みらい(新人医療事務)
部長から「うちの病棟、看護職員夜間配置加算って取れるんじゃない?」って言われたんです。夜勤の看護師さんの人数を増やすと点数がつく加算ですよね?
あおい(元・医療事務)
そうです。区分番号A207-4の「看護職員夜間配置加算」ですね。夜間の看護職員の配置を手厚くしている病棟を評価する入院基本料等加算です。ただし配置を増やせば自動的につくわけではなく、施設基準を満たして届出をして、初めて算定候補になります。まず全体像から確認していきましょう。年度は令和8年度(2026年度)の内容で説明します。
みらい(新人医療事務)
よろしくお願いします! まず、どんな病棟でも対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、対象は絞られています。診療所は対象外で、病院の入院基本料の中でも次のいずれかを算定する病棟が対象です。急性期病院一般入院基本料、急性期一般入院基本料、特定機能病院入院基本料(一般病棟)の7対1入院基本料または10対1入院基本料、専門病院入院基本料の7対1入院基本料または10対1入院基本料、のいずれかです。これは施設基準の一部として一次資料に明記されています。
対象患者の限定に注意
点数表の注書きでは「第1節の入院基本料(特別入院基本料等を除く。)のうち、看護職員夜間配置加算を算定できるものを現に算定している患者に限る」とされています。対象の入院基本料を算定していない患者には、この加算単体では算定できません。
みらい(新人医療事務)
なるほど、まず病棟の種類が合っているかどうかが最初の分かれ目なんですね。次に点数が気になります。いくら加算されるんですか?
あおい(元・医療事務)
区分が4つに分かれていて、それぞれ点数が違います。実際の点数表の記載を見てみましょう。
看護職員夜間配置加算(A207-4)の点数区分(令和8年度)

| 区分 | 名称 | 点数(1日につき) |
|---|---|---|
| 1のイ | 看護職員夜間12対1配置加算1 | 110点 |
| 1のロ | 看護職員夜間12対1配置加算2 | 90点 |
| 2のイ | 看護職員夜間16対1配置加算1 | 70点 |
| 2のロ | 看護職員夜間16対1配置加算2 | 45点 |
あおい(元・医療事務)
これは点数表の原文で「A207-4 看護職員夜間配置加算(1日につき) 1 看護職員夜間12対1配置加算 イ 看護職員夜間12対1配置加算1 110点 ロ 看護職員夜間12対1配置加算2 90点 2 看護職員夜間16対1配置加算 イ 看護職員夜間16対1配置加算1 70点 ロ 看護職員夜間16対1配置加算2 45点」と定められています。夜間の看護職員配置が「常時12対1」に近いほど点数が高く設計されている構造ですね。
みらい(新人医療事務)
12対1と16対1で結構点数差がありますね。うちは何対1になるか、どうやって決まるんですか?
あおい(元・医療事務)
それは施設基準の中身次第です。区分ごとに満たすべき条件が異なるので、順番に見ていきましょう。まず看護職員夜間12対1配置加算1からです。
施設基準(区分ごとの確認ポイント)
あおい(元・医療事務)
看護職員夜間12対1配置加算1の施設基準は、大きく分けて次の内容が求められます。年間の緊急入院患者数が200名以上の実績を有する病院、または「周産期医療の体制構築に係る指針」に規定する総合周産期母子医療センターを設置している保険医療機関であること。年間の救急自動車・救急医療用ヘリコプターによる搬送人数を把握していること。対象病棟の入院基本料を算定していること。そして重症度、医療・看護必要度の基準を満たしていることが求められます。
重症度、医療・看護必要度の基準に注意
一次資料には「当該加算を算定するものとして届け出た病床に入院している患者全体に占める基準を満たす患者の割合が、急性期一般入院料6又は10対1入院基本料を算定する病棟においては重症度、医療・看護必要度Ⅰで0.6割以上、重症度、医療・看護必要度Ⅱで0.5割以上であること」と定められています。評価票を用いた継続的な測定と記録が必要です。
みらい(新人医療事務)
重症度の基準まであるんですね……。夜間の人員配置だけの話じゃないんだ。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。そして肝心の夜間看護職員数の基準ですが、「当該病棟において、夜間に看護を行う看護職員の数は、常時、当該病棟の入院患者の数が12又はその端数を増すごとに1に相当する数以上であること」とされています。同一の入院基本料を届け出ている病棟間でのみ傾斜配置ができ、夜勤を行う看護職員の数は各病棟で3人以上であることも必要です。さらに看護職員の負担軽減・処遇改善に資する体制整備や、夜間業務の負担軽減に関する項目(ア〜コ)のうち一定数以上を満たすことも求められます。
みらい(新人医療事務)
項目がたくさんありますね。12対1配置加算2はどう違うんですか?
あおい(元・医療事務)
12対1配置加算2は、12対1配置加算1の要件のうち、負担軽減の業務管理等に関する項目(先ほどの項目群)を除いた部分を満たせば候補になる、という位置づけです。つまり夜間の人員配置や重症度基準などの土台は共通で、追加の働き方改善の取り組み要件がある方が1、ない方が2、というイメージです。
みらい(新人医療事務)
じゃあ16対1の方はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
16対1配置加算1は、対象病棟の要件や重症度基準の評価票の取扱いなど12対1配置加算1と共通する部分に加えて、夜間看護職員数の基準が「常時、入院患者の数が16又はその端数を増すごとに1に相当する数以上」に緩和されます。そして16対1配置加算2は、急性期一般入院料2から6までのいずれかを算定する病棟であることが要件になっていて、要件の組み合わせがさらに簡略化されています。
4区分は「配置の手厚さ」で並んでいる
12対1配置加算1>12対1配置加算2>16対1配置加算1>16対1配置加算2の順に、夜間看護職員の配置基準や付随要件が変わり、それに応じて点数も110点→90点→70点→45点と変わります。自院がどの区分の候補になるかは、実際の夜勤配置人数と重症度、医療・看護必要度の実績データを確認しないと決まりません。
みらい(新人医療事務)
施設基準はわかりました。じゃあ、届出はどうすればいいんですか?
届出の確認
あおい(元・医療事務)
この加算は届出が必要です。施設基準に適合していても、地方厚生局長等への届出をして受理されるまでは算定候補にはなりません。一次資料では「看護職員夜間配置加算に関する施設基準に係る届出は別添7の様式9、様式10、様式13の3及び様式18の3を用いること」とされています。すでに入院基本料等の施設基準を届け出ている場合、様式9については重複して届け出る必要がないケースもあります。
みらい(新人医療事務)
様式がいくつもあるんですね。うちみたいな病院だと、どの様式を使うか事務長と確認したほうがよさそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。様式の詳細や添付書類は年度で見直されることがあるので、届出の直前には必ず最新の官報告示・通知を確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
届出が済んだら、あとは自動でつくんですか?
算定タイミング・回数制限・注意点
あおい(元・医療事務)
自動ではありません。まず算定できる日数に上限があります。一次資料の留意事項には「看護職員夜間配置加算は、当該患者が入院した日から起算して14日を限度として算定できる」と明記されています。入院が長期化しても、15日目以降はこの加算単体では算定できません。
夜勤看護職員「3人以上」の縛りに注意
留意事項通知には「看護職員夜間配置加算は、看護職員の手厚い夜間配置を評価したものであるため、当該基準を満たしていても、基本診療料の施設基準等に定める夜勤の看護職員の最小必要数を超えた3人以上でなければ算定できない」との記載があります。基準上の配置比率を満たしているように見えても、実際の夜勤人数が最小必要数+3人未満だと算定候補になりません。
みらい(新人医療事務)
基準上の対1配置だけじゃなくて、実際の夜勤人数も見られるんですね。うっかり見落としそうです。
あおい(元・医療事務)
はい、ここは実務でつまずきやすいポイントです。あわせて、対象になる患者も「第1節の入院基本料のうち、看護職員夜間配置加算を算定できるものを現に算定している患者」に限られる点、算定区分(12対1配置加算1/2、16対1配置加算1/2)は病棟ごとに1つに定まる点も、レセプト作成時に確認しておきたいところです。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、令和6年度から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料で確認できる範囲でお伝えすると、経過措置の記載から重症度、医療・看護必要度の基準に見直しがあったことが読み取れます。「看護職員夜間配置加算について、令和8年3月31日において現に当該加算に係る届出を行っている保険医療機関にあっては、令和8年9月30日までの間、令和8年度改定後の看護職員夜間配置加算の重症度、医療・看護必要度の基準を満たすものとみなすものであること」という経過措置が設けられています。
前回改定(令和6年度)との対比
経過措置が置かれているのは、令和8年度改定で重症度、医療・看護必要度の基準(評価項目や該当割合など)に見直しが行われたためと考えられます。令和8年3月31日時点で届出済みの医療機関は、令和8年9月30日までは新基準を満たすものとみなされます。ただし、点数(110点/90点/70点/45点)や夜間看護職員の配置比率(12対1・16対1)自体が変更されたかどうかは、本記事で参照した一次資料の範囲では確認されていません。
あおい(元・医療事務)
経過措置の期限(令和8年9月30日)を過ぎると、新基準での評価データが必要になります。すでに届出済みの病棟でも、評価票の運用が改定前のままになっていないか、この機会に確認しておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
「変わったらしい」で終わらせず、経過措置の期限まで意識しておくのが大事なんですね。
自院で確認する順番

自院で確認する順番
- 対象の入院基本料(急性期病院一般入院基本料・急性期一般入院基本料・特定機能病院入院基本料の7対1/10対1・専門病院入院基本料の7対1/10対1)を算定する病棟かを確認する
- 夜間に看護を行う看護職員の実配置数が、常時12対1または16対1の基準を満たすか(かつ各病棟で夜勤3人以上)を確認する
- 重症度、医療・看護必要度Ⅰ又はⅡの評価票で、区分ごとの該当患者割合の基準を満たしているかを確認する
- 看護職員の負担軽減・処遇改善に資する体制の整備状況を確認する(12対1配置加算1・2、16対1配置加算1・2の全区分で必須)。あわせて、夜間業務の負担軽減に資する業務管理等の項目(ア〜コのうちア又はウを含む4項目以上)を満たしているかを確認する(12対1配置加算1・16対1配置加算1で必要)
- 様式9・様式10・様式13の3・様式18の3を用いて地方厚生局長等に施設基準の届出を行う
- 届出が受理されたら、入院した日から起算して14日を限度に算定する
みらい(新人医療事務)
こうやって順番に並べてもらうと、うちがどこで止まりそうか見えてきました。
よくある取り漏れ
配置比率は満たしているのに算定していないケース
夜間の看護職員配置が12対1や16対1の基準を満たしているのに、届出をしていない、または重症度、医療・看護必要度の評価票の運用が止まっていて実績データを示せない、という理由で算定候補から外れてしまうケースがあります。基準を満たしているかどうかは、配置比率だけでなく評価データとセットで確認する必要があります。
14日の起算日を病棟の入院日と混同するケース
「入院した日から起算して14日を限度」という規定は、当該病棟に転棟した日ではなく、患者が入院した日が起点になります。転棟のタイミングによっては、算定できる残り日数を勘違いしやすいポイントです。レセプト担当者と病棟師長で起算日の認識をそろえておくことをおすすめします。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、事務長からよく聞かれそうなことを聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ。この加算は病院の入院基本料等加算であり、診療所は対象外です。対象は病院の入院基本料の中でも施設基準で定められた特定の区分に限られます。
みらい(新人医療事務)
4つの区分のうち、どれを選ぶか自院で決められるんですか?
あおい(元・医療事務)
選ぶというより、実際の夜間看護職員の配置数や重症度、医療・看護必要度の実績データによって、どの区分の施設基準を満たすかが決まってきます。複数の区分の要件を満たせる場合でも、届け出る区分は一つに定まりますので、実態に合った区分で届出をすることになります。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)から重症度基準が厳しくなったんですか?
あおい(元・医療事務)
具体的にどう変わったかまでは、今回参照した一次資料の範囲では確認できていません。確認できたのは、令和8年3月31日時点で届出済みの医療機関に令和8年9月30日までの経過措置が設けられているという事実です。基準の見直しがあったことは読み取れますが、詳細な変更点は公式の個別改定項目資料などで別途確認することをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や夜間の看護職員配置、重症度、医療・看護必要度の実績を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。