包括期充実体制加算とは何のための加算なの?
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「包括期充実体制加算」って最近よく耳にするんですけど、どんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
これは令和8年度(2026年度)から新設された入院基本料等加算(区分番号A204-4)です。一言でいうと、「医療と介護の両方のニーズを持つ高齢者の緊急入院を積極的に受け入れ、在宅医療や介護保険施設等への後方支援を担う体制を整えている病院」を評価する加算です。
みらい(新人医療事務)
高齢者の緊急入院の受け入れを評価する加算なんですね。どのくらい点数がつくんですか?
あおい(元・医療事務)
厚労省の告示(令和8年度)によると、1日につき80点です。入院した日から起算して14日を限度として所定点数に加算します。
みらい(新人医療事務)
14日間が上限なんですね。毎日算定できるということですか?
あおい(元・医療事務)
公式資料では「入院した日から起算して14日を限度として所定点数に加算する」と定められています。14日を超えた部分は算定の対象外になります。詳しい算定ルールは届出後に実際の請求で確認が必要ですが、算定できる期間は最大14日間というのが要件です。
基本情報と点数
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 区分番号 | A204-4 |
| 加算名 | 包括期充実体制加算 |
| 点数(令和8年度) | 80点(1日につき) |
| 算定期間 | 入院から14日を限度 |
| 対象 | 病院(入院)・届出必要 |
| 新設時期 | 令和8年(2026年)6月1日 |

みらい(新人医療事務)
診療所では算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
この加算は病院のみが対象です。また外来や在宅医療では算定できず、入院患者への加算となっています。診療所や在宅医療機関は対象外になります。
どんな病院が対象になる?
みらい(新人医療事務)
「届出が必要」とのことですが、どんな病院が届け出られるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
施設基準が細かく定められています。施設基準の届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第7号)によると、まず基本的な条件として次の4つがあります。
施設基準 基本要件(令和8年度)
- (1) 許可病床数が200床(特定地域にあっては280床)未満の病院であること
- (2) 地域包括医療病棟入院料(A304)または地域包括ケア病棟入院料(A308-3)を算定する病棟を有する保険医療機関であること
- (3) 急性期病院一般入院基本料または急性期一般入院基本料を算定する病棟を有しない保険医療機関であること
- (4) 在宅医療・介護保険施設等の後方支援体制として、ア〜エの要件を全て満たすこと
みらい(新人医療事務)
(3)の「急性期病院一般入院基本料を算定する病棟を有しない」というのはどういう意味ですか?
あおい(元・医療事務)
つまり、急性期の高度医療を行う病棟を持たない病院が対象ということです。地域包括ケア病棟や地域包括医療病棟を中心に、在宅・介護保険施設からの患者を受け入れる役割を担う病院を想定しています。急性期病院が既に急性期総合体制加算を届け出ているイメージとは別の、「包括期・回復期寄りの地域密着型病院」が主なターゲットになります。
みらい(新人医療事務)
なるほど、地域の「つなぎ役」になる病院というイメージですね。
後方支援体制の要件(施設基準(4))
みらい(新人医療事務)
先ほどの(4)のア〜エの要件も教えてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
在宅医療・介護保険施設等の後方支援体制として、次の4つが求められています。
後方支援体制 要件ア〜エ(令和8年度・施設基準(4)より)
- ア: 第二次救急医療機関であること、または救急病院等を定める省令に基づき認定された救急病院であること(いずれか)
- イ: 受入可能な疾患・病態について、地域のメディカルコントロール協議会等と協議していること
- ウ: 協力対象施設入所者入院加算を届け出ていること
- エ: 原則3以上の介護老人保健施設、介護医療院、特別養護老人ホームの協力医療機関として定められていること
みらい(新人医療事務)
「メディカルコントロール協議会に必ず参加しなければいけない」のかは、現場では気になるポイントだと思うんですが……
あおい(元・医療事務)
これは疑義解釈(令和8年度その2・問33)で明確にされていて、「必ずしもメディカルコントロール協議会への参加を要しない」場合があります。例えば、在宅医療関係者と救急医療関係者との協議の場などで定期的に受入可能な疾患・病態を情報発信している場合、または近隣医療機関と定期的に情報共有を行っている場合は、必ずしも参加を要しないとされています。自院の状況に応じて確認が必要です。
実績要件(施設基準(5))
みらい(新人医療事務)
実績の要件もあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、加算対象病棟での在宅医療・介護保険施設等の後方支援に係る実績として、ア〜エ全てを満たす必要があります。
実績要件ア〜エ(令和8年度・施設基準(5)より)
- ア: 自宅等からの緊急入院患者の受入れが直近3か月間で15人以上
- イ: 直近3か月間の入院患者に占める、救急搬送後の患者および救急患者連携搬送料を算定した他院からの搬送患者の割合が8分以上(告示の表記による。詳細は一次資料で確認)
- ウ: 次のいずれかを満たすこと
- 前年度の「在宅患者緊急入院診療加算1〜3」算定合計が12件以上
- 前年度の「協力対象施設入所者入院加算1・2」算定合計が4件以上
- エ: 加算対象病棟における退院時共同指導料2および介護支援等連携指導料2の算定回数の合計が直近3か月間で3回以上
みらい(新人医療事務)
実績の数値がかなり細かいですね。ウの「在宅患者緊急入院診療加算12件以上」と「協力対象施設入所者入院加算4件以上」はどちらか一方でいいんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、ウはいずれかを満たせばOKです。ただし、「特別の関係」にある介護保険施設や当該施設からの入院については、ア・イ・ウのいずれの要件にも算入しないとされています(疑義解釈 令和8年度その3・問4)。
その他の施設基準要件
みらい(新人医療事務)
まだ要件があるんですか?
あおい(元・医療事務)
もう1つあります。施設基準(6)です。
施設基準(6)(令和8年度)
- (6) 入退院支援加算1(A246)の届出を行っている保険医療機関であること
みらい(新人医療事務)
(6)は必須要件なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。(6)の入退院支援加算1の届出は必須要件です。届出済みかどうかを確認する必要があります。
届出の仕組みと算定対象患者
みらい(新人医療事務)
届出はどうすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の届出は、別添7の様式13の3の2(包括期充実体制加算の施設基準に係る届出書添付書類)を使用します。地方厚生(支)局長等に届け出ることが必要です。本加算は令和8年6月1日に新設されています。
みらい(新人医療事務)
算定できる患者はどんな患者ですか?
あおい(元・医療事務)
告示(令和8年度)によると、算定対象は「届け出た保険医療機関に入院している患者のうち、第3節の特定入院料のうち包括期充実体制加算を算定できるものを現に算定している患者」に限られています。つまり、地域包括医療病棟入院料(A304)や地域包括ケア病棟入院料(A308-3)を算定中の患者が対象候補となります。
算定対象患者の確認
本加算は「特定入院料のうち包括期充実体制加算を算定できるものを現に算定している患者」に限定されます。A304またはA308-3の算定状況を確認した上で請求の判断をしてください。
届出に関する経過措置・疑義解釈のポイント
みらい(新人医療事務)
令和8年6月から届け出るために実績が必要ということでしたが、新設なのに前年実績を取れるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
疑義解釈(令和8年度その2・問32)に経過措置が示されています。令和8年8月以前に届け出るため、5月以前の期間が実績の算出対象期間となる場合には、5月以前に算定された「改定前の医科点数表のB005-1-2介護支援等連携指導料」の算定回数を実績に含めて差し支えないとされています。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、旧制度の介護支援等連携指導料でも実績としてカウントできるんですね。
あおい(元・医療事務)
ただし、届出以降に毎月実績を算出する際は、令和8年6月以降の実績については介護支援等連携指導料1(旧)の実績は用いず、退院時共同指導料2および介護支援等連携指導料2のみで算出する必要があります。施設基準を満たさなくなった場合は届出を取り下げることが求められています。
みらい(新人医療事務)
また、届出時の実績ウの件数については緩和措置もあるんですか?
あおい(元・医療事務)
届出時および届出開始の当年度から翌年度までの間、実績ウの件数については、①は直近3か月で4件以上、②は直近3か月で1件以上として差し支えないとされています(施設基準届出取扱い通知(2))。通常の要件より緩和されていますので、初回届出のハードルは少し低くなっています。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和6年度(2024年度)の診療報酬改定との違いはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
包括期充実体制加算は令和8年度(2026年度)改定で新設された加算です。令和6年度(2024年度)改定時点ではこの区分は存在していませんでした。そのため、令和6年度(2024年度)改定前からの差分という概念ではなく、「令和8年度改定での新設」として整理されます。
みらい(新人医療事務)
全くの新しい加算なんですね。
あおい(元・医療事務)
訂正通知(令和8年度診療報酬改定に係る施設基準届出チェックリストの一部訂正について)にも「令和8年6月1日 基本診療料 新設 包括期充実体制加算」と明記されています。医療・介護の複合的なニーズを持つ高齢者の緊急入院受け入れ体制を整える病院を評価するため、今改定で創設された加算です。
令和8年度改定での新設の背景(留意事項通知より)
「包括期充実体制加算は、医療・介護の複合的なニーズを有する高齢者の緊急入院を積極的に受け入れる等、地域において在宅医療や介護保険施設等の後方支援を担う体制を確保する観点から、こうした患者の緊急入院の受入等に係る実績及び円滑な入退院支援等に係る平時からの連携体制の構築を評価したものであり、入院した日から起算して14日を限度として所定点数を算定する。」(厚生労働省 令和8年度留意事項通知より)
自院で確認すべき手順
みらい(新人医療事務)
自院がこの加算の算定候補になるか確認するには、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
大きく分けてこの順番で確認するとわかりやすいですよ。

自院で確認する順番
-
病院の種類と病床数を確認 許可病床数が200床(特定地域は280床)未満の病院かどうか
-
対象病棟の届出状況を確認 地域包括医療病棟入院料(A304)または地域包括ケア病棟入院料(A308-3)を算定する病棟を有するか
-
急性期入院基本料の有無を確認 急性期病院一般入院基本料・急性期一般入院基本料を算定する病棟がないか
-
後方支援体制要件(ア〜エ)の充足を確認 救急指定・メディカルコントロール協議会等との協議・協力対象施設入所者入院加算届出・介護保険施設3以上との協力体制
-
実績要件(ア〜エ)の充足を確認 緊急入院15人/3か月・救急搬送割合8分以上・在宅患者緊急入院診療加算12件以上(または協力施設入所者入院加算4件以上)・退院時共同指導料等3件/3か月
-
入退院支援加算1の届出を確認 A246の届出が済んでいるか
-
地方厚生(支)局への届出 様式13の3の2を使用して届け出る
みらい(新人医療事務)
ステップ3で「急性期入院基本料の病棟がある場合」は対象外ということですよね。うちは地域包括ケア病棟と一般病棟(急性期)を両方持っているんですが、この場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
施設基準(3)に「急性期病院一般入院基本料又は急性期一般入院基本料を算定する病棟を有しない保険医療機関であること」とあります。一般病棟(急性期)も届け出ている場合は、この要件に抵触する可能性があります。具体的な判断は、届出状況と一次資料を踏まえ、地方厚生(支)局等に確認されることをお勧めします。
算定上の注意点
算定上の注意点
- 算定できる期間は入院から最大14日間。14日を超えた部分は対象外
- 算定対象は、A304地域包括医療病棟入院料またはA308-3地域包括ケア病棟入院料を現に算定している患者に限る
- 「特別の関係」にある介護保険施設や当該施設からの入院については、実績要件ア・イ・ウのいずれにも算入しない
- 届出時の実績ウは緩和措置あり(①は直近3か月で4件以上、②は1件以上)。ただし届出以降は通常基準に移行
- 施設基準を満たさなくなった場合は届出を取り下げること
よくある取り漏れのポイント
取り漏れやすい確認ポイント
- 実績ウの介護支援等連携指導料: 令和8年6月以降は旧の「介護支援等連携指導料1」は実績に使えない(届出以降)
- 「特別の関係」の介護保険施設: これらからの入院は実績に不算入。別の施設での実績が必要
- 入退院支援加算1(A246): 要届出。これが未届の場合は包括期充実体制加算も届け出られない
- 協力対象施設入所者入院加算(A253): 施設基準ウで届出が必要。協力対象施設入所者入院加算の届出状況も確認を
- 14日上限: 入院初日から数えて14日目を超えると算定不可。入院日の管理が重要
みらい(新人医療事務)
確認するポイントが多いですね……。特に実績の件数管理が大変そうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。実績要件は複数の指標を継続して管理する必要があります。月次でデータを集計し、基準を下回るようなら届出取り下げの検討も必要になります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
この加算を取れると、どのくらい収入につながるんですか?
あおい(元・医療事務)
あくまで参考ですが、1日80点は1点10円換算で800円です。1人の患者に14日間算定すれば80点×14日=1,120点(11,200円相当)になります。ただしこれはあくまでも計算上の目安であり、実際の収入は算定できる患者数・届出状況・審査支払機関の判断で変わります。点数を収入として断定することはできません。あくまで参考値としてご理解ください。
みらい(新人医療事務)
令和8年度からの新設ということで、まだ実際の運用イメージが薄い病院も多そうです。届出の様式は決まっていますか?
あおい(元・医療事務)
はい、様式13の3の2「包括期充実体制加算の施設基準に係る届出書添付書類」が定められています。許可病床数、算定する病棟が届け出ている入院料(A304かA308-3)、急性期病院一般入院基本料等の届出状況、救急医療の体制の有無などを記入する書式です。提出期限や受付方法の詳細は、地方厚生(支)局の最新の案内をご確認ください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
自院が算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。施設基準の充足や実績管理に不明点があれば、ぜひ活用してみてください。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。本記事の内容は令和8年度(2026年度)の厚労省公式資料を元に作成していますが、疑義解釈・訂正通知等により要件が変わる場合があります。算定前に必ず最新の一次情報をご確認ください。