みらい(新人医療事務)
「看護・多職種協働加算」って初めて聞く名前です。これって何のための加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)診療報酬改定で新しくできた加算ですよ。急性期の病棟で、看護職員だけでなくリハビリ職や管理栄養士、臨床検査技師などの多職種が協働して患者さんをケアする体制を評価するものです。
みらい(新人医療事務)
新設ということは、前回改定(令和6年度)以前は同じような加算はなかったんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、厚生労働省の説明資料でも「看護・多職種協働加算を新設」と明記されています。前身にあたる加算は確認できませんでした。区分番号はA215で、A213看護配置加算・A214看護補助加算のすぐ後に新設された加算です。
この加算は何のための加算か
みらい(新人医療事務)
どんな病院・病棟が対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
対象は病院に限られます。しかも入院基本料全体ではなく、急性期一般入院料4を算定している病棟、または急性期病院B一般入院料を算定している病棟のいずれかが対象です。診療所や外来、在宅では対象になりません。
みらい(新人医療事務)
A215のすぐ隣に「A304 地域包括医療病棟入院料」という表記が見えたんですが、これも対象なんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の告示注では、対象は急性期一般入院料4と急性期病院B一般入院料の2つのみと明記されています。地域包括医療病棟入院料はマスターの並び順として近い位置にあるだけで、看護・多職種協働加算の対象病棟としては確認できていません。混同しないよう注意してください。
みらい(新人医療事務)
対象患者は入院患者全体という理解でいいですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。対象病棟に入院している患者さんについて、算定候補になる加算です。ただし施設基準の届出をした病棟に限られますので、届出の有無がまず前提になります。
点数・区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
肝心の点数はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
1日につき2つの区分があります。急性期一般入院料4を算定している患者については看護・多職種協働加算1、急性期病院B一般入院料を算定している患者については看護・多職種協働加算2として、それぞれ所定点数に加算する形です。
| 区分 | 点数 | 対象入院料 |
|---|---|---|
| 看護・多職種協働加算1 | 277点 | 急性期一般入院料4 |
| 看護・多職種協働加算2 | 255点 | 急性期病院B一般入院料 |
みらい(新人医療事務)
どちらも1日単位で加算されるんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。告示の見出しにも「(1日につき)」と明記されています。月単位や回数制限ではなく、算定候補になる病棟に入院している日ごとに加算する形になります。

施設基準(人員配置・体制要件)
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するには、どんな体制が必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の注には「看護職員を含む多職種が協働して適時かつ適切に専門的な指導及び診療の補助を行う体制その他の事項につき、厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た病棟」であることが条件として明記されています。
みらい(新人医療事務)
「多職種」って具体的にはどの職種を指すんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、看護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士及び臨床検査技師の配置基準に応じて算定するとされています。それぞれの職種が専門性に基づいて役割分担する体制です。
配置人数の目安
- 人員配置: 患者数25人またはその端数を増すごとに1人以上の看護職員・多職種の配置が必要という基準が、改定内容を示す資料で確認できます
- 職種の柔軟性: 疑義解釈では「看護職員のみの配置で他職種を配置しなくても算定できる」と示されており、必ずしも全職種の配置が必須ではありません
- 業務時間の制約: 配置された職員が病棟業務に従事している時間は、原則として特掲診療料を別に算定できないという制限があります
みらい(新人医療事務)
看護必要度とか平均在院日数みたいな数値基準もあるんですか?
あおい(元・医療事務)
改定内容を示す資料では、重症度・医療看護必要度の一定基準や平均在院日数、自宅等退院割合といった複数の要件が挙げられていました。ただし、確定した具体的な割合や日数の数値は、今回確認できた一次資料の範囲では特定できていません。数値基準は必ず貴院所轄の地方厚生局が公表する施設基準の告示・通知でご確認ください。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていれば、自動的に算定できるようになるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、届出が必要です。届出をしていない病棟では算定候補になりません。地方厚生局の届出様式には「看護・多職種協働加算」の施設基準に係る届出として、届出番号「1-056」(通称「看多協」)が割り当てられています。
みらい(新人医療事務)
届出さえ出せば、それで確認は終わりですか?
あおい(元・医療事務)
届出の前提として、届出を行う前6か月間に、当該届出に係る事項に関し不正又は不当な届出(法令の規定に基づくものに限る)を行ったことがないことが確認項目として様式に含まれています。届出書の内容を実態と照らして確認する作業が必要です。
届出前の確認ポイント
届出書には過去6か月の運用実態に関する確認項目が含まれます。施設基準を満たしているつもりでも、記録や様式の不備で届出が受理されないケースがあるため、届出前に様式の各項目を一つずつ確認することをおすすめします。
算定タイミング・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
配置された職員は、他の診療の点数を別に算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
原則としてできません。留意事項通知では、看護・多職種協働加算で配置された職員が病棟業務に従事している時間は、第2章特掲診療料の点数は別に算定できないとされています。
みらい(新人医療事務)
例外はないんですか?
あおい(元・医療事務)
一つだけ例外があります。勤務時間の大部分を病棟に配置され、リハビリテーション料(摂食機能療法を除く)の算定を行わない職員に限り、摂食機能療法の算定は可能とされています。それ以外は基本的に併算定できないと考えたほうがよさそうです。
みらい(新人医療事務)
他の加算と重複して配置カウントすることはできますか?
あおい(元・医療事務)
疑義解釈では、別の加算(リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算)の専従・専任職員が病棟で従事する時間を、看護・多職種協働加算の勤務実績として様式に重複記載することは「不可」と示されています。配置人員のカウントは加算ごとに独立して管理する必要があります。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定のときは、この加算はどうなっていましたか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)の時点では、看護・多職種協働加算という区分自体が存在していません。厚生労働省の説明資料には「看護職員や他の医療職種が協働して病棟業務を行う体制を評価する、看護・多職種協働加算を新設」と明記されており、令和8年度(2026年度)改定での新設加算です。
前回改定との対比
- 令和6年度(2024年度)改定時点: 該当する区分番号・加算は確認されていません
- 令和8年度(2026年度)改定: 区分番号A215「看護・多職種協働加算」として新設。急性期一般入院料4(277点)・急性期病院B一般入院料(255点)の2区分
みらい(新人医療事務)
新設ということは、既に届出をしている病院はまだ少なそうですね。
あおい(元・医療事務)
断定はできませんが、新設加算は制度の理解や体制整備に時間がかかることが多いです。対象病棟に該当する病院であれば、早めに施設基準の充足状況を確認しておく価値はありそうです。

自院で確認する順番
自院で確認する順番
-
対象入院料か確認する — 急性期一般入院料4、または急性期病院B一般入院料を算定している病棟かどうかを確認する
-
多職種の配置状況を確認する — 看護職員を含む多職種が、患者数25人ごとに1人以上配置できる体制になっているかを確認する
-
業務範囲・記録の整備を確認する — 各職種の役割分担や協働の記録が整理されているか、様式9などの勤務実績記録が適切に付けられているかを確認する
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数値基準の該当を地方厚生局の告示・通知で確認する — 重症度・医療看護必要度、平均在院日数、自宅等退院割合などの確定基準値を、貴院所轄の地方厚生局が公表する資料で確認する
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届出様式(1-056・看多協)を準備する — 過去6か月の運用実態を含めて様式の各項目を確認し、地方厚生局へ届出を行う
よくある取り漏れ
見落としやすいポイント
- 地域包括医療病棟入院料は対象外の可能性: マスター上でA215の近くに表示されるが、告示注に明記された対象入院料には含まれていない
- 他職種を配置しなくても算定候補になりうる: 疑義解釈では看護職員のみの配置でも算定できるとされているため、多職種が揃わないと諦める前に確認する価値がある
- 配置職員の別点数算定制限を見落としやすい: 病棟業務に従事している時間帯は、原則として特掲診療料を別算定できない点に注意
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか気になっていることを聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。どうぞ。
みらい(新人医療事務)
診療所でもこの加算を算定候補にできますか?
あおい(元・医療事務)
できません。対象は病院の急性期一般入院料4または急性期病院B一般入院料を算定する病棟に限られており、診療所は対象に含まれていません。
みらい(新人医療事務)
加算1と加算2は同じ病棟で両方算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の注では、算定している入院料に応じてどちらか一方を所定点数に加算するという建て付けです。同じ患者について両方を同時に算定するものではなく、算定している入院料区分によって加算1か加算2かが決まります。
みらい(新人医療事務)
施設基準の数値要件がまだよくわからないんですが、どこで確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
確定した割合や日数の基準は、貴院所轄の地方厚生局が公表する施設基準の告示・通知、または届出様式の記載事項で確認するのが確実です。今回の記事執筆時点の一次資料の範囲では確定数値の全てを特定できていないため、記事だけで判断せず必ず一次資料をご確認ください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象入院料や多職種の配置状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は以下の厚生労働省公式資料を根拠としています。詳細な施設基準・届出手続きは必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚生労働省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)別表第一 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)別添1 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713882.pdf
- 個別改定項目について(令和8年1月23日 中医協総-2) https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001639439.pdf
- 疑義解釈資料の送付について(その2)(令和8年4月1日 厚生労働省保険局医療課事務連絡) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001689076.pdf
- 令和8年度診療報酬改定 急性期・高度急性期入院医療(厚労省保険局医療課 説明資料) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001671032.pdf
- 基本診療料の施設基準等に係る届出書 別添7[看多協](関東信越厚生局) https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/r8-1-056.pdf
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。施設基準の一部数値要件は本記事執筆時点の一次資料で確定値を確認できていません。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。