感染対策向上加算(A234-2)とは?
みらい(新人医療事務)
あおいさん、感染対策向上加算ってよく名前を聞くんですけど、どんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
感染対策向上加算(区分A234-2)は、病院が院内に感染制御チームを設置し、組織的な感染防止対策を実施していることを評価する入院加算です。令和8年度(2026年度)現在も継続して算定できる加算です。
みらい(新人医療事務)
「組織的な感染防止対策」というのは、具体的にどういうことですか?
あおい(元・医療事務)
感染症の発生状況の把握、抗菌薬の適正使用、職員への感染防止研修、1週間に1回程度の院内ラウンド(巡回)など、チームで取り組む活動のことです。また、新興感染症が発生したときに都道府県の要請を受けて患者を受け入れる体制の確保も評価されます。
みらい(新人医療事務)
診療所は対象外なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、感染対策向上加算(A234-2)は病院(および有床診療所の一部)を対象とした入院加算です。診療所向けの感染対策加算は「外来感染対策向上加算」という別の区分になります。お間違えのないようにご確認ください。
令和8年度(2026年度)の点数・算定区分

みらい(新人医療事務)
点数はいくらですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示(厚生労働省告示第69号)で定められた点数はこちらです。
| 区分 | 点数 | 算定タイミング |
|---|---|---|
| 感染対策向上加算1 | 710点 | 入院初日(1回) |
| 感染対策向上加算2 | 175点 | 入院初日(1回) |
| 感染対策向上加算3 | 75点 | 入院初日および入院期間が90日を超えるごとに1回 |
| 指導強化加算(加算1上乗せ) | 30点 | 加算1と同時 |
| 微生物学的検査体制加算(加算1上乗せ) | 30点 | 加算1と同時 |
| 連携強化加算(加算2・3上乗せ) | 30点 | 加算2または3と同時 |
| サーベイランス強化加算(加算2・3上乗せ) | 3点 | 加算2または3と同時 |
| 抗菌薬適正使用体制加算(加算1〜3上乗せ) | 5点 | 加算1〜3と同時 |
みらい(新人医療事務)
加算3は90日ごとに繰り返せるんですね。長期入院の患者さんには影響が大きそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし、算定にはいくつか条件があります。留意事項(保医発0305第6号)では、90日を超えるごとの計算は「入院日から起算して91日目、181日目等と計算する」と定められています。再入院や入院期間の通算に関する詳細な取扱いは、留意事項通知の原文でご確認ください。
みらい(新人医療事務)
対象となる入院料はどれですか?
あおい(元・医療事務)
第1節の入院基本料(特別入院基本料等を除く)、第3節の特定入院料、第4節の短期滞在手術等基本料のうち、感染対策向上加算を算定できるものを現に算定している患者が対象です。すべての入院料が対象になるわけではないので、レセプトを担当する方はご確認ください。
施設基準・診療報酬 感染対策向上加算の算定要件
みらい(新人医療事務)
施設基準はどんな内容ですか?加算1・2・3で違うんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい、区分ごとに要件が異なります。令和8年度の施設基準通知(保医発0305第7号)に基づいて整理しますね。
感染対策向上加算1 主な施設基準(令和8年度)
- 感染防止対策部門を設置していること
- 感染制御チームを組織し、以下の構成員を配置: 感染症対策3年以上の専任常勤医師・5年以上の感染管理経験を持つ専任看護師・3年以上の専任薬剤師・3年以上の専任臨床検査技師(うち1名が専従)
- 院内感染管理者を配置していること(医療安全管理者とは兼任不可)
- 週1回程度、定期的に院内を巡回し、院内感染事例の把握・指導を行うこと
- 年2回以上の定期的な院内感染対策研修を実施すること
- 感染対策向上加算2・3または外来感染対策向上加算の届出を行った医療機関と年4回程度のカンファレンスを実施
- 院内感染対策に関するサーベイランスへの参加(詳細は告示第70号・別添3の施設基準通知でご確認ください)
- 第一種協定指定医療機関であること(感染症法第38条第2項に基づく)
- 院内感染防止対策に関する取組事項を院内の見やすい場所に掲示していること
みらい(新人医療事務)
第一種協定指定医療機関というのは何ですか?
あおい(元・医療事務)
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)に基づき、都道府県知事から指定を受けた医療機関です。新興感染症の発生時等に感染症患者を受け入れる体制を持つ病院が対象で、届出前に都道府県との協定が必要です。加算1を目指す場合は、この指定を受けているかどうかの確認が先決です。
感染対策向上加算2 主な施設基準(令和8年度)
- 一般病床の数が300床未満を標準とする
- 感染防止対策部門を設置していること
- 感染制御チームを組織していること(構成員の詳細要件は告示第70号・別添3の施設基準通知でご確認ください)
- 週1回程度の院内巡回(院内ラウンド)を実施すること
- 年2回以上の定期的な院内感染対策研修を実施すること
- 感染対策向上加算1の届出を行った医療機関が主催するカンファレンスに年4回以上参加(年4回以上参加、複数機関と連携する場合は各1回以上かつ合計4回以上)
感染対策向上加算3 主な施設基準(令和8年度)
- 一般病床の数が300床未満を標準とする
- 感染防止対策部門を設置していること
- 感染制御チームを組織していること(告示第70号・別添3の第21に基づき、専任の常勤医師・専任の看護師が構成員として定められています)
- 週1回程度の院内巡回(院内ラウンド)を実施すること
- 年2回以上の定期的な院内感染対策研修を実施すること
- 感染対策向上加算1の届出を行った医療機関が主催するカンファレンスに年4回以上参加
みらい(新人医療事務)
加算2と3の違いはどこにあるんですか?
あおい(元・医療事務)
大きな違いは感染制御チームの構成員要件です。加算1は医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師の4職種(うち1名が専従)が必要ですが、加算3は専任の常勤医師と専任の看護師が構成員として定められています(告示第70号・別添3 第21に基づく)。加算2の構成員要件の詳細も別添3の施設基準通知に定められていますので、一次資料でご確認ください。加算2・3はいずれも「一般病床の数が300床未満を標準とする」とされている点が共通しています。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
届出はどうすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
感染対策向上加算の算定には地方厚生局長等への届出が必要です。届出様式は別添7の様式35の2を使います。指導強化加算は様式35の3、連携強化加算・サーベイランス強化加算・微生物学的検査体制加算・抗菌薬適正使用体制加算はいずれも様式1の5を使います。
算定前に必ず確認すること
- 届出受理の有無(地方厚生局に確認)
- 加算1・2・3のどの区分で届け出ているか
- 上乗せ加算(指導強化・連携強化・サーベイランス強化・微生物学的検査体制・抗菌薬適正使用体制)の届出状況
- 入院料が感染対策向上加算の算定対象に含まれるか
みらい(新人医療事務)
届出済みの医療機関はどうやって調べればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
地方厚生(支)局のホームページに届出を行っている保険医療機関の一覧(医療機関一覧)が公開されています。自院の状況については担当部署または地方厚生局に直接確認してください。
院内ラウンド・院内掲示・院内研修のポイント

みらい(新人医療事務)
施設基準の中で、現場が特に気をつけなければいけないことってありますか?
あおい(元・医療事務)
3つのポイントがよく見落とされます。まず院内ラウンド(院内巡回)です。加算1〜3いずれも「1週間に1回程度、定期的に院内を巡回」することが求められています。巡回の内容と日時の記録も必要で、単に「ラウンドしました」という口頭確認では不十分です。次に院内掲示です。「当該保険医療機関の見やすい場所に、院内感染防止対策に関する取組事項を掲示していること」が要件で、外来フロアや受付など患者の目に触れる場所への掲示が求められます。3つ目は院内研修です。職員を対象に年2回以上の定期的な院内感染対策研修の実施が必要です。なお、この研修は医療安全対策加算に係る職員研修とは「別に」行うことが明記されています。
みらい(新人医療事務)
記録を残すことが大切なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。算定根拠を記録で示せることが施設基準の充足要件を満たす証明になります。ラウンドの記録、カンファレンスの議事録、研修の実施記録は定期的に確認しておくことをお勧めします。
上乗せ加算(指導強化・連携強化・サーベイランス強化・抗菌薬適正使用体制)の確認
みらい(新人医療事務)
表に載っていた「上乗せ加算」というのはどういうものですか?
あおい(元・医療事務)
感染対策向上加算の本体加算に加えて、追加の要件を満たすと上乗せで算定できる加算がいくつかあります。
| 上乗せ加算名 | 点数 | 対象 | 主な追加要件 |
|---|---|---|---|
| 指導強化加算 | 30点 | 加算1算定機関 | 加算2・3等に赴いて年4回以上の院内感染対策助言 |
| 微生物学的検査体制加算 | 30点 | 加算1算定機関 | 院内に微生物学的検査室を有していること |
| 連携強化加算 | 30点 | 加算2・3算定機関 | 加算1の届出機関に過去1年間に4回以上報告 |
| サーベイランス強化加算 | 3点 | 加算2・3算定機関 | 感染防止対策に資する情報を提供する体制に係る届出(詳細は告示第70号・別添3の施設基準通知でご確認ください) |
| 抗菌薬適正使用体制加算 | 5点 | 加算1〜3算定機関 | 抗菌薬の使用状況のモニタリングが可能なサーベイランスへの参加と所定の使用比率要件 |
みらい(新人医療事務)
抗菌薬適正使用体制加算の「一定条件」というのは何ですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準通知(告示第70号・別添3 第21 8)によると、「抗菌薬の使用状況のモニタリングが可能なサーベイランスに参加していること」かつ「直近6か月における入院中の患者以外の患者に使用する抗菌薬のうち、Access 抗菌薬に分類されるものの使用比率が 60%以上又は当該サーベイランスに参加する病院又は有床診療所全体の上位 30%以内」であることが条件とされています。届出前に施設基準通知の原文を必ずご確認ください。
上乗せ加算の届出は本体加算と別途必要
上乗せ加算は本体加算(加算1〜3)の届出だけでは算定できません。それぞれ別の届出様式での届出が必要です。確認が漏れがちな部分ですのでご注意ください。
よくある取り漏れチェック
みらい(新人医療事務)
実際に取り漏れが起きやすいポイントはどこですか?
あおい(元・医療事務)
現場でよく見かける取り漏れをご紹介します。
感染対策向上加算 よくある取り漏れ(令和8年度)
- 入院初日の算定忘れ: 加算1・2は入院初日のみ算定可能。漏れるとその入院で算定機会がなくなります
- 加算3の90日超カウント漏れ: 長期入院患者で90日を超えた際の算定を見落とすケースがあります(入院日から起算して91日目、181日目…)
- 上乗せ加算の未届出: 加算1を取れていても、指導強化加算や微生物学的検査体制加算の届出を忘れているケース
- 施設基準の継続的な充足確認: 届出後も施設基準の維持(院内ラウンドの記録、研修の実施等)が必要。年度途中で担当者が変わった場合に記録が途切れるリスクがあります
- 加算1と外来感染対策向上加算の混同: 加算1〜3の届出を行っている医療機関は、外来感染対策向上加算に係る届出を行ってはなりません(両立不可)
令和8年度改定での変更点(前回改定との差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度になって何か変わった点はありますか?
あおい(元・医療事務)
厚労省の令和8年度改定関連の一次情報(施設基準通知 保医発0305第7号・告示69号・告示70号)を確認したところ、令和8年度(2026年度)版の告示・通知における感染対策向上加算(A234-2)の点数区分(710点・175点・75点等)および施設基準の主な構造は、前回改定(令和6年度)からの変更は一次情報の範囲で確認されていません(確認日: 2026年6月・厚労省告示・施設基準通知ベース)。
改定差分に関する注意
今回確認した一次情報(令和8年厚生労働省告示第69号・第70号、保医発0305第7号)は令和8年度の現行資料です。前回改定(令和6年度)との差分の詳細は、厚労省が公開する「令和8年度診療報酬改定の概要」「個別改定項目について」等の資料で直接ご確認ください。届出内容が最新の施設基準に合致しているかの確認も定期的に行ってください。
みらい(新人医療事務)
改定のたびに要件が変わることもあるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。特に感染症対策に関しては、新興感染症対応の観点から継続的に要件が整備されています。直近の改定内容は、厚労省のホームページ(令和8年度診療報酬改定の概要・個別改定項目について)で確認できます。
自院で確認する順番
自院で確認する順番
- 届出状況の確認: 感染対策向上加算1・2・3のどの区分で届出しているか地方厚生局の受理通知で確認する
- 施設基準の充足確認: 感染制御チームの構成員・専任・専従の状況を確認する
- 協定指定医療機関の確認: 加算1を算定候補とする場合、感染症法第38条第2項に基づく第一種協定指定医療機関の指定を都道府県から受けているか確認する
- 院内活動記録の確認: 院内ラウンドの記録・院内研修の記録・カンファレンス参加記録が揃っているか確認する
- 院内掲示の確認: 院内感染防止対策に関する取組事項が患者の見やすい場所に掲示されているか確認する
- 上乗せ加算の確認: 指導強化加算・連携強化加算等の届出状況と算定漏れを確認する
- レセプトの確認: 入院初日の加算算定・加算3の90日超算定が正しく行われているか確認する
よくある質問
みらい(新人医療事務)
外来の患者にも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、感染対策向上加算(A234-2)は入院患者に限り算定対象となる入院加算です。外来向けの感染対策加算は「外来感染対策向上加算」(初診料・再診料等の注加算)として別に設けられています。なお、外来感染対策向上加算の届出を行っている医療機関は感染対策向上加算(A234-2)の届出を行っていない保険医療機関であることが条件とされているため、両立はできません。
みらい(新人医療事務)
診療所や小規模な病院でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
加算2と加算3は「一般病床の数が300床未満を標準とする」とされていますので、中小病院も算定候補になり得ます。ただし「標準とする」という表現は必須条件ではない場合もありますが、施設基準全体の充足が前提です。有床診療所は対象になり得ますが、外来感染対策向上加算と感染対策向上加算(A234-2)は同時に届け出られない点に注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
医療機関一覧はどこで調べられますか?
あおい(元・医療事務)
各地方厚生(支)局のホームページに、施設基準の届出を行っている保険医療機関の一覧が公開されています。「感染対策向上加算」で検索すると該当医療機関を確認できます。
みらい(新人医療事務)
いつから算定が開始された加算ですか?
あおい(元・医療事務)
感染対策向上加算(A234-2)は令和4年度(2022年度)の診療報酬改定で設けられた加算です。従前の感染防止対策加算を見直して現在の区分体系になりました。令和8年度(2026年度)も引き続き届出医療機関が算定候補となります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
自院が感染対策向上加算の算定候補になるか、もう少し詳しく確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や施設基準の充足状況を入力することで、確認すべきポイントが整理できます。算定要件は複数の条件が重なっているため、ぜひ活用してみてください。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。