みらい(新人医療事務)
精神科病棟の患者さんが肺炎を起こして、内科の先生にも診てもらうことになったんです。こういうとき算定できる加算ってありますか?
あおい(元・医療事務)
それはまさに「精神科身体合併症管理加算」(区分A230-3)が関係してきそうな場面ですね。精神科と内科・外科が協力して治療にあたる体制を評価する加算です。令和8年度の点数表をもとに、一緒に確認していきましょう。
みらい(新人医療事務)
お願いします! そもそもどういう考え方の加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示・留意事項通知では、精神病床に入院している身体合併症を併発した精神疾患患者に対して、精神科を担当する医師と内科又は外科を担当する医師が協力し、計画的に治療を提供することを評価したもの、とされています。精神科だけでなく身体面のケアも同時に必要になる患者さんを想定した加算です。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
どんな病院が対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準届出の通知では、精神科を標榜する病院であって、当該病棟に専任の内科又は外科の医師が1名以上配置されていることが前提とされています。加えて、対象となる入院料を算定している病棟であることも条件です。
みらい(新人医療事務)
対象になる入院料って決まっているんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。施設基準の通知には、「A103」精神病棟入院基本料(10対1・13対1・15対1に限る)、「A104」特定機能病院入院基本料(精神病棟である7対1・10対1・13対1・15対1に限る)、「A311」精神科救急急性期医療入院料、「A311-2」精神科急性期治療病棟入院料、「A311-3」精神科救急・合併症入院料、「A314」認知症治療病棟入院料のいずれかを算定している病棟であることが施設基準として示されています。自院の入院料がこのいずれかに当てはまるかを、まず確認する必要がありますね。
みらい(新人医療事務)
患者さん側の条件はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
対象になるのは、別に厚生労働大臣が定める身体合併症を有する精神障害者である患者です。留意事項通知では、その考え方の一部として、肺炎については抗生物質又はステロイドの投与を要する状態、意識障害についてはせん妄状態に準ずる状態、手術又は牽引を要する骨折については骨粗鬆症治療剤の注射を要する状態を含む、といった例が示されています。対象疾患の一覧そのものは告示の別表で定められているため、個別の患者さんが該当するかどうかは、その告示の記載と留意事項通知を突き合わせて確認する必要があります。

点数・算定日数(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表では、精神科身体合併症管理加算(1日につき)は次の2区分になっています。
| 区分 | 算定日数の目安 | 点数 |
|---|---|---|
| 1 | 治療開始日から7日以内 | 450点 |
| 2 | 治療開始日から8日以上15日以内 | 300点 |
みらい(新人医療事務)
「治療開始日から15日を限度」というのは、どういう意味ですか?
あおい(元・医療事務)
告示の注では、当該疾患の治療開始日から起算して15日を限度として、患者の治療期間に応じて所定点数に加算する、とされています。つまり、その身体合併症の治療が始まった日を1日目として数え、最大15日間まで算定できる仕組みです。7日目までは450点、8日目から15日目までは300点という段階になっています。
みらい(新人医療事務)
同じ月に何回も算定できるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、同一月において同一疾患に対して算定できるのは1回に限る、とされています。ただし同一月に複数の身体疾患を発症した場合には、それぞれの疾患について、それぞれの治療開始日から15日間に限り加算を算定することが可能です。その場合でも、同一月内にこの加算を算定できる期間は20日間までという上限が置かれています。複数の身体疾患を同時期に発症していて算定する日が重複するときは、いずれか1つの疾患に係る加算だけを算定します。
レセプトの摘要欄記載を忘れずに
留意事項通知では、この加算を算定する場合、診療報酬明細書の摘要欄に、厚生労働大臣が定める身体合併症の患者のいずれに該当するかを記載することとされています。記載漏れは査定・返戻につながりやすい確認ポイントです。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
施設基準はさっき少し出てきましたが、届出も必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、必要です。施設基準等及びその届出に関する手続きの通知では、精神科身体合併症管理加算の施設基準として、次の3点が示されています。
自院で確認する順番
- 精神科を標榜する病院であって、当該病棟に専任の内科又は外科の医師が1名以上配置されていること
- 対象となる入院料(A103精神病棟入院基本料の10対1・13対1・15対1、A104特定機能病院入院基本料の精神病棟部分、A311精神科救急急性期医療入院料、A311-2精神科急性期治療病棟入院料、A311-3精神科救急・合併症入院料、A314認知症治療病棟入院料のいずれか)を算定している病棟であること
- 必要に応じて患者の受入れが可能な精神科以外の診療科を有する医療体制との連携(他の保険医療機関を含む)が確保されていること
みらい(新人医療事務)
届出はどの様式を使えばいいんですか?
あおい(元・医療事務)
通知では、精神科身体合併症管理加算の施設基準に係る届出は別添7の様式31を用いることとされています。届出済みであれば算定候補になりますが、専任医師の配置や連携体制は届出後も維持されている必要がある点は確認しておきたいところです。
算定タイミング・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
併算定で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の疑義解釈(その2・問73)で、精神科慢性身体合併症管理加算(区分A230-5)との関係が整理されています。精神科慢性身体合併症管理加算に係る診察に併せて精神科身体合併症管理加算に係る診療を行った場合、精神科身体合併症管理加算は算定できないと明記されています。
みらい(新人医療事務)
同じ月なら重なってしまうということですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、日単位の話です。疑義解釈では、精神科慢性身体合併症管理加算に係る診察を行った日とは別の日に精神科身体合併症管理加算に係る診療を行った場合は、精神科身体合併症管理加算を算定できる、とされています。つまり同一日には併算定できないが、別日であれば両方の加算を運用できる可能性がある、という整理です。急性期の身体合併症(この加算)と、糖尿病などの慢性疾患を対象にした精神科慢性身体合併症管理加算は別の加算なので、両方の届出状況と算定日をあわせて確認しておくと安心です。
断定はできません
どの疾患が「別に厚生労働大臣が定める身体合併症」に該当するか、また併算定の可否は、患者ごとの病状や算定状況によって変わります。この記事の内容は一般的な整理であり、個別の算定可否を保証するものではありません。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収載する一次資料の範囲では、精神科身体合併症管理加算(A230-3)自体の点数(450点・300点)や算定日数の考え方(15日限度、同一月同一疾患1回、複数疾患は20日まで)に変更は確認されていません(2026年7月・厚労省一次情報ベースで確認)。
みらい(新人医療事務)
何も変わっていないなら安心ですね。
あおい(元・医療事務)
そこは少し注意が必要です。令和8年度の点数表には、この加算のすぐ後ろの区分として、精神科慢性身体合併症管理加算(区分A230-5)という別の加算が並んでいます。これは糖尿病や特定疾患療養管理料の対象疾患など、慢性的な身体合併症への対応を評価するもので、この記事の対象である精神科身体合併症管理加算(急性期の身体合併症が対象)とは別の区分です。前述の疑義解釈(問73)で、この2つの加算は同一日には併算定できないという整理が示されているため、自院がどちらの加算(あるいは両方)の対象になり得るかを、届出状況とあわせて確認しておくとよいでしょう。
隣接する加算と混同しない
「精神科身体合併症管理加算」(A230-3、急性期の身体合併症が対象、15日限度)と「精神科慢性身体合併症管理加算」(A230-5、糖尿病等の慢性疾患が対象、月1回)は名称が似ていますが別の加算です。施設基準・届出様式・対象患者がそれぞれ異なるため、混同しないよう注意が必要です。

自院チェックリスト
みらい(新人医療事務)
結局、うちの病院で確認すべき順番を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、次の順番で見ていくと整理しやすいと思います。
自院で確認する順番
- 精神科を標榜する病院かどうかを確認する
- 対象となる入院料(精神病棟入院基本料10対1・13対1・15対1等)を算定している病棟かどうかを確認する
- 当該病棟に専任の内科又は外科の医師が1名以上配置されているかを確認する
- 精神科以外の診療科を有する医療体制との連携(他院との連携を含む)が確保されているかを確認する
- 届出(様式31)を提出しているかを確認する
- 対象患者の身体合併症が、厚生労働大臣が定める疾患に該当するかをカルテ・告示原文で確認する
- 治療開始日からの算定日数(15日限度)と、精神科慢性身体合併症管理加算との算定日の重複がないかを確認する
みらい(新人医療事務)
これだけ確認できれば、算定候補になるかどうかの見通しが立ちそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし、専任医師の配置状況や連携体制は病院によって実態が異なりますし、患者さんごとの身体合併症の該当性も個別に判断が必要です。最終的には自院の届出内容と診療録を照らし合わせて確認してください。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れって、どんなパターンがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
いくつか典型的なパターンがあります。
よくある取り漏れの例
摘要欄の記載漏れ: 該当する身体合併症の種類をレセプトの摘要欄に記載していないケースです。留意事項通知で明記された必須事項なので、算定時のチェック項目に入れておくと安心です。 15日超の算定継続: 治療開始日から15日を超えた期間も同じ加算を算定し続けてしまうケースです。治療開始日の記録をカルテ側で明確にしておくことが重要です。 A230-5との同日算定: 精神科慢性身体合併症管理加算に係る診察を行った日に、この加算もあわせて算定してしまうケースです。疑義解釈(問73)のとおり、同一日は併算定できません。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが気になりそうな質問をまとめてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
いいですね。よくある質問をQ&A形式で整理しておきましょう。
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
この加算は入院基本料等加算(A章)に位置づけられており、対象は精神科を標榜する病院の入院患者です。外来や診療所は対象外の可能性が高いですが、自院の算定要件への該当性は個別に確認してください。
みらい(新人医療事務)
精神科以外の医師が非常勤でもいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
施設基準では「専任の内科又は外科の医師が1名以上配置されていること」とされています。専任・常勤の考え方については、告示・通知の原文および地方厚生局への確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
対象になる身体合併症の一覧はどこで見られますか?
あおい(元・医療事務)
別に厚生労働大臣が定める身体合併症の一覧は告示の別表で定められています。留意事項通知には肺炎・意識障害・骨折などの考え方の例が示されていますが、一覧全体は告示原文でご確認いただくのが確実です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。