みらい(新人医療事務)
事務長から「患者サポート体制充実加算、うちで算定候補にできるか調べておいて」って言われたんですけど…名前は聞いたことあっても中身がよくわかっていなくて。これってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
患者サポート体制充実加算(区分A234-3)は、入院患者やその家族と医療従事者との対話を促進するための支援体制を評価する入院基本料等加算です。相談窓口を設置して、疾病に関する質問や入院生活の不安などに丁寧に対応できる体制を整えている病院が対象になります。令和8年度(2026年度)の告示・留意事項通知をもとに、一緒に確認していきましょう。
みらい(新人医療事務)
「支援体制」というと少し抽象的ですね…。うちは診療所なんですが、対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
結論から言うと、この加算は入院基本料等加算(A章)に位置づけられていて、対象は病院に入院している患者のみです。診療所や外来、訪問診療は対象外になります。まず「入院患者がいる病院かどうか」が最初の分かれ目ですね。
みらい(新人医療事務)
なるほど、病院向けの加算なんですね。じゃあ点数を教えてください!
患者サポート体制充実加算とは(対象医療機関・点数)【令和8年度】
みらい(新人医療事務)
この加算、点数はいくらなんですか?何回でも算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年厚生労働省告示第69号(区分A234-3)ではこう定められています。
令和8年厚生労働省告示第69号(区分A234-3)
「A234-3 患者サポート体制充実加算(入院初日) 70点」。注では「患者に対する支援体制につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関に入院している患者(第1節の入院基本料(特別入院基本料等を除く。)、第3節の特定入院料又は第4節の短期滞在手術等基本料のうち、患者サポート体制充実加算を算定できるものを現に算定している患者に限る。)について、入院初日に限り所定点数に加算する」とされています。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 区分 | A234-3 |
| 名称 | 患者サポート体制充実加算 |
| 点数 | 70点 |
| 算定タイミング | 入院初日に限り(入院期間中1回のみ) |
| 対象医療機関 | 病院(入院基本料・特定入院料・短期滞在手術等基本料の一部を算定する病院)※診療所は対象外 |
| 対象患者 | 対象となる入院料等を現に算定している入院患者 |
| 届出 | 必要(地方厚生局長等へ届出) |
みらい(新人医療事務)
「入院初日に限り」ということは、長期入院になっても1回しか算定できないということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。留意事項通知(A234-3患者サポート体制充実加算)でも同じ考え方が示されています。
留意事項通知(A234-3患者サポート体制充実加算)
「(1) 患者サポート体制充実加算は、医療従事者と患者との対話を促進するため、患者又はその家族等(以下この項において「患者等」という。)に対する支援体制を評価したものであり、当該保険医療機関に入院している患者について、入院期間中1回に限り、入院初日に算定する。」
みらい(新人医療事務)
施設基準さえ満たしていれば、外来の患者さんにも使えますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、あくまで「入院している患者」が対象です。外来診療や在宅医療での相談対応は、この加算の対象にはなりません。施設基準の確認に進む前に、この対象範囲をまず押さえておきましょう。

施設基準を確認する(相談窓口・人員配置・支援体制)
みらい(新人医療事務)
点数と対象はわかりました。次に、施設基準を教えてください。
あおい(元・医療事務)
施設基準は「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日 保医発0305第7号)の第21の2にまとまっています。まず相談窓口の設置からです。
施設基準(保医発0305第7号 第21の2)
「(1) 当該保険医療機関内に患者又はその家族(以下「患者等」という。)からの疾病に関する医学的な質問並びに生活上及び入院上の不安等、様々な相談に対応する窓口を設置していること。」
みらい(新人医療事務)
窓口を作るだけでいいんですか?それとも人員の配置基準もあるんですか?
あおい(元・医療事務)
人員配置の要件もあります。ここは確認が必要なポイントですね。
施設基準(人員配置)
「(2) (1)における当該窓口は専任の医師、看護師、薬剤師、社会福祉士又はその他医療有資格者等が当該保険医療機関の標榜時間内において常時1名以上配置されており、患者等からの相談に対して相談内容に応じた適切な職種が対応できる体制をとっている必要がある。なお、当該窓口は「A234」に掲げる医療安全対策加算に規定する窓口と兼用であっても差し支えない。」
みらい(新人医療事務)
医療安全対策加算の窓口と兼用していいんですね!うちはすでに医療安全対策加算の窓口があるので、そこを活用できるか確認したいです。
あおい(元・医療事務)
良いポイントです。ただし「専任の医師・看護師・薬剤師・社会福祉士等の医療有資格者」が「標榜時間内に常時1名以上」配置されているかは、既存の窓口の実態を必ず確認する必要があります。研修についても定めがあります。
施設基準(研修・望ましい要件)
「(3) (1)における相談窓口に配置されている職員は医療関係団体等が実施する医療対話推進者の養成を目的とした研修を修了していることが望ましい。」
みらい(新人医療事務)
「望ましい」ということは、必須ではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。ここは努力義務であり、研修修了が施設基準の必須要件にはなっていません。混同しやすい点なので確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
窓口と人員配置以外にも、体制面での要件があるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。相談窓口だけでなく、院内の各部門との連携体制も求められています。
施設基準(支援体制)
「(4) 当該保険医療機関内に患者等に対する支援体制が整備されていること。なお、患者等に対する支援体制とは以下のことをいう。ア 患者支援体制確保のため、(1)における相談窓口と各部門とが十分に連携していること。イ 各部門において、患者支援体制に係る担当者を配置していること。ウ 患者支援に係る取組の評価等を行うカンファレンスが週1回程度開催されており、必要に応じて各部門の患者支援体制に係る担当者等が参加していること。エ 各部門において、患者等から相談を受けた場合の対応体制及び報告体制をマニュアルとして整備し、職員に遵守させていること。オ (1)における相談窓口及び各部門で対応した患者等の相談件数及び相談内容、相談後の取扱い、その他の患者支援に関する実績を記録していること。また、「A234」に掲げる医療安全対策加算を算定している場合は、医療安全管理対策委員会と十分に連携し、その状況を記録していること。カ 定期的に患者支援体制に関する取組の見直しを行っていること。」
みらい(新人医療事務)
カンファレンスは週1回程度必要なんですね。それに、掲示や説明も必要だと聞いたことがあります。
あおい(元・医療事務)
そうですね。院内掲示と入院患者への説明も施設基準に含まれています。
施設基準(掲示・説明・第三者評価)
「(5) 当該保険医療機関内の見やすい場所に、(1)における相談窓口が設置されていること及び患者等に対する支援のため実施している取組を掲示していること。また、当該保険医療機関の入院患者について、入院時に文書等を用いて(1)における相談窓口について説明を行っていること。」「(6) 公益財団法人日本医療機能評価機構等、第三者の評価を受けていることが望ましい。」
みらい(新人医療事務)
(6)の第三者評価も「望ましい」なので必須ではないんですね。届出はどうすればいいですか?
あおい(元・医療事務)
届出については、次のように定められています。
届出に関する事項
「2 届出に関する事項 患者サポート体制充実加算の施設基準に係る届出は、別添7の様式36を用いること。」
みらい(新人医療事務)
様式36を使って地方厚生局長等に届け出るんですね。施設基準は複数の要件が組み合わさっているので、自院の現状と1つずつ照らし合わせる必要がありそうです。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。「窓口はあるが人員配置が常時1名になっていない」「カンファレンスは開催しているが週1回に満たない」といったケースは、実際によくあります。届出済みであれば算定候補になりますが、最終的には施設基準の充足状況を自院で確認してください。
算定要件と算定タイミング・併算定の注意(がん拠点病院加算との関係)
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていれば、必ず算定できますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、施設基準を満たし届出をしていることに加えて、算定要件・除外規定の確認も必要です。特に注意したいのが、がん拠点病院加算との関係です。
併算定の注意(がん拠点病院加算との関係)
留意事項通知には「(4) 「A232」がん拠点病院加算を算定している場合は算定できない。」と明記されています。がん拠点病院加算を算定している患者については、患者サポート体制充実加算は算定できません。両方の施設基準を満たしていても、同一患者について同時算定はできないという整理です。
みらい(新人医療事務)
同じ患者さんでどちらか一方しか算定できないということですね。うちはがん診療連携拠点病院ではないので、その点は気にしなくてよさそうです。
あおい(元・医療事務)
そうであれば該当しませんが、がん拠点病院加算を算定している病院は、対象患者ごとにどちらの加算を算定するかの確認が必要になります。もう一つ、算定要件そのものについても確認しておきましょう。
留意事項通知(算定要件のまとめ)
「(2) 当該保険医療機関に相談支援窓口を設置し、患者等からの疾病に関する医学的な質問並びに生活上及び入院上の不安等に関する相談について懇切丁寧に対応すること。」「(3) 医療従事者と患者等との良好な関係を築くため、患者支援体制が整備されていること。」
みらい(新人医療事務)
これは施設基準の内容とほぼ同じ内容ですね。
あおい(元・医療事務)
はい、算定要件と施設基準は表裏一体になっています。施設基準を満たした状態を維持し続けていることが、そのまま算定要件を満たすことにつながる整理です。逆に言えば、届出後に窓口の人員配置が崩れたり、カンファレンスの開催頻度が落ちたりすると、算定要件を満たさなくなるおそれがあるということです。
みらい(新人医療事務)
一度届出をしたら終わり、ではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。継続的に体制を維持できているかどうかは、記録(相談件数・相談内容・カンファレンス開催記録など)で確認できるようにしておくことが望ましいです。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の令和6年度改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料(令和8年厚生労働省告示第69号・保医発0305第7号)の範囲では、患者サポート体制充実加算(区分A234-3)の点数(70点)・算定タイミング(入院初日)・施設基準の主要な項目について、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・当サイトの一次資料の範囲内)。
改定対比の整理(前回改定→今回改定)
前回改定(令和6年度): 患者サポート体制充実加算 70点・入院初日算定・相談窓口設置+人員配置+支援体制の施設基準。令和8年度(2026年度)改定: 同じく70点・入院初日算定・施設基準の主要項目に変更は確認されていません(一次資料の範囲内)。
みらい(新人医療事務)
「変更なし」と分かるだけでも安心材料になりますね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし点数や算定タイミングが変わっていないからといって、様式や運用細則まで一切変わっていないと断定はできません。最新の届出様式や疑義解釈は、届出前に地方厚生局の最新情報でも確認してください。
自院で確認する順番(チェックリスト)
みらい(新人医療事務)
ここまでの内容を、自院で確認する順番として整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい。次の順番で確認するとわかりやすいです。
自院で確認する順番
- 自院が病院で、対象となる入院基本料・特定入院料・短期滞在手術等基本料のいずれかを算定しているか確認する
- 疾病相談・生活上や入院上の不安に対応する相談窓口を設置しているか確認する
- 窓口に専任の医療有資格者が標榜時間内常時1名以上配置されているか確認する(医療安全対策加算の窓口との兼用可否も含めて確認)
- 各部門との連携・週1回程度のカンファレンス・マニュアル整備・相談記録の体制があるか確認する
- 窓口の院内掲示と入院時の患者説明ができているか確認する
- がん拠点病院加算を算定している患者がいる場合、重複算定になっていないか確認する
- 上記が整っていれば、様式36で地方厚生局長等に施設基準の届出を行う

みらい(新人医療事務)
こうやって順番で見ると、届出そのものより前段階の体制整備の方が確認事項が多いですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。窓口の「設置」自体は多くの病院で難しくないのですが、人員配置の常時1名要件やカンファレンス頻度、記録の継続性でつまずくケースが目立ちます。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実際によくある取り漏れって、どんなパターンがありますか?
あおい(元・医療事務)
よく確認が必要になるのは次のようなケースです。
よくある取り漏れ
相談窓口はあるが人員配置が不明確: 窓口自体は設置していても、専任職員が「標榜時間内常時1名以上」配置されているかの記録が残っていないケース。カンファレンスの頻度不足: 週1回程度の開催が求められているが、実際は月1回程度にとどまっているケース。がん拠点病院加算との重複算定: がん診療連携拠点病院で、対象患者についてどちらの加算を算定するか整理できていないケース。院内掲示・入院時説明の未実施: 施設基準の届出はしているが、掲示や入院時の説明が形骸化しているケース。
みらい(新人医療事務)
どれも「届出したから終わり」ではなく、日々の運用が問われる内容ですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。届出後も体制を維持できているかを定期的に見直す(6)の項目にもつながっていますので、担当部署で定期チェックの仕組みを作っておくことをおすすめします。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが疑問に思いそうなことをいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。順番に答えていきますね。
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ。患者サポート体制充実加算は入院基本料等加算(A章)に位置づけられており、対象は病院に入院している患者です。診療所は対象外になります。
みらい(新人医療事務)
1回の入院で複数回算定できますか?
あおい(元・医療事務)
できません。留意事項通知に「入院期間中1回に限り、入院初日に算定する」と明記されているため、同一入院での複数回算定はできません。
みらい(新人医療事務)
医療対話推進者研修を修了していないと算定できませんか?
あおい(元・医療事務)
施設基準では「修了していることが望ましい」とされており、必須要件にはなっていません。ただし相談対応の質を高める観点で修了が推奨されています。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)から点数は変わっていますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、令和6年度から令和8年度にかけて点数(70点)・算定タイミングの変更は確認されていません。最新の告示・通知は届出前に必ず確認してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。