みらい(新人医療事務)
あおいさん、「急性期総合体制加算」って聞いたことはあるんですが、どんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
急性期総合体制加算(区分番号A200)は、病院が「24時間365日、総合的・専門的な急性期医療を提供できる体制」を整えていることを評価する入院基本料等加算です。令和8年度(2026年度)時点では1日あたり最大530点が加算される、入院医療の体制加算の中でも比較的大きな加算のひとつです。
みらい(新人医療事務)
「体制を評価する」というのは、どういう意味ですか?
あおい(元・医療事務)
手術や高度専門医療の実績、医師・看護師の配置、医療従事者の負担軽減への取り組み、地域の医療を支える体制など、複数の要件を満たした病院に対して、「これだけ充実した体制で運営しています」という評価をまとめて点数化している加算です。個別の処置や手術に対する点数とは別に、「病院全体の急性期対応力」を評価するイメージです。
みらい(新人医療事務)
なるほど、体制加算なんですね。令和8年度時点での算定の基本的な条件を教えてください。
あおい(元・医療事務)
大きく3つのポイントがあります。まず「対象は病院のみ」です。診療所は対象外になっています。次に、「急性期病院一般入院基本料または急性期病院精神病棟入院基本料を現に算定している患者」が対象です。そして「地方厚生局長等への届出が必要」で、施設基準を満たしたうえで届け出ることが前提になります。
急性期総合体制加算の点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数は区分があると聞きました。どう違うんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)は加算1〜5の5段階があり、さらに入院してからの日数によって3段階に点数が分かれています。告示(令和8年厚生労働省告示第69号)に定められた点数は以下のとおりです。

| 区分 | 7日以内(1日につき) | 8〜11日(1日につき) | 12〜14日(1日につき) |
|---|---|---|---|
| 加算1 | 530点 | 290点 | 210点 |
| 加算2 | 470点 | 230点 | 150点 |
| 加算3 | 440点 | 200点 | 120点 |
| 加算4 | 360点 | 150点 | 90点 |
| 加算5 | 300点 | 120点 | 60点 |
みらい(新人医療事務)
入院してから日数が経つと点数が下がるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。入院した日から起算して14日が算定の限度です。「入院した日」とは、急性期総合体制加算を算定できる病棟に入院または転棟した日のことです(留意事項通知より)。日数が経つにつれて急性期の集中的なケアから安定期に移行していくことを反映した設計です。なお、加算1が最も施設基準の水準が高く、区分が高いほど求められる体制も高度になります。
みらい(新人医療事務)
区分の違いはどうやって決まるんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の内容によって決まります。手術の件数・種類(心臓手術、脳神経外科手術、消化器外科手術等)の実績や、集中治療室(ICU等)の設置状況、常勤医師の専門性・配置数、医療従事者の負担軽減・処遇改善への取り組みなど、複数の要件の組み合わせで区分が設定されています。どの区分に該当するかは、施設基準告示・通知を自院の実績と照らし合わせて確認する必要があります。
区分の判断に注意
どの区分(加算1〜5)に該当するかの判断は、厚生労働省が定める施設基準に基づきます。自院の実績・体制を一次資料と照らし合わせて、地方厚生局への届出前に必ず確認してください。「おそらくこの区分だろう」という判断は避け、公式資料を根拠にした判定が必要です。
対象医療機関と算定できる場面
みらい(新人医療事務)
うちは病院なんですが、どんな病棟で算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の規定では、「第1節の入院基本料(特別入院基本料等を除く)または第3節の特定入院料のうち、急性期総合体制加算を算定できるものを現に算定している患者」が対象とされています。具体的には、一般病棟入院基本料の中でも「急性期病院一般入院基本料」を算定している病棟が典型的な対象です。精神病棟については「急性期病院精神病棟入院基本料」を算定している病棟が対象です。
みらい(新人医療事務)
ということは、療養病棟や回復期リハ病棟では算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
原則として、算定要件を満たす入院基本料を算定している病棟が対象です。療養病床や回復期リハビリテーション病棟など、急性期総合体制加算の算定要件にない入院料を算定している場合は対象にならないことが考えられます。ただし、具体的な判断は自院の算定している入院基本料・特定入院料の種類を公式資料と照らして確認してください。
みらい(新人医療事務)
転棟した場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
先ほど触れたように、「当該患者が当該加算を算定できる病棟に入院または転棟した日」を起算日として、14日限度で算定します。急性期体制の病棟に転棟した場合は、その転棟日から新たに14日のカウントが始まることになります。ただし、詳細な取り扱いは算定要件・留意事項通知をご確認ください。
施設基準と届出
みらい(新人医療事務)
施設基準はどんなことが求められるんですか?
あおい(元・医療事務)
要件の全文は別に厚生労働大臣が定める施設基準に詳細が規定されています。大きくは「総合的な急性期医療及び高度かつ専門的な医療を提供する体制」「手術等の高度かつ専門的な医療に係る実績」「医療従事者の負担の軽減・処遇改善に資する体制」「地域の医療を支える体制」の4つの柱で構成されています(告示・留意事項通知より)。
みらい(新人医療事務)
医療従事者の負担軽減、というのも施設基準に入るんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。この加算の特徴的な点は、医療の質だけでなく「働き方改善への取り組み」も評価対象に含まれていることです。具体的な要件の内容(人員配置数・手術件数の基準値等)は基本診療料の施設基準等(告示第70号)と施設基準通知で定められていますので、届出前に必ずそちらを確認することが必要です。
みらい(新人医療事務)
届出はどこにするんですか?
あおい(元・医療事務)
地方厚生局長等への届出が必要です(保険医療機関を管轄する地方厚生局の各事務所)。「施設基準に適合しているものとして届け出た保険医療機関」というのが算定の前提ですので、届出なしでは算定できません。届出の様式や手順は厚生局のホームページや通知を確認してください。
届出が算定の前提
急性期総合体制加算は、施設基準を満たしたうえで地方厚生局長等に届け出ることが算定の前提です。届出前の算定は認められません。既に届出済みの場合も、令和8年度改定後の要件を満たしているかを改めて確認することが重要です。
自院で確認する手順

みらい(新人医療事務)
実際に自院が算定候補かどうか、どう確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
確認の順番としては次のステップが考えられます。
自院で確認する順番
- 自院が「病院」であることを確認(診療所は対象外)
- 算定している入院基本料の種類を確認(急性期病院一般入院基本料、または急性期病院精神病棟入院基本料を算定しているか)
- 施設基準を満たしているかを、厚生労働省告示・施設基準通知の一次資料で確認(区分1〜5のどれに該当するかを含む)
- 地方厚生局長等への届出の状況を確認(未届出なら届出手続きが必要)
- 算定対象患者の特定(急性期総合体制加算を算定できる病棟に入院中の患者、14日以内)
みらい(新人医療事務)
届出済みでも、改定のたびに確認が必要ですか?
あおい(元・医療事務)
はい、診療報酬改定のタイミングで施設基準の要件が見直されることがありますので、改定後に自院の体制が引き続き要件を満たしているかを改めて確認することが大切です。特に令和8年度(2026年度)改定での変更点については、後述の「改定での変更点」セクションも参考にしてください。
取り漏れが起きやすいポイント
- 転棟日の起算確認: 転棟により病棟が変わった場合、転棟日から14日の再カウントになるため、転棟日の記録と日数管理が重要です
- 入院期間による点数の切り替え: 7日目・11日目の翌日(8日目・12日目)から点数が変わるため、レセプト上の点数区分を日数に合わせて正確に入力してください
- 届出区分の確認: 自院が届け出ている区分(加算1〜5)と実際の算定点数が一致しているかを定期的に確認してください
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
令和8年度(2026年度)改定でこの加算は変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)改定における急性期総合体制加算の位置づけについては、当サイトが収録している令和8年度告示(告示第69号)・留意事項通知(保医発0305第6号)で点数・算定単位・区分構成(加算1〜5)を確認しています。令和8年度時点での点数体系(5区分×3期間)は上記のとおりです。
みらい(新人医療事務)
前回(令和6年度)からの差分は確認できますか?
あおい(元・医療事務)
現時点で当サイトが収録している一次資料(令和8年度改定告示・留意事項通知)の範囲では、令和6年度(2024年度)改定から令和8年度(2026年度)改定にかけての点数・区分構成の差分を直接照合した資料が確認できていません。点数や施設基準要件の増減・新旧対比については、厚生労働省が公表した「令和8年度診療報酬改定の概要」「個別改定項目について」 を直接ご参照いただき、改定前後の比較をご確認ください。確認できていない情報を憶測で書くことは避けます。
改定差分の確認先
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要」(厚生労働省ウェブサイト)
- 厚生労働省「令和8年度個別改定項目について」(急性期入院医療分野)
- 基本診療料の施設基準等の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第70号)
よくある質問
みらい(新人医療事務)
急性期総合体制加算と、他の体制加算は併算定できますか?
あおい(元・医療事務)
他の入院基本料等加算との関係は、各加算の算定要件・留意事項通知によって異なります。一般的に、算定できる加算の組み合わせは入院基本料の種類によって規定されています(例: 一般病棟入院基本料の「算定できる加算の一覧」)。具体的な併算定の可否は、自院が算定している入院基本料に紐づく算定可能加算の一覧を点数表・留意事項通知で確認してください。
みらい(新人医療事務)
診療録管理体制加算など他の体制加算と同時に算定している病院は多いんですか?
あおい(元・医療事務)
体制加算は複数を並行して算定することが多いです。急性期総合体制加算を届け出ている病院は、救急医療管理加算や診療録管理体制加算、医師事務作業補助体制加算など、他の入院基本料等加算も合わせて届け出ているケースが少なくありません。これらはそれぞれ別の届出・要件が必要ですので、各加算の要件を個別に確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
14日を超えて入院が続いた場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
急性期総合体制加算は、入院した日から起算して「14日を限度」として算定します。15日目以降は算定できません。ただし転棟があれば転棟先の病棟で要件を満たす場合に改めて起算できる可能性がありますので、転棟の際は起算日の管理を確認してください。
みらい(新人医療事務)
算定単位は「1日につき」ですね?
あおい(元・医療事務)
はい、「1日につき」(入院期間に応じて)です。入院基本料等加算の多くが入院初日算定なのに対し、急性期総合体制加算は最大14日間、毎日加算されます。そのため、算定している患者数と日数の管理が重要です。
よくある確認漏れ
- 算定できる入院基本料を算定していない病棟での誤算定
- 14日超の患者への算定継続(限度日数オーバー)
- 転棟時の起算日未更新
- 届出区分と実際の施設基準充足状況のズレ
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
自院が急性期総合体制加算の算定候補になるか、具体的に確認したいです。
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。入院基本料の種類や施設体制の状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。届出の手続きについても、一次情報のリンクと合わせて案内しています。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料(厚生労働省告示・施設基準通知)・審査支払機関の判断でご確認ください。本記事は厚生労働省が公表した一次情報を整理したものですが、個別の算定可否を保証するものではありません。