みらい(新人医療事務)
部長から「放射線治療病室管理加算、うちの病院でも算定候補になるか確認して」って言われたんですけど、そもそもどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
放射線治療病室管理加算(区分番号A225)は、入院基本料等加算のひとつで、悪性腫瘍の患者さんに放射線治療病室管理を行った場合に算定候補になる加算です。厚生労働省の通知(留意事項)では「放射線治療病室管理とは、治療用放射性同位元素あるいは密封小線源による治療を受けている患者を入院させる病室における放射線に係る必要な管理をいう」と定義されています。
みらい(新人医療事務)
「治療用放射性同位元素」と「密封小線源」って、どちらも同じ加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
名前は同じ加算ですが、中身は2区分に分かれています。1つ目が治療用放射性同位元素による治療の場合、2つ目が密封小線源による治療の場合です。区分によって点数も施設基準も別です。この記事では両方とも整理していきますね。ただし、自院が実際に算定候補になるかどうかは、この記事だけでは断定できません。届出状況と施設基準の充足を必ず自院で確認してください。
対象医療機関・対象患者を確認する
みらい(新人医療事務)
まず、うちの病院は対象になりますか?診療所でもいけますか?
あおい(元・医療事務)
この加算は病院の入院患者が対象です。診療所(外来)は対象外になります。具体的には、入院基本料(特別入院基本料等を含む)または特定入院料のうち、放射線治療病室管理加算を算定できるものを現に算定している入院患者が対象です。その上で、悪性腫瘍の患者さんに対して、治療上の必要があって放射線治療病室管理が行われた場合が算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
「治療上の必要があって」というのは、具体的にどういうことですか?
あおい(元・医療事務)
告示の注釈では、区分1について「治療用放射性同位元素による治療が行われたものに限る」と限定されており、区分2についても同様に密封小線源による治療を受けている患者に限るという構成になっています。つまり、実際にその治療(内用療法や小線源治療)を受けている入院患者さんが対象という理解になります。単に病室が空いているとか、念のための管理といった場合は対象になりません。この判断は主治医・診療録の記載に基づくものなので、算定を検討する際は治療内容の記録を確認する必要があります。
点数・区分番号の確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はいくらになるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表では、以下の2区分です。1日につきの加算になります。
| 区分 | 対象となる治療 | 点数(令和8年度・1日につき) |
|---|---|---|
| 1 | 治療用放射性同位元素による治療の場合 | 6,370点 |
| 2 | 密封小線源による治療の場合 | 2,200点 |
みらい(新人医療事務)
区分によってこんなに点数が違うんですね。びっくりしました。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。治療用放射性同位元素による治療のほうが管理体制の負荷が大きいこともあり、点数の差が大きくなっています。どちらの区分も「1日につき」の算定なので、入院日数分だけ算定候補になり得ます。ただし、いずれの区分も、次に説明する施設基準に適合し、地方厚生局長等に届け出た病室でなければ算定できません。

施設基準を確認する(区分ごとに違う)
みらい(新人医療事務)
施設基準はどんな内容ですか?区分1と区分2で違うんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
はい、共通する部分と、区分ごとに異なる部分があります。まず共通するのは「医療法施行規則第30条の12に規定する放射線治療病室又は特別措置病室であること」という建物・病室の要件です。
治療用放射性同位元素による治療の場合の施設基準(区分1)
- 医療法施行規則第30条の12に規定する放射線治療病室又は特別措置病室であること
- 病室の画壁等の外側における実効線量が1週間につき1ミリシーベルト以下になるよう、画壁等その他必要な遮蔽物を設けること(画壁等の外側が人の通行・停在のない場所である場合を除く)
- 病室内または病室付近に、放射性同位元素による汚染検査のための放射線測定器、汚染除去のための器材、洗浄設備を設置していること
- 更衣設備を設置していること(特別措置病室の場合は、更衣設備の代わりに作業衣の備え付けで足りる)
- 病室が放射線治療病室又は特別措置病室である旨を掲示していること
みらい(新人医療事務)
区分2(密封小線源)のほうはどうですか?
あおい(元・医療事務)
区分2も基本の考え方は同じです。ただし放射性同位元素による汚染検査用の測定器や除染器材、更衣設備といった項目は要件に含まれていません。
密封小線源による治療の場合の施設基準(区分2)
- 医療法施行規則第30条の12に規定する放射線治療病室又は特別措置病室であること
- 病室の画壁等の外側における実効線量が1週間につき1ミリシーベルト以下になるよう、画壁等その他必要な遮蔽物を設けること(同上の除外あり)
- 病室が放射線治療病室又は特別措置病室である旨を掲示していること
みらい(新人医療事務)
なるほど、区分1のほうが要件が多いんですね。これは自院の放射線管理の担当者や診療放射線技師さんに確認したほうがよさそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。実効線量や遮蔽の基準は建築・放射線管理の専門知識が必要な部分なので、医療事務だけで判断せず、必ず放射線管理担当者・医療法上の届出窓口と連携して確認してください。
届出を確認する
みらい(新人医療事務)
届出はどこに出すんですか?様式は決まっていますか?
あおい(元・医療事務)
地方厚生局長等への届出が必要です。厚生労働省の手続き通知では、放射線治療病室管理加算の施設基準に係る届出は「別添7の様式26の3」を用いるとされています。区分1・区分2いずれも同じ届出様式の枠組みで扱われます。
みらい(新人医療事務)
届出さえ出せば、もう算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
届出が受理されていることと、実際に施設基準を満たし続けていることの両方が必要です。「届出済みであれば算定候補」という理解が正確で、届出をしても実態が基準を満たしていなければ算定候補にはなりません。逆に、施設基準を満たしていても届出をしていなければ算定できません。この両方をセットで確認する必要があります。
届出と実態の乖離に注意
放射線治療病室・特別措置病室の遮蔽状況や設備は、増改築や機器の入れ替えで変わることがあります。届出内容と現状の病室の実態が一致しているか、定期的に確認してください。乖離がある場合は速やかに変更届出が必要です。
算定タイミング・回数・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定回数の制限や、他の加算との関係はありますか?
あおい(元・医療事務)
この加算は「1日につき」の算定です。回数の上限が明記されているわけではなく、入院基本料(特別入院基本料等を含む)または特定入院料のうち本加算を算定できるものを、現に算定している日について算定候補になります。逆に言うと、対象の入院料を算定していない日や、放射線治療病室管理を行っていない日は対象外です。
みらい(新人医療事務)
併算定で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
この加算は入院基本料等加算(A章)に位置づけられており、算定の土台になる入院基本料・特定入院料側の要件をまず満たしている必要があります。他の入院基本料等加算との組み合わせは、加算ごとに算定要件が異なるため、個別に確認が必要です。この記事では放射線治療病室管理加算そのものの要件に絞って解説していますので、他の加算との併算定可否は公式資料または加算チェッカーで個別に確認してください。
断定はできません
点数・施設基準は令和8年度の一次資料に基づいて整理していますが、実際の算定可否は入院患者ごとの治療内容・診療録の記載・届出状況によって変わります。特定の算定可否を保証する内容ではなく、確認のための整理としてご利用ください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)から、何か変わったところはありますか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが現時点で保有している一次資料は令和8年度分が中心で、令和6年度の告示・通知との突き合わせ資料をまだ確認できていません。そのため、点数・施設基準の変更有無について確実な比較はできない状態です。(一次資料の範囲では)変更は確認されていません、というのが2026年7月時点での正確な言い方になります。
みらい(新人医療事務)
つまり「変わっていない」と決めつけないほうがいいということですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。放射線治療病室管理加算のように点数据え置きに見える加算でも、施設基準の細部(遮蔽基準の記載方法や届出様式の番号など)が改定で変わることはあります。前回改定からの正確な差分は、届出前に必ず最新の告示・通知原本、または地方厚生局への確認で裏取りしてください。
改定確認のポイント
- 点数(6,370点・2,200点)は令和8年度時点の告示に基づく数値
- 施設基準・届出様式(別添7 様式26の3)も令和8年度時点の通知に基づく内容
- 前回改定(令和6年度)との比較は、この記事の一次資料の範囲では確認できていない
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの病院はどこから確認していけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認していくと整理しやすいですよ。
自院で確認する順番
- 対象の入院患者が、悪性腫瘍に対する治療用放射性同位元素または密封小線源による治療を受けているか診療録で確認する
- その患者が、放射線治療病室管理加算を算定できる入院基本料または特定入院料を現に算定しているか確認する
- 該当区分(区分1または区分2)の施設基準(放射線治療病室・特別措置病室の要件、遮蔽、測定器等)を病室が満たしているか、放射線管理担当者と確認する
- 地方厚生局長等への届出(別添7 様式26の3)が受理されているか確認する
- 上記がすべて確認できた場合に、算定候補として院内のレセプト担当と最終確認する

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
この加算、取り漏れやすいポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
よくある取り漏れ・誤算定の例
- 放射線治療病室・特別措置病室の届出はしているが、区分1(治療用放射性同位元素)と区分2(密封小線源)を取り違えて点数を算定してしまう
- 病室の増改築や遮蔽材の変更後、変更届出を出さないまま以前の届出内容で算定を続けてしまう
- 対象患者が実際に治療用放射性同位元素・密封小線源による治療を受けているかの確認を診療録で行わず、病室の使用実績だけで算定してしまう
- 入院基本料・特定入院料側が、本加算を算定できる区分かどうかを確認せずに算定してしまう
みらい(新人医療事務)
区分の取り違えは、点数差が大きいだけに怖いですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。区分1と区分2で点数が3倍近く違いますので、診療録の治療内容(放射性同位元素治療か密封小線源治療か)と算定区分が一致しているか、レセプト提出前にダブルチェックすることをおすすめします。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが疑問に思いそうなことをまとめてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
いいですよ。
みらい(新人医療事務)
この加算は診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
対象は病院の入院患者に限られます。診療所(外来)は対象外です。
みらい(新人医療事務)
区分1と区分2を同じ入院期間中に両方算定することはありますか?
あおい(元・医療事務)
同一日に治療用放射性同位元素と密封小線源の両方の治療病室管理を行うケースがあるかどうかは、告示・通知の文言だけでは判断できません。個別の治療内容次第になりますので、該当するケースがある場合は公式資料・審査支払機関に確認してください。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出はどのくらいの頻度で見直せばいいですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準自体に変更がない限り、毎年度の再届出は必須ではありません。ただし、病室の遮蔽状況や設備が変わった場合、または放射線管理担当者の体制が変わった場合は、速やかに変更届出が必要になります。年1回程度、自院で届出内容と病室の実態が一致しているか確認することをおすすめします。
公式資料の根拠
あおい(元・医療事務)
この記事の点数・算定要件・施設基準は、以下の厚労省公式資料に基づいて整理しています。届出や算定の最終判断の際は、必ず一次資料の原本をご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号・医科点数表 A225) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 基本診療料の施設基準等の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第70号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001675854.pdf
- 厚生労働省 令和8年度診療報酬改定について(改定関連資料の掲載ページ) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00042.html
あおい(元・医療事務)
関連する加算として、同じ入院基本料等加算に含まれる無菌治療室管理加算も、病室単位の管理体制を問う加算という点で似た確認の進め方になります。あわせて確認しておくと整理しやすいです。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象の治療区分や届出状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。