みらい(新人医療事務)
あおいさん、院長から「うちの入院患者さん、超重症児(者)入院診療加算の算定候補になるかもしれないから確認しておいて」って言われたんです。名前は聞いたことがあるんですけど、正直どういう加算なのかよくわかっていなくて…。
あおい(元・医療事務)
超重症児(者)入院診療加算・準超重症児(者)入院診療加算ですね。区分番号はA212、入院基本料等加算のグループに入る加算です。名前のとおり、状態がとても重い患者さんが入院しているときに、入院基本料や特定入院料に上乗せして算定候補になる加算ですよ。
みらい(新人医療事務)
「超重症」と「準超重症」で分かれているんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、対象になる患者さんの状態の重さで2段階に分かれています。どちらも保険医療機関に入院している患者さんが対象で、厚生労働大臣が定める判定基準を満たしているかどうかがポイントになります。この判定基準の中身は後でくわしく説明しますね。
対象になる患者・医療機関
みらい(新人医療事務)
まず、どんな医療機関のどんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
対象医療機関は診療所・病院の両方で、入院している患者さんが対象です。外来や在宅は対象になりません。年齢による区分もあって、判定基準を満たしていれば適用され、点数は6歳未満か6歳以上かで変わります。
みらい(新人医療事務)
年齢だけで判定するわけじゃないんですよね?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)には、対象になる患者像が具体的に書かれています。基本は「出生時、乳幼児期又は小児期等の15歳までに障害を受けた児(者)で、当該障害に起因して超重症児(者)又は準超重症児(者)の判定基準を満たしている児(者)」です。それ以外にも、重度の肢体不自由児(者)(脳卒中の後遺症の患者又は認知症の患者であって、その発症前は重度の肢体不自由児(者)でなかった者を除きます)、脊髄損傷等の重度障害者(同じく、脳卒中の後遺症・認知症が原因で、その発症前は重度障害者でなかった者は除きます)、重度の意識障害者(平成24年3月31日時点で30日以上継続してこの加算を算定している患者に限られ、新たに該当する患者さんは原則として対象になりません)、筋ジストロフィー患者、神経難病患者等についても、(2)又は(3)の判定基準を満たしていれば対象になり得ると通知に明記されています。ただし今挙げた3つの類型にはそれぞれ除外・限定の条件が付いているので、「該当しさえすれば誰でも対象」ではない点に注意してくださいね。
みらい(新人医療事務)
「15歳までに障害を受けた」という条件、見落としがちですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。年齢が上がっていても、障害を受けた時期が要件になっているので、カルテや診療情報で確認しておく必要がありますよ。
点数の区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はいくらになるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表(令和8年厚生労働省告示第69号)別表第一によると、A212 超重症児(者)入院診療加算・準超重症児(者)入院診療加算(1日につき)は、次のように区分されています。
| 区分 | 対象年齢 | 点数(1日につき) |
|---|---|---|
| 超重症児(者)入院診療加算 | 6歳未満 | 800点 |
| 超重症児(者)入院診療加算 | 6歳以上 | 400点 |
| 準超重症児(者)入院診療加算 | 6歳未満 | 200点 |
| 準超重症児(者)入院診療加算 | 6歳以上 | 100点 |

みらい(新人医療事務)
6歳未満か以上かで点数が倍くらい違うんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。あわせて、告示の注3には「救急・在宅重症児(者)受入加算」という上乗せの点数も定められています。自宅から入院した患者さんや、他の医療機関の特定集中治療室管理料・新生児特定集中治療室管理料等を算定したことのある患者さんが転院してきた場合に、入院・転院した日から起算して5日を限度として、1日につき200点をさらに所定点数に加算すると書かれています。
みらい(新人医療事務)
加算の中にもう一段階の加算があるんですね、ちょっと複雑…。
あおい(元・医療事務)
慣れないと複雑に感じますよね。でも該当する患者さんが自宅や急性期病院から来たかどうかを確認するだけなので、順番に見ていけば大丈夫ですよ。
判定基準(超重症・準超重症のスコア)
みらい(新人医療事務)
さっきから出てくる「判定基準」って、具体的にどう確認すればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には、超重症児(者)入院診療加算の対象となる超重症の状態について「基本診療料施設基準通知の別添6の別紙14の『超重症児(者)・準超重症児(者)の判定基準』による判定スコアが25以上のものをいう」と書かれています。準超重症児(者)入院診療加算は、同じ判定基準による判定スコアが10以上のものが対象です。
判定スコアは主治医・看護部門が確認する項目
判定スコアは、レセプト担当者だけで完結できるものではありません。基本診療料施設基準通知の別紙にある判定基準表に沿って、主治医や看護部門が患者さんの状態(人工呼吸器管理・気管切開・複数回の吸引など)を確認し、スコア25以上(超重症)・10以上(準超重症)に該当するかを見ていく必要があります。事務側は「スコア表による判定が記録に残っているか」を確認する役割になります。
みらい(新人医療事務)
判定は現場の医師や看護師さんの確認が前提なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。事務だけで判断できる項目ではないので、算定候補かどうかを最終的に決めるのは、判定スコアの記録と医師の確認があってこそです。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
この加算、施設基準の届出は必要なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
カグヤに登録されている資料の範囲では、この加算は入院基本料等加算(A章)の一つで、患者さんの状態・要件に基づいて入院料に加算する形になっています。届出については「届出: 不要」という整理がされていて、他の多くの施設基準系加算のように事前の届出書提出が前提条件にはなっていないと確認できています。
断定は禁止・自院での最終確認が必要
「届出不要」という整理は資料の範囲で確認できたものです。ただし、これは個々の医療機関の体制や、実際の患者さんが判定基準を満たしているかどうかまで保証するものではありません。最終的な算定可否は、自院の診療録・判定スコアの記録・審査支払機関の判断を必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
届出がいらないからといって、誰でもすぐ算定候補になるわけじゃないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。届出という「手続き」のハードルはなくても、「対象患者の状態」というハードルはしっかりあります。ここを混同しないようにしたいですね。
算定できる期間・救急/在宅からの受け入れ加算
みらい(新人医療事務)
いつまでもずっと算定候補になり続けるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、期間には限度があります。告示の注5には「超重症児(者)入院診療加算・準超重症児(者)入院診療加算は、一般病棟(障害者施設等入院基本料、特殊疾患病棟入院料及び特殊疾患入院医療管理料を算定する病棟又は病室を除く。)においては、入院した日から起算して90日間に限り算定する」と定められています。
90日ルールに注意
一般病棟に入院している患者さんの場合、入院した日から起算して90日間という上限があります。長期入院になっている患者さんについては、算定日数の管理台帳などで起算日と経過日数を必ず確認してください。障害者施設等入院基本料・特殊疾患病棟入院料・特殊疾患入院医療管理料を算定する病棟・病室は、この90日ルールの対象外とされています。
みらい(新人医療事務)
救急・在宅重症児(者)受入加算のほうは、期間の考え方が違うんでしたよね。
あおい(元・医療事務)
はい。こちらは自宅からの入院、または急性期医療を担う病院からの転院で、あらかじめ特定集中治療室管理料の小児加算・小児特定集中治療室管理料・新生児特定集中治療室管理料・新生児特定集中治療室重症児対応体制強化管理料・新生児集中治療室管理料のいずれかを算定したことがある患者さんが対象で、入院・転院した日から起算して5日を限度に算定候補になります。同一医療機関内での「転棟」は対象にならない点にも注意が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、その点は今この場では断定できません。カグヤに収録されている令和8年度の一次資料(告示第69号の医科点数表、保医発0305第6号の留意事項通知)を確認した範囲では、前回改定との差分を整理した専用資料はまだ収録されておらず、点数や判定基準そのものに変更があったかどうかを一次資料で突合できていない状態です。
みらい(新人医療事務)
つまり「変わっていない」と決めつけずに、確認が必要ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。前回改定(令和6年度)からの変更点は、本記事作成時点(2026年7月)の一次資料の範囲では確認されていません。もし院内で令和6年度の資料と点数・要件を比較したい場合は、厚生労働省の告示・通知の原文を年度ごとに突き合わせて確認することをおすすめします。
改定差分の確認は年度をそろえて
点数表や通知を見比べるときは、必ず「令和6年度(2024年度)」の資料か「令和8年度(2026年度)」の資料かを確認してから読んでください。年度の異なる資料を混在させて比較すると、実際には変わっていない部分を「変更あり」と誤認するおそれがあります。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの病棟でこの加算の算定候補になるかを確認するには、どういう順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で確認していくと整理しやすいですよ。
自院で確認する順番
- 対象患者か: 出生時・乳幼児期・小児期等の15歳までに障害を受けた児(者)か、または重度の肢体不自由児(者)・脊髄損傷等の重度障害者・重度の意識障害者・筋ジストロフィー患者・神経難病患者等に該当するかを確認する
- 判定スコアを確認: 「超重症児(者)・準超重症児(者)の判定基準」で超重症25点以上・準超重症10点以上に該当する記録が診療録にあるかを主治医・看護部門と確認する
- 入院基本料等の算定要件を確認: 現に算定している入院基本料(特別入院基本料等を含む)または特定入院料が、この加算を算定できるものに該当するかを確認する
- 算定期間を確認: 一般病棟の場合は入院した日から起算して90日以内か、対象外病棟(障害者施設等入院基本料等)に該当しないかを確認する
- 救急・在宅重症児(者)受入加算の該当有無を確認: 自宅からの入院・急性期病院からの転院で、対象となる集中治療室管理料等を算定した実績があるかを確認する

みらい(新人医療事務)
この順番なら、事務としてどこを確認すればいいか整理できそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。事務だけで完結する項目と、医師・看護部門の確認が必要な項目が混ざっているので、院内でチェックリスト化しておくと迷わずに済みますよ。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
取り漏れしやすいポイントがあれば教えてください。
取り漏れその1: 90日の起算日管理
一般病棟に入院している患者さんについて、90日という上限の起算日を管理できていないケースがあります。長期入院の患者さんは、入院日からの経過日数を定期的に見直す運用にしておくと取り漏れ・算定超過の両方を防ぎやすくなります。
取り漏れその2: 救急・在宅重症児(者)受入加算の見落とし
超重症児(者)入院診療加算・準超重症児(者)入院診療加算そのものは算定候補にしていても、自宅や他院からの転院時に上乗せできる救急・在宅重症児(者)受入加算(1日につき200点、5日限度)を見落としているケースがあります。入院・転院の経緯を確認するタイミングであわせてチェックしておきたいポイントです。
みらい(新人医療事務)
加算そのものだけじゃなくて、上乗せ部分もセットで確認するのが大事なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。入退院の経緯を記録する仕組みがあると、この確認がスムーズになりますよ。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?届出が不要なら、判定さえ満たせばすぐ算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
判定スコアの要件を満たしていることに加えて、対象となる入院基本料・特定入院料を現に算定していることや、算定期間(90日ルール等)の条件もあわせて満たす必要があります。届出が不要という点だけで判断せず、要件全体を確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
資料の範囲では、この加算は診療所・病院どちらも対象とされています。ただし、入院している患者さんが対象なので、外来のみの診療所では対象になりません。
みらい(新人医療事務)
令和6年度の資料と比べて何か注意することはありますか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)からの変更点は、本記事作成時点の一次資料の範囲では確認されていません。ただ、資料は随時更新されるので、算定を検討する際はその都度、最新の年度の告示・通知を確認するようにしてください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する入院基本料等加算として、特定感染症入院医療管理加算 や 在宅患者緊急入院診療加算 もあわせて確認しておくと理解が深まりますよ。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。