みらい(新人医療事務)
「地域包括ケア入院医療管理料」ってうちの病院でも聞くんですけど、「地域包括ケア病棟入院料」とは違う加算なんですか?似た名前で混乱しています。
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。どちらも同じ区分A308-3(地域包括ケア病棟入院料)の中に定められていて、目的は共通です。ただし届出の単位が違います。「病棟入院料」は病棟単位、「入院医療管理料」は病室単位の届出になります。中小規模の病院で、病棟の一部の病室だけをこの体制で運用したい場合に選ばれる区分です。
みらい(新人医療事務)
病室単位でも算定できるんですね!うちは一般病棟の中に数床だけ地域包括ケア用の病室を作りたいという話が出ています。
あおい(元・医療事務)
そのケースはまさに医療管理料が対象になり得ます。ただし施設基準を満たして地方厚生局長等へ届け出た病室であることが前提で、届出済みであれば算定候補になります。まずは制度の全体像から確認していきましょう。
地域包括ケア入院医療管理料とは
みらい(新人医療事務)
そもそも、この管理料はどんな役割の患者さんを対象にしているんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知では、この区分(地域包括ケア病棟入院料・地域包括ケア入院医療管理料をあわせて「地域包括ケア病棟入院料等」と呼びます)は「急性期治療を経過した患者及び在宅において療養を行っている患者等の受入れ並びに患者の在宅復帰支援等を行う機能を有し、地域包括ケアシステムを支える役割を担うもの」と説明されています。急性期病棟からの受け皿と、在宅からの緊急時の受け皿、両方の役割を持つ点数区分ということです。
みらい(新人医療事務)
急性期の「その後」と、在宅の「もしも」の両方を支える病室、というイメージですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。だからこそ、対象患者や算定できる日数、施設基準が細かく決められています。次は対象になる医療機関と患者を見ていきましょう。
対象になる医療機関・患者
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算は「対象: 病院・入院。届出: 必要。施設基準: あり」と整理されています。診療所ではなく病院が対象で、外来では算定できません。
みらい(新人医療事務)
病院の入院だけなんですね。届出は病室ごとに必要なんでしたっけ?
あおい(元・医療事務)
はい。留意事項通知では「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た病室を有する保険医療機関において、当該届出に係る病室に入院している患者について」算定するとされています。届出済みの病室に入院している患者が対象で、同じ病院の別の一般病棟に入院している患者には算定できません。
みらい(新人医療事務)
病室が決まっているんですね。じゃあ、その病室にどんな患者さんが入院すればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
急性期治療を経過して状態が安定してきた患者、あるいは在宅療養中に体調を崩して一時的に入院が必要になった患者などが想定されています。実際にどの患者が対象になるかは、届出内容や個々の入院経緯によって変わるため、自院のケースは施設基準通知と照らして確認が必要です。
点数の目安(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
気になる点数を教えてください!
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表(別表第一)では、区分1〜4のそれぞれについて「40日以内」と「41日以上」で点数が分かれています。1日につきの点数で、60日を限度に算定します。
| 区分 | 40日以内(1日につき) | 41日以上(1日につき) |
|---|---|---|
| 地域包括ケア入院医療管理料1 | 2,955点 | 2,807点 |
| 地域包括ケア入院医療管理料2 | 2,766点 | 2,627点 |
| 地域包括ケア入院医療管理料3 | 2,397点 | 2,276点 |
| 地域包括ケア入院医療管理料4 | 2,187点 | 2,077点 |

みらい(新人医療事務)
区分1が一番高いんですね。区分によって何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
区分ごとに施設基準の水準が異なります。看護配置や在宅復帰実績など、より手厚い体制を届け出ている区分ほど点数が高く設定されている、という構造です。具体的にどの区分の基準を満たしているかは、届出内容を確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
生活療養を受ける場合は点数が変わるとも聞きました。
あおい(元・医療事務)
そうですね。療養病床にあたる病室で生活療養を受ける場合は、上記の点数からわずかに減額された点数になります。また、療養病床である場合は所定点数の100分の95に相当する点数を算定する、という規定もあります。細かい端数の扱いは告示の原文で確認するのが確実です。
みらい(新人医療事務)
特定の地域では別の点数になるという話もありましたよね?
あおい(元・医療事務)
はい。「医療提供体制の確保の状況に鑑み別に厚生労働大臣が定める地域」(いわゆる特定地域)に所在し、施設基準を満たして届け出た病棟・病室については、届出の有無にかかわらず、次のような点数が定められています。
| 区分(特定地域) | 40日以内 | 41日以上 |
|---|---|---|
| 医療管理料1(特定地域) | 2,577点 | 2,448点 |
| 医療管理料2(特定地域) | 2,388点 | 2,269点 |
| 医療管理料3(特定地域) | 2,093点 | 1,988点 |
| 医療管理料4(特定地域) | 1,882点 | 1,788点 |
みらい(新人医療事務)
特定地域だと基本の区分より点数が低めになるんですね。うちが特定地域に該当するかどうかも、確認が必要ですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。特定地域の指定は厚生労働大臣が地域単位で定めるものなので、自院の所在地が対象かどうかは施設基準の告示・通知で確認してください。
施設基準・届出のポイント
みらい(新人医療事務)
施設基準の中身についても教えてください。
あおい(元・医療事務)
施設基準の具体的な数値要件(看護配置の比率や在宅復帰率など)は、基本診療料の施設基準等の告示・通知に定められています。当サイトが収録している一次資料の範囲では、算定要件として次のような運用面のルールが確認できます。
みらい(新人医療事務)
運用面というと、届出以外にやることがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
たとえば、対象の病室に入院してから7日以内に、医師・看護師・在宅復帰支援を担当する者などが共同で診療計画(退院に向けた指導・計画を含む)を作成し、所定の様式を参考に病状・治療計画・検査内容・推定入院期間などを文書で患者に説明・交付し、写しを診療録に添付することが求められています。同一医療機関内の他病室から移動した場合は、在宅復帰支援に係る文書のみの交付でよいとされています。
みらい(新人医療事務)
診療計画は必須なんですね。ほかにもありますか?
あおい(元・医療事務)
当該病棟に専従の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士がADLの維持・向上等を目的とした評価・指導を行うこと、患者が退室した場合は退室先を診療録に記載することなども留意事項通知に定められています。届出だけでなく、日々の運用体制が求められている点に注意が必要です。
施設基準の充足はAIが判定できません
施設基準(人員配置・在宅復帰率・研修要件など)を実際に満たしているかどうかの判定は、届出内容・勤務実態・記録の整備状況によって医療機関ごとに異なります。当サイトの整理はあくまで一次資料の内容紹介であり、充足の可否は自院の届出書類・施設基準通知の該当箇所で確認が必要です。
算定できる期間・回数・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
60日が上限というお話がありましたが、それを超えたらどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
60日を超えて入院した場合、その後は入院医療管理料としては算定できず、区分番号A100の一般病棟入院基本料の注2に規定する特別入院基本料、または区分番号A101の療養病棟入院料の入院料27の例により算定することになります。また、入院した患者が地域包括ケア病棟入院料等の算定要件に該当しない場合も、同様に特別入院基本料や療養病棟入院料27の例で算定するとされています。
みらい(新人医療事務)
期間管理も条件管理も両方必要なんですね。加算もいろいろあると聞きました。
あおい(元・医療事務)
はい。届出内容に応じて、看護職員配置加算(150点/日)、看護補助者配置加算(160点/日)、看護補助・患者ケア体制充実加算1〜3(それぞれ190点・175点・165点/日)、看護職員夜間配置加算(70点/日)、そしてリハビリテーション・栄養・口腔連携加算(計画作成日から14日を限度に30点)などが定められています。急性期患者支援病床初期加算・在宅患者支援病床初期加算は、転院・転棟・入院した日から14日を限度に、患者の入院前の状況(急性期病棟からの転院か、在宅からの緊急入院かなど)に応じて点数が変わります。
みらい(新人医療事務)
加算だけでもかなり細かいんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。さらに、施設基準の一部を満たさなくなった場合は、区分に応じて所定点数の100分の85または100分の90に相当する点数に減額される規定もあります。複数の減額事由に該当する場合は、該当する割合を先に乗じたうえで加算を行い、最後に小数点以下第一位を四捨五入する、という計算順序が留意事項通知に定められています。
DPC対象病棟からの転棟・転室に注意
診断群分類点数表(DPC)に従って診療報酬を算定していた患者が、同一医療機関内で地域包括ケア病棟入院料を算定する病棟に転棟した場合は入院日Ⅱまで、地域包括ケア入院医療管理料を算定する病室に転室した場合は入院日Ⅲまでの間、DPCの点数表に従って算定するとされています。転棟・転室のタイミングによって算定方法が変わるため、レセプト担当者は個別に確認する必要があります。

令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している令和8年度の一次資料の範囲で確認した限り、地域包括ケア入院医療管理料の点数区分・算定要件について、前回改定(令和6年度)からの明確な変更点は確認されていません(2026年8月時点の確認)。ただし、これは「変更なしと断定する」ものではなく、当サイトが参照できた資料の範囲での確認結果です。
みらい(新人医療事務)
「変更なし」と言い切らないんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。点数据え置きに見えても、施設基準の細部や人員配置の算入方法だけが改定で見直されているケースもあります。過去の改定でも、点数は変わらないまま施設基準の運用要件だけが変更された例があるため、正確な差分は届出のたびに最新の告示・通知・疑義解釈で確認することをおすすめします。
自院で確認する順番
自院で確認する順番
- まず、対象にしたいのが「病棟単位」か「病室単位」かを整理する(病室単位であれば地域包括ケア入院医療管理料の対象候補)
- 施設基準(人員配置・在宅復帰率・届出区分1〜4のいずれか)を満たしているか、施設基準通知と照らして確認する
- 満たしていると判断できる場合は、地方厚生局長等への届出状況(届出済みか、これから届出るか)を確認する
- 届出済みの病室に入院している患者について、入院日から60日以内かどうか、算定要件(急性期経過後や在宅療養からの受入れなど)に該当するかを確認する
- 加算(看護職員配置加算・看護補助者配置加算・看護職員夜間配置加算・リハビリテーション栄養口腔連携加算など)の届出漏れがないか確認する
- 判断に迷う点は、加算チェッカーや公式資料、審査支払機関に確認する
よくある取り漏れ
診療計画書の作成・交付期限
入院(入室)から7日以内に多職種共同で診療計画を作成し、文書で患者に説明・交付し、写しを診療録に添付することが求められています。作成が遅れると算定要件を満たさない可能性があるため、入院時のフローに組み込んでおくことが大切です。
60日超過後の算定切り替え忘れ
入院が60日を超えた場合、地域包括ケア入院医療管理料としては算定できず、特別入院基本料または療養病棟入院料27の例に切り替わります。日数管理を怠ると、レセプト上の算定誤りにつながる可能性があります。
加算の届出と実施記録の両方が必要
看護職員夜間配置加算やリハビリテーション・栄養・口腔連携加算などは、届出をしているだけでなく、実際の配置数・カンファレンス記録・計画書の作成といった運用実態の記録が求められます。届出内容と実際の体制にずれがないか、定期的に確認しておくと安心です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。