精神病棟入院時医学管理加算とはどんな加算ですか?
みらい(新人医療事務)
「精神病棟入院時医学管理加算」って初めて聞いたんですけど、どういう加算ですか?
あおい(元・医療事務)
精神病棟入院時医学管理加算(区分番号 A230)は、精神病棟に入院している患者について、一定の医師配置などの施設基準を満たした病院に加算される入院基本料等加算です。令和8年度(2026年度)時点での区分になります。
みらい(新人医療事務)
「一定の医師配置」というのは、具体的にどういうことなんでしょう?
あおい(元・医療事務)
告示の本文では「医師の配置その他の事項につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合している」と書かれています。具体的な中身は施設基準の届出通知に定められていて、精神科救急医療体制に関わる医療機関であることが軸になっています。詳しくは後の「施設基準」セクションで説明しますね。
みらい(新人医療事務)
精神病棟ならどこの病院でも算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そうとは限りません。施設基準に適合して地方厚生局長等に届け出た病院に限られます。届出をしていない病院や、施設基準を満たしていない病院は対象外です。この点は落とし穴になりやすいので、あとで詳しく確認していきましょう。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
対象になる医療機関と患者について、もう少し詳しく教えてください。
あおい(元・医療事務)
まず医療機関は、病院である保険医療機関の精神病棟が対象です。診療所(クリニック)は入院基本料等加算の枠組みの対象外になります。
みらい(新人医療事務)
精神病棟に入院していれば誰でも対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
対象になる患者は、精神病棟入院基本料や特定機能病院入院基本料の精神病棟部分など、第1節の入院基本料(特別入院基本料等を含む)のうち「精神病棟入院時医学管理加算を算定できるもの」を現に算定している患者に限られます。告示の条文をそのまま引用すると、次のとおりです。
算定要件(令和8年度・告示第69号 原文)
- 注: 医師の配置その他の事項につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして保険医療機関が地方厚生局長等に届け出た精神病棟に入院している患者(第1節の入院基本料(特別入院基本料等を含む。)のうち、精神病棟入院時医学管理加算を算定できるものを現に算定している患者に限る。)について、所定点数に加算する。
みらい(新人医療事務)
精神病棟入院基本料以外でも対象になることがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。たとえば特定機能病院入院基本料の精神病棟部分でも、この加算を算定できる区分として名前が挙がっています。ただし、どの入院基本料が対象になるかは病棟ごとに決まっているので、自院がどの入院基本料を算定している精神病棟なのか、まず確認することが大切です。

精神病棟入院時医学管理加算 点数表(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
肝心の点数はいくらですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の点数は次のとおりです。
| 区分 | 内容 | 点数 |
|---|---|---|
| A230 | 精神病棟入院時医学管理加算(1日につき) | 5点 |
あおい(元・医療事務)
出典: 令和8年厚生労働省告示第69号(区分番号A230)。1日単位で算定する加算で、月何回までといった回数制限の定めはなく、要件を満たす日ごとに加算する形になります。
みらい(新人医療事務)
5点というと、そんなに大きな金額じゃないですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね、1点10円で計算すると1日あたり50円です。ただし入院日数分が積み重なる加算なので、対象病棟全体で見るとまとまった点数になります。金額の大小よりも、施設基準を満たしているのに届け出ていない病院がないか、という確認の意味合いが大きい加算です。
精神病棟入院時医学管理加算 施設基準
みらい(新人医療事務)
施設基準は具体的にどんな内容なんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の届出通知(厚生労働省保医発0305第7号「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」・令和8年3月5日)の「第16 精神病棟入院時医学管理加算」に、次のように定められています。
精神病棟入院時医学管理加算の施設基準(令和8年度・保医発0305第7号 第16 原文)
- (1) 病院である保険医療機関の精神病棟を単位とすること。
- (2) 精神科救急医療施設の運営については、「精神科救急医療体制整備事業の実施について」に従い実施されたい。
みらい(新人医療事務)
「精神科救急医療体制整備事業」というのは何ですか?
あおい(元・医療事務)
都道府県ごとに整備されている、精神科の救急対応の仕組みのことです。身体合併症救急医療確保事業での指定や、精神科救急医療確保事業での常時対応型・病院群輪番型施設としての指定など、精神科救急に関わる医療機関としての位置づけが前提になっています。自院がこうした事業の指定を受けているかどうかが、施設基準充足の重要な確認ポイントになります。
みらい(新人医療事務)
精神科の病棟さえあれば、救急の指定は関係ないと思っていました。
あおい(元・医療事務)
そこがこの加算の特徴的なところです。単に精神病棟があるというだけでなく、地域の精神科救急医療体制に組み込まれた病院であることが前提になっています。届出前に、自院が精神科救急医療体制整備事業の対象医療機関として指定を受けているかどうかを確認が必要です。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていそうな場合、届出はどうすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
精神病棟入院時医学管理加算の施設基準に係る届出は、届出通知の別添7にある様式29を使用します。様式29は「精神病棟入院時医学管理加算の施設基準に係る届出書添付書類」で、現員数などの体制に関する記載欄が設けられています。
みらい(新人医療事務)
届出をしていないと、施設基準を満たしていても算定候補にならないんですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。施設基準に適合しているだけでは足りず、地方厚生局長等への届出が済んでいることが算定候補の前提になります。届出の有無は自院の事務担当や地方厚生局への確認が必要です。
届出に関する注意
施設基準を満たしていると思われる場合でも、様式29による届出が受理されるまでは算定候補になりません。届出状況が不明な場合は、まず自院の届出台帳や地方厚生局への確認をおすすめします。

令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
精神病棟入院時医学管理加算については、確認できた一次資料の範囲では、令和8年度(2026年度)改定にあたっての点数・施設基準・算定要件の変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省告示第69号および届出通知ベース)。
みらい(新人医療事務)
変更なしということは、そのまま前回どおり届け出ていれば大丈夫ということですか?
あおい(元・医療事務)
変更が確認されていないというのは、あくまで今回照合できた一次資料の範囲での話です。届出済みの病院であっても、精神科救急医療体制整備事業の指定状況や病棟構成が変わっていないかは、改定のタイミングで一度見直しておくと安心です。判断に迷う点数・要件の細部は、必ず最新の告示・通知の原文でご確認ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
うちの病院が算定候補になるか、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で確認していくと整理しやすいです。
自院で確認する順番
-
病棟の確認: 自院の精神病棟が、病院である保険医療機関の精神病棟に該当するか。
-
入院基本料の確認: その精神病棟で算定している入院基本料が、精神病棟入院時医学管理加算を算定できる区分(精神病棟入院基本料など)に該当するか。
-
精神科救急医療体制の確認: 自院が精神科救急医療体制整備事業に基づく身体合併症救急医療確保事業・精神科救急医療確保事業の指定医療機関に該当するか。
-
医師配置等の確認: 施設基準に定める医師の配置その他の事項を満たしているか。
-
届出状況の確認: 様式29による施設基準の届出が地方厚生局長等に受理されているか。
-
算定日数の確認: 対象患者について、入院基本料を現に算定している日ごとに加算しているか。
みらい(新人医療事務)
精神科救急の指定を受けていない病院は、最初から対象外になるということですね。
あおい(元・医療事務)
そういう可能性が高いです。精神病棟があっても精神科救急医療体制に組み込まれていない病院は、この加算の施設基準を満たさない可能性があります。自院の指定状況がわからない場合は、都道府県の精神保健福祉主管部局や地方厚生局に確認することをおすすめします。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実務でよくある取り漏れのパターンってありますか?
あおい(元・医療事務)
実務でよく聞くのはこういったケースです。
よくある取り漏れパターン(確認の参考として)
- 「施設基準は満たしているはずなのに届出をしていなかった」: 様式29の届出が未提出のままだと、施設基準を満たしていても算定候補になりません。
- 「精神科救急の指定状況を確認していなかった」: 精神科救急医療体制整備事業の指定医療機関でなければ、施設基準の(2)を満たさない可能性があります。
- 「対象外の入院基本料の患者に加算していた」: 精神病棟入院時医学管理加算を算定できる入院基本料を現に算定している患者に限られます。対象区分の確認が必要です。
- 「1日単位の加算であることを見落としていた」: 月単位・週単位の加算と混同すると、算定日数の集計を誤る可能性があります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よくある質問をまとめて聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。順番に見ていきましょう。
みらい(新人医療事務)
精神病棟入院時医学管理加算は診療所でも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ。対象は病院である保険医療機関の精神病棟に限られます(令和8年度)。診療所は対象外です。
みらい(新人医療事務)
精神病棟入院時医学管理加算の点数はいくらですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度では1日につき5点です。入院日数に応じて、要件を満たす日ごとに加算します。
みらい(新人医療事務)
精神科救急の指定を受けていない病院は絶対に算定候補にならないんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の(2)で精神科救急医療施設としての運営が求められているため、精神科救急医療体制整備事業に基づく指定を受けていない場合は、施設基準を満たさない可能性が高いです。ただし、個別の状況によって判断が分かれる場合もあるため、詳細は地方厚生局にご確認ください。
みらい(新人医療事務)
令和6年度から令和8年度にかけて、この加算に変更はありましたか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)からの変更点は、確認できた一次資料の範囲では見当たりませんでした。判断に迷う場合は、最新の告示・届出通知の原文で確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
精神病棟入院時医学管理加算と精神科リエゾンチーム加算は何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
精神科リエゾンチーム加算(A230-4)は一般病棟に入院中の患者の精神症状に精神科チームが介入する加算です。一方、精神病棟入院時医学管理加算(A230)は精神病棟そのものに入院している患者を対象にした、病院の医師配置・精神科救急体制に着目した加算です。対象になる病棟が逆になっている点が大きな違いです。
関連する精神病棟の加算
精神病棟への入院に関する基本料もあわせてご確認ください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や精神科救急医療体制の指定状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。