みらい(新人医療事務)
「外来化学療法加算」って名前だけ見ると、がんの化学療法をやっている患者さんならみんな対象なのかと思ってしまうんですが、うちのクリニックでも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
そこ、実はよくある誤解なんです。名前に「化学療法」とありますが、外来化学療法加算は悪性腫瘍(がん)を主病とする患者さんには使いません。悪性腫瘍の患者さんに対する外来化学療法は、別の項目である外来腫瘍化学療法診療料(区分番号B001-2-12)の対象になります。外来化学療法加算は、注射の部の通則6に定められた加算で、令和8年度時点の公式資料でも対象は限定されています。
みらい(新人医療事務)
え、じゃあ外来化学療法加算は誰が対象なんですか?
あおい(元・医療事務)
関節リウマチなど、特定の疾患に対して特定の生物学的製剤を点滴などで投与する場合に限られます。まずはこの加算がどんな加算なのか、対象と点数から一緒に確認していきましょう。
外来化学療法加算とは
みらい(新人医療事務)
そもそも外来化学療法加算って、どういう位置づけの加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表では、第6部「注射」の通則6に定められている加算です。当サイトが収録している一次資料(診療報酬の算定方法の一部を改正する件・令和8年厚生労働省告示第69号)の該当箇所には、「入院中の患者以外の患者(悪性腫瘍を主病とする患者を除く。)に対して、治療の開始に当たり注射の必要性、危険性等について文書により説明を行った上で化学療法を行った場合」に、区分に応じた点数を加算すると書かれています。
みらい(新人医療事務)
「悪性腫瘍を主病とする患者を除く」って、はっきり書いてあるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、ここが一番の分かれ道です。悪性腫瘍(がん)の患者さんへの外来化学療法は、この加算ではなく外来腫瘍化学療法診療料の枠組みで算定されるのが原則、という整理が公式資料からも読み取れます。名前が似ているぶん、レセプト担当の方でも混同しやすいポイントなので、対象患者の確認は慎重に行ってください。
対象となる患者・製剤
みらい(新人医療事務)
具体的にどんな患者さんが対象になるんですか?「関節リウマチ等」って、うちの資料には書いてあったんですけど。
あおい(元・医療事務)
留意事項通知の該当箇所には、対象となる疾患と製剤の組み合わせが列挙されています。当サイトが収録している一次資料の範囲では、次の投与のいずれかを行った場合に限り算定するとされています。
外来化学療法加算の対象となる疾患・製剤(留意事項通知より)
インフリキシマブ製剤: 関節リウマチ、クローン病、ベーチェット病、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬又は乾癬性紅皮症の患者に投与した場合 トシリズマブ製剤: 関節リウマチ、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎、全身型若年性特発性関節炎、キャッスルマン病又は成人スチル病の患者に投与した場合 アバタセプト製剤: 関節リウマチ又は多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎の患者に投与した場合 ナタリズマブ製剤: 多発性硬化症の患者に投与した場合 ベリムマブ製剤: 全身性エリテマトーデスの患者に投与した場合 イネビリズマブ製剤: 視神経脊髄炎スペクトラム障害の患者に投与した場合
みらい(新人医療事務)
けっこう細かく製剤ごとに決まっているんですね。うちで扱っている薬がここに載っているか、まず確認しないといけないですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。一次資料に列挙されていない疾患・製剤の組み合わせについては、当サイトが収録している範囲では確認できていません。実施している治療内容がこのリストに当てはまるかどうかは、必ず告示・通知の原文でも照合してください。
点数と区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどうなっているんですか?
あおい(元・医療事務)
外来化学療法加算1と2の2区分があり、それぞれ15歳未満と15歳以上で点数が分かれています。医科診療行為マスター(令和8年度)と告示本文の両方で確認できる点数がこちらです。
| 区分 | 対象年齢 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 外来化学療法加算1 | 15歳未満 | 670点 |
| 外来化学療法加算1 | 15歳以上 | 450点 |
| 外来化学療法加算2 | 15歳未満 | 640点 |
| 外来化学療法加算2 | 15歳以上 | 370点 |

みらい(新人医療事務)
加算1と加算2って、何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
加算1のほうが体制の要件が手厚く、その分点数も高く設定されています。次の施設基準のところで詳しく見ていきましょう。なお、この加算は1日につき、前提となる注射の点数に上乗せする形で算定するとされています。回数を積み増せる加算ではない点にも注意してください。
施設基準
みらい(新人医療事務)
施設基準はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、外来化学療法加算1の施設基準として、次の内容が確認できます。
外来化学療法加算1に関する施設基準(特掲診療料の施設基準等・告示より)
専用の治療室: 外来化学療法を実施するための専用のベッド(点滴注射による化学療法を実施するに適したリクライニングシート等を含む)を有する治療室を保有していること。外来化学療法を実施している間、当該治療室を外来化学療法その他の点滴注射(輸血を含む)以外の目的で使用することは認められない 医師: 化学療法の経験を5年以上有する専任の常勤医師が勤務していること 看護師: 化学療法の経験を5年以上有する専任の看護師が、化学療法を実施している時間帯において常時当該治療室に勤務していること 薬剤師: 化学療法に係る調剤の経験を5年以上有する専任の常勤薬剤師が勤務していること 緊急時体制: 急変時等の緊急時に当該患者が入院できる体制が確保されていること、又は他の保険医療機関との連携により緊急時に入院できる体制が整備されていること レジメン審査委員会: 実施される化学療法のレジメン(治療内容)の妥当性を評価し承認する委員会を、少なくとも年1回開催していること
みらい(新人医療事務)
常勤の医師・看護師・薬剤師が揃っていないといけないんですね。かなりハードルが高そうです。
あおい(元・医療事務)
はい、加算1はこのように体制がしっかり求められます。外来化学療法加算2については、当サイトが収録している一次資料の範囲では加算1ほど詳細な基準を確認できていないため、この記事では加算1の基準のみをご案内します。加算2の基準の詳細は、地方厚生局に提出する届出様式や特掲診療料の施設基準等の告示原文で必ず確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
レジメンの審査委員会って、うちみたいな診療所でも必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料には「実施される化学療法のレジメンの妥当性を評価し、承認する委員会」を開催していることと書かれており、他の保険医療機関と連携して共同開催する扱いも認められているようです。単独での開催が難しい場合は、この連携開催の枠組みが使えるかどうかも含めて確認するとよいでしょう。
届出の要否
みらい(新人医療事務)
この加算、届出は必要なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
告示本文には「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において」加算すると明記されています。つまり、施設基準を満たした上で地方厚生局への届出が済んでいることが前提になる加算候補です。届出をしていない状態では、たとえ体制が整っていても算定候補にはなりません。
みらい(新人医療事務)
届出さえ出せば、もう安心ということですか?
あおい(元・医療事務)
そこは断定できません。届出後も体制の維持や、実施した治療がレジメン審査委員会で承認された内容と一致しているかなど、日々の運用面での確認が欠かせません。「届出済みであれば算定候補」という位置づけで捉えて、実際の運用が要件どおりかを都度チェックする姿勢が大切です。
算定タイミング・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するときに気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか注意点があります。まとめると次のとおりです。
併算定・算定条件に関する注意
承認・登録されたレジメンを用いて治療を行った場合のみ算定でき、それ以外の場合は外来化学療法加算1・2のいずれも算定できないとされています。また、同一月に区分番号C101「在宅自己注射指導管理料」は算定できないと明記されています。区分番号C108「在宅麻薬等注射指導管理料」やC108-2「在宅腫瘍化学療法注射指導管理料」を算定する月についても、外来化学療法加算は算定できないとする記載が留意事項通知にあります。これらはいずれも当サイトが収録している一次資料の範囲での整理であり、実際の算定可否は個々のレセプトの状況によって変わり得るため、最終的には自院での確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
在宅自己注射をしている患者さんと、外来化学療法加算の対象になる患者さんが重なることもありそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。同じ生物学的製剤を使っていても、外来で注射する月と自己注射に切り替える月とで算定できる項目が変わってくる可能性があります。月をまたぐ治療の切り替えがある患者さんについては、レセプト担当と処方担当の間で情報共有をしておくと、算定漏れや重複請求のリスクを減らせます。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、この記事の執筆時点(2026年8月・令和8年度)で当サイトが収録・確認できている一次資料の範囲では、外来化学療法加算そのものの点数・対象疾患・施設基準について、前回改定(令和6年度)からの変更点を裏付ける公式資料の確認ができていません。断定はできませんので、変更の有無については厚生労働省の個別改定項目の公式資料でも改めて確認してください。
みらい(新人医療事務)
「変わっていない」と決めつけないほうがいいんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。当サイトの確認範囲での整理に過ぎないので、変更の有無を最終的に判断する際は、必ず厚生労働省の告示・通知の原文をご参照ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
うちのクリニックで算定候補になるか、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
おすすめの確認順序を整理しました。
自院で確認する順番
- 対象患者が悪性腫瘍を主病としていないか、関節リウマチ等の対象疾患に当てはまるかを確認する
- 投与している製剤が、告示・通知で列挙された対象製剤(インフリキシマブ、トシリズマブ等)に該当するかを確認する
- 承認済みレジメンに基づく治療かどうかを、院内のレジメン審査委員会の記録で確認する
- 専用治療室・専任の医師/看護師/薬剤師の配置など、施設基準を満たしているかを確認する
- 地方厚生局への届出が済んでいるかを確認する
- 同一月に在宅自己注射指導管理料等、併算定できない項目を算定していないかを確認する

みらい(新人医療事務)
こうやって順番に並べてもらえると、抜け漏れが見つけやすいですね。
あおい(元・医療事務)
はい。特に1番目の「悪性腫瘍を主病とする患者ではないか」を最初に確認する習慣をつけておくと、外来腫瘍化学療法診療料との取り違えを防ぎやすくなります。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れって、どんなパターンがあるんでしょう?
取り漏れ・混同が起きやすいポイント
加算の対象疾患を確認せずに算定してしまう: 対象は告示・通知で列挙された疾患・製剤の組み合わせに限られます。関節リウマチという病名だけを見て、使用製剤の確認を省略しないようにしましょう 悪性腫瘍の患者に外来化学療法加算を使ってしまう: 悪性腫瘍を主病とする患者は対象外とされています。外来腫瘍化学療法診療料との違いを院内で周知しておくことが大切です 在宅自己注射指導管理料との重複算定: 同一月にC101在宅自己注射指導管理料は算定できないとされています。治療の切り替え月は特に注意が必要です 加算2の施設基準を加算1と同じだと思い込む: 加算1と加算2で求められる体制が異なる可能性があります。加算2を算定する場合も、告示原文で個別に基準を確認しましょう
公式資料の根拠
あおい(元・医療事務)
この記事は、「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(令和8年厚生労働省告示第69号)の医科点数表第6部「注射」通則6・別表第一該当箇所、特掲診療料の施設基準等(外来化学療法加算1に関する施設基準)、医科診療行為マスター(令和8年度)という公式資料をもとに整理しています。いずれも当サイトが収録している一次資料の範囲での整理です。実際の算定にあたっては、厚生労働省の告示・通知の原文を必ずご確認ください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する 外来腫瘍化学療法診療料 や 在宅自己注射指導管理料、在宅腫瘍化学療法注射指導管理料 の記事もあわせてご確認いただくと、対象患者の切り分けがしやすくなります。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。