みらい(新人医療事務)
先輩、うちの病棟に長期入院で重症の褥瘡(じょくそう)がある患者さんがいるんですが、「重症皮膚潰瘍管理加算」って算定候補になったりしませんか?
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。重症皮膚潰瘍管理加算は、区分番号A226の入院基本料等加算です。令和8年度(2026年度)の点数表では18点(1日につき)が設定されています。ただ、算定候補になるかどうかは施設基準や記録の要件をひとつずつ確認する必要があるので、断定はできません。まずは条文から一緒に見ていきましょう。
みらい(新人医療事務)
はい、お願いします。まず、そもそもこの加算はどういう患者さんが対象なんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)の注では、こう定められています。
あおい(元・医療事務)
「別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関において、重症皮膚潰瘍を有している患者に対して、当該保険医療機関が計画的な医学管理を継続して行い、かつ、療養上必要な指導を行った場合に、当該患者(第1節の入院基本料(特別入院基本料等を含む。)のうち、重症皮膚潰瘍管理加算を算定できるものを現に算定している患者に限る。)について、所定点数に加算する。」
あおい(元・医療事務)
つまり対象は入院患者に限られていて、外来や在宅は対象外です。診療所ではなく病院の入院基本料に対する加算という位置づけになります。
みらい(新人医療事務)
「重症皮膚潰瘍」ってどのくらいの重症度を指すんですか?普通の褥瘡とは違うんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは留意事項通知(保医発0305第6号)に定義があります。
あおい(元・医療事務)
「重症皮膚潰瘍管理とは、重症な皮膚潰瘍(Sheaの分類Ⅲ度以上のものに限る。)を有している者に対して、計画的な医学管理を継続して行い、かつ、療養上必要な指導を行うことをいう。」
あおい(元・医療事務)
Shea分類のⅢ度以上という基準がはっきり決まっているので、「なんとなく重症そう」という印象だけでは算定候補にはなりません。実際にShea分類で評価した記録が前提になります。
重症皮膚潰瘍管理加算の点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数は先ほど18点とおっしゃっていましたが、加算の種類とかはないんですか?
あおい(元・医療事務)
この加算は区分がひとつだけで、シンプルです。表で整理しますね。
| 区分 | 点数 | 算定単位 | 対象 |
|---|---|---|---|
| A226 重症皮膚潰瘍管理加算 | 18点 | 1日につき | 入院患者(病院) |
あおい(元・医療事務)
年度は令和8年度(2026年度)の点数です。以前の改定の点数と混同しないよう注意してくださいね。

みらい(新人医療事務)
18点かける入院日数、というシンプルな計算でいいんでしょうか。
あおい(元・医療事務)
基本的な考え方はそのとおりですが、「現に重症皮膚潰瘍管理を継続して行っている日」が対象になるので、算定できる日数は患者さんの状態や管理の実施状況によって変わります。この点は自院のレセプト担当だけで判断せず、必要に応じて審査支払機関にも確認するのが安全です。
施設基準を確認する
みらい(新人医療事務)
対象患者はわかりました。次は施設基準ですね。うちの病院、皮膚科はないんですが、そもそも対象になりえますか?
あおい(元・医療事務)
そこは重要な確認ポイントです。基本診療料の施設基準等(令和8年厚生労働省告示第70号)には、この加算の施設基準として次の3項目が定められています。
あおい(元・医療事務)
「二十二 重症皮膚潰瘍管理加算の施設基準」
あおい(元・医療事務)
「(1) 皮膚泌尿器科若しくは皮膚科又は形成外科を標榜している保険医療機関であること。」
あおい(元・医療事務)
「(2) 重症皮膚潰瘍を有する入院患者について、皮膚泌尿器科若しくは皮膚科又は形成外科を担当する医師が重症皮膚潰瘍管理を行うこと。」
あおい(元・医療事務)
「(3) 重症皮膚潰瘍管理を行うにつき必要な器械・器具が具備されていること。」
みらい(新人医療事務)
なるほど、皮膚泌尿器科・皮膚科・形成外科のどれかを標榜していることが前提なんですね。うちは形成外科があるので、そこはクリアしてそうです。
あおい(元・医療事務)
標榜していることは前提のひとつにすぎません。(2)にあるように、実際にその診療科を担当する医師が重症皮膚潰瘍管理を行っている体制になっているか、(3)の器械・器具が揃っているかも確認が必要です。3項目すべてを満たしているかどうかは、自院の体制を棚卸ししてみないと判断できません。
施設基準3項目のよくある見落とし
標榜科の名称だけを見て「うちは皮膚科がないから対象外」と早合点してしまうケースと、逆に「形成外科があるから大丈夫」と器械・器具の要件(3)を確認せずに算定候補と決めつけてしまうケースの両方が見られます。3項目は独立した条件なので、ひとつずつ順番に確認しましょう。
届出は必要なのか
みらい(新人医療事務)
施設基準があるということは、地方厚生局への届出が必要になりますよね?
あおい(元・医療事務)
この加算については、届出が必須の項目としては扱われていません。ただし「届出が不要=誰でも自動的に算定できる」という意味ではなく、施設基準の3項目を満たしていることが前提になります。届出の要否や運用は改定や個別の解釈で変わることがあるので、最終的には地方厚生局や審査支払機関への確認をおすすめします。
届出不要という表現の注意点
「届出不要」という整理は、施設基準を満たしていれば届出書の提出を経ずに算定候補になりうるという意味であり、施設基準そのものを満たさなくてよいという意味ではありません。自院が3項目を本当に満たしているか、担当者だけで判断せず院内で確認する体制を作ることをおすすめします。
算定タイミング・記録・併算定の注意点
みらい(新人医療事務)
実際に算定するとなったら、レセプトに何か特別な記載が必要になったりしますか?
あおい(元・医療事務)
はい、ここは見落とされやすいポイントです。留意事項通知にはこうあります。
あおい(元・医療事務)
「当該加算を算定する場合は、当該患者の皮膚潰瘍がSheaの分類のいずれに該当するかについて、診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。」
あおい(元・医療事務)
つまり、Shea分類のどの段階に該当するかを摘要欄に書く必要があります。この記載がないと、算定要件を満たしていることの説明が難しくなる可能性があります。
みらい(新人医療事務)
記載を忘れがちな項目ですね……。ほかに気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
告示の注にあったとおり、対象は「入院基本料(特別入院基本料等を含む)のうち、重症皮膚潰瘍管理加算を算定できるものを現に算定している患者」に限られます。つまり、算定している入院基本料の種類によっては、そもそもこの加算の対象にならない患者さんもいます。自院が算定している入院基本料の種類を確認し、この加算の対象に含まれているかどうかも合わせて確認する必要があります。
算定できると決めつけない
重症皮膚潰瘍があること、施設基準の3項目を満たしていそうであること、この2つがそろっているように見えても、入院基本料の種類や記録の整備状況によっては算定候補にならない場合があります。「算定できます」と断定はできませんので、最終的には自院の届出状況・公式資料・審査支払機関で確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定(令和6年度)から何か変わったところってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省が公表している令和8年度診療報酬改定の個別改定項目の資料や、令和8年厚生労働省告示第69号・第70号の該当区分を確認した範囲では、重症皮膚潰瘍管理加算(A226)について、点数・施設基準・算定要件の主な変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚生労働省公表資料の確認範囲内)。
みらい(新人医療事務)
変更なしということは、今まで使っていた情報のままで大丈夫そうですね。
あおい(元・医療事務)
そう考えて差し支えないと思いますが、改定関連の資料は追加の正誤表や疑義解釈で後から補足されることもあります。念のため、算定の直前には最新の公式資料も確認しておくと安心です。

自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
情報が増えてきたので、確認する順番を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。次の順番で確認していくと、抜け漏れが少なくなります。
自院で確認する順番
- 対象患者の確認: 入院患者で、重症皮膚潰瘍(Shea分類Ⅲ度以上)を有しているか
- 標榜科の確認: 皮膚泌尿器科・皮膚科・形成外科のいずれかを標榜しているか
- 医師体制の確認: その診療科を担当する医師が実際に管理を行っているか
- 器械・器具の確認: 重症皮膚潰瘍管理に必要な器械・器具が具備されているか
- 入院基本料の確認: 現在算定している入院基本料が、この加算の対象に含まれているか
- 記録の確認: Shea分類の該当区分をレセプト摘要欄に記載できる体制になっているか
みらい(新人医療事務)
この6つを順番にチェックしていけば、うちの病院が算定候補になりそうかどうか、ある程度見えてきそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし、この6項目はあくまで公式資料から読み取れる確認ポイントの整理であって、実際の届出の有効性や算定可否そのものを保証するものではありません。最終的な判断は、自院の届出状況と公式資料、そして審査支払機関への確認を踏まえて行ってください。
よくある取り漏れ
標榜科と実際の担当医師体制のズレ
標榜科として皮膚科や形成外科を掲げていても、実際にその診療科を担当する医師が重症皮膚潰瘍管理を継続して行う体制になっていないと、施設基準(2)を満たしていない可能性があります。標榜の有無だけで判断しないことが大切です。
Shea分類の記載漏れ
重症皮膚潰瘍の定義や施設基準そのものは満たしていても、診療報酬明細書の摘要欄にShea分類の該当区分を記載していないケースが見落とされがちです。日々の記録段階からShea分類の評価を残しておく運用にしておくと、算定時の記載もスムーズになります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よく聞かれそうな質問をいくつか整理しておきたいです。
あおい(元・医療事務)
いいですね。まず、「診療所でも算定候補になりますか」という質問がよくあります。この加算は入院基本料等加算のひとつで、対象は病院の入院患者です。診療所は対象外と整理されています。
みらい(新人医療事務)
「届出をしていないと絶対に算定できないんですか」というのはどうですか?
あおい(元・医療事務)
この加算は届出が必須の項目としては扱われていませんが、施設基準の3項目を満たしていることが前提です。届出の要否の運用は変わることがあるので、地方厚生局や審査支払機関への確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
「Shea分類がⅡ度だったら算定候補にならないんですか」というのも気になります。
あおい(元・医療事務)
施設基準等の定義では「Sheaの分類Ⅲ度以上のものに限る」とされています。Ⅱ度以下の皮膚潰瘍は、この加算の対象になる重症皮膚潰瘍には該当しないと整理されるのが基本的な考え方です。
みらい(新人医療事務)
ありがとうございます。他の入院関連の加算もあわせて確認したくなってきました。
あおい(元・医療事務)
病院の入院患者に関連する加算としては、特殊疾患入院施設管理加算や療養病棟療養環境加算なども対象患者・施設基準の考え方が近いので、あわせて確認しておくと理解が深まると思います。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。