みらい(新人医療事務)
あおいさん、精神科病棟で「摂食障害入院医療管理加算」という名前を見かけたんですけど、これはどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の点数表で区分A231-4にあたる加算です。摂食障害の患者さんに対して、医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師・管理栄養士等がチームで集中的かつ多面的な治療を計画的に提供する体制を評価するものです。厚生労働省の留意事項通知には「摂食障害入院医療管理加算は、摂食障害の患者に対して、医師、看護師、精神保健福祉士、公認心理師及び管理栄養士等による集中的かつ多面的な治療が計画的に提供されることを評価したものである」と記載されています。
みらい(新人医療事務)
精神科の加算ということは、うちみたいな診療所は関係ないですよね?
あおい(元・医療事務)
そうですね。この加算は入院基本料等加算(A章)に位置づけられていて、病院の入院患者が対象です。外来や診療所では算定候補になりません。まず「病院かどうか」「入院患者かどうか」がスタート地点になります。
対象になる患者を確認する(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的にどんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知に明確な基準が書かれています。「摂食障害入院医療管理加算の算定対象となる患者は、摂食障害による著しい体重減少が認められる者であって、BMI(Body Mass Index)が15未満であるものをいう」とされています。摂食障害の診断がついているだけでなく、BMIが15未満という具体的な体重の基準を満たしていることが条件です。
みらい(新人医療事務)
BMIが15未満というのは、かなり厳密な基準なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。摂食障害の患者さん全員が対象になるわけではなく、著しい体重減少という重症度の基準が設けられています。カルテ上でBMIの記録が確認できるようにしておくことが、確認の出発点になります。
みらい(新人医療事務)
あと、告示の注書きに何か条件が書いてあった気がするんですが。
あおい(元・医療事務)
よく気づきましたね。告示の注では「第1節の入院基本料(特別入院基本料等を除く。)又は第3節の特定入院料のうち、摂食障害入院医療管理加算を算定できるものを現に算定している患者に限る」という限定が付いています。特別入院基本料等を算定している患者や、そもそも当該加算に対応していない入院料を算定している患者は対象外です。この「除く」の範囲は、院内のレセプト担当者と必ず確認してください。
点数・算定期間の確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はいくらになるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示(区分A231-4)では、入院してからの日数に応じて2区分に分かれています。
| 区分 | 点数(1日につき) |
|---|---|
| 入院した日から30日以内 | 200点 |
| 入院した日から31日以上60日以内 | 100点 |

みらい(新人医療事務)
60日を超えたら算定できなくなるんですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。告示には「入院した日から起算して60日を限度として、当該患者の入院期間に応じ、それぞれ所定点数に加算する」と明記されています。60日を超える期間については、この加算は算定候補になりません。入院日からの通算日数のカウントを、レセプト担当の方が正確に管理しておく必要があります。
算定期間の数え方に関する注意
「入院した日」を起点に60日を数える仕組みのため、転棟・転科があった場合の起算日の扱いは、院内のレセプト担当者と地方厚生局への確認が必要です。断定的に判断せず、個別のケースごとに確認してください。
施設基準: どんな体制が必要ですか?
みらい(新人医療事務)
この加算を算定候補にするには、どんな施設基準を満たす必要がありますか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の通知(基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて)に、4つの基準が示されています。
摂食障害入院医療管理加算の施設基準(令和8年度)
① 年間新規入院患者数の実績: 「摂食障害の年間新規入院患者数(入院期間が通算される再入院の場合を除く。)が1人以上であること」
② 専門職の常勤配置: 「摂食障害の専門的治療の経験を有する常勤の医師、管理栄養士及び公認心理師がそれぞれ1名以上当該保険医療機関に配置されていること」(一定の要件を満たす非常勤医師を組み合わせて常勤扱いとみなす特例あり)
③ 面接室の確保: 「精神療法を行うために必要な面接室を有していること」
④ 外部連携(必要に応じて): 「必要に応じて、摂食障害全国支援センター、摂食障害支援拠点病院又は精神保健福祉センターと連携すること」
みらい(新人医療事務)
②の「非常勤医師を組み合わせる特例」というのは、どういう意味ですか?
あおい(元・医療事務)
通知の原文では、「摂食障害の専門的治療の経験を有する常勤の医師の配置について、週3日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週22時間以上の勤務を行っている非常勤医師(摂食障害の専門的治療の経験を有する医師に限る。)を2名以上組み合わせることにより、常勤医師の勤務時間帯と同じ時間帯にこれらの非常勤医師が配置されている場合には、当該基準を満たしていることとみなすことができる」とされています。常勤医師を1名確保できない場合でも、条件を満たす非常勤医師2名以上の組み合わせで代替できる仕組みです。この要件を満たすかどうかは、勤務実態と雇用契約の内容を突き合わせて確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
管理栄養士や公認心理師にも同じような特例があるんですか?
あおい(元・医療事務)
通知の文言上、非常勤の組み合わせ特例が明記されているのは医師についてです。管理栄養士・公認心理師については、常勤での配置が原則になっています。この点は院内の人員体制を確認するときに見落としやすいポイントです。
届出書類・様式の確認
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていることは、どうやって届け出るんですか?
あおい(元・医療事務)
通知に「摂食障害入院医療管理加算の施設基準に係る届出は、別添7の様式32の4を用いること」と明記されています。届出書の添付書類には、体制に関する項目と実績に関する項目の両方が求められます。
| 届出書の記載区分 | 主な確認項目 |
|---|---|
| 体制に係る要件 | 摂食障害治療を担当する医師・公認心理師・管理栄養士の氏名、常勤換算の状況 |
| 実績に係る要件 | 届出前1年間における摂食障害の入院患者数 |
みらい(新人医療事務)
実績についても書類で確認されるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。「実績に係る要件の患者数は届出前1年間の患者数を記載すること」という記載上の注意もあります。年間の新規入院患者数の実績を、日頃から数字で追えるようにしておくことが大切です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前からあった加算なんですか?それとも令和8年度に新しくできたんですか?
あおい(元・医療事務)
摂食障害入院医療管理加算は、前回改定(令和6年度・2024年度)で設けられた加算で、令和8年度(2026年度)改定でも継続しています。当サイトが収録している厚生労働省の一次資料(令和8年度の告示・留意事項通知・施設基準通知)の範囲では、点数(30日以内200点・31日以上60日以内100点)や施設基準・算定要件について、前回改定(令和6年度)からの変更を示す記載は確認されていません(確認日: 2026年7月)。
みらい(新人医療事務)
変更なしってことは、安心して前と同じ理解でいいんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)時点の一次資料そのものは当サイトに収録できていないため、点数・施設基準の記載について完全な突き合わせができたわけではありません。届出済みの医療機関でも、念のため最新の告示・通知の原文で施設基準・算定要件を再確認することをおすすめします。
関連する入院医療管理加算とあわせて確認
みらい(新人医療事務)
似たような名前の加算が他にもあるって聞きました。
あおい(元・医療事務)
はい、区分A231台には、対象疾患ごとに近い考え方の加算がいくつか並んでいます。表にすると次のとおりです。
| 加算名 | 区分番号 | 対象 |
|---|---|---|
| 強度行動障害入院医療管理加算 | A231-2 | 強度行動障害の状態にある患者 |
| 依存症入院医療管理加算 | A231-3 | アルコール依存症・薬物依存症の入院患者 |
| 摂食障害入院医療管理加算 | A231-4 | BMIが15未満の摂食障害患者 |
みらい(新人医療事務)
これらもあわせて確認しておいたほうがいいんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。強度行動障害入院医療管理加算や依存症入院医療管理加算も、同じ入院基本料等加算の枠組みで、専門職の配置や届出が必要な加算です。精神科病棟の加算を院内で整理する際は、あわせて確認しておくと取り漏れを防ぎやすくなります。
自院での確認手順
みらい(新人医療事務)
結局、うちの病院がこの加算の候補になるか、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
こんな順番で見ていくとスムーズです。
自院で確認する順番
-
病院かどうか、入院患者かどうかを確認 — 入院基本料等加算のため、病院の入院患者が前提
-
算定中の入院料を確認 — 特別入院基本料等を算定していないか、当該加算に対応する入院基本料・特定入院料を現に算定しているかを確認
-
対象患者のBMIを確認 — 摂食障害による著しい体重減少があり、BMIが15未満であるかをカルテで確認
-
入院からの経過日数を確認 — 入院した日から起算して60日以内かどうかを確認(30日以内と31日以上60日以内で点数が異なる)
-
専門職の配置状況を確認 — 摂食障害の専門的治療の経験を有する常勤の医師・管理栄養士・公認心理師がそれぞれ1名以上配置されているか
-
面接室の確保を確認 — 精神療法を行うために必要な面接室があるか
-
年間の入院患者実績を確認 — 前年度の摂食障害の新規入院患者数が1人以上あるか
-
届出状況を確認 — 様式32の4による届出が地方厚生局に受理されているか

みらい(新人医療事務)
これだけ確認することがあると、自分たちだけで判断するのは大変そうです。
あおい(元・医療事務)
そういうときは、加算チェッカーを使うと整理しやすいですよ。自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できます。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実際によくある見落としのパターンはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
よくある取り漏れポイント
- BMIの記録がカルテに明記されておらず、対象患者の該当・非該当が判断できないケース
- 60日の起算日の管理が曖昧で、31日以上60日以内の区分(100点)への切り替えが遅れる、または60日超で誤って算定を続けてしまうケース
- 常勤の管理栄養士・公認心理師が異動・退職した後も、届出内容を変更せずそのままにしているケース
- 非常勤医師の組み合わせで常勤要件をみなす場合に、勤務時間帯の重なりを証明する記録が整っていないケース
- 年間の新規入院患者数の実績を集計しておらず、届出更新のタイミングで慌てて集計するケース
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後によくある疑問をまとめて聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、入院基本料等加算のため病院の入院患者が対象です。診療所では算定候補になりません。
みらい(新人医療事務)
BMIが15未満でなくなったら、途中で算定をやめないといけないんですか?
あおい(元・医療事務)
治療の経過でBMIが基準値を超えた場合の取り扱いは、算定要件の対象患者の定義に照らして個別に確認が必要です。一次資料に明記された「著しい体重減少が認められる者であって、BMIが15未満」という定義に該当し続けるかどうかを、その都度確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
この加算は前回改定(令和6年度)からどう変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度・2024年度)で設けられた加算で、令和8年度(2026年度)改定でも継続しています。当サイトが収録している一次資料の範囲では、点数・施設基準・算定要件に変更を示す記載は確認されていません(確認日: 2026年7月)。
みらい(新人医療事務)
依存症入院医療管理加算と一緒に算定できますか?
あおい(元・医療事務)
両方とも入院基本料等加算で、対象患者の定義が異なる加算です。同一患者が両方の対象患者の定義を同時に満たすことは想定しにくいため、通常はどちらか一方の対象患者として整理されます。具体的な併算定の可否は、レセプトの記載要領や地方厚生局への確認が必要です。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省の公式資料を根拠にしています。詳細は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号・0619訂正後) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713882.pdf
- 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第7号・0619訂正後) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713893.pdf
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。