精神科隔離室管理加算とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「精神科隔離室管理加算」ってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の診療報酬で区分A229として設定されている入院基本料等加算のひとつです。精神科を標榜する病院に入院している精神障害者である患者に対して、精神保健福祉法第36条第3項の規定に基づいて隔離を行った場合に、算定候補になる加算です。
みらい(新人医療事務)
似た名前の加算がいくつかありますよね?
あおい(元・医療事務)
はい。区分A227の精神科措置入院診療加算や、区分A228の精神科応急入院施設管理加算も近い番台の加算ですが、対象患者や算定要件がそれぞれ異なります。まずは自院が確認したい加算が「隔離」に関するものかどうかを見分けることが大切です。
みらい(新人医療事務)
「隔離」というと、どんな法律上の根拠があるんですか?
あおい(元・医療事務)
精神保健福祉法第36条は、入院患者の行動制限について定めています。第1項では「精神科病院の管理者は、入院中の者につき、その医療又は保護に欠くことのできない限度において、その行動について必要な制限を行うことができる」とされ、第3項では「厚生労働大臣があらかじめ社会保障審議会の意見を聴いて定める患者の隔離その他の行動の制限は、指定医が必要と認める場合でなければ行うことができない」と定められています。隔離は精神保健指定医の判断を前提とした、法律上の手続きに基づく行動制限だということです。
みらい(新人医療事務)
隔離を行えば、自動的に算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
そうとは限りません。対象は「第1節の入院基本料(特別入院基本料等を含む)のうち、精神科隔離室管理加算を算定できるものを現に算定している患者」に限られます。自院の入院料の区分がこの加算の対象になっているかどうかを、まず確認する必要があります。
点数・算定単位の確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はいくらなんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年厚生労働省告示第69号で確認できる令和8年度の点数は、次のとおりです。
| 区分 | 加算名 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|---|
| A229 | 精神科隔離室管理加算 | 220点 | 1日につき |

みらい(新人医療事務)
「1日につき」ということは、隔離している日数分だけそのまま積み上がるんですか?
あおい(元・医療事務)
そう単純ではありません。告示の注には「月7日に限り、所定点数に加算する」と明記されています。つまり、隔離を継続していても、1か月あたり7日分までしか算定候補になりません。
みらい(新人医療事務)
マスターコードの数字は確認できますか?
あおい(元・医療事務)
現時点で確認できている一次資料の範囲では、区分番号A229・220点までです。レセプトコンピューターに入力する具体的な診療行為コード(数字コード)は、お使いの医科診療行為マスターで確認してください。
どんな患者が対象ですか?算定要件を教えてください
みらい(新人医療事務)
対象になる患者について、もう少し詳しく教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年厚生労働省告示第69号の注には、次のように定められています。
算定要件の整理(令和8年度)
対象医療機関: 精神科を標榜する病院である保険医療機関 対象患者: 入院中の精神障害者である患者であって、精神保健福祉法第36条第3項の規定に基づいて隔離を行った場合 算定できる入院料: 第1節の入院基本料(特別入院基本料等を含む)のうち、精神科隔離室管理加算を算定できるものを現に算定している患者に限る 回数制限: 月7日に限り、所定点数に加算する
みらい(新人医療事務)
「精神科を標榜する病院」ということは、診療所は対象外なんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。この加算は病院の入院患者のみが対象で、診療所・外来・在宅(訪問診療)は対象外です。精神科を標榜していない病院も対象になりません。
みらい(新人医療事務)
隔離した日数がそのまま算定日数になるわけではないんですか?
あおい(元・医療事務)
隔離を行った事実に基づいて算定候補になりますが、月あたりの上限は7日です。たとえば月に10日間隔離を行った場合でも、算定候補になるのは7日分までという理解になります。実際の算定日数の考え方は、自院のレセプト担当者や審査支払機関にも確認しておくと確実です。
施設基準・届出は必要ですか?
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するには、施設基準の届出が必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認している一次資料の範囲では、精神科隔離室管理加算そのものについて、基本診療料の施設基準等を定めた告示(令和8年厚生労働省告示第70号)に個別の施設基準は見当たりません。地方厚生局への個別の届出も、この加算に限っては前提とされていません。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出がいらないなんて、ちょっと意外です。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし「届出が不要」であることと「無条件で算定候補になる」ことは別です。精神科を標榜する病院であること、精神保健指定医の判断のもとで精神保健福祉法第36条第3項に基づく隔離が行われていること、対象の入院基本料を現に算定している患者であることなど、告示の注に定められた要件そのものは満たす必要があります。
施設基準の考え方に注意
届出が不要な加算であっても、算定要件(対象医療機関・対象患者・隔離の法的手続き・回数制限)を満たしているかどうかは、都度確認が必要です。「届出不要イコール要件確認も不要」ではありません。
併算定・算定タイミングの注意点
みらい(新人医療事務)
他の加算と一緒に算定できないケースはありますか?
あおい(元・医療事務)
あります。告示の注には「同法第33条の6第1項に規定する入院に係る患者について、精神科応急入院施設管理加算を算定した場合には、当該入院中は精神科隔離室管理加算を算定しない」と明記されています。精神科応急入院施設管理加算を算定した入院期間中は、精神科隔離室管理加算を重ねて算定できないという決まりです。
みらい(新人医療事務)
応急入院で隔離もしている場合、両方は取れないということですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。同一の入院で両方の加算がついていないか、レセプト作成時に確認しておくと安心です。
算定単位・回数の注意点(令和8年度)
- 月7日を超える隔離日数分は算定候補になりません
- 精神科応急入院施設管理加算(A228)を算定した入院期間中は、同一入院で重複算定できません
- 対象は精神科を標榜する病院の入院患者に限られ、診療所・外来・在宅は対象外です
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省が公開している医科診療報酬点数表の新旧対照表(令和8年度改定分)を確認したところ、精神科隔離室管理加算を含む「A228~A231-4」の区分は、改正後・改正前のいずれの欄にも「(略)」とだけ記載されていました。
みらい(新人医療事務)
「略」というのは、変更なしという意味なんですか?
あおい(元・医療事務)
この新旧対照表は、点数や条文が変更された区分だけを本文で示し、変更がない区分は「(略)」と省略して示す形式になっています。精神科隔離室管理加算(A229)を含む区分がこの「(略)」の範囲に入っているため、令和8年度改定でこの区分の内容に変更はなかったと確認できます。
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定のときはどうだったんですか?
あおい(元・医療事務)
令和6年度改定分の新旧対照表も確認しましたが、こちらは区分A229の条文が改正後・改正前の欄に全文表示されており、点数(220点)・算定要件の条文がまったく同じ内容で記載されていました。つまり、少なくとも令和6年度(2024年度)改定から令和8年度(2026年度)改定まで、この加算の点数・算定要件に変更は確認されていません。
前回改定からの確認結果
令和6年度(2024年度)改定・令和8年度(2026年度)改定のいずれの新旧対照表でも、精神科隔離室管理加算(A229)の点数(220点)・算定要件(精神保健福祉法第36条第3項に基づく隔離、月7日限度、精神科応急入院施設管理加算との排他)に変更は確認されていません。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
自院がこの加算の対象になるか、どんな順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認するのがおすすめです。
自院で確認する順番
- 自院が精神科を標榜する病院かどうかを確認する
- 対象患者が入院基本料(特別入院基本料等を含む)のうち、精神科隔離室管理加算を算定できるものを現に算定しているかを確認する
- 精神保健指定医の判断のもとで精神保健福祉法第36条第3項に基づく隔離が行われているかを確認する
- 当月の隔離日数が7日を超えていないか(超える場合は7日分までの計算になるか)を確認する
- 同一入院中に精神科応急入院施設管理加算を算定していないかを確認する

みらい(新人医療事務)
届出がいらない分、要件の見落としに注意した方がよさそうですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。届出という一度きりの手続きがない分、日々の算定のたびに要件を満たしているかを確認する運用が大切になります。
よくある取り漏れ・注意ポイント
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れって、どんなものがありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか挙げられます。
よくある取り漏れ
月7日の上限超過: 隔離が長期化した場合に、7日を超えた分まで算定してしまうケース 精神科応急入院施設管理加算との重複: 同一入院中に両方の加算が算定されていないかの確認漏れ 対象入院料の未確認: 患者が算定している入院基本料が、この加算を算定できる区分かどうかの確認漏れ 指定医の判断記録: 隔離の実施が精神保健指定医の判断に基づくものであることの記録・確認漏れ
みらい(新人医療事務)
届出がいらない加算だからこそ、逆に見落としやすいポイントもありますね。
あおい(元・医療事務)
はい。届出という節目のチェックがない分、日々のカルテ・レセプト点検で確認する仕組みを作っておくと安心です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よくある疑問をまとめて教えてください。
あおい(元・医療事務)
対話形式で3つ確認しましょう。
みらい(新人医療事務)
この加算はどんな患者に算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
精神科を標榜する病院に入院中の精神障害者である患者で、精神保健福祉法第36条第3項の規定に基づいて隔離を行った場合が対象です。対象の入院基本料を現に算定している患者に限り、月7日を上限に算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認している一次資料の範囲では、この加算に個別の施設基準・届出は定められていません。ただし、精神科を標榜する病院であることや、隔離の法的手続きの要件は満たす必要があります。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)と比べて点数は変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省が公開している新旧対照表を確認した範囲では、令和6年度(2024年度)改定・令和8年度(2026年度)改定のいずれでも220点のまま変更は確認されていません。最終的な判断は自院の届出内容と最新の一次資料でご確認ください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。入院患者の状況や隔離の実施状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。