精神科措置入院診療加算ってどんな加算ですか?
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「精神科措置入院診療加算」という名前をカルテで見かけたんですけど、これってどんな場面で関係してくる加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の医科点数表では、区分番号A227として入院基本料等加算(A章)に位置づけられている加算です。精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)第29条または第29条の2に規定する入院措置、つまり措置入院や緊急措置入院に係る患者について、入院初日に限り所定点数へ加算する仕組みになっています。
みらい(新人医療事務)
「措置入院」というのは、本人や保護者の同意がなくても行政の権限で入院になるケースですよね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。都道府県知事等の措置により入院となった患者が対象になります。この加算は、そうした重い対応を要する入院初日について評価するものです。ただし、対象になるかどうかは患者ごとの入院措置の状況によって変わるので、確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
うちの病院でも精神科病棟があるので、算定候補になるケースがあるかもしれません。
あおい(元・医療事務)
可能性はありますが、断定はできません。この後、点数・対象・算定要件を順番に確認していきましょう。
対象医療機関・対象患者を確認しましょう
みらい(新人医療事務)
まず、どんな医療機関・患者が対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
対象医療機関は病院です。入院基本料等加算という区分の性質上、外来や在宅では対象になりません。対象患者は、精神保健福祉法第29条または第29条の2に規定する入院措置に係る患者で、入院基本料(特別入院基本料等を含む)または特定入院料のうち、精神科措置入院診療加算を算定できるものを現に算定している患者に限られます。
みらい(新人医療事務)
「現に算定している患者に限る」というのがポイントなんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。ベースになる入院料の側で、この加算を算定できる区分になっているかどうかがまず前提になります。ここは自院のレセプトコンピュータの設定と合わせて確認しておきたいところです。
みらい(新人医療事務)
届出とか施設基準は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
現時点で確認できている範囲では、この加算自体に個別の施設基準の届出は求められていません。ただし、ベースとなる入院基本料や特定入院料の側の施設基準・届出は当然必要です。「この加算単体だから届出不要」と考えるのではなく、土台になっている入院料の届出状況を含めて確認する姿勢が大切です。
点数・算定単位を確認します(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
気になる点数を教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年度時点の点数はこの表の通りです。
| 区分番号 | 加算名 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|---|
| A227 | 精神科措置入院診療加算 | 2,500点 | 入院初日 |

みらい(新人医療事務)
「入院初日」だけなんですね。入院中ずっと毎日つく加算じゃないんですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。厚生労働省告示(令和8年厚生労働省告示第69号)の記載では「当該措置に係る入院初日に限り所定点数に加算する」とされていて、算定できるのは入院初日の1回だけです。毎日の加算ではないので、初日以外の日に重ねて算定しないよう注意してください。
みらい(新人医療事務)
入院期間中に措置入院の状態が続いても、2回目はないということですね。
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)でも「精神科措置入院診療加算は、措置入院又は緊急措置入院に係る患者について当該入院期間中1回に限り入院初日に限り算定する」と明記されています。当該入院期間を通じて1回だけ、という理解が正確です。
算定要件の詳細を確認しましょう
みらい(新人医療事務)
「入院初日」の考え方で迷いそうなケースってありますか?
あおい(元・医療事務)
はい、実際によくあるのが「最初は任意入院や応急入院で始まり、あとから措置入院・緊急措置入院に切り替わる」ケースです。この場合の考え方が留意事項通知に明記されています。
応急入院から措置入院に切り替わった場合の算定日(令和8年度・留意事項通知)
留意事項通知には「ただし、応急入院患者として入院し、入院後措置入院又は緊急措置入院が決定した場合は、当該措置入院又は緊急措置入院が決定した日に算定する」と記載されています。つまり、入院そのものの初日ではなく、措置入院・緊急措置入院が決定した日を基準に算定するという整理です。
みらい(新人医療事務)
なるほど、「入院した日」と「措置が決定した日」がずれるケースがあるということですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。カルテ・入院診療計画書に記載された「措置入院決定日」を確認し、その日付で算定しているかをチェックすることが大切です。
併算定の注意点: 精神科応急入院施設管理加算との関係
みらい(新人医療事務)
他の加算と一緒に取れないケースってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、ここは見落としやすいポイントです。留意事項通知では「また、この場合にあっては、精神科応急入院施設管理加算は算定できない」と明記されています。
精神科応急入院施設管理加算との重複算定に注意(令和8年度)
応急入院患者として入院し、入院後に措置入院・緊急措置入院が決定して精神科措置入院診療加算を算定する場合、同じ入院について精神科応急入院施設管理加算は算定できません。どちらの加算をどの日付で算定しているか、レセプト作成前に必ず突き合わせて確認してください。
みらい(新人医療事務)
入院の経過によって、算定する加算そのものが変わってくるということですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。患者ごとの入院措置の経過(応急入院から始まったのか、最初から措置入院だったのか)を正確に記録・確認することが、算定候補かどうかを判断する土台になります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定(令和6年度)から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示・留意事項通知の記載内容を確認した範囲では、精神科措置入院診療加算(A227)の点数(2,500点・入院初日)および算定要件について、前回改定(令和6年度)からの主な変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省告示および留意事項通知ベース)。区分番号・加算名・点数・算定単位を含め、内容は令和6年度改定時点から継続している整理と見られます。
みらい(新人医療事務)
変わっていない、というのも大事な情報ですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。「変わっていないこと」も含めて、令和8年度の一次資料で確認できた事実として押さえておいてください。今後の改定で内容が変わる可能性もあるため、算定の都度、最新の告示・通知を確認する習慣は続けていただくのがおすすめです。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの病院で確認する順番ってどうすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度時点では、次の順番で確認するのがおすすめです。

自院で確認する順番(令和8年度)
- 対象患者が精神保健福祉法第29条・第29条の2に規定する措置入院または緊急措置入院に係る患者かを確認する
- その患者が、精神科措置入院診療加算を算定できる入院基本料(特別入院基本料等を含む)または特定入院料を現に算定しているかを確認する
- 入院初日か、応急入院から切り替わった場合は措置入院・緊急措置入院が決定した日かを確認する
- 同じ入院で精神科応急入院施設管理加算を重複して算定していないかを確認する
- ここまで確認できたものを算定候補として整理し、最終的にレセプト担当・医事課で再確認する
みらい(新人医療事務)
1つずつ順番に潰していけばいいんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。特に3番目の「どの日付を入院初日とみなすか」は経過によって変わるので、入院診療計画書やカルテの記載と突き合わせながら確認してください。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場で取り漏れやすいポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
よくある取り漏れ(令和8年度)
入院初日以外での算定漏れ確認: 入院初日の1回だけの加算のため、算定タイミングを逃すとその入院では算定できなくなります。措置入院の決定を受けた当日中にカルテ・レセプトへの反映を確認する運用にしておくと安心です。
応急入院からの切り替え日の記録漏れ: 応急入院として入院した後に措置入院・緊急措置入院が決定した場合、その決定日の記録がないと、どの日付で算定すべきか判断できなくなります。入院診療計画書や診療録に決定日を明記しておくことが重要です。
精神科応急入院施設管理加算との重複算定: 同じ入院で両方を算定してしまうと、後から査定・返戻の対象になる可能性があります。算定前に必ずどちらか一方であることを確認してください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よく聞かれそうな質問をまとめてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、いくつか整理しますね。
みらい(新人医療事務)
精神科病棟がある病院なら、どこでも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
「病院である」ことは前提ですが、それだけでは算定候補になりません。対象患者が精神保健福祉法第29条・第29条の2に規定する措置入院または緊急措置入院に係る患者であること、かつ、この加算を算定できる入院基本料・特定入院料を現に算定していることが必要です。自院の患者の入院措置の状況を個別に確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は本当に不要なんですか?
あおい(元・医療事務)
この加算自体について、現時点で確認できている範囲では個別の施設基準の届出は求められていません。ただし、ベースとなる入院基本料・特定入院料の側の届出状況は別途必要ですので、「加算単体で届出不要だから何もしなくていい」という理解ではなく、土台の入院料を含めて確認してください。
みらい(新人医療事務)
入院が長引いた場合、月ごとに算定できたりしますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、告示・留意事項通知の記載では「当該入院期間中1回に限り入院初日に限り算定する」とされています。月ごとではなく、当該入院を通じて1回だけです。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)と比べて点数は変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の一次資料を確認した範囲では、前回改定(令和6年度)からの点数・算定要件の変更は確認されていません。ただし、今後の改定で見直される可能性はあるため、算定の都度、最新の告示・通知を確認するようにしてください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する 精神科応急入院施設管理加算 や 精神科隔離室管理加算 も同じ精神科領域の加算として合わせて確認しておくと、届出や体制の確認漏れを見つけやすくなります。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。