精神科応急入院施設管理加算とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「精神科応急入院施設管理加算」って初めて見た加算なんですけど、どういうものですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の診療報酬上、区分A228として設定されている入院基本料等加算のひとつです。精神保健福祉法に基づく「応急入院」で患者を受け入れた場合に、入院初日に限り2,500点が加算される仕組みになっています。
みらい(新人医療事務)
「応急入院」って、普通の任意入院や医療保護入院と何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三十三条の六第一項には「厚生労働大臣の定める基準に適合するものとして都道府県知事が指定する精神科病院の管理者は、医療及び保護の依頼があつた者について、急速を要し、その家族等の同意を得ることができない場合において、その者が、次に該当する者であるときは、本人の同意がなくても、七十二時間を限り、その者を入院させることができる」と定められています。家族等の同意が得られないほど緊急性が高いケースで、都道府県知事が指定した精神科病院が、本人の同意なしに一時的に入院させる制度ということです。
みらい(新人医療事務)
どんな病院でも受け入れられるわけじゃないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。都道府県知事から指定を受けた精神科病院に限られます。この加算も、その指定病院が施設基準を満たして届出をしている場合に、入院初日について算定候補になる、という位置づけで理解しておくとよいと思います。
点数・算定コードの確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的な点数を確認したいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度時点の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)では、次のように整理されています。
| 区分 | 加算名 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|---|
| A228 | 精神科応急入院施設管理加算 | 2,500点 | 入院初日 |

みらい(新人医療事務)
入院初日だけの加算なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。告示の注には「当該措置に係る入院初日に限り所定点数に加算する」と明記されています。2日目以降の入院料には加算されない点に注意してください。
みらい(新人医療事務)
入院基本料と別立てで加算されるんですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。入院基本料(特別入院基本料等を含む)または特定入院料のうち、精神科応急入院施設管理加算を算定できるものを現に算定している患者が対象になります。ベースとなる入院料の枠組みのなかで、応急入院に該当する患者にだけ上乗せされる加算、というイメージです。
みらい(新人医療事務)
マスターコードそのものは確認できますか?
あおい(元・医療事務)
現時点で確認できている一次資料の範囲では、告示の区分番号A228・点数2,500点までです。レセプトコンピューターへの入力に使う具体的な診療行為コードは、お使いの医科診療行為マスターで確認してください。
どんな医療機関が対象ですか?施設基準を教えてください
みらい(新人医療事務)
この加算を算定候補にできるのは、どんな病院なんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準は令和8年厚生労働省告示第70号に定められていて、次の2つの要件があります。
施設基準(令和8年度・告示第70号)
①指定病院であること: 「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三十三条の六第一項の規定により都道府県知事が指定する精神科病院であること」 ②専用病床の確保: 「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三十三条の六第一項及び第三十四条第一項から第三項までの規定により入院する者のために必要な専用の病床を確保していること」
| 確認項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 指定病院であること | 都道府県知事が指定する精神科病院であること | 告示第70号 施設基準 二十四(1) |
| 専用病床の確保 | 応急入院・移送による入院のための専用病床を確保していること | 告示第70号 施設基準 二十四(2) |
| 届出 | 地方厚生局長等への届出(様式28ほか) | 告示第69号 注/届出書添付書類 |
みらい(新人医療事務)
「専用の病床」というのは、応急入院専用のベッドってことですか?
あおい(元・医療事務)
告示の文言のとおり、応急入院や移送による入院(同法第三十四条第一項から第三項)のために必要な病床を確保していることが条件です。一般の精神科病床と兼用してよいかどうかまでは、この告示の文言だけでは判断しきれません。自院の運用がこの要件を満たすかは、届出前に地方厚生局へ確認しておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
この2つを満たしていれば、すぐに算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準を満たしていることに加えて、地方厚生局長等への届出が前提です。届出が済んでいない状態では、実態として要件を満たしていても算定候補にはなりません。「届出済みであれば算定候補になる」という順番で確認するのが安全です。
みらい(新人医療事務)
対象になる患者はどういう人たちですか?診療所の外来患者とかも含まれますか?
あおい(元・医療事務)
対象は入院患者のみで、しかも都道府県知事が指定した精神科病院に応急入院した患者に限られます。この加算は病院の入院患者のみが対象で、診療所や外来・訪問診療は対象外です。外来の患者にこの加算がつくことはありません。
届出書類ではどんなことを確認されますか?
みらい(新人医療事務)
届出のとき、具体的にどんな書類を出すんですか?
あおい(元・医療事務)
地方厚生局が公開している届出書添付書類(様式28)を見ると、確認される項目が具体的にわかります。応急入院に関わる精神保健指定医・看護師・その他の職員の勤務体制(日勤・当直・準夜勤・深夜勤ごとの人数)、応急入院患者のための病床数、管理に必要な設備(コンピューター断層撮影装置・脳波計・酸素吸入装置・吸引装置・血液検査のための機器等)の一覧を記載する様式になっています。
みらい(新人医療事務)
添付書類も必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。様式の記載上の注意には、都道府県知事による応急入院指定病院の指定通知の写し、当該加算を算定する病室を含む病棟の様式(様式9)、精神保健指定医・看護師・その他の者に関する様式(様式20)、専用病床が明示された病棟の平面図を添付することが求められています。書類の準備には時間がかかることが多いので、余裕をもって進めるとよいと思います。
届出内容は地方厚生局によって異なる場合があります
届出書式・添付書類の詳細は地方厚生局ごとに公開されているものを確認してください。自院を管轄する地方厚生局の様式・提出方法で必ず確認が必要です。
併算定・算定タイミングの注意点
みらい(新人医療事務)
併せて算定できない加算とかあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。精神科隔離室管理加算(A229)の告示注には「同法第三十三条の六第一項に規定する入院に係る患者について、精神科応急入院施設管理加算を算定した場合には、当該入院中は精神科隔離室管理加算を算定しない」と明記されています。応急入院でこの加算を算定した入院期間中は、精神科隔離室管理加算を重ねて算定できないという決まりです。
みらい(新人医療事務)
隔離室に入っていても、両方は取れないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。レセプト作成時に、同一の入院で両方の加算がついていないか確認しておくと安心です。
算定単位・回数の注意点(令和8年度)
- 入院初日に限る加算であり、2日目以降の入院料には加算されません
- 精神科隔離室管理加算(A229)と同一入院中に重複算定できません
- 施設基準の届出が済んでいない場合は算定候補になりません
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年厚生労働省告示第69号・第70号で確認できる範囲では、精神科応急入院施設管理加算の点数・施設基準について、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省告示ベース)。地方厚生局が公開している届出書添付書類(様式28)についても、令和6年度版と令和8年度版を見比べた範囲で記載項目に変更は確認されていません。
みらい(新人医療事務)
ずっと同じ内容ってことですか?
あおい(元・医療事務)
少なくとも今回確認した一次資料の範囲では、そう言えます。ただし、この記事では令和8年度の告示・届出様式だけを確認しているので、今後の疑義解釈等で運用が補足される可能性はあります。最新の疑義解釈も合わせて確認しておくと安心です。
前回改定(令和6年度)からの確認結果
令和6年度(2024年度)改定時点の告示・届出様式と、令和8年度(2026年度)改定時点の告示・届出様式を確認した範囲では、精神科応急入院施設管理加算(A228)の点数・施設基準・届出書式に変更は確認されていません。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、自院がこの加算の対象になるか、どういう順番で確認すればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認するのがおすすめです。
自院で確認する順番
- 自院が都道府県知事の指定を受けた精神科病院かどうかを確認する
- 応急入院患者のための専用病床を確保できているかを確認する
- 精神保健指定医・看護師・その他の職員の勤務体制が届出様式の項目を満たすかを確認する
- 地方厚生局へ施設基準の届出を行う(未届出であれば算定候補にならない)
- 届出済みの状態で、応急入院に該当する患者の入院初日に算定候補として確認する

みらい(新人医療事務)
この順番なら、抜け漏れなく確認できそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。特に届出前の設備・人員体制の確認は時間がかかりやすいので、早めに動き始めるのがポイントです。
よくある取り漏れ・注意ポイント
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れって、どんなものがありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか挙げられます。
よくある取り漏れ
指定病院であることの確認漏れ: 都道府県知事の指定を受けていない精神科病院では、そもそも算定候補になりません 届出前の算定: 施設基準を満たしていても、地方厚生局への届出が済んでいなければ算定候補になりません 入院2日目以降の誤算定: 入院初日限りの加算のため、2日目以降に算定してしまうケースには注意が必要です 精神科隔離室管理加算との重複: 同一入院中に両方が算定されていないか、レセプト時に確認が必要です
みらい(新人医療事務)
どれも「うっかり」やってしまいそうなことですね。
あおい(元・医療事務)
はい。特に届出の有無と算定日は、レセプト点検の段階で見落とされやすいポイントです。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よくある疑問をまとめて教えてください。
あおい(元・医療事務)
では対話形式で3つ確認しましょう。
みらい(新人医療事務)
この加算はどんな患者に算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
精神保健福祉法第三十三条の六第一項に規定する応急入院に係る患者で、入院基本料や特定入院料のうち精神科応急入院施設管理加算を算定できるものを現に算定している患者が対象です。入院初日に限り算定候補になります。個々の患者への適用は、自院の届出状況とあわせて確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
診療所やクリニックでも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ。この加算は病院の入院患者のみが対象で、診療所・外来・訪問診療は対象外です。都道府県知事が指定した精神科病院であることが前提になります。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)と比べて、施設基準は変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
令和6年度(2024年度)改定時点と令和8年度(2026年度)改定時点の告示を確認した範囲では、施設基準(指定病院であること・専用病床の確保)に変更は確認されていません。ただし最終的な判断は、自院の届出内容と最新の一次資料でご確認ください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する 精神科措置入院診療加算 や 精神科隔離室管理加算 も同じ精神科領域の加算として合わせて確認しておくと、届出や体制の確認漏れを見つけやすくなります。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。