時間外特例医療機関加算とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「時間外特例医療機関加算」ってコードが何種類もあって混乱するんですけど、そもそもどういう加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)現在の診療報酬でいうと、これは「時間外加算の特例」と呼ばれる仕組みです。夜間の救急医療を専門に担っている保険医療機関が、表示診療時間外の一定の夜間帯に初診・再診などを行った場合に、通常の時間外加算とは別の点数で加算できるものです。
みらい(新人医療事務)
「通常の時間外加算とは別」ということは、点数も違うんですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。通常の時間外加算より高い点数が設定されているのが特徴です。厚生労働省の告示には「専ら夜間における救急医療の確保のために設けられている保険医療機関にあっては、夜間であって別に厚生労働大臣が定める時間において初診を行った場合は、230点」と明記されています。通常の時間外加算(85点)よりも高い点数です。
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関でも使える加算ではなさそうですね。
あおい(元・医療事務)
はい、その通りです。この加算を使えるのは「時間外特例医療機関」に該当する保険医療機関だけです。この記事では、対象になる医療機関の条件、点数の一覧、他の加算との関係、そして自院で確認すべき手順を順番に整理していきます。
点数・算定コードの確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的に何点になるのか、コードも含めてまとめて見たいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)時点で、当サイトが収録している一次資料の範囲では、時間外特例医療機関加算に該当するコードは大きく分けて18区分あります。場面ごとにまとめるとこちらです。
| 算定場面 | 点数 | 対象コード(医科診療行為マスター) |
|---|---|---|
| 初診料 | 230点 | 111000870 |
| 再診料(入院外) | 180点 | 112001410 |
| 外来診療料(入院外) | 180点 | 112006770 |
| 再診料(入院) | 180点 | 112018390 |
| 外来診療料(入院) | 180点 | 112019390 |
| 再診料(地域包括診療料) | 180点 | 113016870 |
| 初診料(小児かかりつけ診療料) | 230点 | 113026970 |
| 再診料(小児かかりつけ診療料) | 180点 | 113027370 |
| 外来診療料(小児かかりつけ診療料) | 180点 | 113027770 |
| 初診料(外来腫瘍化学療法診療料) | 230点 | 113038970 |
| 再診料(外来腫瘍化学療法診療料) | 180点 | 113039970 |
| 外来診療料(外来腫瘍化学療法診療料) | 180点 | 113040970 |
| 処置(時間外特例医療機関加算2) | 所定点数の100分の40(40%) | 140000490 |
| 処置(時間外特例医療機関加算1・1000点以上) | 所定点数の100分の80(80%) | 140055590 |
| 手術(時間外特例医療機関加算2) | 所定点数の100分の40(40%) | 150000790 |
| 手術(時間外特例医療機関加算1) | 所定点数の100分の80(80%) | 150371590 |
| 麻酔 | 所定点数の100分の40(40%) | 150232090 |
| 内視鏡検査 | 所定点数の100分の40(40%) | 160204270 |

みらい(新人医療事務)
初診と再診でこんなに点数差があるんですね。230点と180点、あと40%や80%のグループもある…。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。初診・再診・外来診療料は基本診療料側の加算で、処置・手術・麻酔・内視鏡検査は個別の診療行為ごとに乗る加算という違いがあります。告示では、初診の場合「230点(6歳未満の乳幼児の場合にあっては、345点)」、再診の場合「180点(6歳未満の乳幼児の場合にあっては、250点)」と、乳幼児加算が別枠で規定されています。
みらい(新人医療事務)
処置・手術・麻酔・内視鏡検査の「所定点数の100分の40」「100分の80」というのは、初診・再診の230点や180点とは仕組みが違うんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、そこは重要な違いです。初診・再診・外来診療料の時間外特例医療機関加算は230点・180点という固定点数ですが、処置・手術・麻酔・内視鏡検査の時間外特例医療機関加算は当該処置等の所定点数に対する率(40%または80%)で計算されます。たとえば所定点数1,000点の処置であれば、40%なら400点、80%なら800点が加算される、という仕組みです。処置は通則5、手術は通則12、麻酔は第11部通則3、内視鏡検査は通則5にそれぞれ規定があり、いずれも「所定点数の100分の40に相当する点数」「100分の80に相当する点数」という表現になっています。固定点数だと誤解してレセプト入力すると計算を誤るので注意してください。
みらい(新人医療事務)
乳幼児だとさらに点数が上がるんですね。うちは小児科もあるので確認しておきたいです。
あおい(元・医療事務)
はい、対象患者が6歳未満かどうかでも点数が変わりますので、レセプト作成時は年齢の確認も忘れないようにしてください。
どんな医療機関が対象になるのか(時間外特例医療機関の定義)
みらい(新人医療事務)
そもそも「時間外特例医療機関」って、どういう医療機関のことを指すんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知に定義があります。「客観的に専ら夜間における救急医療の確保のために診療を行っていると認められる」保険医療機関であって、医療法に基づき都道府県が作成する医療計画に、救急医療機関として記載されていることが前提です。
時間外特例医療機関の3つの類型(令和8年度)
留意事項通知では、次のいずれかに該当する保険医療機関とされています。
① 地域医療支援病院: 地域医療支援病院として承認を受けている病院
② 認定救急病院・救急診療所: 救急病院等を定める省令に基づき認定された救急病院又は救急診療所
③ 病院群輪番制関連: 「救急医療対策の整備事業について」に規定された病院群輪番制病院、病院群輪番制に参加している有床診療所又は共同利用型病院
みらい(新人医療事務)
つまり、うちのような一般的な診療所は基本的に対象外ということですか?
あおい(元・医療事務)
一概にそうとは言い切れません。有床診療所であっても、病院群輪番制に参加していれば候補に含まれます。ポイントは「都道府県の医療計画に救急医療機関として記載されているかどうか」です。この位置づけは診療所か病院かという区分だけでは判断できないため、自院が該当するかどうかは都道府県の医療計画・地域の救急医療体制の担当窓口で確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
なるほど、単純に「うちは診療所だから関係ない」とは言えないんですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。ただし該当するかどうかの最終的な判断は、都道府県の医療計画への記載状況によりますので、自院だけで判断せず確認することが大切です。
他の時間外加算との関係(重複算定の可否)
みらい(新人医療事務)
「時間外加算」や「休日加算」「深夜加算」もよく聞きますけど、時間外特例医療機関加算と一緒に算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、重複しては算定できません。留意事項通知に明確なルールがあります。「時間外特例医療機関において、休日加算又は深夜加算に該当する場合においては、時間外加算の特例を算定せず、それぞれ休日加算、深夜加算を算定する。また、時間外加算の特例を算定する場合には、時間外加算又は夜間・早朝等加算は算定しない」と規定されています。
重複算定に関する注意
- 休日・深夜に該当する場合は、時間外特例医療機関加算ではなく休日加算・深夜加算を算定する
- 時間外特例医療機関加算を算定する月・診療分については、時間外加算・夜間早朝等加算は併算定しない
- どの加算に該当するかは、診療を行った時刻・曜日によって機械的に決まるため、受付時刻の記録が重要
施設基準・届出はどう確認する?
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するのに、施設基準の届出のような手続きは必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
時間外特例医療機関加算そのものは、他の多くの加算のような「別紙様式による個別の施設基準届出」という形ではなく、自院が「時間外特例医療機関」の要件(医療計画上の救急医療機関としての位置づけ)に該当しているかどうかがベースになります。この位置づけの確認・記録は自院だけで完結しない場合があるため、地方厚生局への確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
具体的にはどこに確認すればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
まずは自院が都道府県の医療計画にどう位置づけられているか(地域医療支援病院・救急病院の認定・病院群輪番制の参加有無)を確認し、そのうえで地方厚生局に、時間外特例医療機関加算の算定対象となる医療機関に該当するかどうかを確認するのが確実です。当サイトが収録している一次資料の範囲では、個別の届出様式の詳細までは確認できていませんので、この点は必ず地方厚生局へ直接お問い合わせください。
確認すべき窓口
- 都道府県の医療計画担当部署(救急医療機関としての位置づけの確認)
- 地方厚生局(時間外特例医療機関加算の算定対象医療機関としての確認)
- 地域の消防・救急医療体制の事務局(病院群輪番制への参加状況)
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)から、この加算に変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料(令和8年厚生労働省告示第69号、および令和8年3月5日付の留意事項通知)の範囲では、時間外特例医療機関加算そのものの新設・廃止・点数変更・対象医療機関の定義変更は確認されていません(確認日: 2026年8月)。時間外特例医療機関の3類型(地域医療支援病院・認定救急病院等・病院群輪番制病院等)、および休日加算・深夜加算・夜間早朝等加算との重複不可のルールも、令和8年度時点の資料で同様に規定されています。
あおい(元・医療事務)
ただし、これは当サイトが収集した一次資料の範囲での確認結果です。個別の改定項目や疑義解釈で追加の変更が示されている可能性もありますので、確実な判断は最新の厚労省公式資料でご確認ください。
改定差分の確認状況(令和8年度・時点)
点数: 初診230点・再診180点・外来診療料180点等 → 変更は確認されていません
対象医療機関の定義: 地域医療支援病院・認定救急病院等・病院群輪番制病院等の3類型 → 変更は確認されていません
他加算との重複不可ルール: 休日加算・深夜加算・時間外加算・夜間早朝等加算との重複不可 → 変更は確認されていません
自院での確認手順
みらい(新人医療事務)
じゃあ、うちの医療機関がこの加算の対象になるかどうか、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
こんな順番で確認するとスムーズです。
自院で確認する順番
-
医療計画上の位置づけを確認 — 自院が地域医療支援病院、認定救急病院・救急診療所、または病院群輪番制病院等のいずれかに該当するか、都道府県の医療計画を確認する
-
地方厚生局に算定対象該当性を確認 — 時間外特例医療機関加算の算定対象となる医療機関に該当するかどうかを地方厚生局に問い合わせる
-
対象となる夜間の時間帯を確認 — 「別に厚生労働大臣が定める時間」(概ね午前8時前と午後6時以降から深夜・休日を除いた時間帯)がいつからいつまでか確認する
-
休日・深夜との切り分けルールを確認 — 休日・深夜に該当する診療は、時間外特例医療機関加算ではなく休日加算・深夜加算になることを院内の会計システムに反映する
-
場面ごとの対象コードを確認 — 初診・再診・外来診療料・処置・手術・麻酔・内視鏡検査のうち、自院で発生しうる場面を洗い出す
-
受付時刻の記録体制を確認 — 何時に受付・診療を行ったかの記録がレセプト請求の根拠になるため、記録の運用を見直す

みらい(新人医療事務)
これだけ確認することがあると、自分たちだけで判断するのは大変そうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。特に「医療計画上の位置づけ」は自院の書類だけでは判断しづらい部分なので、確認の優先順位としては最初に持ってくるのがおすすめです。
よくある取り漏れ・注意点
みらい(新人医療事務)
実務でつまずきやすいポイントはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
算定上の注意点
- 対象は「時間外特例医療機関」に限られます。一般の診療所・病院がそのまま算定できるわけではありません
- 休日・深夜の時間帯は対象外です。休日加算・深夜加算が優先され、時間外特例医療機関加算とは併算定できません
- 通常の時間外加算・夜間早朝等加算とも併算定できません。どちらか一方を選ぶ形になります
- 場面(初診・再診・外来診療料・処置・手術・麻酔・内視鏡検査)ごとにコードと点数が異なります。レセプト入力時にコードの取り違えに注意してください
- 6歳未満の乳幼児は点数が異なります。初診230点→345点、再診180点→250点のように加算額が変わります
よくある取り漏れポイント
- 自院が時間外特例医療機関に該当するかどうかを未確認のまま、通常の時間外加算で請求してしまうケース
- 受付時刻の記録が曖昧で、時間外特例の対象時間帯かどうかレセプト作成時に判断できないケース
- 休日・深夜にまたがる診療で、加算の切り替えルールを院内システムに反映できていないケース
- 処置・手術・麻酔・内視鏡検査側の時間外特例医療機関加算(所定点数の40%・80%)の存在自体を見落としているケース、または固定点数と誤解して計算してしまうケース
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。医療計画上の位置づけや診療時間帯を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は以下の厚労省公式資料を根拠としています。詳細な要件は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 令和8年度診療報酬改定について(厚生労働省・改定関連資料の索引ページ。実施上の留意事項通知「保医発0305第6号」を含む) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html