みらい(新人医療事務)
「強度行動障害入院医療管理加算」っていう名前を初めて見たんですけど、これってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
これは、精神科の入院病棟などで、意思の伝達が難しいくらい強度行動障害の状態が重い患者さんに対して、経験のある医師や看護師が臨床的な観察を伴う専門的な入院医療を提供したときに評価される加算です。区分番号はA231-2、令和8年度の医科点数表では入院基本料等加算(A章)に位置づけられています。
みらい(新人医療事務)
精神科病棟なら、どこでも対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこは注意が必要です。対象になるのは病院だけで、しかも入院している病棟・病室が施設基準を満たしていることが前提です。一つずつ整理していきましょう。

対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
まず、どんな医療機関が対象なんですか?
あおい(元・医療事務)
対象は病院の入院医療に限られます。診療所や外来、在宅は対象になりません。そのうえで、令和8年度の告示(区分A231-2)では、対象となる患者について次のように定められています。「別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関に入院している患者(第1節の入院基本料(特別入院基本料等を除く。)又は第3節の特定入院料のうち、強度行動障害入院医療管理加算を算定できるものを現に算定している患者に限る。)であって別に厚生労働大臣が定めるものに対して必要な治療を行った場合に、所定点数に加算する。」
みらい(新人医療事務)
つまり、入院基本料や特定入院料のどれを算定しているかによって、そもそも対象になるかどうかが変わるということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。加えて、患者さん側の状態にも基準があります。令和8年度の留意事項通知では、対象となる強度行動障害の状態を次のように定義しています。「強度行動障害入院医療管理加算の対象となる強度行動障害の状態は、基本診療料施設基準通知の別添6の別紙14の2の強度行動障害スコアが10以上及び医療度判定スコアが24以上のものをいう。」
みらい(新人医療事務)
スコアが10点以上、しかも医療度判定スコアが24点以上と、両方の条件を満たす必要があるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、どちらか一方ではなく両方です。このスコアは別紙14の2に定められた評価基準に沿って判定するもので、担当医師・看護師が個々の患者さんについて確認する必要があります。当サイトが収録している一次資料の範囲では、スコアの具体的な判定表そのものまでは本記事で再現していませんので、実際の評価は院内の基準通知の写しで確認してください。
点数(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどれくらいなんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示では、次のように定められています。
| 区分番号 | 加算名 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|---|
| A231-2 | 強度行動障害入院医療管理加算 | 300点 | 1日につき |
みらい(新人医療事務)
1日ごとに300点、入院している日数分積み上がっていくイメージですか?
あおい(元・医療事務)
基本的にはそうですが、算定できるのは前の章で確認した「対象となる入院基本料・特定入院料を現に算定している患者」に限られます。ここは「算定候補になりそうだ」という前提で、次に施設基準と届出の要否を確認していきましょう。
施設基準
みらい(新人医療事務)
施設基準はどんな内容ですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の施設基準通知(保医発0305第7号)では、次のいずれかに該当する病棟であることが求められています。原文をそのまま引用します。「次の各号のいずれかに該当する病棟であること。(1) 児童福祉法第42条第2号に規定する医療型障害児入所施設(主として重症心身障害児を入所させるものに限る。)又は同法第6条の2の2第3項に規定する独立行政法人国立病院機構の設置する医療機関であって厚生労働大臣の指定するものに係る障害者施設等入院基本料を算定する病棟であること。(2) 児童・思春期精神科入院医療管理料を算定する病棟であること。」
施設基準のポイント
該当する病棟の種類: (1)障害者施設等入院基本料を算定する特定の医療型障害児入所施設等の病棟、(2)児童・思春期精神科入院医療管理料を算定する病棟、のいずれかに限られます。これ以外の一般病棟や精神病棟入院基本料の病棟が自動的に対象になるわけではありません。 患者側の基準は別建て: 病棟の施設基準とは別に、患者ごとの強度行動障害スコア・医療度判定スコアの基準も同時に満たす必要があります。
みらい(新人医療事務)
自院の病棟がこの2つのどちらかに当てはまるかどうかを、まず確認しないといけないんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。それが最初の確認ポイントです。当てはまらない病棟であれば、患者さんのスコアが基準を満たしていても算定候補にはなりません。
届出の要否
みらい(新人医療事務)
施設基準があるなら、地方厚生局への届出も必要になりますか?
あおい(元・医療事務)
ここはこの加算の特徴的なところです。令和8年度の施設基準届出の取扱通知では、次のように明記されています。「強度行動障害入院医療管理加算の施設基準に係る取扱いについては、当該基準を満たしていればよく、特に地方厚生(支)局長に対して、届出を行う必要はないこと。」
みらい(新人医療事務)
え、届出しなくていいんですか? 施設基準があるのに珍しいですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。他の多くの入院基本料等加算とは異なり、この加算は届出という手続きを経る必要はなく、施設基準を満たしている実態があれば算定候補になる、という整理です。ただし、届出が不要ということは、逆に言えば「自院で基準を満たしていることを常に自己点検しておく」責任がより重くなるとも言えます。実際の運用にあたっては、院内の記録や体制が施設基準に沿っているかを自院で確認しておくことをおすすめします。
届出不要=無条件ではない
届出が不要であることと、施設基準を満たしていることは別の話です。届出書類の提出は不要でも、施設基準(対象病棟の種類)を満たしていない場合は算定できません。院内で基準適合の記録を残しておくことが望まれます。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
まず算定単位は「1日につき」なので、入院日数分を積み上げて算定する形になります。次に、対象となる患者は「第1節の入院基本料(特別入院基本料等を除く。)又は第3節の特定入院料のうち、強度行動障害入院医療管理加算を算定できるものを現に算定している患者」に限られる、という告示の条件があります。つまり、入院基本料や特定入院料の種類によっては、そもそもこの加算を上乗せできる組み合わせにならない場合があります。
みらい(新人医療事務)
併算定できない加算などもあるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料の範囲では、この加算固有の併算定禁止の規定は確認できていません。ただし、入院基本料等加算の全体としては、他の加算との組み合わせ制限が個別に定められているものもあるため、実際の請求の際は自院の算定システムや審査支払機関への確認をおすすめします。
算定候補であって確定ではない
本記事で紹介した点数・施設基準・届出の扱いは、令和8年度の告示・通知に基づく整理です。実際に算定できるかどうかは、自院の病棟区分・患者のスコア判定・診療録の記載状況によって変わるため、算定候補として捉え、最終判断は自院で確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前の改定(令和6年度)から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
良い質問ですね。前回改定(令和6年度)からの変更点について、当サイトが収集している厚生労働省の一次資料の範囲では、点数・施設基準・届出の取扱いに関する明確な変更は確認されていません(確認日: 2026年7月)。もし変更があった場合でも、その変更内容は個別に一次資料で裏付けが取れたときに、この記事を更新してお伝えします。
改定差分の確認について
点数だけでなく、施設基準・算定要件・対象患者の定義についても令和8年度の一次資料を確認していますが、当サイトが収集している範囲では令和6年度時点の告示・通知が確認できておらず、年度間の直接照合はできていません。そのため「変更なし」と断定はせず、令和8年度の一次資料の範囲で大きな変更点の記載は確認されていない、という整理にとどめています。今後、令和6年度資料の追加確認や官報訂正・疑義解釈によって内容が更新される可能性があるため、最新の一次資料も併せてご確認ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちの病院で確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認するのがおすすめです。
自院で確認する順番
病棟の種類を確認する: 自院の病棟が、医療型障害児入所施設等に係る障害者施設等入院基本料を算定する病棟か、児童・思春期精神科入院医療管理料を算定する病棟か、いずれかに当てはまるかを確認します。 入院基本料・特定入院料の組み合わせを確認する: 患者さんが現に算定している入院基本料・特定入院料が、この加算を算定できる組み合わせになっているかを確認します。 患者さんのスコアを判定する: 強度行動障害スコアが10点以上、かつ医療度判定スコアが24点以上であるかを、基本診療料施設基準通知の別紙14の2に基づいて判定します。 施設基準の自己点検を行う: 届出は不要ですが、施設基準を満たしている実態を院内で記録・確認します。 算定候補として整理する: ここまでの確認がすべて揃った時点で、算定候補として院内のレセプト担当者と共有します。

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としがちなポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
取り漏れやすいポイント
病棟要件の見落とし: 精神病棟入院基本料の病棟であれば何でも対象になると誤解し、実際には該当しない病棟で算定を検討してしまうケースです。対象は児童・思春期精神科入院医療管理料の病棟、または特定の障害者施設等入院基本料の病棟に限られます。 届出不要ゆえの自己点検不足: 届出が不要なため、施設基準を満たしているかどうかの確認が形骸化しやすい点です。届出がない分、院内での定期的な自己点検が重要になります。 患者スコアの再評価漏れ: 強度行動障害スコア・医療度判定スコアは患者さんの状態によって変わりうるため、入院時だけでなく状態変化のタイミングでの再評価が必要です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よく聞かれそうな質問をまとめてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
いいですね。整理しておきましょう。
みらい(新人医療事務)
うちは診療所なんですが、算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
対象は病院の入院医療に限られるため、診療所では算定候補になりません。
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていれば、届出をしなくても算定していいんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の通知では届出は不要とされていますが、施設基準を満たしている実態を院内で確認・記録しておくことをおすすめします。最終的な判断は自院で確認してください。
みらい(新人医療事務)
強度行動障害スコアはどこで確認できますか?
あおい(元・医療事務)
基本診療料施設基準通知の別添6の別紙14の2に判定基準が定められています。院内の基準通知の写しやスコア評価の手引きで確認が必要です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。