる別々の加算です。名称の印象だけで同一視せず、条文の注番号で確認するようにしましょう。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前の改定から変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、在宅医療DX情報活用加算そのものの名称・点数の変更は確認されていません(確認日: 2026年8月)。令和6年度改定で新設された枠組みが、令和8年度も引き続き規定されている形です。
みらい(新人医療事務)
似たような名前の加算で、名前が変わったものもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、混同しないための補足ですが、外来の初診料・再診料の注に規定されている医療DX関連の加算は、前回改定(令和6年度)時点では「医療DX推進体制整備加算」という名称でしたが、その後「電子的診療情報連携体制整備加算」という名称に変わっています。ただしこれは外来向けの別の加算で、この記事で扱っている在宅医療DX情報活用加算とは条文上の位置づけが異なります。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、自院がこの加算の候補になるか、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認するとわかりやすいです。
自院で確認する順番
- 訪問診療を行っている保険医療機関かどうかを確認する
- オンライン資格確認・電子処方箋・電子カルテ情報共有サービス等の体制が、施設基準の7項目を満たしているかを確認する
- 「情報を取得できる」だけでなく「実際に診療計画の作成に活用できる」体制になっているかを運用面で確認する
- 地方厚生局長等への届出が済んでいるか、どちらの区分(1または2)で届け出ているかを確認する
- 初回訪問診療での算定を予定している場合は、事前に診療情報等を取得・活用できているかを確認する
- 同じ月に他の医療DX関連加算(電子的診療情報連携体制整備加算等)を算定していないかを確認する

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れって、どんなパターンがありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか代表的なものを挙げます。
よくある取り漏れ
- 施設基準の7項目のうち、掲示(見やすい場所への掲示・原則ウェブサイト掲載)だけが漏れているケース
- オンライン資格確認等システムで情報を「取得」できているが、診療計画の作成に実際に「活用」する運用まで整っていないケース
- 施設基準は満たしているのに、地方厚生局長等への届出が未了のまま候補から外れているケース
- 「在宅データ提出加算」や「在宅医療情報連携加算」と混同して、別の加算の要件で判断してしまうケース
みらい(新人医療事務)
どれも「体制はあるのに手続きや運用が追いついていない」パターンですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。施設基準・届出・実際の運用の3つがそろって、はじめて算定候補になります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。