がん拠点病院加算とは?まず全体像を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「がん拠点病院加算」という名前を初めて見ました。どんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の診療報酬上、区分番号A232として設定されている入院基本料等加算です。他の保険医療機関等からの紹介により入院した悪性腫瘍と診断された患者について、入院初日に限り所定点数へ加算する仕組みになっています。
みらい(新人医療事務)
病院しか関係ないんですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。対象は入院医療機関、つまり病院です。診療所や外来のみでは対象になりません。しかも誰でも算定候補になるわけではなく、「がん診療連携拠点病院」「地域がん診療病院」「小児がん拠点病院」のいずれかとして厚生労働省・都道府県から指定を受けている病院であることが前提です。
みらい(新人医療事務)
指定を受けていることが前提なんですね。区分がいくつかあると聞きました。
あおい(元・医療事務)
はい、大きく分けて5つの点数区分があります。次の章で確認していきましょう。
点数・区分の確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数の一覧を見てみたいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)時点の告示に基づく点数区分はこちらです。
| 区分 | 加算名 | 点数 | 算定回数 |
|---|---|---|---|
| A232・1のイ | がん診療連携拠点病院加算(がん診療連携拠点病院) | 500点 | 入院中1回(入院初日) |
| A232・1のロ | がん診療連携拠点病院加算(地域がん診療病院) | 300点 | 入院中1回(入院初日) |
| A232・2 | 小児がん拠点病院加算 | 750点 | 入院中1回(入院初日) |
| A232・注1ただし書(特例型・イ相当) | がん診療連携拠点病院加算(特例型) | 300点 | 入院中1回(入院初日) |
| A232・注1ただし書(特例型・ロ相当) | がん診療連携拠点病院加算(特例型) | 100点 | 入院中1回(入院初日) |
みらい(新人医療事務)
「特例型」というのは何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
がん診療連携拠点病院・特定領域がん診療連携拠点病院のうち「特例型」に指定された病院、または地域がん診療病院のうち特例型に指定された病院が対象です。特例型に指定されている場合は、通常の500点・300点ではなく、代わりに300点・100点を算定する扱いです。告示の注1ただし書には「別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関に、他の保険医療機関等からの紹介により入院した悪性腫瘍と診断された患者について、1のイ又はロの当該加算の点数に代えて、それぞれ300点又は100点を所定点数に加算する」と定められています。

みらい(新人医療事務)
これとは別に「ゲノム」という言葉も見た気がします。
あおい(元・医療事務)
はい、それは注2に定められた別枠の加算です。後ほど詳しくお話ししますね。
対象医療機関・施設基準を確認する
みらい(新人医療事務)
施設基準はどう確認すればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年3月5日付の留意事項通知(保医発0305第6号)によると、対象となる病院は「がん診療連携拠点病院等の整備について」(令和4年8月1日 健発0801第16号 厚生労働省健康局長通知)に定めるがん診療連携拠点病院等、または「小児がん拠点病院等の整備について」(令和4年8月1日 健発0801第17号 厚生労働省健康局長通知)に定める小児がん拠点病院であることが前提です。
対象となる指定区分(令和8年度)
① がん診療連携拠点病院: 都道府県がん診療連携拠点病院・地域がん診療連携拠点病院(いずれも特例型を含む) ② 特定領域がん診療連携拠点病院: 当該特定領域の悪性腫瘍の患者についてのみ、1のイを算定 ③ 地域がん診療病院: 特例型を含む ④ 小児がん拠点病院: 20歳未満の患者が対象
みらい(新人医療事務)
それぞれの区分でどんな体制が求められているんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、がん診療連携拠点病院(1のイ)はキャンサーボードの設置を含めた集学的治療・緩和ケアの提供・地域医療との連携・専門医師その他の専門の医療従事者の配置・院内がん登録の適切な実施・相談支援センター等の体制を備えていることが評価の前提とされています。地域がん診療病院(1のロ)も同様の体制、小児がん拠点病院(2)はこれに加えて長期フォローアップ体制や適切な療育環境等の体制を備えていることが求められます。
みらい(新人医療事務)
自院で施設基準を届け出る必要があるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこが少し特殊なところです。当サイトが確認している範囲では、この加算は地方厚生局への個別の施設基準届出ではなく、健康局長通知に基づく「がん診療連携拠点病院等」「小児がん拠点病院」としての指定を受けていることそのものが施設基準として扱われています。ただし、指定の有無や区分(特例型かどうか)によって算定できる点数が変わりますので、自院の指定状況・指定区分は必ず確認してください。
届出の考え方に関する注意
届出の要否・取扱いは病院によって解釈が分かれることがあります。自院の指定状況や区分について不明な点は、地方厚生局または保険診療担当部門に確認することをお勧めします。
対象患者・算定タイミングを確認する
みらい(新人医療事務)
どんな患者さんに算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知によると、他の保険医療機関または健康診断を実施した医療機関の医師により悪性腫瘍の疑いがあるとされ最終的に悪性腫瘍と診断された患者、または既に悪性腫瘍と診断されている患者であって、これらの医療機関からの紹介により、がん診療連携拠点病院・地域がん診療病院・小児がん拠点病院に入院した患者が対象です。小児がん拠点病院に入院した患者については、20歳未満の方に限られます。
みらい(新人医療事務)
いつ算定するんですか?
あおい(元・医療事務)
当該入院中1回に限り、入院初日に算定します。ただし、悪性腫瘍の疑いで入院し、入院中に悪性腫瘍と確定診断された場合は、入院初日ではなく確定診断を行った日に算定する扱いです。
みらい(新人医療事務)
紹介を受けて外来で治療してから入院した患者さんも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
含まれます。別の医療機関からの紹介を受け、通院治療を行った後に入院した患者さんも対象患者に含まれると通知に明記されています。一方で、悪性腫瘍以外の疾患で別の医療機関から紹介を受け、入院後に院内で悪性腫瘍と診断された患者さんは対象に含まれません。ここは取り違えやすいポイントです。
| 確認項目 | 対象に含まれる | 対象に含まれない |
|---|---|---|
| 紹介元での悪性腫瘍の診断・疑い | 他院・健診機関で悪性腫瘍の疑い、または診断済み | — |
| 通院治療を経て入院 | 紹介を受け通院治療後に入院した患者を含む | — |
| 悪性腫瘍以外の疾患で紹介 | — | 院内診断で悪性腫瘍が判明した場合は対象外 |
| 年齢(小児がん拠点病院) | 20歳未満 | 20歳以上 |
対象患者チェックのポイント
紹介元での診断: 他院・健診機関の医師が悪性腫瘍の疑い、または悪性腫瘍と診断していること 紹介による入院: その紹介により当該病院に入院していること 算定回数: 当該入院中1回のみ・入院初日(確定診断が入院後の場合は確定診断日) 小児区分: 小児がん拠点病院加算は20歳未満に限る
がんゲノム拠点病院加算(注2)について
みらい(新人医療事務)
さっき出てきた「ゲノム」の加算についても教えてください。
あおい(元・医療事務)
告示の注2に定められた加算で、がんゲノム医療中核拠点病院またはがんゲノム医療拠点病院に該当する病院が、ゲノム情報を用いたがん医療を提供する場合に、上記の点数へさらに250点を上乗せする仕組みです。留意事項通知では、遺伝子パネル検査等の実施及び治療への活用、遺伝性腫瘍等の患者に対する専門的な遺伝カウンセリングの実施、がんゲノム情報に基づく臨床研究・治験の実施等の体制を評価したものとされています。
みらい(新人医療事務)
「上乗せ」ということは、1のイ・ロや2と一緒に算定できるということですか?
あおい(元・医療事務)
はい。がん拠点病院加算(1のイ・ロまたは2)を算定した上で、がんゲノム医療中核拠点病院・がんゲノム医療拠点病院としての要件を満たす場合に、250点をさらに加算する構成です。ただし単独では算定できず、あくまで本体の加算に対する上乗せという位置づけです。
併算定の注意点
みらい(新人医療事務)
他の加算と一緒に算定できないケースはありますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知に明記されている注意点があります。がん拠点病院加算を算定した場合、がん治療連携管理料は算定できないとされています。同じ患者について両方を算定しないよう、レセプト作成時に必ず確認してください。
算定上の注意
- がん拠点病院加算とがん治療連携管理料は同時に算定できません
- 特例型指定病院かどうかで点数が変わるため、自院の指定区分を都度確認してください
- 悪性腫瘍以外の疾患で紹介を受け、院内で悪性腫瘍と診断された患者は対象患者に含まれません
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定で、この加算は何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できる一次資料(告示・留意事項通知)の範囲では、がん拠点病院加算の点数区分・対象患者・施設基準の考え方について、前回改定(令和6年度・2024年度)と比較して主な変更は確認されていません(確認日: 2026-07・厚労省告示および留意事項通知ベース)。
みらい(新人医療事務)
それなら、これまでの整理がそのまま使えそうですね。
あおい(元・医療事務)
基本的な枠組みは維持されています。ただし、対象となる「がん診療連携拠点病院」等の指定自体は健康局長通知に基づき更新されることがあります。指定病院の一覧や区分(特例型かどうか)は年度によって変わりうるため、点数区分の枠組みとは別に、自院の最新の指定状況は都度確認することをお勧めします。
| 項目 | 令和6年度(2024年度) | 令和8年度(2026年度) |
|---|---|---|
| 点数区分 | 500点・300点・750点・特例型300点/100点 | 同上 変更は確認されていません |
| 対象患者の考え方 | 紹介による入院・入院初日算定 | 同上 変更は確認されていません |
| ゲノム加算(注2) | 250点上乗せ | 同上 変更は確認されていません |
| 併算定制限 | がん治療連携管理料と同時算定不可 | 同上 変更は確認されていません |
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際に自院で確認するときは、どんな順番で見ていけばいいですか?
自院で確認する順番
- 指定区分を確認 — 自院が「がん診療連携拠点病院」「特定領域がん診療連携拠点病院」「地域がん診療病院」「小児がん拠点病院」のいずれかの指定を受けているか、また特例型指定かどうかを確認する
- 対象患者かを確認 — 他院・健診機関からの紹介により入院した悪性腫瘍の患者か(または悪性腫瘍疑いで入院し院内で確定診断された患者か)を確認する
- 算定タイミングを確認 — 入院初日(または確定診断日)に、入院中1回のみ算定されているかを確認する
- 点数区分を確認 — 指定区分・特例型の有無に応じた点数(500点・300点・750点・特例型300点・特例型100点)のどれに該当するかを確認する
- ゲノム加算の該当を確認 — がんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院に該当する場合、注2の250点上乗せの要件を満たすか確認する
- 併算定を確認 — 同一患者についてがん治療連携管理料を重複算定していないかを確認する

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実務でありがちな見落としがあれば教えてください。
よくある取り漏れ(令和8年度)
紹介入院であることの確認漏れ: 自院で悪性腫瘍を最初に発見・診断したケースは対象患者に含まれません 特例型の点数取り違え: 特例型指定病院であるにもかかわらず、通常区分の500点・300点で算定してしまうケース 確定診断日の算定漏れ: 疑いで入院し院内で確定診断した場合、入院初日ではなく確定診断日に算定する必要がある点の見落とし がん治療連携管理料との重複算定: 同一患者に両方を算定してしまうケース
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。指定区分や紹介入院の状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よくある疑問点も聞いておきたいです。診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、対象は入院医療機関です。診療所(外来のみ)では算定候補になりません。がん診療連携拠点病院等・小児がん拠点病院として指定を受けた病院に限られます。
みらい(新人医療事務)
外来でがんの診断がついた患者さんが、そのまま同じ病院に入院した場合は対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では「他の保険医療機関等からの紹介」による入院が要件です。紹介を伴わない、同一医療機関内での外来診断からそのまま入院したケースが対象に含まれるかどうかは、この記事で確認できる一次資料の範囲では明記されていません。個別の状況については自院で公式資料に照らして確認するか、審査支払機関にご確認ください。
みらい(新人医療事務)
入院中に複数回算定できる加算ですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、当該入院中1回に限り、入院初日(または確定診断日)に算定する加算です。同一入院中の複数回算定はできません。
みらい(新人医療事務)
特例型の指定を受けているかどうかは、どこで確認できますか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省・都道府県による「がん診療連携拠点病院等の整備について」等の指定通知や指定病院一覧が根拠になります。自院の指定区分(通常型か特例型か)は院内の担当部門または都道府県の担当窓口で確認してください。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は以下の厚労省公式資料を根拠としています。詳細な施設基準・対象患者の要件は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)は、厚労省「令和8年度診療報酬改定について」ページから確認できます https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の指定区分・対象患者の該当状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。