みらい(新人医療事務)
診療録管理体制加算という名前をよく聞くんですが、うちの病院でも算定候補になるのか気になっていて…どんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
診療録管理体制加算は、適切な診療記録の管理を行っている体制を評価する加算です。令和8年度(2026年度)の医科点数表では区分番号A207として、入院基本料等加算(A章)に位置づけられています。留意事項通知には「現に患者に対し診療情報を提供している保険医療機関において、入院初日に限り算定する」と明記されています。
みらい(新人医療事務)
「入院初日に限り」ということは、入院中ずっとではなく1回だけなんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。しかも算定できるのは病院の入院患者に限られます。診療所は対象外で、外来でも算定しません。施設基準に適合し、地方厚生局長等に届け出た保険医療機関であることが前提になります。
対象医療機関・対象患者(診療録管理体制加算の算定要件)
みらい(新人医療事務)
対象になる患者にも決まりがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。告示の注には「診療録管理体制その他の事項につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関に入院している患者(第1節の入院基本料(特別入院基本料等を含む。)又は第3節の特定入院料のうち、診療録管理体制加算を算定できるものを現に算定している患者に限る。)について、当該基準に係る区分に従い、入院初日に限り所定点数に加算する」とあります。
みらい(新人医療事務)
つまり、入院基本料か特定入院料のうち、この加算の対象になっているものを算定している患者に限られるということですね。
あおい(元・医療事務)
はい。入院基本料等加算という枠組み自体が、他の入院料に上乗せする形の加算なので、まず自院がどの入院基本料・特定入院料を算定しているかを確認するのが最初のステップになります。
診療録管理体制加算の点数(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的な点数を教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年厚生労働省告示第69号の点数表本文には、診療録管理体制加算1が100点、診療録管理体制加算2が30点と記載されています。いずれも入院初日に限る算定です。

| 区分 | 加算名 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|---|
| A207の1 | 診療録管理体制加算1 | 100点 | 入院初日(1回) |
| A207の2 | 診療録管理体制加算2 | 30点 | 入院初日(1回) |
みらい(新人医療事務)
加算1と加算2で70点も差があるんですね。何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の充足度合いが違います。加算1のほうが求められる体制が細かく、専任・専従の人員配置や退院時要約の運用まで厳しく規定されています。次の項目で詳しく見ていきましょう。
施設基準(診療録管理体制加算1・2の違い)
みらい(新人医療事務)
施設基準って、具体的にはどんな内容なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年3月5日付の保医発0305第7号(基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて)に、診療録管理体制加算1・2それぞれの施設基準が定められています。まず加算1から見ていきましょう。
診療録管理体制加算1に関する施設基準(9項目)
- 診療記録の保管: 過去5年間の診療録及び過去3年間の手術記録・看護記録等の全てが保管・管理されていること
- 中央病歴管理室: 設置されており、厚生労働省の医療情報システムの安全管理に関するガイドラインに準拠した体制であること
- 管理部門・委員会: 診療録管理部門又は診療記録管理委員会が設置されていること
- 規程の明文化: 診療記録の保管・管理のための規程が明文化されていること
- 専任・専従の配置: 年間の退院患者数2,000名ごとに1名以上の専任の常勤診療記録管理者が配置され、うち1名以上が専従であること(診療報酬請求事務や窓口受付業務等は含まない。医師事務作業補助者との兼務は不可)
- 疾病統計: ICD(国際疾病分類)の4桁又は5桁の細分類項目に沿って疾病分類がされていること
- 電子的検索: 退院患者の氏名・生年月日・入院日・退院日・担当医・担当診療科・ICDコード分類疾患名・手術コード分類手術等を含む電子的一覧表を有し、任意の条件・コードで速やかに検索・抽出できること
- 退院時要約: 全診療科において全患者について作成され、退院日の翌日から14日以内に中央病歴管理室に提出された割合が毎月9割以上であること(30日以内の作成が望ましいとされています)
- 診療情報の提供: 患者に対し診療情報の提供が現に行われていること
みらい(新人医療事務)
かなり細かいですね…加算2はもう少し簡単なんですか?
あおい(元・医療事務)
加算2は加算1より要件が絞り込まれています。具体的には次のとおりです。
診療録管理体制加算2に関する施設基準(5項目)
- 加算1の(1)〜(4)及び(9)(診療記録の保管・中央病歴管理室・管理部門/委員会・規程明文化・診療情報提供)を満たしていること
- 1名以上の専任の診療記録管理者が配置されていること(加算1のような専従・常勤・退院患者数比例の要件はありません)
- 入院患者の疾病統計にICD大分類程度以上の疾病分類がされていること
- 保管・管理された診療記録が疾病別に検索・抽出できること
- 全診療科において退院時要約が全患者について作成されていること
みらい(新人医療事務)
なるほど、加算2は専従配置や退院時要約の提出率まで求められていない分、点数も低いんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。自院の診療記録管理者の配置人数や退院時要約の提出状況を確認すると、どちらの区分の施設基準に近いか整理しやすいと思います。
届出に関する事項
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていそうな場合、届出はどうすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
保医発0305第7号には「診療録管理体制加算の施設基準に係る届出は、別添7の様式17を用いること」と定められています。地方厚生局長等への届出が必要で、届出前の段階では算定できません。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 届出様式 | 別添7 様式17 |
| 届出先 | 地方厚生局長等 |
| 根拠通知 | 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第7号) |
みらい(新人医療事務)
様式17を使って、必要書類とあわせて提出するイメージですね。
あおい(元・医療事務)
はい。中央病歴管理室の体制や診療記録管理者の配置状況を裏付ける資料もあわせて確認しておくと、届出の準備がスムーズになります。
算定タイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
算定するときに気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
算定タイミングの注意点
- 入院初日に限る算定です。入院期間中に1回のみで、日々算定するものではありません
- 対象になるのは、入院基本料(特別入院基本料等を含む)又は特定入院料のうち、診療録管理体制加算を算定できるものを現に算定している患者に限られます
- 施設基準1・2のどちらの区分で届け出ているかにより、算定できる点数(100点/30点)が変わります
- 名称が似ている「電子的診療情報連携体制整備加算」(/addition/denshi-shinryo-joho-renkei、区分番号A207-5)は別の加算です。混同して届出を省略しないよう注意してください
みらい(新人医療事務)
名前が似ている別の加算があるんですね、それは紛らわしいです…
あおい(元・医療事務)
そうなんです。番号もA207-5と近いので、届出資料を確認するときは加算名まで丁寧に見るようにしてください。
診療録管理体制加算の変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、何か変わった点はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
今回確認した令和8年度の一次資料(令和8年厚生労働省告示第69号、保医発0305第7号)の範囲では、診療録管理体制加算1・2の点数(100点・30点)および施設基準の項目立てについて、前回改定からの変更を示す記載は確認されていません(確認日: 2026年7月)。
改定の位置づけ(時系列整理)
- 令和6年度改定: 診療録管理体制加算1・2の枠組み(点数区分・専任専従配置等)が運用されていました
- 令和8年度改定(現行): 一次資料の範囲では、点数・施設基準の項目立てに大きな変更は確認されていません
みらい(新人医療事務)
変わっていないなら、それはそれで安心です。
あおい(元・医療事務)
ただし、令和8年度改定では医療DX関連の加算体系が見直され、電子的診療情報連携体制整備加算(A207-5)が新設されるなど、周辺の加算構成には動きがありました。診療録管理体制加算そのものだけでなく、周辺加算の届出状況もあわせて最新の一次資料で確認することをおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちの病院で確認するとしたら、どんな順番で進めればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認していくとスムーズです。
自院で確認する順番
- 病院か診療所かを確認する(診療所は対象外)
- 入院基本料又は特定入院料のうち、診療録管理体制加算の対象になるものを算定しているか確認する
- 中央病歴管理室の設置状況と、安全管理ガイドラインへの準拠状況を確認する
- 診療記録管理者の配置人数・常勤/専従の別・退院患者数を確認し、加算1・加算2どちらの施設基準に近いか整理する
- 退院時要約の作成率(14日以内提出割合)を確認する
- 該当する区分の様式17で地方厚生局長等に届出する

みらい(新人医療事務)
診療記録管理者の配置人数を数えるところが一番のポイントになりそうですね。
あおい(元・医療事務)
そう思います。特に加算1は「年間退院患者数2,000名ごとに1名以上、うち1名専従」という具体的な計算式があるので、自院の年間退院患者数と照らし合わせて確認してみてください。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
届出のときに見落としやすいポイントはありますか?
確認しておきたいポイント
- 専従の診療記録管理者は、診療報酬の請求事務やDPCコーディング以外の業務、窓口受付業務、看護業務の補助、物品運搬業務等を兼務していないか
- 専従の診療記録管理者は、医師事務作業補助体制加算に係る医師事務作業補助者を兼ねることができない点
- 退院時要約の提出率(14日以内・毎月9割以上)を継続的にモニタリングできているか
- 加算1と加算2の施設基準の違い(専従配置や提出率の有無)を正しく把握できているか
あおい(元・医療事務)
この中でも、専従の診療記録管理者の業務範囲は見落とされがちです。診療報酬請求事務を兼務させていると、施設基準を満たさない可能性があります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
中央病歴管理室って、専用の個室を用意しないといけないんですか?
あおい(元・医療事務)
疑義解釈(平成22年度)では、必ずしも専用の個室である必要はなく、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインに準拠した体制で、入退室が管理されている等、情報端末が物理的な方法によって保護されていればよいとされています。ただし、これは古い疑義解釈のため、最新の施設基準本文とあわせて確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
専従の診療記録管理者は、退院患者数が2,000人未満の病院でも必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
疑義解釈(平成26年度)では、退院患者数が2,000人以内の場合でも専従配置が必要とされています。「2,000人ごとに1名」という基準を下回るからといって専従配置が不要になるわけではない、という点は誤解しやすいところです。
みらい(新人医療事務)
診療情報の提供は、実績がないと施設基準を満たさないんですか?
あおい(元・医療事務)
疑義解釈(平成26年度)では、提供の実績がなくても、患者から求めがあった場合に提供できる体制が整っていれば、この基準の対象になるとされています。ただし、体制整備の状況は資料等で確認できるようにしておく必要があります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。