産科管理加算とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「産科管理加算」って最近よく聞くんですけど、どんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の診療報酬改定で新設された加算です。区分番号はA221-3(産科管理加算)で、分娩を伴う入院患者に対して、母子の心身の安定・安全の確保を図る体制を整えて産科管理を行った場合に、1日につき所定点数を加算する仕組みです。留意事項通知には「産科管理加算は、母子の安定・安全に配慮した産科病棟等の管理とともに、産後ケア事業等の母子保健事業との連携等、妊娠中・産後を含む継続ケアへの対応を行う体制を評価したものであり、分娩を伴う入院中に当該産科管理を行った場合(分娩が開始した日以降に限る。)に、1日につき所定点数を算定する」と記載されています(保医発0305第6号)。
みらい(新人医療事務)
「新設」ということは、前回改定(令和6年度)まではこの加算自体が無かったんですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。厚労省が公表している届出チェックリストでも「令和8年6月1日 基本診療料 新設」と明記されていて、前回改定(令和6年度)の診療報酬にはこの加算は存在しませんでした。分娩を扱う病院・有床診療所の産科体制を評価する、まったく新しい枠組みという位置づけです。
みらい(新人医療事務)
対象になるのはどんな医療機関ですか?
あおい(元・医療事務)
産科または産婦人科を標榜し、分娩を実施している病院・有床診療所が対象です。入院患者のうち、分娩が開始した日以降の産科管理が対象になります。外来では算定できません。
点数・算定コードの確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的に何点になるのか、コードも含めて確認したいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)時点の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)では、区分ごとにこう定められています。
| 算定区分 | コード | 対象医療機関 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|---|---|
| 産科管理加算1 | A221-3 の1 | 病院 | 250点 | 1日につき |
| 産科管理加算2 | A221-3 の2 | 有床診療所 | 50点 | 1日につき |

みらい(新人医療事務)
病院と有床診療所で点数がかなり違うんですね。どうしてですか?
あおい(元・医療事務)
病院のほうが看護職員配置や助産師の配置密度など、求められる施設基準の水準が手厚いことが背景にあります。告示本文には「注 母子の心身の安定・安全の確保を図ることができる環境の整備その他の事項につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合するものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関が、分娩を伴う入院中の患者(分娩が開始した日以降に限る。)について、必要な産科管理を行った場合に、産科管理加算として所定点数に加算する」とあります。区分1と2で施設基準の内容が異なりますので、次のセクションで確認していきましょう。
みらい(新人医療事務)
「分娩が開始した日以降」というのは、具体的にどこからカウントするんですか?
あおい(元・医療事務)
疑義解釈(令和8年3月23日 事務連絡)に具体例があります。「陣痛発来によって分娩が開始していることを認め入院した日」や、「未陣発で帝王切開術による分娩となる日」も含めてよいとされています。予定帝王切開のような未陣発のケースでは、手術の開始時刻が含まれる日から算定候補になる、という整理です。
施設基準: どんな体制が必要ですか?
みらい(新人医療事務)
算定するには届出が必要なんですよね?
あおい(元・医療事務)
必要です。地方厚生局長等への届出が前提で、届出様式は別添7の様式23の3を用いることが定められています(保医発0305第7号)。産科管理加算1(病院)と産科管理加算2(有床診療所)で施設基準の対象・水準が分かれています。
みらい(新人医療事務)
それぞれ、どんな基準になっているんですか?
産科管理加算1(病院)の施設基準(令和8年度・抜粋)
① 産科病棟の保有: 産科又は産婦人科を標榜し、分娩を実施しており、妊娠期から産褥期にかけて母体・胎児・新生児を管理する病棟(産科病棟)を有すること
② 療養環境: 産科の患者・新生児のみを受け入れる病棟か、他科と併せて受け入れる病棟かによって、看護職員配置と助産師の配置基準が定められている(産科のみの病棟では、看護職員の最小必要数の5割以上が助産師であり、常時1人以上配置されていること等)
③ 専任助産師の認証: 助産に関する専門知識・技術を有すると医療関係団体等から認証された専任の助産師の配置が求められる(現時点では日本助産評価機構の「CLoCMiP レベルⅢ(アドバンス助産師)」認証者が該当)
④ 院内助産・助産師外来: 院内助産が開設されていること、産後ケア事業の実施が望ましいとされる項目もある
産科管理加算2(有床診療所)の施設基準(令和8年度・抜粋)
① 対象施設: 産科又は産婦人科を標榜し、分娩を実施しており、妊娠期から産褥期にかけて母体・胎児・新生児を管理する有床診療所であること
② 療養環境: 有床診療所内で母子のみを受け入れる場合と、他科の患者を併せて受け入れる場合とで、看護職員配置・助産師配置の考え方が分けられている
③ 産科区域の特定: 他科の患者等が通常立ち入ることのないよう区域が区分されていることが明確になるような設備を設けていること
④ 妊娠期のケア体制: 助産師外来を含む妊婦健康診査や妊娠期の保健指導が実施されていること
みらい(新人医療事務)
「専任の助産師」というのは、資格さえあれば誰でもいいわけではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。疑義解釈(令和8年3月23日 事務連絡)では、施設基準にある専任助産師について「助産、産科患者・新生児のケア及び母子保健や福祉に関する事業等との地域連携に係る業務に従事した経験を5年以上有し」という要件が確認できます。さらに別の疑義解釈(令和8年5月8日 事務連絡)では「地域連携業務を担う部門等における業務経験が必ずしも必要ではない」とも整理されていて、要件の読み方には注意が必要な部分です。
みらい(新人医療事務)
産科病棟が複数ある病院の場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
これも疑義解釈で確認できます。「病棟ごとに施設基準を満たしていれば届出可能」とされていますが、専任の助産師については「それぞれの病棟に配置されていることが望ましいが、病院内で横断的な活動をしている場合は病院内において1名以上の配置でもよい」との整理です。複数病棟がある場合は、この扱いを踏まえて自院の体制を確認する必要があります。
算定上の注意点・よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実務でつまずきやすいポイントはどこですか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。特に確認しておきたいのはこちらです。
算定上の注意点
- 算定できるのは「分娩が開始した日以降」の入院に限られます。分娩前の管理入院期間は対象外です
- 病院か有床診療所かで区分(産科管理加算1・2)と点数が異なります。自院の施設種別に応じた区分・届出であることを確認してください
- 専任助産師の要件(認証・経験年数)は病院・有床診療所で共通の重要ポイントです。配置している助産師が要件を満たすか、資格証・経験年数を確認する必要があります
- 産科区域の特定(他科患者が立ち入らない区域分け)は、有床診療所で他科患者を併せて受け入れる場合に特に見落としやすい項目です
- 届出は病棟ごとが原則です。複数の産科病棟がある病院では、病棟単位での施設基準充足状況を確認してください
よくある取り漏れポイント
- 令和8年6月1日新設のため、令和8年4月の改定時点ではまだ検討していなかったケース
- 専任助産師の「経験5年以上」「専門団体からの認証」の記録が整備されていないケース
- 有床診療所で産科区域の区分(設備上の明確化)が未整備のケース
- 産科病棟が複数ある場合に、一部病棟のみ届出して他病棟の体制確認が漏れているケース
- 院内助産・助産師外来の体制整備が「望ましい」項目にとどまり、加点評価されていないケース
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
産科管理加算は、前回の令和6年度改定と比べてどう変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
この加算そのものが令和8年度改定で新設されたものなので、「変更」というより「新設」です。厚労省の届出チェックリスト(令和8年度診療報酬改定に係る施設基準届出チェックリスト)には、産科管理加算1が「令和8年6月1日 基本診療料 新設」、産科管理加算2が同じく「令和8年6月1日 基本診療料 新設」と記載されています。前回改定(令和6年度・2024年度)の点数表には、この区分自体が存在していません。
みらい(新人医療事務)
「令和8年6月1日」というのは、令和8年度改定の中でも少し遅れて始まったということですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。多くの改定項目は令和8年4月1日施行ですが、産科管理加算は施行日が令和8年6月1日と定められています。自院での運用開始時期を確認する際は、この施行日を必ず押さえておく必要があります。
改定差分まとめ(令和8年度・前回比)
| 項目 | 令和6年度(2024年度) | 令和8年度(2026年度) |
|---|---|---|
| 加算の有無 | 該当する加算なし | 新設(産科管理加算1・2) |
| 施行日 | — | 令和8年6月1日 |
| 点数 | — | 産科管理加算1: 250点 / 産科管理加算2: 50点(いずれも1日につき) |
| 届出 | — | 必要(別添7 様式23の3) |

自院での確認手順
みらい(新人医療事務)
うちの病院・診療所が算定候補になるか確認するには、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
こんな順番で確認するとスムーズです。
自院で確認する順番
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産科・産婦人科の標榜と分娩実施の有無を確認 — 産科又は産婦人科を標榜し、実際に分娩を取り扱っているか
-
自院の種別(病院か有床診療所か)を確認 — 産科管理加算1(病院・250点)か産科管理加算2(有床診療所・50点)か、対象区分を確認
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産科病棟・産科区域の体制を確認 — 産科の患者・新生児を管理する病棟または区域が明確になっているか
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看護職員・助産師の配置状況を確認 — 該当する区分の看護職員配置・助産師配置基準を満たしているか
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専任助産師の要件を確認 — 専門団体からの認証(例: CLoCMiPレベルⅢ)と業務経験年数の要件を満たす助産師が配置されているか
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院内助産・助産師外来・産後ケア事業との連携を確認 — 望ましいとされる体制整備の状況を確認
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地方厚生局への届出状況を確認 — 別添7 様式23の3による届出が受理されているか、病棟ごとの届出状況を確認
みらい(新人医療事務)
これだけ確認することがあると、自分たちだけで判断するのは難しそうです。
あおい(元・医療事務)
そんなときは、加算チェッカーが便利ですよ。自院の状況を入力すると、確認すべきポイントを整理できます。自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できます。
関連する加算も確認しておきましょう
みらい(新人医療事務)
産科・産婦人科まわりで、他にも確認しておいたほうがいい加算はありますか?
あおい(元・医療事務)
たとえば、妊産婦の緊急搬送に関する妊産婦緊急搬送入院加算は、産科・周産期の体制を評価する加算として関連性が高いです。自院の産科体制を確認するタイミングで、あわせて届出状況を見直しておくとよいでしょう。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後によくある疑問点も聞いておきたいです。「うちは分娩を扱っているから当然対象ですよね?」と言われることがあるんですが?
あおい(元・医療事務)
分娩を実施しているだけでは、産科管理加算の算定候補にはなりません。産科病棟(または産科区域)の体制整備、看護職員・助産師の配置基準、専任助産師の認証・経験年数、地方厚生局への届出のすべてを満たしている必要があります。「分娩を扱っている=算定できる」と断定はできませんので、施設基準の充足状況を一つずつ確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
病院と有床診療所の両方に産科病棟がある法人の場合、どちらの区分で届け出るんですか?
あおい(元・医療事務)
保険医療機関としての種別(病院か有床診療所か)で区分が決まります。同一法人でも医療機関ごとに施設類型が異なる場合は、それぞれの施設で該当する区分(産科管理加算1または2)の施設基準を満たしているか、施設単位で確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
専任の助産師が退職・異動した場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
施設基準を満たさなくなった場合は、速やかに変更の届出が必要です。専任助産師の配置は施設基準の柱の一つですので、後任の配置や体制の見直しがすぐにできない場合は、算定を継続できるかどうかを地方厚生局に確認することをおすすめします。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は以下の厚労省公式資料を根拠としています。詳細な施設基準・届出手続きは必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第7号)(※本文PDFのリンクが変更されている場合があります。厚労省サイトで最新版をご確認ください)
- 疑義解釈資料の送付について(その1)(令和8年3月23日 事務連絡) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001678310.pdf
- 疑義解釈資料の送付について(その5)(令和8年5月8日 保険局医療課事務連絡) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001698587.pdf
- 疑義解釈資料一覧(医科) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_21053.html
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。産科管理加算は令和8年6月1日新設の項目であり、施設基準の充足と届出の有効性を必ず自院で確認してください。