みらい(新人医療事務)
院長から「うちの病院でも口腔管理連携加算が取れるかもしれないから調べてほしい」と言われたんですが、聞いたことがない加算で戸惑っています。
あおい(元・医療事務)
口腔管理連携加算ですね。令和8年度(2026年度)の診療報酬改定で新設された、区分番号A233-3の加算です。歯科診療を併せて行っていない保険医療機関(病院や有床診療所など、入院患者を受け入れているところ)が、入院患者さんの口腔状態に課題があるときに、連携している歯科医療機関へ紹介して歯科診療を受けてもらった場合に算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
「連携している歯科医療機関」というのがポイントなんですね。うちは歯科がない病院なので、対象になりそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし届出が必要な加算なので、施設基準を満たしているかをこれから一緒に確認していきましょう。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
まず、どんな医療機関・患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
対象は、入院患者を受け入れている保険医療機関のうち、歯科診療を併せて行っていないところです。病院だけでなく、入院設備のある有床診療所も含まれます。歯科を併設している医療機関は対象外です。無床診療所や外来は、そもそも入院患者がいないため対象になりません。
みらい(新人医療事務)
患者さん側の条件もあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。入院中の患者さんのうち、口腔状態に係る課題のために医科における治療上の課題を生じており、医師等が入院中の歯科受診が必要と判断した方が対象です。たとえば、口腔内の状態が全身の治療方針に影響しているようなケースが想定されます。
対象の整理(令和8年度)
対象医療機関: 歯科診療を併せて行っていない保険医療機関のうち、入院患者を受け入れているところ(病院・有床診療所を含む。歯科診療を併せて行う医療機関、無床診療所・外来は対象外) 対象患者: 入院中の患者のうち、口腔状態に係る課題のために医科における治療上の課題を生じ、医師等が歯科受診が必要と判断した患者
みらい(新人医療事務)
有床診療所も対象になるって、どこかに書いてあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。告示のA108(有床診療所入院基本料)とA109(有床診療所療養病床入院基本料)の注に「当該診療所においては、第2節の各区分に掲げる入院基本料等加算のうち、次に掲げる加算について、同節に規定する算定要件を満たす場合に算定できる」と規定されており、対象となる加算の一覧に口腔管理連携加算が明記されています。つまり有床診療所も、歯科非標榜などの施設基準を満たせば算定候補になり得ます。
| 区分 | 対象/対象外 |
|---|---|
| 病院(歯科標榜なし・入院患者あり) | 対象 |
| 有床診療所(歯科標榜なし・入院患者あり) | 対象(告示A108・A109の規定により算定候補) |
| 病院・診療所(歯科診療を併せて行う) | 対象外 |
| 無床診療所・外来 | 対象外(入院患者がいないため) |
点数
みらい(新人医療事務)
点数はどのくらいなんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示(区分番号A233-3)で600点と定められています。算定できるのは、紹介先の歯科医療機関で歯科診療が実際に行われた日に、入院中1回に限ってです。
| 区分番号 | 加算名 | 点数 | 算定回数 |
|---|---|---|---|
| A233-3 | 口腔管理連携加算 | 600点 | 入院中1回 |
みらい(新人医療事務)
併算定できないものってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。区分番号B009に掲げる診療情報提供料(Ⅰ)は、この加算の所定点数に含まれるものとされていて、別に算定できません。紹介の際に診療状況を示す文書を添えますが、その情報提供に係る費用は600点に含まれている、という整理になっています。

算定要件
みらい(新人医療事務)
具体的にはどういう流れで算定するんですか?
あおい(元・医療事務)
流れをまとめると、次のようになります。
算定の流れ(令和8年度・告示より)
対象患者の把握: 入院中の患者について、口腔状態に係る課題のために医科における治療上の課題が生じていると医師等が判断する 紹介: 連携体制を構築している他の歯科医療機関に対し、患者の同意を得て、診療状況を示す文書を添えて患者を紹介する 歯科診療の実施: 紹介先の歯科医療機関で、入院中に歯科診療が行われる 算定: 歯科診療が行われた日に、入院中1回に限り算定する
みらい(新人医療事務)
「診療状況を示す文書を添えて」というのは、紹介状のようなものですか?
あおい(元・医療事務)
そのイメージで問題ありません。ただし、患者さんの同意を得たうえで紹介することが要件に明記されています。同意を得た記録が残るようにしておくとよいでしょう。
施設基準
みらい(新人医療事務)
届出が必要ということは施設基準があるんですよね。
あおい(元・医療事務)
はい。厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関であることが前提です。具体的な基準は次の通りです。
施設基準(令和8年度・保医発0305第7号より)
連携体制の構築: 歯科診療を提供していない保険医療機関であり、口腔状態に係る課題がある患者が生じた場合に歯科訪問診療を依頼するための方法(連絡先・連絡方法)について、連携する歯科医療機関(連携歯科医療機関)と文書で取り決めていること 掲示: 連携歯科医療機関と連携体制を構築していること、及びその名称を、院内の見やすい場所に掲示していること ウェブサイト掲載: 掲示事項を原則としてウェブサイトに掲載していること(自ら管理するホームページ等を有しない場合を除く) 前年度実績: 入院中の患者に対し連携歯科医療機関から歯科訪問診療を受けた実績が3件以上、かつ退院時に歯科医療機関連携加算1(区分番号B009の注14)を算定した実績が3件以上、のいずれも満たしていること 院内体制: 入院患者に適切な口腔管理を提供し、治療が必要な口腔状態の課題(口腔衛生状態の不良や咬合不良等)を認めた場合に、必要に応じて連携歯科医療機関へ歯科訪問診療を依頼できる体制が整備されていること
みらい(新人医療事務)
「望ましい」という表現の基準もあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。「口腔状態に係る課題がある患者に対しては、入院中に歯科受診を要すると判断しなかった場合でも、退院後に歯科診療を担う他の保険医療機関への受診を促すことが望ましい」こと、そして「全ての入院患者について、入院後速やかに口腔状態に係る課題を評価する体制が整備されていることが望ましい」ことの2点は、努力義務としての位置づけです。必須の届出要件とは分けて確認してください。
| 施設基準チェック項目 | 内容 |
|---|---|
| 連携体制 | 連携歯科医療機関との文書による取り決め |
| 掲示 | 院内掲示+ウェブサイト掲載(自院サイトがある場合) |
| 前年度実績 | 歯科訪問診療の受け入れ3件以上/歯科医療機関連携加算1の算定3件以上 |
| 届出様式 | 別添7 様式34の2 |
施設基準の確認ポイント
「歯科診療を提供していない保険医療機関であること」が前提のため、歯科を併設している医療機関(病院・有床診療所とも)は施設基準の対象外です。また前年度の実績要件(3件以上×2種類)は、令和9年5月31日までの間に限り、満たしているものとみなす経過措置が設けられています(保医発0305第7号)。経過措置の期限後は実績の有無を必ず確認してください。
届出
みらい(新人医療事務)
届出はどうすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
口腔管理連携加算の施設基準に係る届出は、別添7の様式34の2を用いることとされています。地方厚生局への届出が受理されて初めて算定候補になります。届出がなければ算定の対象になりません。
自院で確認する順番
歯科標榜の有無を確認する: 自院(病院・有床診療所とも)が歯科診療を併せて行っていない保険医療機関であることを確認する 連携歯科医療機関との体制を構築する: 紹介の方法・連絡先・連絡方法を文書で取り決め、名称等を院内とウェブサイトに掲示する 前年度実績を確認する: 歯科訪問診療の受け入れ実績3件以上、歯科医療機関連携加算1の算定実績3件以上(経過措置期間は満たしているものとみなされる) 様式34の2で届出する: 地方厚生局長等へ施設基準の届出を行う 院内運用を整備する: 患者の同意取得・紹介状の様式・算定タイミングの確認体制を整える

算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するときに気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まず、算定できるのは歯科診療が実際に行われた日で、紹介した日ではありません。次に、入院中1回に限られていて、同一入院期間中に複数回算定することはできません。そして、診療情報提供料(Ⅰ)は別に算定できず、600点に含まれます。
算定時の注意
算定日は「紹介日」ではなく「歯科診療が行われた日」です。同一入院中は1回のみが算定候補です。区分番号B009の診療情報提供料(Ⅰ)は別算定不可(所定点数に含む)で、歯科を併設している医療機関はそもそも対象外です。
令和8年度改定での変更点(新設加算)
みらい(新人医療事務)
前回の改定にはなかった加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。口腔管理連携加算は令和8年度診療報酬改定で新設された加算です。厚生労働省保険局医療課の資料には「歯科標榜のない保険医療機関において、口腔状態の課題を抱える入院患者に対し、連携している歯科医療機関に手配を行い、入院患者が歯科診療を受けた場合の評価を新設」と明記されています。令和6年度(2024年度)以前の点数表には、この区分番号(A233-3)は存在しません。
前回改定(令和6年度)から今回改定(令和8年度)への変化
令和6年度(2024年度): 口腔管理連携加算に相当する区分番号はなし 令和8年度(2026年度): 区分番号A233-3として新設。600点。入院患者の口腔管理における医科歯科連携の推進策の一環として位置づけ
みらい(新人医療事務)
新設ということは、まだ実績を積んでいない病院も多そうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。だからこそ、前年度実績要件について令和9年5月31日までの経過措置が設けられています。この期間内は実績がなくても基準を満たしているものとみなされますが、期限後は実績の積み上げが必要になる点は覚えておいてください。なお、令和8年度の一次資料の範囲で確認できる変更点は以上のとおりで、これ以外の変更は確認されていません。
よくある取り漏れ
見落としやすいポイント
歯科併設医療機関での誤解: 歯科を標榜している病院・有床診療所では、この加算そのものが対象外になります。歯科標榜の有無を最初に確認してください。 無床診療所・外来との混同: 口腔管理連携加算は入院患者が対象です。無床診療所や外来患者には適用されません。一方で有床診療所(入院患者あり・歯科非標榜)は、告示A108・A109の規定により算定候補になり得ます。 ウェブサイト掲載の見落とし: 院内掲示だけでなく、自ら管理するホームページ等がある場合はウェブサイトへの掲載も施設基準の一部です。 診療情報提供料との重複算定: 診療情報提供料(Ⅰ)を別に算定してしまうと要件と食い違います。600点に含まれている点をレセプト担当と共有しておきましょう。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか気になっていることを聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
「歯科医療機関連携加算1」というのも出てきましたが、これは口腔管理連携加算と同じものですか?
あおい(元・医療事務)
別のものです。歯科医療機関連携加算1は歯科医療機関側(区分番号B009の注14)が算定するもので、口腔管理連携加算(A233-3)は病院・有床診療所側(医科点数表)が算定するものです。前年度実績の確認項目として、歯科医療機関連携加算1が算定された実績があるかどうかが施設基準に含まれています。
みらい(新人医療事務)
経過措置の令和9年5月31日を過ぎたらどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
その時点で前年度実績(歯科訪問診療の受け入れ3件以上、歯科医療機関連携加算1の算定3件以上)を実際に満たしているかどうかが問われることになります。経過措置の間に実績を積んでおくことが大切です。ただし今後の疑義解釈や通知で運用の詳細が示される可能性もあるため、最新の公式情報を確認してください。
みらい(新人医療事務)
診療所は対象外なんですか?
あおい(元・医療事務)
一律に対象外ではありません。無床診療所や外来は入院患者がいないため対象外ですが、入院設備のある有床診療所は対象になり得ます。告示のA108(有床診療所入院基本料)・A109(有床診療所療養病床入院基本料)の注で、口腔管理連携加算を含む入院基本料等加算について、算定要件を満たせば算定できると規定されています。歯科診療を併せて行っていないことなど、口腔管理連携加算そのものの施設基準は病院と同じく満たす必要があります。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省の公式資料を根拠としています。実際の算定にあたっては、必ず一次資料と自院の届出状況を照らし合わせて確認してください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)医科点数表 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第7号・令和8年6月19日訂正後) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713893.pdf
- 令和8年度診療報酬改定の概要【歯科】(厚生労働省保険局医療課 令和8年3月5日版) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001671913.pdf
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。歯科標榜の有無や連携体制の状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断で確認してください。施設基準の充足と届出の有効性は、必ず自院で確認してください。