みらい(新人医療事務)
「診療所療養病床療養環境加算」という名前を初めて見たんですけど、うちの診療所は算定候補になるでしょうか?
あおい(元・医療事務)
良い質問ですね。この加算は区分A223として、入院基本料等加算(A章)に位置づけられています。診療所が持つ療養病床について、施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た場合に、入院患者について所定点数に上乗せする形で算定されます。令和8年度(2026年度)時点でも、この位置づけ自体は変わっていません。
みらい(新人医療事務)
「診療所」とついているので、病院は関係ないんですか?
あおい(元・医療事務)
区分A223は診療所向けです。似た名前の加算として、病院の療養病棟を対象にした区分A222「療養病棟療養環境加算」や、一般病床向けの区分A219「療養環境加算」もありますが、それぞれ対象施設が異なる別の加算です。混同しないよう、まず自院が「診療所」で「療養病床」を持っているかどうかを確認してください。
診療所療養病床療養環境加算とは
みらい(新人医療事務)
そもそも、この加算は何を評価しているんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが参照している厚生労働省の留意事項通知には、「長期にわたり療養を必要とする患者に提供される療養環境を総合的に評価したものである」と記載されています。つまり、病室の広さや廊下幅、機能訓練室・食堂・談話室・浴室といった療養生活の環境全体を整えている診療所を評価する加算です。
みらい(新人医療事務)
似た名前の「診療所療養病床療養環境改善加算」というのもありますよね?
あおい(元・医療事務)
はい、区分A223-2として別に存在します。名称は似ていますが、施設基準の面積要件などが異なる別区分の加算です。この記事では区分A223(診療所療養病床療養環境加算)に絞って解説しますので、A223-2との違いは別途確認するようにしてください。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
対象になる施設や患者について、もう少し具体的に教えてください。
あおい(元・医療事務)
当サイトが参照している公式資料には、次のように記載されています。
対象の整理(令和8年度)
- 対象医療機関: 診療所であって、療養病床を有する保険医療機関
- 施設基準: 診療所の療養病床であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合していること
- 届出: 保険医療機関が地方厚生局長等に届け出ていること
- 対象患者: 施設基準に適合し届出済みの療養病床に入院している患者
みらい(新人医療事務)
「病院」も対象に含まれることはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトの分類データでは病院区分も対象に含める設定になっていますが、この加算の告示・留意事項の本文はいずれも「診療所」を主語にしています。有床診療所以外の一般的な病院がこの区分A223を算定する場面は想定しにくいため、自院が「診療所」であるかをまず確認し、迷う場合は自院の類型(診療所か病院か)を公式資料や届出窓口で確認してください。
点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
肝心の点数はどれくらいなんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表では、次のとおり整理されています。
| 区分 | 加算名 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|---|
| A223 | 診療所療養病床療養環境加算 | 100点 | 1日につき |

みらい(新人医療事務)
100点を1日につき算定できるんですね。入院日数分だけ積み上がっていくということですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。施設基準に適合し届出が受理された療養病床に入院している日ごとに加算される仕組みです。ただし、後述するとおり、患者から特別の料金(差額ベッド代など)を徴収している場合には算定できないとされていますので、個々の患者について確認が必要です。
施設基準
みらい(新人医療事務)
施設基準は具体的にどう定められているんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の施設基準通知(基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて)には、次の内容が示されています。
施設基準の主な項目(令和8年度)
- 単位: 診療所である保険医療機関において、当該療養病床を単位として行うこと
- 病床数: 当該療養病床に係る病室の病床数は、1病室につき4床以下であること
- 床面積: 当該療養病床に係る病室の床面積は、内法による測定で、患者1人につき6.4平方メートル以上であること
- 廊下幅: 病室に隣接する廊下の幅は、内法による測定で1.8メートル以上(両側に居室がある廊下は2.7メートル以上)。廊下の幅は、柱等の構造物(手すりを除く)を含めた最も狭い部分で基準を満たす必要がある
- 機能訓練室: 診療所内に機能訓練室を有し、訓練マット・姿勢矯正用鏡・車椅子・各種杖・角度計や握力計等の測定用具といった必要な器械・器具を備えていること
- 食堂: 療養病床に入院している患者1人につき、内法で1平方メートル以上の広さを有する食堂が設けられていること
- 談話室: 入院患者同士や家族が談話を楽しめる広さの談話室が設けられていること(食堂と兼用でも差し支えない)
- 浴室: 身体の不自由な患者の利用に適した浴室が設けられていること
みらい(新人医療事務)
けっこう項目が多いんですね。ひとつでも欠けていたら対象外になってしまうんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準は列挙されている項目すべてに適合することが前提です。床面積や廊下幅のように内法で測定する数値要件は、図面上の数字と実際の測定結果がずれることもあるため、届出前に自院で実測しておくことをおすすめします。細部の解釈で迷う場合は、地方厚生局への届出窓口や公式資料で確認してください。
A223-2(改善加算)との混同に注意
区分A223-2「診療所療養病床療養環境改善加算」は、床面積要件などがA223と異なる別区分の施設基準です。「療養病床療養環境加算」という名称だけで判断せず、自院がどちらの区分の施設基準に適合しているかを個別に確認してください。
届出
みらい(新人医療事務)
届出はどうすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準通知によれば、診療所療養病床療養環境加算の施設基準に係る届出は、所定の様式(様式25)を用いることとされています。また、当該診療所の平面図(加算を算定する病床の面積等が分かるもの)を添付する必要があります。なお、この加算の届出については実績を要しないとされています。
みらい(新人医療事務)
昔から届け出ている診療所には、何か特別な扱いがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。施設基準通知には経過措置についての記載もあり、「平成26年3月31日において、現に当該加算の届出を行っている保険医療機関については、当該病床の増築又は全面的な改築を行うまでの間は、当該規定を満たしているものとすること」とされています。長年届出を続けている診療所は、この経過措置の対象になっているかどうかも合わせて確認しておくとよいでしょう。
みらい(新人医療事務)
届出をしていない場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
施設基準に適合していても、届出が受理されていなければ算定候補にはなりません。「届出済みであれば候補」という前提を必ず押さえておいてください。
算定にあたっての注意点
みらい(新人医療事務)
点数を算定するうえで、ほかに気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には「患者から特別の料金の徴収を行っている場合には算定できない」と明記されています。差額ベッド代などの特別料金を徴収している病室・患者については、この加算の対象になりません。
特別料金徴収時の算定不可に注意
患者から特別の料金(室料差額など)を徴収している場合、診療所療養病床療養環境加算は算定できないとされています。特別療養環境室(差額ベッド)として運用している病床がある診療所は、対象病床とそうでない病床を明確に区別して管理する必要があります。
みらい(新人医療事務)
病室を改修して床面積が変わった場合は、届出をやり直す必要がありますか?
あおい(元・医療事務)
病室の改修などで施設基準の要件(床面積・廊下幅・病床数など)に影響が出た場合は、施設基準を満たさなくなる可能性があります。そうした変更があったときは、速やかに地方厚生局へ変更の届出を行うことをおすすめします。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったところはありますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表(告示)と施設基準通知を確認すると、診療所療養病床療養環境加算は区分A223・100点・1日につき、床面積6.4平方メートル以上・廊下幅1.8メートル以上といった現行の施設基準が示されています。当サイトが参照している一次資料の範囲では、前回改定(令和6年度)からの点数・施設基準の変更点を明示的に示す個別改定項目の資料までは確認できていません。そのため、変更の有無を断定はせず「(一次資料の範囲で)変更は確認されていません」という位置づけでご案内します。
改定差分の確認範囲
本セクションは、令和8年度の医科点数表告示(区分A223)および施設基準通知の内容に基づいています。前回改定(令和6年度)との詳細な比較資料は当サイトでは未確認のため、変更の有無について断定的な表現は避けています。差分の詳細を確認したい場合は、厚生労働省が公表する個別改定項目の資料もあわせてご確認ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの診療所で何から確認すればいいのか、順番を教えてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、次の順番で確認していくのがおすすめです。
自院で確認する順番
- 診療所であり、療養病床を有しているかを確認 — 病院ではなく診療所の療養病床であること
- 病床数・床面積・廊下幅を実測して確認 — 1病室4床以下、患者1人につき床面積6.4平方メートル以上、廊下幅1.8メートル以上(両側居室は2.7メートル以上)
- 機能訓練室・食堂・談話室・浴室の設備を確認 — 必要な器械・器具、食堂の面積、談話室、身体の不自由な患者向けの浴室が揃っているか
- 施設基準の届出状況を確認 — 様式25と平面図を添付して地方厚生局長等に届出が受理されているか
- 算定対象の患者・病室を確認 — 特別の料金(差額ベッド代等)を徴収している病室・患者を除外できているか

みらい(新人医療事務)
これを順番にたどっていけば、うちが算定候補かどうか、だいぶ整理できそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし、届出の受理状況や病室の実際の使われ方は、公式資料だけでは分からない部分もあります。最終的には自院の届出書類・病棟の運用実態を突き合わせて確認してください。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としがちなポイントってありますか?
よくある取り漏れ(令和8年度)
- A223とA223-2の取り違え: 施設基準の面積要件などが異なる区分A223-2(改善加算)と混同し、届出内容が実態と合っていないケース
- 差額ベッド運用病床の混在確認漏れ: 一部の病床を差額ベッド(特別療養環境室)として運用しているのに、対象病床から除外できていないケース
- 病室改修後の届出更新漏れ: 病室を改修して床面積・廊下幅が変わったのに、届出内容を更新していないケース
- 経過措置該当の未確認: 平成26年3月31日時点で届出済みの診療所が、経過措置の対象になっているかどうかを確認していないケース
対象・対象外の整理
みらい(新人医療事務)
パターンごとに整理してもらえると助かります。
| ケース | 算定候補になりうるか |
|---|---|
| 診療所の療養病床で施設基準に適合し届出済みの場合 | 算定候補(要届出確認) |
| 病院の一般病床・療養病棟の場合 | 対象外の可能性(区分A219・A222等を確認) |
| 患者から差額ベッド代等の特別料金を徴収している場合 | 対象外の可能性 |
| 床面積・廊下幅・機能訓練室等の施設基準を満たしていない場合 | 対象外の可能性(要確認) |
あおい(元・医療事務)
あくまで一次資料の記載から整理した目安です。実際の算定可否は、自院の届出内容と病室の運用実態を突き合わせて個別に確認してください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後によくある疑問も聞いておきたいです。診療所療養病床療養環境加算と療養病棟療養環境加算(A222)は何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
対象施設が異なります。A222「療養病棟療養環境加算」は病院の療養病棟を対象にした加算で、A223「診療所療養病床療養環境加算」は診療所の療養病床を対象にした加算です。名称は似ていますが、施設基準・点数ともに別区分として整理されていますので、自院が診療所か病院かをまず確認してください。
みらい(新人医療事務)
有床診療所であれば自動的に対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、有床診療所であること自体が要件ではありません。病床が療養病床として位置づけられ、かつ病床数・床面積・廊下幅・機能訓練室・食堂・談話室・浴室といった施設基準すべてに適合し、届出が受理されていることが前提です。
みらい(新人医療事務)
この加算とA223-2(改善加算)を、同じ病床で同時に算定することはできますか?
あおい(元・医療事務)
両者は施設基準が異なる別区分の加算として整理されています。同一の病床がどちらの施設基準に適合しているかによって、算定できる区分が変わります。両方を同時に算定できるかどうかは、当サイトで確認できる範囲を超えるため、公式資料や地方厚生局への確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
差額ベッド代を取っている病床が一部だけある場合、診療所全体が算定できなくなりますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知は「患者から特別の料金の徴収を行っている場合には算定できない」としているため、対象になるかどうかは患者・病室単位で判断されるべき事項です。差額ベッド運用の病床とそうでない病床が混在している場合は、病床・患者ごとに区別して管理する必要があります。
公式資料・参考情報
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省公式資料をもとに整理しています。詳細な施設基準・届出手続きは、必ず一次資料と自院の届出内容を突き合わせてご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第7号) https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/kihon080305.pdf
- 令和8年度診療報酬改定について(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
あおい(元・医療事務)
関連する加算として、病院の一般病床向けの療養環境加算、療養病棟向けの療養病棟療養環境加算もあわせてご確認ください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちの診療所が算定候補になるか、もっと手軽に確認する方法はありますか?
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や病室の設備状況を入力すると、確認すべきポイントを整理できます。
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。