臨床研修病院入院診療加算って何ですか?
みらい(新人医療事務)
先輩、「臨床研修病院入院診療加算」って聞いたことがあるんですが、どんな加算ですか?
あおい(元・医療事務)
これは、臨床研修を実施している病院が入院患者に対して算定できる加算です(令和8年度)。「基幹型」と「協力型」の2区分があって、それぞれ点数が違うんですよ。
みらい(新人医療事務)
基幹型と協力型って何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
簡単に言うと、研修プログラムを管理・運営する側が基幹型、研修先として協力する側が協力型です。厚生労働省の点数表には「基幹型 40点、協力型 20点(入院初日)」と定められています。入院初日の一度だけ所定点数に加算する、という仕組みです。
みらい(新人医療事務)
入院初日だけなんですね。レセプトへの記載のタイミングに気をつけないといけないですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。算定できるのは「現に臨床研修を実施している期間」の入院初日に限ります。研修を実施していない時期は対象外になりますので、研修スケジュールの把握が大切です。
令和8年度の点数・区分まとめ
みらい(新人医療事務)
点数をまとめて教えてください!
あおい(元・医療事務)
では表で整理しますね。
| 区分 | 点数(令和8年度) | 算定タイミング |
|---|---|---|
| 基幹型 | 40点 | 入院初日のみ |
| 協力型 | 20点 | 入院初日のみ |
あおい(元・医療事務)
入院患者1人につき、入院初日に1回のみの算定です。点数は所定点数に加算する形式です。
みらい(新人医療事務)
入院が複数回あった場合は、そのたびに算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
入院のたびに入院初日があれば、その都度算定候補になります。ただし「現に臨床研修を実施している期間」という条件が毎回つきます。研修スケジュールと入院タイミングの一致を確認する必要があります。

対象となる医療機関
みらい(新人医療事務)
どんな病院が算定候補になるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
医師法第16条の2第1項に規定する都道府県知事が指定した病院であることが前提です。つまり都道府県知事から「臨床研修病院」として指定を受けている病院ですね。診療所や指定を受けていない病院は対象外です。
みらい(新人医療事務)
都道府県から指定を受けていることが必要なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。さらに「別に厚生労働大臣が定める施設基準」を満たす必要があります。施設基準の詳細は次のセクションで説明しますね。また、入院患者が算定できるのは「第1節の入院基本料(特別入院基本料等を除く)、第3節の特定入院料、または第4節の短期滞在手術等基本料のうち、臨床研修病院入院診療加算を算定できるものを現に算定している患者」に限られます。
みらい(新人医療事務)
全部の入院患者ではなくて、特定の入院料を算定している患者だけなんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。DPCの場合も算定できるかどうかは個別の確認が必要です。疑義解釈(その1・問6-6、平成24年度)では「実際に臨床研修を実施している月に限り加算できる」とされています。
施設基準の確認ポイント
みらい(新人医療事務)
施設基準って、具体的にどんな内容ですか?
あおい(元・医療事務)
基幹型と協力型で少し異なります。まず基幹型の主な施設基準からお伝えします。
基幹型 施設基準(歯科診療以外)
- 指導医は臨床経験7年以上の医師であること
- 研修医2.5人につき、指導医1人以上であること
- 当該保険医療機関の医師の数は医療法に定める標準を満たしていること
- 研修管理委員会が設置されている基幹型臨床研修病院または基幹型相当大学病院であること
- 全職種の職員を対象とした保険診療に関する講習が年2回以上実施されていること
- 研修医数は、病床数を10で除した数または年間の入院患者数を100で除した数を超えないこと
みらい(新人医療事務)
研修医の数に上限があるんですね。知りませんでした。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。病院の規模に対して研修医が多すぎると、施設基準を満たせないことになります。病床数や入院患者数と研修医数のバランスを確認する必要があります。
協力型 施設基準(歯科診療以外)
- 協力型(Ⅰ)臨床研修病院または協力型相当大学病院であること
- 基幹型と同様の指導医基準(臨床経験7年以上・研修医2.5人に1人以上)を満たすこと
- 研修医が基幹型病院で実施される保険診療に関する講習を受けていること
- 医師数が医療法の標準を満たしていること
- 研修医数が病床数・入院患者数に対して上限内であること
みらい(新人医療事務)
協力型も施設基準がちゃんとあるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。なお、歯科診療に係るものは別の施設基準(単独型・管理型・協力型等)があります。今回は主に医科(歯科診療以外)についての解説です。
届出の要否
みらい(新人医療事務)
届出は必要ですか?地方厚生局に書類を出さないといけませんか?
あおい(元・医療事務)
この加算は届出が「不要」なんです。厚生労働省の通知(保医発0305第7号)には「当該基準を満たしていればよく、特に地方厚生(支)局長に対して、届出を行う必要はないこと」と明記されています。
みらい(新人医療事務)
届出なしで算定できるんですか!それは珍しいですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。ただし「施設基準を満たしていること」が前提です。届出がいらないからといって、施設基準の確認を怠ってはいけません。自院が施設基準を満たしているかどうかを内部で確認してから算定してください。
届出不要でも施設基準の確認は必須
届出は不要ですが、算定できるのは施設基準を満たす保険医療機関に限られます。施設基準の充足確認と社内記録の整備をしてから算定してください。
算定タイミングと「研修実施期間」の考え方
みらい(新人医療事務)
「現に臨床研修を実施している期間」って、どう判断するんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(医科点数表の解釈 保医発0305第7号)に詳しく書かれています。基幹型と協力型で考え方が違います。
みらい(新人医療事務)
どう違うんですか?
あおい(元・医療事務)
基幹型の場合は「実際に研修医が研修を実施している期間」と「研修医が協力型病院または協力施設において研修を実施している期間」の両方が含まれます。協力型は「実際に研修医が研修を実施している期間」のみです。
みらい(新人医療事務)
つまり基幹型は、研修医が自病院にいなくても、他の施設で研修している間も算定候補になりうるということですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。ただし、これは「研修が実施されている期間」という条件であって、個別の入院患者への算定要件ともあわせて確認が必要です。また診療録の管理も重要で、「研修医の診療録の記載に係る指導および確認は速やかに行うこととし、診療録には指導の内容がわかるように指導医自らが記載を行い、署名をすること」とされています。
診療録の指導医署名は必須
研修医が記載した診療録には、指導医が自ら指導内容を記載し署名することが求められています。この手続きが算定の前提となりますので、運用上の確認が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定でこの加算は変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
当サイト収録の一次情報ベースで確認した範囲では、令和8年度の点数表(基幹型40点・協力型20点)、施設基準の要件(指導医7年以上・研修医2.5人に1人等)、届出不要の取扱いについて、前回改定(令和6年度)からの主な変更は確認されていません(確認日: 2026-06、厚労省一次情報ベース)。
みらい(新人医療事務)
じゃあ令和6年度から引き続き同じ扱いなんですね。
あおい(元・医療事務)
一次資料の確認範囲内ではそういう理解です。ただし、改定内容の詳細は厚生労働省の公式資料や最新の通知で必ずご確認ください。
DPC病院での算定について
みらい(新人医療事務)
DPCの病院でも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
DPCについては疑義解釈(その1)で確認されています。「実際に臨床研修を実施している月に限り加算できる」との回答があります。研修実施月と実施していない月で取扱いが異なる点は、DPCでも同様ということです。
みらい(新人医療事務)
DPCの機能評価係数との関係はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
DPCの臨床研修病院入院診療加算については、研修実施計画の年間計画による届出も可能とされています(疑義解釈 平成24年度)。ただし計画に変更が生じた場合は速やかに届出が必要と案内されています。DPC病院固有の手続きについては、所管の審査支払機関や厚生局への確認をお勧めします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際に自院でこの加算を算定できるか確認したいときは、何から始めればいいですか?
あおい(元・医療事務)
では確認の順番をまとめますね。
自院で確認する順番
-
都道府県知事から「臨床研修病院」として指定されているかを確認する(医師法第16条の2第1項の指定)
-
基幹型か協力型かを確認し、対応する施設基準を満たしているかチェックする(指導医数・研修医数・医師数・研修管理委員会等)
-
基幹型の場合は保険診療に関する講習が年2回以上実施されているか確認する
-
現に臨床研修を実施している期間を把握し、算定対象期間を明確にする
-
算定できる入院料(入院基本料・特定入院料・短期滞在手術等基本料)を算定している患者を確認する
-
入院初日に所定点数へ加算を行い、診療録に指導医の署名と指導内容の記載があることを確認する
みらい(新人医療事務)
順番があると確認しやすいですね。

よくある取り漏れ・ミス
みらい(新人医療事務)
よく間違えやすいポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
実務でよく聞かれるのはこういったケースです。
取り漏れ・注意ポイント
- 研修医が協力施設で研修中の期間(基幹型は算定候補期間に含まれる可能性あり。要確認)
- 入院初日以外の日に誤って算定してしまうケース(算定は入院初日のみ)
- 研修を実施していない時期の算定(必ず研修スケジュールと照合)
- 診療録への指導医署名・指導内容の記載漏れ(算定の前提要件)
- 特別入院基本料等を算定している患者への誤算定(対象外)
みらい(新人医療事務)
特別入院基本料等は対象外なんですね。知らないと間違えそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。算定できる入院料の種類を事前に確認しておくことが大切です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
診療所は対象外です。医師法第16条の2第1項に基づく都道府県知事の指定を受けた「病院」が対象であり、診療所は含まれません。
みらい(新人医療事務)
研修医が1人もいない月でも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
「現に臨床研修を実施している期間」が要件ですので、研修が実施されていない時期は算定候補になりません。研修スケジュールの記録を整備し、算定期間を明確にしておくことをお勧めします。
みらい(新人医療事務)
基幹型と協力型の両方の要件を満たす病院はどちらで算定しますか?
あおい(元・医療事務)
実態に応じた区分で算定することになります。具体的なケースについては、所管の審査支払機関や地方厚生局への確認をお勧めします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
自院が算定候補かどうか、もっと詳しく調べてみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。