みらい(新人医療事務)
あおいさん、うちの病棟に「特殊疾患入院施設管理加算」の届出をするか検討してるみたいなんですけど、これってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
特殊疾患入院施設管理加算(区分A211)ですね。重度の障害がある患者さんや難病の患者さんを中心に受け入れている病棟・有床診療所を対象にした、入院基本料等加算のひとつです。令和8年度(2026年度)の医科点数表に基づいて、点数や施設基準を一緒に確認していきましょう。
みらい(新人医療事務)
お願いします! まず、どんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)には、対象になる病棟・病室として次のように書かれています。「重度の肢体不自由児(者)(脳卒中の後遺症の患者又は認知症の患者であって、その発症前は重度の肢体不自由児(者)でなかった患者を除く。以下単に「重度の肢体不自由児(者)」という。)、脊髄損傷等の重度の障害者、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者又は神経難病患者等を主として入院させる障害者施設等一般病棟等その他の病棟及び有床診療所(一般病床に限る。)において算定する。」とされています。
あおい(元・医療事務)
重度の意識障害者は、JCS(Japan Coma Scale)でⅡ-3(30)以上、またはGCS(Glasgow Coma Scale)で8点以下の状態が2週間以上続いている患者さんなどが該当します。神経難病患者は、多発性硬化症・筋萎縮性側索硬化症・パーキンソン病関連疾患・脊髄性筋萎縮症など、通知に列挙された疾患に罹患している患者さんです。
みらい(新人医療事務)
けっこう対象が細かく決まっているんですね。うちの病棟でどのくらいの割合いればいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
そこは施設基準の話になります。次で点数と一緒に整理しますね。
点数と区分番号(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
まずは点数を教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示(診療報酬の算定方法の一部を改正する件・令和8年厚生労働省告示第69号)には、こう記載されています。「A211 特殊疾患入院施設管理加算(1日につき) 350点」
あおい(元・医療事務)
算定単位は1日につきで、入院日ごとに加算する形です。まとめると次の表のとおりです。
| 項目 | 内容 | 年度 |
|---|---|---|
| 区分番号 | A211 | 令和8年度 |
| 加算名 | 特殊疾患入院施設管理加算 | 令和8年度 |
| 点数 | 350点 | 令和8年度 |
| 算定単位 | 1日につき | 令和8年度 |
| 届出 | 必要 | 令和8年度 |
| 施設基準 | あり(病棟・有床診療所単位) | 令和8年度 |

みらい(新人医療事務)
350点で1日につき、というのはわかりました。ただこの加算、入院基本料そのものじゃなくて「加算」なんですよね?
あおい(元・医療事務)
そうです。告示の注書きにはこう続いています。「注 重度の障害者(重度の意識障害者を含む。)、筋ジストロフィー患者又は難病患者等を主として入院させる病院の病棟又は有床診療所に関する別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして、保険医療機関が地方厚生局長等に届け出た病棟又は有床診療所に入院している患者(第1節の入院基本料(特別入院基本料等を含む。)のうち、特殊疾患入院施設管理加算を算定できるものを現に算定している患者に限る。)について、所定点数に加算する。ただし、この場合において、難病等特別入院診療加算は算定しない。」
あおい(元・医療事務)
つまり、対象の入院基本料を現に算定している患者さんに、1日につき350点を上乗せする形の加算です。そして最後の一文が重要で、この加算を算定する患者さんには「難病等特別入院診療加算」は算定しない、と明記されています。併算定の可否を確認するときは、この一文を見落とさないようにしたいですね。
みらい(新人医療事務)
なるほど、併算定できない加算がはっきり書いてあるんですね。じゃあ次は、届出のための施設基準を教えてください!
施設基準の確認ポイント
あおい(元・医療事務)
施設基準は「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日 保医発0305第7号)の「第5 特殊疾患入院施設管理加算」に定められています。まず病棟・病室の単位についてで、「病院である保険医療機関の一般病棟(障害者施設等一般病棟に限る。)、精神病棟又は有床診療所(一般病床に限る。)を単位とすること。」とされています。
あおい(元・医療事務)
続いて、対象患者さんの割合についての基準です。「当該病棟又は当該有床診療所(一般病床に限る。)における直近1か月間の入院患者数の7割以上が、重度の肢体不自由児(者)(脳卒中の後遺症又は認知症の患者であって、その発症前は重度の肢体不自由児(者)でなかった患者を除く。)、脊髄損傷等の重度障害者(脳卒中の後遺症又は認知症の患者であって、その発症前は脊髄損傷等の重度障害者でなかった患者を除く。)、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者又は神経難病患者であること。なお、該当患者の割合については、暦月で3か月を超えない期間の1割以内の一時的な変動にあっては、施設基準に係る変更の届出を行う必要はないこと。」と定められています。
みらい(新人医療事務)
直近1か月の入院患者さんの7割以上、というのが基準なんですね。多少の変動は届出し直さなくていいんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、暦月で3か月を超えない期間・1割以内の一時的な変動であれば、施設基準の変更届は不要とされています。ただし「一時的」という条件がついているので、継続的に割合が下がっている場合は要確認です。自院で判断がつかないときは、地方厚生局への確認が必要になります。
よくある確認漏れ
対象患者の7割要件は「届出時点」だけでなく「その後の継続」も基準です。人員異動や退院で対象患者の割合が変わった場合、暦月3か月・1割を超える変動は施設基準の届出内容の見直しが必要になる可能性があります。
みらい(新人医療事務)
届出の様式はどれを使えばいいんですか?
あおい(元・医療事務)
同じ通知に、届出様式についての記載があります。「特殊疾患入院施設管理加算の施設基準に係る届出は、別添7の様式9、様式19及び様式20を用いること。」とされています。
あおい(元・医療事務)
様式9・19・20の3種類を使う点は、他の入院基本料等加算と混同しやすいところなので、届出書類を揃える段階で必ず確認してください。
届出の要否と確認の順番
みらい(新人医療事務)
うちの病棟が対象になるかどうか、確認する順番を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
それでは、自院で確認する順番をステップにまとめますね。
自院で確認する順番
- 対象病棟の種類を確認する: 病院の一般病棟(障害者施設等一般病棟に限る)、精神病棟、または有床診療所(一般病床に限る)であるかを確認します。
- 対象患者の割合を確認する: 直近1か月の入院患者数のうち、重度の肢体不自由児(者)・脊髄損傷等の重度障害者・重度の意識障害者・筋ジストロフィー患者・神経難病患者が7割以上いるかを確認します。
- 算定対象の入院基本料を確認する: 特殊疾患入院施設管理加算を算定できる入院基本料(特別入院基本料等を含む)を現に算定している患者さんかどうかを確認します。
- 併算定の可否を確認する: 難病等特別入院診療加算と重複していないかを確認します。
- 届出様式を準備する: 別添7の様式9・様式19・様式20を用いて地方厚生局長等に届け出ます。

みらい(新人医療事務)
この順番で見ていけば整理しやすそうです! 届出済みなら、もう算定候補と考えていいんですか?
あおい(元・医療事務)
届出をしていれば算定候補にはなりますが、そこで安心して終わりにはできません。日々の入院患者さんが実際に対象疾患に該当するか、そして難病等特別入院診療加算などとの重複がないかは、レセプトのたびに確認が必要です。届出済み=すべて算定できる、ではなく「候補として確認を続ける」というスタンスが安全です。
断定できない理由
特殊疾患入院施設管理加算の算定可否は、病棟の届出状況・入院患者さんの状態・他の加算との重複関係によって変わります。本記事の内容だけで「算定できる」と判断せず、必ず自院の届出内容と個々の患者さんの状態を照らし合わせて確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の通知「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日 保医発0305第7号)には、令和8年度改定で施設基準が改正された項目の一覧表が示されています。特殊疾患入院施設管理加算は、そのうち「表3 施設基準が改正された入院基本料等(届出を必要としないもの)」の一覧に含まれています。
あおい(元・医療事務)
つまり、令和8年度改定で施設基準の内容に改正はあったものの、令和8年5月31日時点で既にこの加算を算定・届出していた保険医療機関は、新たに届出をし直す必要はない、という扱いです。点数は350点(1日につき)のまま据え置かれています。改正の詳細な条文差分までは、この一次資料の範囲では確認できていません。新規に届出を検討する医療機関は、上記の施設基準(病棟単位・対象患者7割以上・届出様式9,19,20)を現行の要件として確認してください。
前回→今回の整理
令和6年度改定時点の詳細な施設基準文言までは本記事の一次資料の範囲では確認できていません。令和8年度改定では「施設基準の改正はあったが、既届出医療機関の再届出は不要」という扱いが厚生労働省通知に明記されています。新規届出を検討する場合は、令和8年度時点の施設基準(本記事に記載の内容)で確認してください。
みらい(新人医療事務)
既に届出している病院は安心していいけど、これから届出する場合は今の基準をちゃんと見ないといけないんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。届出時期によって適用される基準が変わることもあるので、地方厚生局への確認と合わせて進めるのが確実です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが気になりそうなことをいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです、どうぞ。
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
有床診療所(一般病床に限る)であれば対象になり得ますが、無床診療所や外来では対象になりません。入院基本料等加算という位置づけなので、入院している患者さんが対象です。施設基準に適合し届出をしているかどうかの確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
対象患者の7割という基準は、どのタイミングで数えるんですか?
あおい(元・医療事務)
通知には「直近1か月間の入院患者数」の7割以上、とあります。届出時点だけでなく、その後も継続的に基準を満たしているかを確認する運用が必要です。暦月3か月を超えない・1割以内の一時的な変動は施設基準の変更届は不要とされていますが、それを超える変動がある場合は要確認です。
みらい(新人医療事務)
難病等特別入院診療加算とはどう違うんですか?
あおい(元・医療事務)
名前が似ていて紛らわしいのですが、告示の注書きに「特殊疾患入院施設管理加算を算定する場合は、難病等特別入院診療加算は算定しない」と明記されています。つまり両方を同時に算定することはできず、どちらか一方を選ぶ関係にある加算です。自院がどちらの届出をしているか、レセプト作成時に確認してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。