みらい(新人医療事務)
緩和ケア病棟がある病院じゃなくても、緩和ケア診療加算って算定候補になるんですか?うちは一般病棟しかないんですが…
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。緩和ケア診療加算(区分A226-2)は、緩和ケア病棟入院料とは別物で、一般病床に入院している患者さんに対して算定候補になる加算です。令和8年度(2026年度)時点の告示・留意事項通知をもとに、対象患者・施設基準・点数の仕組みを順番に確認していきましょう。ただし、算定可否を断定的にお伝えすることはできません。最終的には自院の届出状況と公式資料で確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
了解です!まず、この加算はどんな患者さんが対象なんですか?
緩和ケア診療加算とは(対象医療機関・対象患者)
あおい(元・医療事務)
緩和ケア診療加算は、一般病床に入院している患者のうち、次の5つの疾患いずれかに該当し、かつ身体的・精神的な症状を持つ人が対象です。留意事項通知には次のように定められています。
あおい(元・医療事務)
「緩和ケア診療加算は、一般病床に入院する悪性腫瘍、後天性免疫不全症候群、末期心不全、末期呼吸器疾患又は末期腎不全の患者のうち、疼痛、倦怠感、呼吸困難等の身体的症状又は不安、抑うつなどの精神症状を持つ者に対して、当該患者の同意に基づき、症状緩和に係るチーム(以下「緩和ケアチーム」という。)による診療が行われた場合に算定する。」という留意事項通知の記載が根拠です。
みらい(新人医療事務)
「末期心不全」とか「末期呼吸器疾患」って、どこまでが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
それぞれ細かい基準が決まっています。まとめると次のようになります。
| 対象疾患 | 主な基準(留意事項通知より) |
|---|---|
| 悪性腫瘍 | 個別の重症度基準の規定なし(対象疾患として明記) |
| 後天性免疫不全症候群(AIDS) | 個別の重症度基準の規定なし(対象疾患として明記) |
| 末期心不全 | 適切な治療実施+器質的心機能障害でNYHA Ⅳ度相当+過去1年以内に心不全による緊急入院2回以上、かつ左室駆出率20%以下または終末期と判断される状態など |
| 末期呼吸器疾患 | 呼吸器疾患に適切な治療実施+在宅酸素療法やNPPVを継続実施+過去半年以内に10%以上の体重減少 |
| 末期腎不全 | 適切な治療実施+慢性腎臓病重症度分類G5相当+血液透析または腹膜透析を実施、またはPPS40%以下など |
あおい(元・医療事務)
対象患者に該当するかどうかは、この基準を1項目ずつ診療録で確認する作業になります。医師・看護師だけでなく、事務側もカルテの記載有無をチェックできると精度が上がります。
みらい(新人医療事務)
患者さん本人の同意が必要なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。「当該患者の同意に基づき」と明記されているので、同意の記録が診療録等に残っているかも確認ポイントになります。
緩和ケア診療加算の点数(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はいくらになるんですか?
あおい(元・医療事務)
基本は390点(1日につき)ですが、状況によって4パターンあります。告示の原文は「A226-2 緩和ケア診療加算(1日につき) 390点」となっています。
| 区分 | 点数 | 根拠(告示・注) |
|---|---|---|
| 基本(注1) | 390点 | 施設基準に適合し届出た保険医療機関が対象 |
| 特定地域(注2・代替) | 200点 | 医療提供体制の確保状況に鑑み別に定める地域の医療機関で、別基準の届出があれば注1の届出有無にかかわらず算定可能 |
| 小児加算(注3・上乗せ) | +100点 | 患者が15歳未満の小児である場合 |
| 個別栄養食事管理加算(注4・上乗せ) | +70点 | 緩和ケアチームに管理栄養士が参加し、個別の栄養食事管理を行った場合 |
みらい(新人医療事務)
「特定地域」の200点って、基本の390点とは別に足せるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、別建てではなく代替です。告示には「当該加算の点数に代えて、緩和ケア診療加算(特定地域)として、200点を所定点数に加算することができる」とあります。つまり、特定地域の施設基準に該当する医療機関は、注1の390点の代わりに200点を算定する仕組みです。小児加算・個別栄養食事管理加算は、どちらの区分にも上乗せできる加算として整理されています。
点数区分の取り違えに注意
特定地域(注2)は「注1の届出の有無にかかわらず」算定できるとされていますが、これは注2独自の施設基準への届出が別途必要という意味です。「届出なしで200点が取れる」という意味ではありませんので、混同しないようにしてください。

施設基準・緩和ケアチームの体制要件
みらい(新人医療事務)
点数はわかりました。じゃあ施設基準はどんな内容になっているんですか?
あおい(元・医療事務)
いちばん確認してほしいのは「緩和ケアチーム」の構成と研修要件です。留意事項通知には「緩和ケアチームは、身体症状及び精神症状の緩和を提供することが必要であり、緩和ケアチームの医師は緩和ケアに関する研修を修了した上で診療に当たること。ただし、後天性免疫不全症候群の患者を診療する際には当該研修を修了していなくても当該加算は算定できる。」とあります。
みらい(新人医療事務)
AIDSの患者さんのときだけ研修修了の例外があるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。ここを見落とすと、研修未修了の医師がAIDS以外の患者を診療してしまい、施設基準を満たさないまま算定してしまうリスクがあります。
みらい(新人医療事務)
ほかに体制面で必要なことはありますか?
あおい(元・医療事務)
大きく3つあります。
緩和ケアチームの体制で確認すべき点
- 緩和ケア診療実施計画書の作成: 「緩和ケアチームは初回の診療に当たり、当該患者の診療を担う保険医、看護師及び薬剤師などと共同の上別紙様式3又はこれに準じた緩和ケア診療実施計画書を作成し、その内容を患者に説明の上交付するとともに、その写しを診療録等に添付すること。」
- 算定患者数の上限: 「1日当たりの算定患者数は、1チームにつき概ね30人以内とする。ただし、「注2」に規定する点数を算定する場合は、1日当たりの算定患者数は、1チームにつき概ね15人以内とする。」
- 週1回程度のカンファレンス: 「症状緩和に係るカンファレンスが週1回程度開催されており、緩和ケアチームの構成員及び必要に応じて、当該患者の診療を担当する保険医、看護師などが参加していること。」
みらい(新人医療事務)
実施計画書は必ず診療録に写しを残す必要があるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。「診療録等に添付すること」と明記されているので、口頭説明だけで済ませず、書面(またはそれに準じる記録)を残すことが前提になっています。
みらい(新人医療事務)
「注2」の特定地域の点数を算定する病院にも条件があるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。留意事項通知では、対象となる病院の範囲がかなり細かく定められていて、「「注2」に規定する点数は、基本診療料の施設基準等別表第六の二に掲げる地域に所在する保険医療機関(特定機能病院、許可病床数が400床以上の病院、DPC対象病院及び一般病棟入院基本料に係る届出において急性期病院A一般入院料、急性期病院B一般入院料(看護・多職種協働加算に係る届出を行っているものに限る。)、急性期一般入院料1又は急性期一般入院料4(看護・多職種協働加算に係る届出を行っているものに限る。)のみを届け出ている病院を除く。)の一般病棟において、算定可能である。」とされています。
あおい(元・医療事務)
つまり、「特定地域に所在」していても、特定機能病院や400床以上の病院、DPC対象病院などは注2の対象から除かれます。この除外規定は見落としやすいポイントなので、注意してください。
みらい(新人医療事務)
個別栄養食事管理加算(注4)にも要件がありますか?
あおい(元・医療事務)
あります。管理栄養士が緩和ケアチームに参加していることが前提で、「「注4」に規定する点数は、緩和ケア診療加算を算定している患者について、緩和ケアチームに管理栄養士が参加し、個別の患者の症状や希望に応じた栄養食事管理を行った場合に算定する。」「「注4」に規定する点数を算定する場合は、緩和ケア診療実施計画に基づき実施した栄養食事管理の内容を診療録等に記載又は当該内容を記録したものを診療録等に添付すること。」とされています。
みらい(新人医療事務)
施設基準は届出が必要なんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。緩和ケア診療加算は入院基本料等加算(A章)に属していて、施設基準に適合し地方厚生局長等に届け出た保険医療機関でなければ算定候補になりません。届出をしていない場合は、施設基準を満たしていても算定候補にはならない点に注意してください。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するときのタイミングとか、他の加算との組み合わせで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
主に3点あります。
算定タイミング・併算定の注意点
- 単位は「1日につき」です。同一日に複数回算定することはできません。
- 当該加算を算定する患者については、入院精神療法の算定は週に1回までとされています。
- 「注1別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において…当該患者(第1節の入院基本料(特別入院基本料等を除く。)又は第3節の特定入院料のうち、緩和ケア診療加算を算定できるものを現に算定している患者に限る。)」とされているため、算定できる入院基本料・特定入院料の範囲にも該当性の確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
特別入院基本料は対象外なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。「特別入院基本料等を除く」と明記されているので、該当する入院基本料の種類も事前にチェックしておくといいですね。
小児加算と小児緩和ケア診療加算の違い(混同注意)
みらい(新人医療事務)
さっき出てきた「小児加算」って、別に「小児緩和ケア診療加算」という加算もあるって聞いたんですが、同じものですか?
あおい(元・医療事務)
ここは混同しやすいポイントです。緩和ケア診療加算(A226-2)の中にある「小児加算」(注3・+100点)は、15歳未満の患者に対して、通常の緩和ケアチームが診療した場合に上乗せする加算です。一方、区分番号A226-4の「小児緩和ケア診療加算」は、独立した「小児緩和ケアチーム」による診療を前提にした別建ての加算で、留意事項通知には「小児緩和ケア診療加算は、一般病床に入院する悪性腫瘍、後天性免疫不全症候群又は末期心不全の15歳未満の小児患者のうち、疼痛、倦怠感、呼吸困難等の身体的症状又は不安、抑うつなどの精神症状を持つ者に対して、当該患者又は家族等の同意に基づき、症状緩和に係るチーム(以下「小児緩和ケアチーム」という。)による診療が行われた場合に算定する。」と整理されています。
あおい(元・医療事務)
そして、この2つは併算定できません。「この場合において、区分番号A226-2に掲げる緩和ケア診療加算は別に算定できない。」と定められています。どちらの体制で診療しているかによって、算定候補になる加算が変わってくるので、自院のチーム編成を確認する必要があります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
ここは正直にお伝えしますね。当サイトが確認できた令和8年度の告示・留意事項通知(区分A226-2の該当部分)の範囲では、点数・対象患者の基準・施設基準・個別栄養食事管理加算の各記載内容について、前回改定(令和6年度)からの変更点を裏付ける一次資料を確認できていません。そのため、現時点では「前回改定(令和6年度)からの主な変更は確認されていません」とお伝えするにとどめます。
改定差分の確認について
点数が同じでも、施設基準や対象患者の要件だけが変わる改定もあります。自院で判断する際は、今回ご紹介した令和8年度時点の一次資料の内容を基準にし、令和6年度以前の情報が残った資料を参照していないか確認してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの病院で確認すべき順番ってどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で進めるとチェックしやすいです。
自院で確認する順番
- 入院患者が対象5疾患(悪性腫瘍・AIDS・末期心不全・末期呼吸器疾患・末期腎不全)のいずれかに該当し、身体的・精神的症状があるか、診療録で確認する
- 緩和ケアチームの体制(医師の研修修了状況、看護師・薬剤師との連携)を確認する
- 緩和ケア診療実施計画書を初回診療時に作成し、患者へ説明・交付、写しを診療録等へ添付する
- 施設基準の届出状況(地方厚生局長等への届出)を確認する
- 週1回程度のカンファレンス開催と、算定患者数の上限(概ね30人、注2適用時は概ね15人)を運用面で管理する
- 小児加算・特定地域・個別栄養食事管理加算など、上乗せ区分の該当性を個別に確認する

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実際の現場で見落としがちなポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
よくあるのはこの4つです。
よくある取り漏れ
- 緩和ケア診療実施計画書は作成しているが、写しの診療録添付が漏れている
- 管理栄養士が緩和ケアチームに参加しているのに、個別栄養食事管理加算(注4・70点)を算定していない
- 15歳未満の患者なのに小児加算(注3・100点)の算定を忘れている
- 当該加算を算定している患者について、入院精神療法を週2回以上算定してしまっている
みらい(新人医療事務)
個別栄養食事管理加算は見落としやすそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。管理栄養士が関わっているのに算定していないケースは、算定漏れとして特に確認してほしいところです。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
いくつか気になる点を質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
緩和ケア病棟入院料を算定している患者にも、この加算は算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
緩和ケア診療加算は「一般病床に入院する」患者が対象と明記されています。緩和ケア病棟入院料は別の入院料区分ですので、対象病棟が異なる点を確認してください。どちらに該当するかは自院の病棟区分によって変わるため、個別確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
緩和ケア診療加算は入院基本料等加算に区分される加算で、一般病床への入院患者が対象です。有床診療所での取り扱いは、緩和ケア診療加算とは別の区分で整理されているため、自院が診療所か病院かによって確認すべき区分が変わります。詳しくは公式資料または加算チェッカーでご確認ください。
みらい(新人医療事務)
届出はどのくらいの頻度で見直しが必要ですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準に変更がない限り、頻繁な再届出は不要とされています。ただし、緩和ケアチームの医師の異動や研修修了状況の変化など、体制に変更があった場合は速やかに確認・対応することをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や緩和ケアチームの体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は以下の厚労省公式資料を根拠としています。詳細な施設基準・届出手続きは必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号、6月19日訂正後版) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713882.pdf