みらい(新人医療事務)
「小児緩和ケア診療加算」って初めて見た加算なんですけど、これはどんな場面で出てくるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の診療報酬で、区分番号A226-4として設定されている入院基本料等加算です。一般病床に入院している15歳未満の小児患者のうち、緩和ケアを要する方に対して、専門のチームが診療した場合に1日につき700点を加算するものです。対象になるのは一般病床に入院する患者と定義されており、有床診療所向けの入院基本料等加算の一覧(A108・A109の注8)には含まれていません。
みらい(新人医療事務)
「緩和ケアを要する小児」というのは、具体的にはどんな患者さんなんですか?
あおい(元・医療事務)
厚労省の留意事項通知では、対象疾患を悪性腫瘍・後天性免疫不全症候群(AIDS)・末期心不全の3つに限定した上で、疼痛や倦怠感、呼吸困難などの身体的症状、または不安・抑うつなどの精神症状を持つ小児患者としています。加えて、患者本人またはご家族などの同意に基づいて、症状緩和に係るチーム(小児緩和ケアチーム)による診療が行われることが条件です。年齢・疾患・症状・同意のすべてがそろって初めて算定候補になる、という位置づけですね。
対象疾患と末期心不全の判定基準
みらい(新人医療事務)
「末期心不全」というのは、どこからが対象になるんですか?線引きが難しそうです。
あおい(元・医療事務)
そこは留意事項通知にかなり細かく定義があります。表にすると分かりやすいので整理しますね。
| 対象疾患 | 主な考え方 |
|---|---|
| 悪性腫瘍 | 15歳未満の小児で、疼痛・倦怠感等の身体的症状または不安・抑うつ等の精神症状を有する者 |
| 後天性免疫不全症候群(AIDS) | 同上。研修要件の一部緩和あり(後述) |
| 末期心不全 | ア・イの基準を両方満たし、かつウ〜オのいずれかにも該当する場合 |
あおい(元・医療事務)
末期心不全の基準は、ア「心不全に対して適切な治療が実施されていること」、イ「器質的な心機能障害により、適切な治療にかかわらず、慢性的にNYHA重症度分類Ⅳ度の症状に該当し、頻回又は持続的に点滴薬物療法を必要とする状態であること」がまず必須です。その上で、ウ「左室駆出率が20%以下であること」、エ「医学的に終末期であると判断される状態であること」、オ「ウ又はエに掲げる状態に準ずる場合であること」のいずれか1つに該当する必要があります。この判定は主治医の医学的判断によるところが大きいので、算定候補かどうかは診療録の記載と合わせて確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
なるほど、条件が重なっているんですね。じゃあ次は点数の話を聞きたいです。
点数区分(令和8年度)
あおい(元・医療事務)
点数は告示で「A226-4 小児緩和ケア診療加算(1日につき) 700点」と定められています。これに加えて、注2として管理栄養士が小児緩和ケアチームに参加し、個別の栄養食事管理を行った場合には「小児個別栄養食事管理加算」として70点が上乗せされます。
| 加算名 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|
| 小児緩和ケア診療加算 | 700点 | 1日につき |
| 小児個別栄養食事管理加算(注2) | 70点 | 上記に加算 |

みらい(新人医療事務)
700点に70点をプラスできる場合もあるってことですね。この点数はずっと算定できるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
「現に算定している患者に限る」という制限があります。告示では「当該患者(第1節の入院基本料(特別入院基本料等を除く。)又は第3節の特定入院料のうち、小児緩和ケア診療加算を算定できるものを現に算定している患者に限る。)」とされていて、算定できる入院基本料・特定入院料の枠組みにいる患者が前提です。さらに「区分番号A226-2に掲げる緩和ケア診療加算は別に算定できない」とも定められているので、成人向けの緩和ケア診療加算(A226-2)との重複算定は候補になりません。
併算定・対象患者の制限に注意
小児緩和ケア診療加算は、対象となる入院基本料・特定入院料を現に算定している患者に限られ、緩和ケア診療加算(A226-2)との同時算定は候補になりません。レセプト作成時には現在の算定状況を必ず確認してください。
施設基準(小児緩和ケアチームの人員体制)
みらい(新人医療事務)
700点という点数からすると、施設基準もかなりしっかりしていそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。施設基準通知では「当該保険医療機関内に、以下から構成される小児緩和ケアに係るチーム(小児緩和ケアチーム)が設置されていること」として、6職種の枠が定められています。
| 区分 | 求められる人員 |
|---|---|
| ア | 身体症状の緩和を担当する専任の常勤医師 |
| イ | 精神症状の緩和を担当する専任の常勤医師 |
| ウ | 緩和ケアの経験を有する専任の常勤看護師 |
| エ | 緩和ケアの経験を有する専任の薬剤師 |
| オ | 小児科の診療に従事した経験を3年以上有している専任の常勤医師 |
| カ | 小児患者の看護に従事した経験を3年以上有している専任の常勤看護師 |
あおい(元・医療事務)
ただし「ア又はイの医師が小児科の診療に従事した経験を3年以上有する場合は、オの要件は満たしていることとする。ウの看護師が小児患者の看護に従事した経験を3年以上有している場合は、カを満たしていることとする」という兼務規定があるので、実質的には医師2名・看護師1名・薬剤師1名を核に、小児科経験の有無で人数を調整する形になります。「なお、アからエまでのうちいずれか1人は専従であること。ただし、小児緩和ケアチームが診察する患者数が1日に15人以内である場合は、いずれも専任で差し支えない」ともされているので、専従が必須になるかどうかは診療規模によって変わります。
みらい(新人医療事務)
研修も必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
身体症状・精神症状の緩和を担当する医師は、悪性腫瘍の患者を対象とする場合は緩和ケア研修会等の研修修了が必要です。ただし「後天性免疫不全症候群の患者を診療する際には当該研修を修了していなくても当該加算は算定できる」という例外があります。看護師についても、5年以上の悪性腫瘍患者の看護経験と、600時間以上の緩和ケア病棟等における研修修了が求められています。常勤医師の確保が難しい場合には、週3日以上・週22時間以上勤務する非常勤医師を2名組み合わせることで常勤要件を満たしたとみなす特例も用意されています。
見落としやすい人員要件
アまたはイの医師は、緩和ケア病棟入院料の届出に係る担当医師と原則兼任できません(担当医師が複数名の場合は例外あり)。緩和ケア病棟を併設している病院は、この兼任制限を見落としやすいので要確認です。
みらい(新人医療事務)
カンファレンスとか、算定できる人数の上限もあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。「症状緩和に係るカンファレンスが週1回程度開催されており、小児緩和ケアチームの構成員及び必要に応じて、当該患者の診療を担う医師、看護師、薬剤師などが参加していること」が要件です。また算定患者数については、留意事項通知に「1日当たりの算定患者数は、1チームにつき概ね30人以内とする」と明記されています。院内掲示についても「院内の見やすい場所に小児緩和ケアチームによる診療が受けられる旨の掲示をするなど、患者に対して必要な情報提供がなされていること」が求められます。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
施設基準の中身はわかりました。じゃあ届出はどうやって出すんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準通知に「小児緩和ケア診療加算の施設基準に係る届出は、別添7の様式27の3を用いること」と定められています。この届出が地方厚生局長等に受理されて初めて算定候補になりますので、様式27の3での届出状況をまず確認してください。届出をしていない状態で算定することは想定されていませんので、体制が整っていても届出前であれば「確認が必要」な状態です。
みらい(新人医療事務)
小児個別栄養食事管理加算のほうも、別に届出がいるんですか?
あおい(元・医療事務)
個別の届出様式は明記されていませんが、算定するには「小児緩和ケア診療加算の注2に規定する点数を算定する場合には、小児緩和ケアチームに、緩和ケア病棟において緩和ケアを要する患者に対する患者の栄養食事管理に従事した経験又は緩和ケア診療を行う医療機関において栄養食事管理に係る3年以上の経験を有する専任の管理栄養士が参加していること」という管理栄養士の要件があります。この管理栄養士は、成人向けの緩和ケア診療加算の個別栄養管理加算に係る管理栄養士と兼任できるとされています。
改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、令和8年度に新しくできたものなんですか?それとも前からあったんですか?
あおい(元・医療事務)
前からある加算です。厚労省の疑義解釈資料の送付について(その7)が令和6年度(2024年5月31日)に出されていて、当時から区分番号A226-4として存在が確認できます。ですので令和6年度改定の時点ですでに運用されていた加算ということになります。
みらい(新人医療事務)
じゃあ令和8年度改定で、点数や施設基準が変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは慎重にお伝えしたいところです。当サイトが参照している一次資料(令和8年度の告示・留意事項通知・施設基準通知)の範囲では、令和6年度時点からの点数・施設基準・対象患者の変更点は確認されていません(2026年7月時点の確認)。令和6年度の点数表そのものの一次資料は当サイトでは保持していないため、「変更なし」と断定はできませんが、少なくとも令和8年度の一次資料に記載された内容と、令和6年度に出された疑義解釈の内容(後述のQ&A)との間に矛盾は見当たりません。制度が変わっていないか気になる場合は、貴院で購読している点数表の改定履歴も合わせて確認することをおすすめします。
改定時系列の整理
令和6年度(2024年度): 疑義解釈資料の送付について(その7)で区分番号A226-4の運用実績を確認。 令和8年度(2026年度)改定: 告示第69号・第70号・留意事項通知(保医発0305第6号)・施設基準通知(保医発0305第7号)で現行の要件を確認。当サイトが参照した範囲では大きな制度変更は確認されていません。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
情報量が多いので、確認する順番を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
順番に並べるとこうなります。
自院で確認する順番
- 対象患者の該当性を確認 — 15歳未満・一般病床入院・悪性腫瘍/後天性免疫不全症候群/末期心不全のいずれか・身体的または精神的症状の有無・患者または家族等の同意
- 小児緩和ケアチームの人員体制を確認 — ア〜カの6区分(実質は医師2名・看護師1名・薬剤師1名を核とした体制)が専任または専従で揃っているか
- 研修修了状況を確認 — 医師の緩和ケア研修、看護師の緩和ケア病棟等研修(600時間以上)の修了証の有無
- カンファレンス・算定患者数の運用を確認 — 週1回程度のカンファレンス実施記録、1チームあたり概ね30人以内の運用になっているか
- 届出状況を確認 — 様式27の3による届出が地方厚生局長等に受理されているか
- 注2(小児個別栄養食事管理加算)の可否を確認 — 管理栄養士の経験要件を満たしてチームに参加しているか

みらい(新人医療事務)
これだけ確認事項があると、自院だけで判断するのは大変そうです。
あおい(元・医療事務)
そう思います。特に小児科と緩和ケア病棟の両方に関わる医師がいる病院では、兼任制限の解釈で迷うケースが多いです。判断に迷う場合は、自院の状況を整理した上で、加算チェッカーや審査支払機関にも確認してみることをおすすめします。
よくある取り漏れ
成人向けの緩和ケア診療加算(A226-2)のチームと小児緩和ケアチームを兼務させている場合、届出上は「兼任可」であっても、実際のカンファレンス参加記録や算定患者数の管理が別立てで必要になる点を見落としがちです。
よくある取り漏れ(栄養管理)
小児個別栄養食事管理加算(70点)は、小児緩和ケア診療加算を算定している患者が前提です。栄養食事管理の内容を「緩和ケア診療実施計画に基づき実施した」ことが診療録等に記載・添付されているかも、あわせて確認が必要です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後によくある疑問を聞いておきたいです。この加算の施設基準にある「がん診療の拠点となる病院」というのは、成人向けの緩和ケア診療加算と同じ病院を指すんですか?
あおい(元・医療事務)
これは令和6年度の疑義解釈資料の送付について(その7)で実際に質問が出ています。「A226-4小児緩和ケア診療加算の施設基準において『がん診療の拠点となる病院若しくは公益財団法人日本医療機能評価機構等が行う医療機能評価を受けている病院又はこれらに準ずる病院であること』とあるが、これはA226-2緩和ケア診療加算の施設基準における同様の規定と同じ病院を指すものと考えてよいか」という質問に対して、厚労省は「そのとおり」と回答しています。前回改定(令和6年度)時点の解釈ですが、令和8年度の一次資料でも同様の枠組みが維持されています。
みらい(新人医療事務)
看護師の「緩和ケア病棟等における研修」というのは、具体的にどんな研修が該当するんですか?
あおい(元・医療事務)
これも同じ疑義解釈資料(その7)に回答があって、「日本看護協会が認定している看護系大学院の『がん看護』の専門看護師教育課程」と「日本看護協会の認定看護師教育課程の『緩和ケア』『がん薬物療法看護』『乳がん看護』又は『がん放射線療法看護』」(平成30年度の認定看護師制度改正前の教育内容による研修を含む)が該当するとされています。こちらも前回改定(令和6年度)時点の回答ですが、令和8年度の一次資料でもこの研修要件に変更は確認されていません。研修選定に迷う場合は、この2つの教育課程を軸に確認するとよいと思います。
みらい(新人医療事務)
うちの病院はまだ小児緩和ケアチームを作っていないんですが、それでも算定候補になり得ますか?
あおい(元・医療事務)
現時点でチームが未設置であれば、算定候補にはなりません。ア〜カの人員体制を整え、研修修了・カンファレンス実施の実績を積んだ上で、様式27の3による届出が受理されて初めて算定候補になります。体制整備には時間がかかることが多いので、算定を検討する場合は早めに人員配置と研修計画から着手することをおすすめします。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事でご紹介した内容は、以下の厚労省公式資料を根拠としています。実際の算定判断の際は、必ず一次資料で最新の内容をご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 基本診療料の施設基準等の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第70号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001675854.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号) https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/000433602.pdf
- 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第7号) https://www.nurse.or.jp/nursing/assets/mhlw_20260305.pdf
- 疑義解釈資料の送付について(その7)医科 問3・問4(2024年5月31日公表) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_21053.html
- 令和8年度診療報酬改定について(厚労省特設ページ) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちの病院が算定候補になるか、もう少し具体的に自分でも確認してみたいです。
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象患者の該当性やチームの人員体制、届出状況を入力すると、確認すべきポイントを整理できます。
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。小児緩和ケアチームの人員体制や研修修了状況、対象患者の該当性については、必ず自院で個別に確認してください。