みらい(新人医療事務)
超急性期脳卒中加算っていう名前、救急科の先生から聞いたんですけど、これって具体的にどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表で区分A205-2として設定されている入院基本料等加算です。脳梗塞と診断された患者さんに、発症後4.5時間以内に組織プラスミノーゲン活性化因子、いわゆるrt-PA(アルテプラーゼ)の静注療法を行い、入院治療をした場合に算定候補になります。入院初日に限られる点がポイントです。
みらい(新人医療事務)
「入院初日に限り」ってことは、2日目以降は取れないんですね。うちは有床診療所なんですけど対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
対象は病院に限られていて、外来では算定できません。有床診療所は病院の入院基本料等加算の枠組みとは別なので、まずは自院が病院として届出対象になるかどうかの確認が必要です。
超急性期脳卒中加算とは(施設基準・算定要件の概要)
みらい(新人医療事務)
そもそも、この加算がどういう趣旨で作られているのか気になります。
あおい(元・医療事務)
脳梗塞は治療開始が早いほど後遺症を減らせるので、rt-PA投与のような超急性期治療を行う体制を評価する加算です。厚生労働省の告示の注では「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関に入院している患者...に対して、組織プラスミノーゲン活性化因子を投与した場合...入院初日に限り所定点数に加算する」とされています。届出済みであれば候補になる、という理解に近いですね。
みらい(新人医療事務)
「届け出た他の保険医療機関」っていう記載もありましたよね?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。留意事項通知には、自院でrt-PAを投与した場合だけでなく、施設基準に適合する別の届出済み医療機関の外来でrt-PAを投与された患者さんを受け入れて入院治療を行った場合も対象になる、と書かれています。搬送連携のケースですね。
超急性期脳卒中加算の点数・算定単位(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数は具体的にいくらなんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表では10,800点、入院初日に限り所定点数に加算する扱いです。まずは下の表で整理しますね。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 区分番号 | A205-2 |
| 加算名 | 超急性期脳卒中加算 |
| 点数 | 10,800点 |
| 算定単位 | 入院初日に限り1回 |
| 対象年度 | 令和8年度 |

みらい(新人医療事務)
入院基本料や特定入院料と一緒に取れるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の注には、入院基本料(特別入院基本料等を除く)や特定入院料のうち超急性期脳卒中加算を算定できるものを現に算定している患者が対象、と書かれています。つまり土台になる入院料の種類によって、そもそも算定候補になるかどうかが変わってくる、ということです。この点は自院のレセプト担当と一緒に確認が必要です。
超急性期脳卒中加算の施設基準(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
施設基準はどんな内容なんですか?結構細かそうですね。
あおい(元・医療事務)
はい、いくつかの要件を組み合わせて満たす必要があります。厚生労働省の施設基準通知の内容を、下の表にまとめました。
| 区分 | 施設基準の内容(要確認) |
|---|---|
| 医師配置(原則ルート) | 脳卒中の診断・治療を専ら担当する常勤医師(経験10年以上)を1名以上配置し、日本脳卒中学会等が行うrt-PA適正使用講習会を受講していること |
| 医師配置(連携ルート) | 医療資源の少ない地域等に所在し、他の届出済み医療機関との連携体制・テレストロークガイドラインに沿った体制を整備し、rt-PA講習会受講の常勤医師を1名以上配置していること |
| 処置体制 | 脳外科的処置が迅速に行える体制(連携先医療機関で確保できる場合を含む) |
| 治療室 | 脳卒中治療にふさわしい専用の治療室を有すること(ICU・SCUとの兼用可) |
| 常時備える装置 | 救急蘇生装置(気管挿管セット・人工呼吸装置等)・除細動器・心電計・呼吸循環監視装置 |
| 検査体制 | CT・MRI等の脳画像撮影、血液検査、凝固学的検査、心電図検査が常時行える体制 |
みらい(新人医療事務)
医師の配置って、常勤の専任医師じゃないとダメなパターンと、連携でもいいパターンの2つがあるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。原則ルートは経験10年以上の専任常勤医師を配置してrt-PA講習会を受けること。もう一つは、医療資源の少ない地域等に所在する医療機関が、他の届出済み医療機関と連携し、日本脳卒中学会の遠隔医療(テレストローク)ガイドラインに沿った体制を整えるルートです。どちらに該当し得るかは、自院の医師配置と地域の状況を照らし合わせて確認が必要です。
施設基準で見落としやすいポイント
専用治療室はICU・脳卒中ケアユニットと兼用でも構いませんが、救急蘇生装置・除細動器・心電計・呼吸循環監視装置は治療室内に常時備えている必要があります。他の治療室と共有していて緊急時に十分対応できる場合は例外扱いになる資料もありますが、この判断は自院だけで決めず、届出前に地方厚生局へ確認するのが安全です。
超急性期脳卒中加算の届出(令和8年度・届出様式)
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていたら、それだけで算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、施設基準に適合しているだけでは足りなくて、地方厚生(支)局長への届出が必須です。届出様式は別添7の様式15を用いることになっています。届出が受理されるまでは算定候補になりませんので、届出済みであれば候補、というのが正確な言い方です。
みらい(新人医療事務)
届出をすれば、その日からずっと大丈夫なんですか?
あおい(元・医療事務)
基本的には届出内容が維持されている前提ですが、体制が変わった場合(専任医師の異動や治療室の変更など)は再確認が必要です。届出後も要件を満たし続けているかどうかは、定期的に自院で棚卸しすることをおすすめします。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意点
みらい(新人医療事務)
算定できるタイミングって、入院初日だけなんですよね?
あおい(元・医療事務)
そうです。告示の注に「入院初日に限り所定点数に加算する」と明記されています。2日目以降にrt-PA投与しても、この加算自体は入院初日にしか算定できません。
算定タイミングの注意
超急性期脳卒中加算は入院初日限定の加算です。発症から4.5時間以内のrt-PA投与であることに加えて、入院初日という算定タイミングの条件も満たしているか、レセプト作成時に必ず確認してください。条件を満たしていない場合は算定候補から外れる可能性があります。
みらい(新人医療事務)
経皮的脳血栓回収術と一緒に算定することもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
脳卒中ケアユニット入院医療管理料の施設基準では、超急性期脳卒中加算と経皮的脳血栓回収術の合計算定回数が直近1年間で一定回数以上あることが条件の一つになっている資料もあります。加算同士の関係は複雑なので、併算定の可否は自院の算定実績と合わせて確認が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前の改定から変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)の疑義解釈でも、医療資源の少ない地域等に所在する医療機関の連携体制についてのやり取りが確認できました。今回の令和8年度の告示・施設基準を照らし合わせても、大きな構造上の違いは見当たりませんでした。
みらい(新人医療事務)
つまり「前と同じ」ってことですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)から令和8年度改定にかけて、一次資料で確認できる範囲では構造的な変更点は確認されていません(確認日: 2026年7月)。ただし点数や細かい要件の文言まで完全に一致するかは、自院の届出内容を最新の告示・通知と突き合わせて確認してください。
前回改定(令和6年度)の疑義解釈から分かること
医療資源の少ない地域等に所在する医療機関が届出後に区域の指定から外れた場合でも、移転による変更でなければ当面は届出を取り下げる必要がないとされています。また連携先の医療機関は、届出医療機関と同じ地域・区域に所在している必要はなく、迅速な転院搬送に支障がなければよいとされています。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの病院がこの加算の候補になるか、どんな順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で確認していくと整理しやすいです。

自院で確認する順番
- 脳梗塞と診断され、発症後4.5時間以内にrt-PA静注療法を投与し入院治療を行った実績があるか
- 専ら脳卒中の診断・治療を担当する経験10年以上の常勤医師を配置し、rt-PA適正使用講習会を受講しているか(または医療資源の少ない地域等での連携体制があるか)
- 脳卒中治療にふさわしい専用治療室と、救急蘇生装置一式・除細動器・心電計・呼吸循環監視装置を確保しているか
- CT・MRI等の脳画像撮影や血液検査、心電図検査が常時行える体制になっているか
- 地方厚生(支)局長へ様式15で施設基準の届出を行い、受理されているか
みらい(新人医療事務)
この順番でチェックしていけば、抜け漏れが減りそうですね。
よくある取り漏れ
取り漏れやすいポイント
発症からrt-PA投与までの時間や、入院初日という算定タイミングの記録が曖昧なまま提出すると、後から算定根拠を説明できなくなることがあります。診療録に発症時刻・投与時刻・入院日をそれぞれ明確に残しておくことが、算定候補として説明できる状態を保つことにつながります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが気になりそうなことをいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
外来だけで完結した場合は算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
外来だけで完結した場合は対象外です。この加算は入院治療を行った場合に入院初日に限り算定する仕組みなので、入院に至らないケースは算定候補になりません。
みらい(新人医療事務)
他の医療機関でrt-PAを投与された患者さんを受け入れた場合はどうですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準に適合しているものとして届出済みの他の保険医療機関の外来でrt-PA投与後に搬送され、入院治療を行った場合も対象になり得ます。ただし相手医療機関の届出状況の確認が必要なので、確認が必要な点として扱ってください。
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
対象は病院に限られていて、無床診療所はもちろん有床診療所も、この加算の枠組みの対象外の可能性が高いです。
みらい(新人医療事務)
医療資源の少ない地域等から外れたら、届出はすぐ取り下げないといけないんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)の疑義解釈では、届出時点で医療資源の少ない地域等に該当していれば、移転による変更でない限り当面は届出を取り下げる必要はなく、引き続き算定候補として扱われるとされています。この取扱いが令和8年度でも維持されているかは、念のため自院で最新資料を確認してください。
参考にした公式資料(令和8年度)
あおい(元・医療事務)
この記事は主に厚生労働省が公開している告示・通知を確認して書いています。下の表にまとめました。
| 資料 | 発出・年度 | URL |
|---|---|---|
| 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号) | 厚生労働省・令和8年度 | https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf |
| 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号、0619訂正後) | 厚生労働省・令和8年度 | https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713882.pdf |
| 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第7号、0619訂正後) | 厚生労働省・令和8年度 | https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713893.pdf |
| 疑義解釈資料の送付について(その1)医科 問42・問43 | 厚生労働省・前回改定(令和6年度) | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_21053.html |
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。