みらい(新人医療事務)
「療養病棟療養環境加算」って名前を初めて見たんですけど、うちの病院は療養病棟があるので、算定候補になるか気になっています。
あおい(元・医療事務)
いい着眼点ですね。療養病棟療養環境加算は、区分A222として入院基本料等加算(A章)に位置づけられている加算です。療養病棟に入院している患者について、病室の広さや設備などの施設基準を満たし、地方厚生局長等に届け出た病棟であれば、所定点数に上乗せする形で算定されます。令和8年度(2026年度)時点でも、この位置づけ自体は変わっていません。
みらい(新人医療事務)
「療養病棟療養環境改善加算」というのも見た気がするんですが、別物ですか?
あおい(元・医療事務)
はい、区分A222-2として別区分になっています。名前が似ていて混同しやすいので、後ほど注意点としてもう一度触れますね。まずは今回のA222(療養病棟療養環境加算)から順番に確認していきましょう。
療養病棟療養環境加算とは
みらい(新人医療事務)
そもそも、この加算はどんな目的で設けられているんですか?
あおい(元・医療事務)
療養病棟は長期の療養を必要とする患者さんが入院する病棟です。病室の広さにゆとりを持たせたり、機能訓練室・食堂・談話室・浴室といった設備を整えたりしている保険医療機関を評価する加算、という位置づけです。当サイトが参照している公式資料には、次のように記載されています。
根拠(告示・注)
療養病棟であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして保険医療機関が地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者(第1節の入院基本料(特別入院基本料等を除く。)のうち、療養病棟療養環境加算を算定できるものを現に算定している患者に限る。)について、当該基準に係る区分に従い、所定点数に加算する。
みらい(新人医療事務)
「区分に従い」というのは、加算が複数段階あるということですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。療養病棟療養環境加算には1と2の2区分があり、それぞれ施設基準の充足度に応じて点数が変わります。次の見出しで対象、その次で点数を整理しますね。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
対象になる医療機関・患者について、もう少し具体的に教えてください。
あおい(元・医療事務)
この加算は入院基本料等加算に分類されているため、療養病棟を持つ病院での入院診療が前提です。診療所は対象区分が異なります(診療所の療養病床には別区分の「診療所療養病床療養環境加算」があります)。対象患者は、療養病棟に入院していて、かつ療養病棟療養環境加算を算定できる入院基本料を現に算定している患者に限られます。
対象の整理(令和8年度)
- 対象医療機関: 病院(療養病棟を有すること)
- 対象病棟: 療養病棟であって、施設基準に適合し地方厚生局長等に届け出た病棟
- 対象患者: 当該病棟に入院し、療養病棟療養環境加算を算定できる入院基本料(特別入院基本料等を除く)を現に算定している患者
- 対象外の可能性: 診療所・外来・在宅は対象外の可能性が高い区分です
みらい(新人医療事務)
うちは病院で療養病棟もあるので、まず対象の入口には立てそうです。次は点数が気になります。
点数・区分(令和8年度)
あおい(元・医療事務)
点数は施設基準の充足度に応じて2区分に分かれています。当サイトが参照している令和8年厚生労働省告示第69号の記載は次のとおりです。
| 区分 | 点数 | 単位 |
|---|---|---|
| 療養病棟療養環境加算1 | 132点 | 1日につき |
| 療養病棟療養環境加算2 | 115点 | 1日につき |

みらい(新人医療事務)
加算1のほうが点数が高いんですね。どちらの区分になるかは、何で決まるんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の充足度です。加算1は病室・機能訓練室・食堂・談話室・浴室に加えて病棟全体の床面積要件まで満たす必要があり、加算2は病棟床面積の要件を除いた基準を満たせば算定候補になります。次の見出しで具体的な基準を確認しましょう。
施設基準
みらい(新人医療事務)
具体的にはどんな基準があるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが参照している施設基準に関する通知の記載をもとにまとめると、次のようになります。加算1・加算2とも共通する基準が多く、加算1だけに病棟全体の床面積要件が追加される形です。
療養病棟療養環境加算1に関する施設基準(令和8年度)
- 病室の病床数: 1病室につき4床以下であること
- 病室の床面積: 内法測定で患者1人につき6.4平方メートル以上であること
- 廊下幅: 内法測定で1.8メートル以上(両側に居室がある廊下は2.7メートル以上)
- 機能訓練室: 床面積40平方メートル以上、必要な器械・器具(訓練マット・車椅子・各種杖・角度計・握力計等)を備えていること
- 食堂: 患者1人につき内法測定で1平方メートル以上の広さ
- 談話室: 入院患者同士や家族が談話を楽しめる広さ(食堂と兼用可)
- 浴室: 身体の不自由な患者の利用に適した浴室
- 病棟床面積: 患者1人につき内法測定で16平方メートル以上(治療室・機能訓練室・浴室・廊下・デイルーム・食堂・面会室・ナースステーション・便所等を含めて算入可)
みらい(新人医療事務)
加算2はどう違うんですか?
あおい(元・医療事務)
加算2は、いま挙げた基準のうち「病棟床面積16平方メートル以上」の項目を除いた基準を満たしていることが条件です。つまり病室の床面積や機能訓練室、食堂・談話室・浴室の要件は加算1・2で共通し、病棟全体の床面積要件だけが加算1固有、という整理になります。
施設基準の確認は自院の実測が必須
床面積・廊下幅・病床数などは内法(うちのり)による実測が前提です。図面上の数値と実測値がずれているケースもあるため、届出前に必ず自院で実測・確認してください。施設基準を満たしているかどうかの最終判断は、自院の届出内容と地方厚生局の審査によります。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
施設基準はわかりました。じゃあ届出ってどうすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
療養病棟療養環境加算1・2の施設基準に係る届出は、所定の届出様式を用いて地方厚生局長等に提出します。あわせて、当該病棟の平面図(加算を算定する病棟の面積等がわかるもの)を添付する必要があります。なお、この加算の届出については実績(一定期間の運用実績)を要しないとされています。
みらい(新人医療事務)
経過措置のようなものはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが参照している通知には、過去の一定時点で既に当該加算の届出を行っていた保険医療機関については、当該病棟の増築または全面的な改築を行うまでの間は現行の規定を満たしているものとする、という経過措置の記載があります。自院がこの経過措置の対象になるかどうかは、届出時期や病棟の改築履歴によって変わるため、自院の届出状況を個別に確認してください。
届出済みであれば算定候補になるケース
- 施設基準を満たし、地方厚生局長等への届出が受理されている場合は、療養病棟療養環境加算1または2の算定候補になります。
- 届出がまだの場合や、届出内容と病棟の現況にずれがある場合は、算定候補として扱う前に届出の見直しが必要です。
算定タイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングや、気をつけたほうがいい点はありますか?
あおい(元・医療事務)
単位は「1日につき」なので、対象患者が対象病棟に入院している日ごとに、届出済みの区分(1または2)で算定する形になります。注意点は主に2つです。
療養病棟療養環境改善加算(A222-2)との混同に注意
名称がよく似ている「療養病棟療養環境改善加算」(区分A222-2)は、療養病棟療養環境加算(A222)とは別区分の加算で、施設基準・点数も異なります。どちらの区分で届出をしているか、レセプトの記載区分を含めて必ず自院で確認してください。
入院基本料の種類による制限
療養病棟療養環境加算は、特別入院基本料等を除く入院基本料(第1節)を現に算定している患者が対象です。特別入院基本料等を算定している患者については、算定対象になるかどうかを個別に確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
「加算1と2のどちらか一方しか算定できない」という理解でいいですか?
あおい(元・医療事務)
基本的には、届け出た区分(1または2)に応じた点数を算定する形です。どちらの区分で届け出るか、また届出内容の変更が必要かどうかは、自院の施設基準の充足状況によって判断が分かれるため、確認が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが保有する一次資料(令和8年厚生労働省告示第69号・第70号、施設基準に関する通知)の範囲で確認した限りでは、療養病棟療養環境加算(A222)の点数区分(132点・115点)や、区分A222として整理されている位置づけそのものについて、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(確認日: 2026年7月)。
変更差分の確認について
今回の記事執筆では、当サイトが保有する令和8年度の一次資料と照合を行いましたが、令和6年度時点の同項目の一次資料が当サイトのデータベースに未整備のため、詳細な新旧対比までは行えていません。改定年度をまたぐ厳密な差分確認をご希望の場合は、厚生労働省が公開する「個別改定項目について」等の一次資料もあわせてご確認ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの病院はどう確認を進めればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認するとわかりやすいです。
自院で確認する順番
- 対象病棟が療養病棟であり、対象患者が特別入院基本料等を除く入院基本料を現に算定しているかを確認する
- 病室の病床数・床面積、廊下幅、機能訓練室、食堂、談話室、浴室の施設基準(加算1・2共通部分)を実測で確認する
- 加算1を目指す場合は、病棟床面積16平方メートル以上の要件も実測で確認する
- 地方厚生局長等への届出状況(様式・平面図の添付、経過措置の該当有無)を確認する
- 届出済みの区分(1または2)とレセプトの記載区分が一致しているかを確認する

みらい(新人医療事務)
こうやって順番に並べてもらえると、自院で何をチェックすればいいかが見えてきますね。
よくある取り漏れ
あおい(元・医療事務)
実務でよく見られる取り漏れも共有しておきますね。
よくある取り漏れ
- 病棟の増改築後に基準の再確認をしていない: 増築・全面改築を行うと経過措置の対象から外れる場合があります。改築の予定・実績がある病棟は施設基準を再確認してください。
- 加算1と加算2の取り違え: 病棟床面積要件を満たさなくなったのに加算1のまま届出内容を変更していないケースがあります。
- 療養病棟療養環境改善加算(A222-2)との混同: 名称が近いため、レセプトでの区分の記載間違いが起こりやすい項目です。
- 平面図の未更新: 病棟改修後、届出時に添付した平面図と現況が一致しているかの確認が漏れやすい点です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか確認させてください。うちは有床診療所なんですが、対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
療養病棟療養環境加算は入院基本料等加算(A章)の療養病棟向け区分のため、診療所は対象区分が異なります。診療所の療養病床については、別区分の加算が設けられているかどうかも含めて、自院の入院基本料の種類を確認してください。
みらい(新人医療事務)
加算1と加算2、どちらを目指すべきか迷ったらどうすればいいですか?
あおい(元・医療事務)
まずは加算2の基準(病棟床面積要件を除く基準)を満たせるかどうかを確認し、満たせる場合はさらに病棟床面積16平方メートル以上の要件(加算1)まで満たせるかを検討する、という順番がわかりやすいです。最終的にどちらの区分で届け出るかは、自院の病棟の実測値と改修計画によって判断が変わります。
みらい(新人医療事務)
届出をしてからすぐに算定を始められますか?
あおい(元・医療事務)
届出のタイミングや受理後の取り扱いは地方厚生局の運用によって確認が必要な部分があります。実績を要しない届出とされていますが、算定開始日の扱いについては自院の届出窓口(地方厚生局)に確認することをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。