みらい(新人医療事務)
「在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料」って名前は聞くんですけど、うちのクリニックでも算定候補になるものなんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
在宅で療養している患者さんに、医師の指示のもとで理学療法士・作業療法士・言語聴覚士(PT・OT・ST)を訪問させて、療養上必要な指導を行った場合の管理料ですね。令和8年度の告示・留意事項通知の内容を一緒に確認していきましょう。まず前提として、算定候補になるかどうかは自院の体制と個々の患者さんの状況によって変わるので、この記事では「確認すべきポイント」を整理する形でお伝えします。
みらい(新人医療事務)
「算定できます」ってすぐには言えないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。届出の有無や患者さんの状態、指導内容の記録など、確認すべき項目が複数あります。断定はできませんが、順番に見ていけば自院が算定候補かどうかの見通しは立てられますよ。
在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料とは
みらい(新人医療事務)
まず、そもそもどんな加算なのか教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の留意事項通知では、「在宅での療養を行っている患者であって、疾病、傷病のために通院してリハビリテーションを受けることが困難な者又はその家族等患者の看護に当たる者に対して、医師の診療に基づき、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士を訪問させて、患者の病状及び療養環境等を踏まえ療養上必要な指導を20分以上行った場合」に算定するもの、と定義されています。この20分以上の指導1回分を「1単位」と数えます。
みらい(新人医療事務)
訪問診療とセットになっているイメージですか?
あおい(元・医療事務)
はい。告示の注1には「診療に基づき計画的な医学管理を継続して行い、かつ、当該診療を行った保険医療機関の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士を訪問させて」という要件があります。つまり、訪問診療を行っている保険医療機関が、自院のPT・OT・STを患者宅に派遣して指導を行う、という組み立てです。
点数区分(令和8年度)
| 区分 | 対象 | 点数(1単位) |
|---|---|---|
| 「1」 | 同一建物居住者以外の場合 | 300点 |
| 「2」 | 同一建物居住者の場合 | 255点 |
あおい(元・医療事務)
告示では「1 同一建物居住者以外の場合 300点」「2 同一建物居住者の場合 255点」と規定されています。同一建物居住者とは、当該保険医療機関が同一日に訪問リハビリテーション指導管理を行う、同じ建物に住む他の患者さんがいる場合のことです。

対象患者と算定の考え方
みらい(新人医療事務)
どんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知の(1)にある通り「在宅での療養を行っている患者であって、疾病、傷病のために通院してリハビリテーションを受けることが困難な者又はその家族等患者の看護に当たる者」が対象です。単に在宅療養中というだけでなく、「通院が困難」という状態であることが前提になります。
みらい(新人医療事務)
家族への指導も含まれるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。患者さん本人だけでなく、看護にあたるご家族への指導も対象に含まれています。ただし、区分「1」と「2」のどちらで算定するかは、留意事項通知の(2)にあるとおり「在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料の『1』は、在宅での療養を行っている患者(同一建物居住者であるものを除く。)に対して、在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料の『2』は、同一建物居住者であるものに対して、必要な指導を行わせた場合に算定する」と区別されています。
対象になるかは施設と患者ごとに要確認
「在宅療養=すべて対象」ではありません。通院困難という状態の確認、訪問診療を実施している保険医療機関であること、自院のPT・OT・STが訪問すること、この3点を満たすかどうかで算定候補かどうかが変わります。対象外の可能性がある場合は、断定せずに自院の届出内容と患者ごとの状況で確認してください。
算定回数の上限(週6単位が基本)
みらい(新人医療事務)
何回でも指導すればいいわけじゃないんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい、回数には上限があります。留意事項通知の(3)には「在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料の算定は週6単位を限度(末期の悪性腫瘍の患者の場合を除く。)とする。ただし、退院の日から起算して3月以内の患者に対し、入院先の医療機関の医師の指示に基づき継続してリハビリテーションを行う場合は、週12単位まで算定できる。」と明記されています。
算定回数の目安
| 状況 | 算定単位数の上限 |
|---|---|
| 通常のケース | 週6単位 |
| 退院日から3月以内・入院先医師の指示で継続 | 週12単位 |
| 末期の悪性腫瘍の患者 | 週6単位の上限規定の対象外(除く扱い) |
みらい(新人医療事務)
急に体調が悪くなったときはどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の2項では、急性増悪等により一時的に頻回の訪問リハビリテーション指導管理が必要と認められた場合の特例があります。「注1の規定にかかわらず、1と2を合わせて、6月に1回に限り、当該診療の日から14日以内に行った訪問リハビリテーション指導管理については、14日を限度として1日4単位に限り、算定する」とされています。留意事項通知の(10)にも同様に「保険医療機関が診療に基づき、1月にバーセル指数又はFIMが5点以上悪化し、一時的に頻回の訪問リハビリテーションが必要であると認められた患者については、6月に1回に限り、当該診療を行った日から14日以内の期間において、14日を限度として1日に4単位まで算定できる」と規定されています。この場合、患者さんが要介護被保険者等であれば、頻回訪問が必要と認めた理由と必要な期間を診療録に記載することも求められています。
よくある取り漏れ①: 頻回訪問の要件確認
急性増悪時の1日4単位までの特例は「6月に1回限り」「診療日から14日以内」という条件付きです。バーセル指数またはFIMの悪化幅(5点以上)の記録がないまま算定候補として扱ってしまうと、要件を満たしていない可能性があります。診療録への記載状況を必ず確認してください。
算定タイミングと診療情報提供の例外
みらい(新人医療事務)
いつ指導すれば算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知の(4)には「在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料は、訪問診療を実施する保険医療機関において医師の診療のあった日から1月以内に行われた場合に算定する」とあります。原則として、自院の医師が診療した日から1か月以内に行う指導が対象です。
みらい(新人医療事務)
「原則として」ということは、例外もあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。同じ(4)の後段に、診療情報提供の仕組みを使った例外が書かれています。「当該患者(患者の病状に特に変化がないものに限る。)に関し、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の『1』又は在宅患者訪問診療料(Ⅱ)の注1の『イ』を算定すべき訪問診療を行っている保険医療機関が、患者の同意を得て、診療の日から2週間以内に、当該患者に対して継続して在宅患者訪問リハビリテーション指導管理を行っている別の保険医療機関に対して、診療状況を示す文書を添えて、当該患者に係る療養上必要な情報を提供した場合には、当該診療情報の提供(『B009』診療情報提供料(Ⅰ)の場合に限る。)を行った保険医療機関において、当該診療情報提供料の基礎となる診療があった日から1月以内に行われた場合に算定する」とされています。つまり、訪問診療を行う医療機関と訪問リハビリテーション指導管理を行う医療機関が別であるケースを想定した規定です。この関係は 在宅患者訪問診療料(Ⅰ) の算定状況とあわせて確認する必要があります。
指導内容と記録の要件
みらい(新人医療事務)
実際にどんな指導をすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知の(5)に、指導内容が具体的に列挙されています。「指導の内容は、患者の運動機能及び日常生活動作能力の維持及び向上を目的として行う体位変換、起座又は離床訓練、起立訓練、食事訓練、排泄訓練、生活適応訓練、基本的対人関係訓練、言語機能又は聴覚機能等に関する指導とする」とされています。
みらい(新人医療事務)
記録はどこまで必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
医師側とPT・OT・ST側、両方に記録義務があります。(6)には「医師は、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士に対して行った指示内容の要点を診療録に記載する」、(7)には「理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士は、医師の指示に基づき行った指導の内容の要点及び指導に要した時間を記録すること」と定められています。指示の要点・指導内容の要点・指導に要した時間、この3つの記録が揃っているかを確認してください。
よくある取り漏れ②: 記録の欠落
指導そのものは行っていても、医師の指示要点の診療録記載や、PT・OT・STによる指導内容・時間の記録が欠けているケースが確認の際によく見つかるポイントです。算定候補であっても、記録が整っていなければ確認の段階で指摘を受ける可能性があります。
併算定・注意点
みらい(新人医療事務)
他に気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知の(8)に「他の保険医療機関において在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料を算定している患者については、在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料を算定できない」とあります。同じ患者さんについて、他院がすでにこの管理料を算定していないかの確認が必要です。また(9)には「『注3』に規定する交通費は実費とする」とあり、告示の3項でも「在宅患者訪問リハビリテーション指導管理に要した交通費は、患家の負担とする」とされています。交通費は点数に含まれず、実費として患家の負担になる点も確認しておきたいところです。
他院算定との重複に注意
在宅療養中の患者さんは、訪問看護ステーションや他の医療機関からもリハビリテーション関連のサービスを受けている場合があります。他院がすでにこの管理料を算定している患者については算定できない可能性があるため、算定候補として扱う前に重複がないかの確認が必要です。在宅患者訪問看護・指導料 など、関連する在宅系の管理料とあわせて確認しておくと整理しやすくなります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した令和8年度の告示・留意事項通知(C006 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料)の範囲では、点数区分(同一建物居住者以外300点・同一建物居住者255点)、週6単位の上限、退院後3月以内の週12単位、急性増悪時の特例(6月に1回・14日以内・1日4単位)といった主要な要件について、変更点は確認されていません。ただし、これは当サイトが収録している一次資料の範囲での確認結果であり、細かな運用上の取扱い変更がないことまでを保証するものではありません。詳細な改定経緯を確認したい場合は、厚生労働省の個別改定項目の資料もあわせてご覧ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
ここまで聞いた内容を、自院で確認する順番にまとめてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。次の順番で確認していくと整理しやすいですよ。
自院で確認する順番
- 対象患者かどうかを確認 — 在宅療養中で、通院してリハビリテーションを受けることが困難な患者、またはその家族等の看護者であるか
- 訪問診療との関係を確認 — 自院が訪問診療を実施する保険医療機関であり、計画的な医学管理を継続して行っているか(別院の診療情報提供を受けているケースは要件を個別に確認)
- 区分「1」「2」の判定 — 対象患者が同一建物居住者かどうかで、点数区分(300点/255点)を確認
- 算定単位数の上限を確認 — 週6単位(退院後3月以内は週12単位)を超えていないか、急性増悪時の特例に該当する場合は要件を満たしているか
- 記録の有無を確認 — 医師の指示要点、PT・OT・STの指導内容・時間の記録が診療録・記録に残っているか
- 重複算定の有無を確認 — 同じ患者について他の保険医療機関がすでに算定していないか
- 届出状況を確認 — 自院の届出内容が現状の運用と一致しているか、公式資料と照らし合わせて確認

みらい(新人医療事務)
こうやって順番に見ていくと、確認すべきことが明確になりますね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。1つずつ潰していけば、自院が算定候補かどうか、あるいは要確認の項目がどこにあるかが見えてきます。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や訪問診療の体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は以下の厚労省公式資料を根拠としています。詳細な算定要件は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示)C006 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)C006 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料