無菌治療室管理加算とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「無菌治療室管理加算」って名前を見かけたんですが、どんな患者さんに関係する加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の医科点数表にある区分A224の加算です。白血病や再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、重症複合型免疫不全症などの患者さんに対して、無菌治療室での管理が必要になった場合に算定する加算です。
みらい(新人医療事務)
「無菌治療室」って、具体的にどういう部屋のことなんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、医師等がその治療室に立ち入る際にも無菌状態が保たれるよう必要な管理を行っている治療室、とされています。単に清潔な個室というだけでなく、空気清浄度や設備面での要件が定められています。
みらい(新人医療事務)
対象になる病院や点数の区分もいくつかあるんですよね?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。まず点数の区分から確認していきましょう。
点数・算定コードの確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的に何点になるのか、区分ごとに教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年度時点での点数はこちらの表のとおりです。区分番号はA224、単位は1日につきの算定です。
| 区分 | 加算名 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|---|
| 1 | 無菌治療室管理加算1 | 3,000点 | 1日につき |
| 2 | 無菌治療室管理加算2 | 2,000点 | 1日につき |

みらい(新人医療事務)
加算1のほうが1,000点も高いんですね。この違いはどこから来るんですか?
あおい(元・医療事務)
主な違いは、次の章で説明する施設基準の水準です。加算1のほうが求められる室内の空気清浄度の基準が厳しくなっています。
みらい(新人医療事務)
なるほど、点数の差は設備の差ということですね。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
この加算、うちのような診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ。区分上「入院基本料等加算」に位置づけられているため、病院に入院している患者さんが対象です。診療所の外来や在宅診療は対象になりません。
みらい(新人医療事務)
入院患者さんなら誰でも対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、対象疾患が決まっています。留意事項通知には次のように書かれています。
対象患者(令和8年度・留意事項通知)
対象疾患の例: 白血病、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、重症複合型免疫不全症等 算定要件: これらの患者に対して、必要があって無菌治療室管理を行った場合に算定 算定期間: 一連の治療につき、無菌室に入室した日を起算日として90日を限度
みらい(新人医療事務)
「90日を限度」というのは、1回の入院で90日という意味ですか?
あおい(元・医療事務)
一連の治療について90日が上限、という考え方です。長期間の治療になるケースもあるので、算定日数の管理は重要なポイントです。
施設基準・届出は必要ですか?
みらい(新人医療事務)
加算というと届出が必要なイメージがあります。この加算はどうですか?
あおい(元・医療事務)
はい、届出が必要です。地方厚生局長等に施設基準の届出を行った病室でないと算定できません。施設基準は加算1・加算2で内容が異なります。
施設基準のポイント(令和8年度)
無菌治療室管理加算1: 自家発電装置を有すること・滅菌水の供給が常時可能であること・個室であること・室内の空気清浄度が常時ISOクラス6以上であること・空調設備が垂直層流方式、水平層流方式又はその双方を併用した方式であること 無菌治療室管理加算2: 室内の空気清浄度が常時ISOクラス7以上であること・加算1の「自家発電装置」「滅菌水の供給」の基準を満たすこと
みらい(新人医療事務)
「ISOクラス」というのは、どうやって確認するんですか?
あおい(元・医療事務)
過去の疑義解釈では、設定目標のクラスに届いていなくても、HEPAフィルターを通した空気を1時間あたり12回以上換気して実測値が基準を満たしていれば施設基準を満たすとされた例があります。ただしその場合、患者付近の空気清浄度を入室時および週1回以上測定し、記録することが必要とされています。実際の運用は院内の測定記録で確認してください。
みらい(新人医療事務)
個室じゃないとダメ、というのも厳しそうですね。
あおい(元・医療事務)
そこも過去の疑義解釈で補足があって、医療法上は多床室として届け出ている部屋でも、常時個室として使用しほかの基準を満たしていれば施設基準を満たすとされたケースがあります。ただしその場合、届出書類の「病床数」は当該室1室につき1床と記載する必要があるとされています。あくまで参考情報なので、最終的な扱いは審査支払機関・地方厚生局にご確認ください。
みらい(新人医療事務)
届出そのものはどんな書類を出すんですか?
あおい(元・医療事務)
様式26の2を用いて届け出ます。あわせて、自家発電装置がわかる保険医療機関の平面図と、病室・滅菌水の供給場所・空調設備の概要がわかる病棟の平面図の添付が必要です。
併算定の注意点
みらい(新人医療事務)
この加算、他の療養環境系の加算と一緒に算定できますか?
あおい(元・医療事務)
できません。告示の注に除外規定があって、無菌治療室管理加算を算定する患者は、HIV感染者療養環境特別加算、重症者等療養環境特別加算、小児療養環境特別加算の対象から除かれます。
みらい(新人医療事務)
つまりこの4つの加算はどれか1つしか算定できない、ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。レセプト作成時に、どの療養環境系加算を算定するかの整理が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定で、この加算に何か変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
今回確認した令和8年度の医科点数表(告示)と施設基準の通知の範囲では、無菌治療室管理加算の点数・対象患者の要件・施設基準の内容に関わる主な変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚生労働省の令和8年度告示・施設基準通知ベース)。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、前回の令和6年度からずっと同じ内容の加算ということですか?
あおい(元・医療事務)
今回参照できた公式資料の範囲では、そう見えます。ただし、前回改定(令和6年度)時点の告示・通知そのものは今回の記事作成では直接照合していないため、「変更なし」というのはあくまで今回確認した令和8年度資料の記載内容から読み取れる範囲での判断です。最新の厚生労働省通知は定期的に確認することをおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちの病院で算定候補になるか調べるには、どんな順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
こういう順番で確認するとスムーズです。
自院で確認する順番
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対象患者かどうかを確認 — 白血病・再生不良性貧血・骨髄異形成症候群・重症複合型免疫不全症等の患者で、無菌治療室管理の必要性があるか
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入室日と算定日数を確認 — 一連の治療について無菌室に入室した日を起算日として90日以内か
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施設基準を満たすか確認 — 自家発電装置・滅菌水の常時供給・個室・空気清浄度(ISOクラス6または7)・空調方式の各項目
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施設基準の届出をしているか確認 — 様式26の2で地方厚生局長等に届け出ているか(未届出の場合は算定候補になりません)
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他の療養環境系加算と重複していないか確認 — HIV感染者療養環境特別加算・重症者等療養環境特別加算・小児療養環境特別加算のいずれかと同時に算定していないか
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算定している入院料の区分を確認 — 第1節の入院基本料(特別入院基本料等を除く)又は第3節の特定入院料のうち、この加算を算定できるものを現に算定しているか

みらい(新人医療事務)
これだけ確認すれば、うちが算定候補かどうかの目安がつきそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただ最終的に「算定できる」と言い切れるかどうかは、自院の施設基準の届出状況や診療録の記載内容、審査支払機関の判断によります。目安を確認したい場合は 加算チェッカー も活用してみてください。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実務でよく見落とされるポイントがあれば教えてください。
よくある取り漏れポイント
- 90日の算定期間を、一連の治療の無菌室入室日からではなく入院日から数えてしまうケース
- 空気清浄度の測定・記録を継続していないまま加算1を算定してしまうケース
- HIV感染者療養環境特別加算・重症者等療養環境特別加算・小児療養環境特別加算と重複して算定してしまうケース
- 施設基準の届出(様式26の2、平面図の添付)が未提出のまま算定してしまうケース
- 対象疾患に該当するかどうかを診療録に記載していないケース
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よく聞かれそうな質問もまとめて確認したいです。
あおい(元・医療事務)
いくつかピックアップしますね。
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ。区分上、入院基本料等加算に位置づけられているため、病院に入院している患者さんが対象です。診療所の外来では算定できません。
みらい(新人医療事務)
加算1と加算2、どちらで届け出るか迷ったらどうすればいいですか?
あおい(元・医療事務)
室内の空気清浄度が常時ISOクラス6以上を満たせるかどうかがポイントです。満たせない場合でもISOクラス7以上を満たしていれば加算2の候補になります。実際の測定値をもとに、どちらの区分で届け出るかを院内で確認してください。
みらい(新人医療事務)
90日を超えて無菌治療室管理が必要になったらどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
確認した資料の範囲では90日が算定の限度とされていて、超過分の扱いについての具体的な記載は確認できていません。個別のケースは審査支払機関にご確認ください。
みらい(新人医療事務)
多床室でも施設基準を満たせることがあると聞きましたが本当ですか?
あおい(元・医療事務)
過去の疑義解釈では、医療法上多床室として届け出ている部屋でも、常時個室として使用しほかの基準を満たしていれば施設基準を満たすとされた例があります。ただし届出書類の記載方法など運用の詳細は個別に確認が必要です。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は以下の厚生労働省公式資料を根拠としています。詳細な算定要件は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚生労働省公式)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号・医科点数表 区分A224) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号・区分A224該当部分)
- 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第7号・第12の3 無菌治療室管理加算)
- 疑義解釈資料の送付について(その16)医科 問1・問3(無菌治療室管理加算の施設基準に関する過去の疑義解釈)
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。