精神科リエゾンチーム加算とはどんな加算ですか?
みらい(新人医療事務)
「精神科リエゾンチーム加算」という加算を見たんですが、精神科以外の病棟でも算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。精神科リエゾンチーム加算(区分番号 A230-4)は、一般病棟に入院中の患者に対して精神科のチームが診療に入ったときに算定できる加算です。令和8年度(2026年度)時点での区分です。
みらい(新人医療事務)
リエゾンって、どういう意味ですか?
あおい(元・医療事務)
フランス語で「連携・橋渡し」という意味です。精神科と内科・外科などの一般科が連携して、身体疾患で入院中の患者の精神症状を診るのが「精神科リエゾン」です。うつや不眠、せん妄、自殺企図といった精神的な問題を抱えた患者が一般病棟に増えてきたことが背景にあります。
みらい(新人医療事務)
一般病棟での精神症状ってよく起きるんですか?
あおい(元・医療事務)
高齢化が進むにつれて、骨折や手術後にせん妄を起こす患者は珍しくありません。また、がん告知後のうつ、慢性疾患に伴う抑うつなど、一般病棟の患者に精神的なケアが必要になる場面は多いです。そこへ精神科の専門チームが介入することで、精神症状の早期発見・早期介入が期待されています。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
どんな病院・患者が対象になるんでしょう?
あおい(元・医療事務)
まず医療機関は、施設基準を満たして地方厚生局長等に届け出た病院に限られます。クリニック(診療所)は対象外です。また、一般病棟に限定されています。精神病棟は対象外です。
みらい(新人医療事務)
一般病棟に限るというのは告示にも書いてあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。令和8年厚生労働省告示第69号の規定で、一般病院入院基本料等を算定している病棟のうち「精神科リエゾンチーム加算(一般病棟に限る。)」と明記されています。
みらい(新人医療事務)
対象の患者はどんな方ですか?
あおい(元・医療事務)
告示第69号の注1では、次の患者が対象とされています。
精神科リエゾンチーム加算の対象患者(令和8年度・告示69号より)
- 抑うつ若しくはせん妄を有する患者
- 精神疾患を有する患者
- 自殺企図により入院した患者
あおい(元・医療事務)
これらの患者に対して、精神科医師・看護師・精神保健福祉士等が共同して精神症状の評価等の診療を行った場合が対象となります。
精神科リエゾンチーム加算 算定要件・点数表(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はいくらですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の点数は次のとおりです。
| 区分 | 内容 | 点数 |
|---|---|---|
| A230-4 1 | 認知症又はせん妄の場合 | 300点(週1回) |
| A230-4 2 | それ以外の場合 | 700点(週1回) |
| 複数回診療加算 | 週2回以上診療を行った場合の加算(週1回限り) | 300点 |
あおい(元・医療事務)
出典: 令和8年厚生労働省告示第69号(A230-4)

みらい(新人医療事務)
認知症やせん妄は300点で、それ以外は700点というのは、逆のように感じるんですが?
あおい(元・医療事務)
少し直感に反しますよね。認知症・せん妄のケースは認知症ケア加算など別の加算との関係や、チームの関わり方が比較的定型化されているという背景があります。それ以外の精神疾患、たとえばうつ病や統合失調症、自殺企図後の患者への対応は、より複雑で手厚い介入が必要なためと読み取れます。ただし、制度設計の意図については公式な説明が必要ですので、詳細は公式資料をご確認ください。
みらい(新人医療事務)
週に何回も診た場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
週2回以上精神科リエゾンチームによる診療を行った場合は、複数回診療加算として週1回限り300点を所定点数に加算できます。ただし、この加算(注2)は「2」(それ以外の場合、700点)を算定する場合に限ります。
算定上限に関する注意
- 基本算定: 週1回限り
- 複数回診療加算: 週2回以上診療した場合、週1回限り300点追加(「それ以外の場合」算定時)
- 認知症ケア加算1を算定している患者には、精神科リエゾンチーム加算は別に算定できません(告示第69号 認知症ケア加算の注1)
精神科リエゾンチーム加算 施設基準
みらい(新人医療事務)
施設基準はどんな内容ですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年厚生労働省告示第70号(基本診療料の施設基準等の一部を改正する件)では、「精神疾患に係る症状の評価等の必要な診療を行うにつき十分な体制が整備されていること」と規定されています。
みらい(新人医療事務)
それだけですか?かなりざっくりした書き方ですね。
あおい(元・医療事務)
告示はそのような記載になっています。具体的な人員配置の要件(精神科医・看護師の資格・経験、精神保健福祉士や公認心理師の配置、チームの構成方法など)は、施設基準の届出に関する手続きの取扱い(届出通知)に記載されています。届出をする際は、その通知の詳細を必ずご確認ください。
施設基準確認のポイント(令和8年度)
- 告示第70号の規定: 「精神疾患に係る症状の評価等の必要な診療を行うにつき十分な体制が整備されていること」
- チームの構成要素: 告示第69号 注1により、精神科の医師・看護師・精神保健福祉士等が共同して診療を行う体制が求められる
- 届出先: 地方厚生局長等(届出が必要)
- 詳細な人員配置要件: 施設基準の届出に関する手続きの取扱い(保医発0305第7号)を確認
みらい(新人医療事務)
届出が必要というのは、届出なしでは算定候補にならないということですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。施設基準に適合して届け出た保険医療機関に限って算定候補になります。届出の有無と施設基準の充足状況は、自院の事務担当者や地方厚生局に確認することが必要です。
算定タイミング・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定できる患者と算定のタイミングで、特に気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか重要なポイントがあります。
算定にあたっての主な注意点(令和8年度)
対象患者の確認
- 抑うつ・せん妄・精神疾患・自殺企図による入院患者が対象
- 第1節の入院基本料(特別入院基本料等を除く)または第3節の特定入院料のうち、精神科リエゾンチーム加算を算定できるものを現に算定している患者に限る
病棟の確認
- 一般病棟に限る(精神病棟は対象外)
同一患者への他の加算との関係
- 認知症ケア加算1を算定する患者には、精神科リエゾンチーム加算は別に算定できない(告示第69号 A247の注1)
- せん妄ハイリスク患者ケア加算(A247-2)も同一患者には別に算定できない場合があるため要確認
特定入院料を算定中の患者
- 特定集中治療室管理料等を算定中でも、精神科リエゾンチーム加算が算定可能な特定入院料の患者については対象になる場合がある(告示第69号で「精神科リエゾンチーム加算」が除外されていない特定入院料の確認が必要)
みらい(新人医療事務)
認知症ケア加算1が入っている患者には算定できないというのは、どういうことですか?
あおい(元・医療事務)
認知症ケア加算1は病棟全体での認知症ケア体制への加算で、精神科リエゾンチーム加算よりも包括的なものです。そのため、認知症ケア加算1を算定している患者に対しては、精神科リエゾンチーム加算の重複算定が認められていません。ただし、認知症ケア加算2・3との関係は別途確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
認知症ケア加算との関係は重要そうですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。認知症・せん妄患者が多い病棟では、この2つの加算をどう使い分けるかが運用のポイントになります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定で精神科リエゾンチーム加算は変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
告示第69号(令和8年厚生労働省告示第69号)と告示第70号(施設基準)を確認した範囲では、精神科リエゾンチーム加算の点数区分(認知症・せん妄の場合300点、それ以外700点、複数回診療300点)および算定要件の構造は、前回改定(令和6年度)からの主な変更は確認されていません(2026年6月時点・告示ベースの確認)。
前回改定(令和6年度)との比較(告示ベース)
- 点数区分: 300点・700点・複数回300点(変更確認されず)
- 対象患者: 抑うつ・せん妄・精神疾患・自殺企図による入院患者(変更確認されず)
- 対象病棟: 一般病棟(変更確認されず)
- 施設基準告示の構造: 変更確認されず
注: 施設基準届出通知(保医発0305第7号)の詳細まで確認するためには、当該通知の全文をご確認ください。告示ベースの照合では細部の変更(研修要件・様式等)を網羅できない場合があります。
みらい(新人医療事務)
変わっていないということは、比較的安定した制度なんですね。
あおい(元・医療事務)
精神科リエゾンチーム加算は平成26年度(2014年度)に新設された加算で、その後も仕組みは維持されています。ただし、「変わっていない」と断定するためには施設基準届出通知の全文確認が必要ですので、届出や運用の見直し時には必ず最新の通知を確認してください。
自院での確認の進め方
みらい(新人医療事務)
実際に自院でこの加算の算定候補になるか確認したい場合は、どう進めればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認するとわかりやすいです。

自院で確認する順番
-
一般病棟の有無を確認: 精神病棟のみの病院は対象外。一般病棟があることが前提。
-
対象患者の存在確認: 抑うつ・せん妄・精神疾患・自殺企図による入院患者が一般病棟にいるか確認。
-
精神科標榜の確認: 院内に精神科があること(精神科の医師が関与できる体制)。
-
チーム構成の確認: 精神科の医師・看護師・精神保健福祉士等が共同して診療を行える体制が整っているか。
-
施設基準充足の確認: 届出通知(保医発0305第7号)の要件を自院の体制と照合。
-
届出の確認: 地方厚生局長等への届出が済んでいるか(届出なしでは算定候補にならない)。
-
他の加算との関係確認: 認知症ケア加算1との重複算定になる患者がいないか確認。
みらい(新人医療事務)
届出が済んでいない場合は、まず届け出ることから始めるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。施設基準が満たせると判断したら、地方厚生局への届出が必要です。届出に必要な書類は、施設基準の届出に関する手続きの取扱い(保医発0305第7号 別添)で確認できます。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
精神科リエゾンチーム加算で取り漏れやすいのはどんなケースですか?
あおい(元・医療事務)
実務でよく聞くのはこういったケースです。
よくある取り漏れパターン(確認の参考として)
- 「精神科リエゾン対応をしたけど記録が残っていない」: チームによる介入の記録(精神症状の評価等)が算定の裏付けになります。記録の整備が重要です。
- 「認知症ケア加算1との重複」: 同一患者に認知症ケア加算1を算定している場合、精神科リエゾンチーム加算は算定できません。算定前に確認が必要。
- 「精神科の医師が関与していない」: チームの要件として精神科の医師が入ることが求められます。看護師・精神保健福祉士だけでは要件を満たさない可能性があります。
- 「週1回を超えて算定してしまった」: 原則週1回が上限です。複数回診療加算は別途要件があります。
- 「一般病棟か精神病棟か確認していない」: 精神病棟入院患者には算定できません。
みらい(新人医療事務)
精神科が標榜されていれば、精神科の病棟でも算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ。精神科リエゾンチーム加算は一般病棟に限る加算です。精神科病棟(精神病棟)は対象外です。精神科を標榜している病院であっても、一般病棟の患者に対してチームが介入する形が基本となります。
みらい(新人医療事務)
「抑うつ」の患者の場合、300点と700点のどちらになりますか?
あおい(元・医療事務)
「抑うつ若しくはせん妄を有する患者」は告示の「認知症又はせん妄の場合」(300点)と「それ以外の場合」(700点)の区分に注意が必要です。せん妄は300点の区分に入りますが、抑うつ(うつ状態)は「せん妄」ではないため「それ以外の場合」(700点)に該当する可能性があります。ただし、実際の適用については審査支払機関の判断を含め確認が必要です。算定前に個々の症状と診断名に基づいて慎重に判断してください。
みらい(新人医療事務)
精神科リエゾンチーム加算と精神科身体合併症管理加算は何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
精神科身体合併症管理加算(A230-3)は、精神病棟に入院している患者の身体合併症を診る加算で、対象病棟が逆です。精神科リエゾンチーム加算は一般病棟に入院の患者の精神症状を診る、という形で住み分けられています。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
自院が算定候補になるか、もう少し詳しく確認したいです。
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。