みらい(新人医療事務)
先輩、救急病院からの入院患者さんで「救急医療管理加算」ってレセプトによく出てくるんですけど、これって具体的にどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。救急医療管理加算(区分番号A205)は、緊急に入院が必要な重症患者さんを受け入れた病院を評価する入院基本料等加算です。令和8年度(2026年度)の診療報酬でも継続して設けられています。厚生労働省の留意事項通知には「救急医療管理加算は、緊急に入院を必要とする重症患者に対して救急医療が行われた場合に、入院した日から起算して7日に限り算定できる。なお、他の保険医療機関に入院中の患者が転院により入院する場合であって、同一傷病により転院前の保険医療機関に入院していた場合には、算定できない。」と記載されています。つまり「入院した時点で重症であること」が条件で、単なる経過観察目的の入院や、将来の重症化リスクに備えた入院は対象になりません。
みらい(新人医療事務)
「重症」の判断って、お医者さんの感覚だけで決めていいんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、判断基準は施設基準等の別表(別表第七の三)で定められています。留意事項通知では「救急医療管理加算1の対象となる患者は、基本診療料の施設基準等の別表第七の三(以下この項において「別表」という。)に掲げる状態のうち一から十二のいずれかの状態にあって、医師が診察等の結果、入院時点で重症であり緊急に入院が必要であると認めた重症患者をいい、単なる経過観察で入院させる場合や、入院後の重症化リスクが高いために入院させる場合等、入院時点で重症ではない患者は含まれない。」と整理されています。救急医療管理加算2のほうは、この別表の一から十二に「準ずる」状態、または「十三」の状態が対象です。自院の患者さんがどちらの区分に該当しそうか、まずこの原文で照らし合わせることが確認の出発点になります。
みらい(新人医療事務)
対象になる医療機関にも条件があるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
あります。この加算は入院基本料等加算(A章)のひとつで、対象は「病院」です。診療所は対象外になります。カグヤに格納されている要件データでも「入院基本料等加算(A章)。施設基準に適合し地方厚生局長等に届け出た病棟・病室に入院している患者について加算(要届出・施設基準)。」と整理されています。さらに、対象患者は「入院基本料(特別入院基本料等を含む)または特定入院料のうち、救急医療管理加算を算定できるものを現に算定している患者」に限られます。特定入院料の種類によっては、そもそもこの加算と組み合わせられないものもあるので、レセプトの入院料区分の確認も必要ですね。
点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
肝心の点数はいくらなんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示に基づく点数区分は、次のとおりです。
| 区分 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|
| 救急医療管理加算1 | 1,050点 | 1日につき |
| 救急医療管理加算2(原則) | 420点 | 1日につき |
| 救急医療管理加算2(別に厚生労働大臣が定める施設基準に該当する保険医療機関の場合) | 210点 | 1日につき |
| 乳幼児加算(6歳未満) | +400点 | 上記に加算 |
| 小児加算(6歳以上15歳未満) | +200点 | 上記に加算 |
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)には「A205 救急医療管理加算(1日につき) 1 救急医療管理加算1 1,050点 2 救急医療管理加算2 420点」、そして注書きに「救急医療管理加算を算定する患者が6歳未満である場合には、乳幼児加算として、400点を更に所定点数に加算する。救急医療管理加算を算定する患者が6歳以上15歳未満である場合には、小児加算として、200点を更に所定点数に加算する。」と記載されています。

みらい(新人医療事務)
救急医療管理加算2の「210点」というのは、どういうときに使う点数なんですか?
あおい(元・医療事務)
これは特例です。告示の注1ただし書には「別に厚生労働大臣が定める施設基準に該当する保険医療機関において、救急医療管理加算2を算定する患者については、本文の規定にかかわらず、入院した日から起算して7日を限度として、210点を所定点数に加算する。」とあります。つまり、すべての病院で210点になるわけではなく、「別に厚生労働大臣が定める施設基準」に該当する病院だけが対象です。自院がこの特例区分に該当するかどうかは、届出内容の確認が必要ですね。算定できる期間にも上限があり、「入院した日から起算して7日を限度」と明記されているので、8日目以降は算定候補から外れます。乳幼児加算・小児加算についても、留意事項通知に「7日を限度として算定する」と重ねて書かれているので、同じ7日ルールが適用されます。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
施設基準の中身、もう少し詳しく知りたいです。届出はどこにすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
届出先は地方厚生局長等です。施設基準の柱は大きく分けて「地域の救急医療体制を確保していること」「重症患者の受け入れ態勢があること」の2つです。留意事項通知には「加算の起算日となる入院日については、夜間又は休日において入院治療を必要とする重症患者に対して救急医療を提供した日(午前0時から午後12時まで)であって、その旨を地域の行政部門、医師会等の医療関係者及び救急搬送機関等にあらかじめ周知している日(あらかじめ定められた当番日以外の日でもよい。)とする。」「当該加算の起算日に行う夜間又は休日の救急医療にあっては、第二次救急医療施設として必要な診療機能及び専用病床を確保するとともに、診療体制として通常の当直体制のほかに重症救急患者の受入れに対応できる医師等を始めとする医療従事者を確保していることとする。」と書かれています。つまり、単に救急車を受け入れているというだけでなく、「第二次救急医療施設としての診療機能・専用病床」「通常の当直体制に加えた重症患者対応の医療従事者体制」を確保し、それを地域に周知していることが施設基準の実質的な中身になっています。
みらい(新人医療事務)
精神科の患者さんでも算定できるケースがあるって聞いたんですが?
あおい(元・医療事務)
あります。留意事項通知には「都道府県知事又は指定都市市長の指定する精神科救急医療施設において、緊急に入院を必要とする重症患者(精神疾患であり、入院させなければ医療及び保護を図る上で支障のある状態)に対して救急医療が行われた場合にも算定できる。ただし、精神科応急入院施設管理加算又は精神科措置入院診療加算を算定した患者については算定できない。」と規定されています。精神科応急入院施設管理加算や精神科措置入院診療加算をすでに算定している患者には算定できないという、併算定の制限がある点は注意が必要です。
施設基準・届出のよくある取り漏れ
- 「救急車を受け入れている」だけで施設基準を満たしていると思い込み、第二次救急医療施設としての専用病床・当直体制の確保が実際にできているか確認していない
- 救急医療管理加算2の「210点」特例区分に該当する施設基準を満たしているのに、区分の届出を更新していない
- 精神科救急医療施設の指定を受けているのに、精神科応急入院施設管理加算・精神科措置入院診療加算との併算定制限を見落としている
- 転院患者について「同一傷病で転院前医療機関に入院していたか」の確認を省略し、算定不可のケースで算定してしまう
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
レセプトを書くときに、点数以外で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
はい、実は摘要欄への記載事項が細かく定められています。留意事項通知には「救急医療管理加算1を算定する場合は、以下の内容について、診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。別表の一から十二までのうち該当する状態、別表の二、三、四、六、七又は八の状態に該当する場合はそれぞれの入院時の状態に係る指標(P/F比は酸素投与前の値とする。)、当該重症な状態に対して入院後3日以内に実施した検査、画像診断、処置又は手術のうち主要なもの、重症患者の状態のうちJCS0の状態やP/F比400以上の状態、NYHAⅠ度の状態、Burn Index0の状態等について緊急入院が必要であると判断した医学的根拠」を記載する必要があるとされています。救急医療管理加算2を算定する場合も、「準ずる状態」として同様の記載事項が求められています。
みらい(新人医療事務)
これは結構な事務作業になりそうですね……。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。単に加算コードを入力するだけでなく、該当する状態区分・指標・入院後3日以内の検査内容・医学的根拠を摘要欄に記載する体制が必要です。医師と事務方の連携が取れていないと、記載漏れで返戻や査定につながるリスクがあります。
算定にあたっての注意
救急医療管理加算は「重症であること」の医学的根拠を摘要欄に記載する運用が前提です。カルテと摘要欄の記載内容に齟齬がないか、算定の都度確認する体制を整えることをお勧めします。また、同一傷病による転院患者は算定対象外になるため、入院経緯の確認も欠かせません。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)から、この加算に変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
今回確認した令和8年度の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)と留意事項通知の範囲では、救急医療管理加算そのものの点数・施設基準・算定要件に新設や廃止は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省一次情報ベース)。加算1の1,050点、加算2の420点(特例210点)、乳幼児加算・小児加算の仕組みは、いずれも今回参照した一次資料に明記されている現行の内容です。ただし、これはあくまで「今回参照した一次資料の範囲」での確認です。救急医療に関する評価体系全体は改定のたびに見直しが行われる分野でもあるため、自院の算定に関わる詳細な変更点は、厚生労働省が公表する改定資料や地方厚生局からの通知で都度ご確認いただくことをお勧めします。
改定確認のポイント
- 令和8年度の告示・留意事項通知(本記事末尾の参考資料)で、点数・算定要件そのものの変更は確認されていません
- 救急医療領域は改定ごとに見直しが行われやすい分野のため、次回改定時も一次資料での再確認をお勧めします
- 自院に影響する疑義解釈・訂正通知が出ていないか、地方厚生局からの通知は定期的に確認してください
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
ここまで聞いて、結局どこから手をつければいいのか整理したいです。
あおい(元・医療事務)
確認する順番を整理しますね。
救急医療管理加算 自院確認ステップ(令和8年度)
- 病院であり、施設基準の届出をしているか確認: 対象は病院に限られ、地方厚生局長等への届出が前提です
- 第二次救急医療施設としての体制を確認: 専用病床・診療機能・重症患者対応の当直体制が確保されているか
- 対象患者が別表の状態区分に該当するか確認: 加算1は別表一〜十二、加算2は一〜十二に準ずる状態または十三の状態
- 転院経緯を確認: 同一傷病で転院前医療機関に入院していた患者でないか
- 摘要欄の記載事項を準備: 状態区分・指標(P/F比等)・入院後3日以内の検査内容・医学的根拠
- 算定区分と加算該当を確認: 1,050点/420点/特例210点と乳幼児・小児加算の該当。7日の算定上限も忘れずに

みらい(新人医療事務)
この順番で確認すれば、算定候補かどうかの見当がつきそうです。
あおい(元・医療事務)
はい。ただし、最終的に「重症患者に該当するか」の医学的な判断は医師が行うものです。事務方としては、届出・記載事項・算定期間といった手続き面の要件を漏れなく整えることが役割になります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか気になっていることを聞いてもいいですか?「うちは救急車をたくさん受け入れているから、当然算定できますよね?」と院長に言われたんですが。
あおい(元・医療事務)
救急車の受け入れ実績があることと、この加算の算定候補になることは、必ずしもイコールではありません。施設基準の届出をしていること、そして個々の患者が「入院時点で重症」という状態区分に該当することの両方が必要です。「たくさん受け入れているから確実に算定できる」とは言えず、患者ごとの状態確認が欠かせません。
みらい(新人医療事務)
救急医療管理加算1と2、どちらで算定すればいいか迷ったときはどうすればいいですか?
あおい(元・医療事務)
別表の一から十二までのいずれかに直接該当するかどうかで区分が変わります。直接該当すれば加算1、これらに「準ずる」状態または十三の状態であれば加算2が候補になります。医師の診察結果と別表の記載を照らし合わせて判断することになるので、事務方だけで完結させず、医師に確認するプロセスを設けることをお勧めします。
みらい(新人医療事務)
8日目以降に入院が続く場合、何か算定できる加算はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
救急医療管理加算自体は7日が上限のため、8日目以降は対象外になります。8日目以降に別の加算・入院料が算定候補になるかどうかは、患者の状態や入院料の種類によって変わるため、個別に確認が必要です。この記事の範囲では断定できませんので、該当するケースがあれば公式資料や算定相談窓口で確認してください。
公式資料の根拠
あおい(元・医療事務)
この記事でご紹介した点数・算定要件・施設基準は、以下の厚生労働省公式資料に基づいています。届出の有効性や個別患者への適用可否は、必ず一次資料と自院の届出内容を照らし合わせてご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号): 点数区分 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(保医発0305第6号、令和8年3月5日、令和8年6月19日訂正後): 算定要件・施設基準・摘要欄記載事項 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713882.pdf
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や患者の状態区分を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。