重症患者初期支援充実加算とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
「重症患者初期支援充実加算」という加算を聞いたのですが、これはどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
集中治療室などに入院している特に重篤な患者さんとご家族に対して、治療方針の理解や意向の表明を支援する体制を評価する入院基本料等加算です。令和8年度の告示上の区分番号は「A234-4」、点数は300点(1日につき)です。
みらい(新人医療事務)
「入院時重症患者対応メディエーター」という言葉も見かけました。
あおい(元・医療事務)
そうです。患者さんの治療に直接関わらない専任の担当者を「入院時重症患者対応メディエーター」と呼びます。医師・看護師など他職種と一緒に、患者さんとご家族が治療方針・内容を理解し、意向を表明できるよう支援する役割を担います。
みらい(新人医療事務)
うちは診療所なんですが、対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
この加算は病院に入院している患者が対象で、診療所の外来には想定されていません。院内で「重症患者初期支援充実加算を算定できる特定入院料」を現に算定している患者さんに限られますので、まずは自院がどの入院料を届け出ているかを確認するところから始めましょう。
点数・算定要件の確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数と算定できる期間を具体的に教えてください。
あおい(元・医療事務)
表にまとめますね。
| 区分番号 | 名称 | 点数 | 算定単位 | 算定できる期間 |
|---|---|---|---|---|
| A234-4 | 重症患者初期支援充実加算 | 300点 | 1日につき | 入院した日から起算して3日を限度 |
あおい(元・医療事務)
告示の注では、次のように定められています。
告示の算定要件(令和8年度・原文)
特に重篤な患者及びその家族等に対する支援体制につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関に入院している患者(第3節の特定入院料のうち、重症患者初期支援充実加算を算定できるものを現に算定している患者に限る。)について、入院した日から起算して3日を限度として所定点数に加算する。

みらい(新人医療事務)
「入院した日」というのはいつを指すんですか? 一般病棟からICUに移った日でもいいんですか?
あおい(元・医療事務)
疑義解釈(令和4年度)で示された解釈によると、当該加算を算定できる治療室に入院または転棟した日を指すとされています。いったん対象外の病室に転棟し、その後再度対象の病室に入室した場合は、最初に入室した日が起算日になるとされています。この考え方自体は令和8年度でも変わっていません。
みらい(新人医療事務)
4日目以降は算定できないということですね。
あおい(元・医療事務)
はい、そこは特に取り漏れではなく「算定できない日に誤って算定してしまう」方向のミスが起きやすいところなので、レセプト作成時にカウントを必ず確認してください。
対象患者・対象医療機関: ICUなど特定入院料との関係
みらい(新人医療事務)
「特定入院料のうち算定できるもの」というのが、具体的にどれを指すのかわからないんですが……
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した告示の別表を見ると、特定集中治療室管理料、救命救急入院料、ハイケアユニット入院医療管理料、小児特定集中治療室管理料、新生児特定集中治療室管理料、新生児特定集中治療室重症児対応体制強化管理料、総合周産期特定集中治療室管理料、新生児治療回復室入院医療管理料といった、重症患者を受け入れる特定入院料の多くで、この加算は各特定入院料の所定点数に含まれない項目として別途算定できる扱いになっています。
みらい(新人医療事務)
つまり一般病棟に入院している患者さんは対象外ということですか?
あおい(元・医療事務)
はい、対象は病院に入院している患者のうち、上記のような重症患者向けの特定入院料を現に算定している方に限られます。一般病棟のみの医療機関では、そもそも算定候補になりにくい加算です。自院がどの特定入院料を届け出ているか、まずそこから確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
対象患者は「特に重篤な患者」とありますが、何か基準はありますか?
あおい(元・医療事務)
告示・通知の文言では「特に重篤な患者及びその家族等」という表現にとどまり、具体的な重症度スコアなどは示されていません。実務上は、上記の特定入院料を算定している患者全般が対象になり得ると理解されていますが、個々の患者への適用判断は自院の運用と公式資料に照らして確認してください。
施設基準: どんな体制が必要ですか?
みらい(新人医療事務)
施設基準はどんな内容になっていますか?
あおい(元・医療事務)
施設基準通知(保医発0305第7号)に基づくと、大きく2つの柱があります。
施設基準(令和8年度・要点)
- 「A234-3」患者サポート体制充実加算に係る届出をすでに行っている保険医療機関であること
- 院内に「入院時重症患者対応メディエーター」を配置し、患者・家族の治療方針理解と意向表明を、医師・看護師等の他職種とともに支援する体制が整備されていること
みらい(新人医療事務)
メディエーターって、誰でもなれるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、要件があります。医師・看護師・薬剤師・社会福祉士・公認心理師その他医療有資格者であるか、それ以外の場合は医療関係団体等が実施する支援に係る研修を修了し、かつ当該支援に係る経験を有する者、とされています。疑義解釈(令和4年度)では、該当する研修の例として、日本臨床救急医学会が実施する「入院時重症患者対応メディエーター講習会」が挙げられています。
みらい(新人医療事務)
カンファレンスのようなものも必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。患者・家族への支援の取組を評価するカンファレンスを月1回程度開催し、メディエーターや集中治療部門の職員、必要に応じて担当の医師・看護師が参加することが求められています。このカンファレンスは、患者サポート体制充実加算のカンファレンスを活用して差し支えないとされています。対応体制・報告体制のマニュアル整備、支援内容の記録、定期的な体制の見直しも施設基準に含まれます。
届出の確認(患者サポート体制充実加算との関係)
みらい(新人医療事務)
届出はどうやって出すんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準に係る届出は、別添7の様式36の2を用いることとされています。ここでのポイントは、この加算が患者サポート体制充実加算(A234-3)の届出を前提としている点です。患者サポート体制充実加算をまだ届け出ていない場合は、そちらの要件確認が先になります。
みらい(新人医療事務)
複数の治療室がある病院の場合、それぞれにメディエーターが必要ですか?
あおい(元・医療事務)
疑義解釈(令和4年度)では、院内にメディエーターが配置されていればよく、対象となるすべての治療室にそれぞれ別の担当者を置く必要はないとされています。届出済みであれば候補になりますが、実際の配置状況・カンファレンスの実施状況は自院で必ず確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前の改定から変わったところはありますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した一次資料(令和8年厚生労働省告示第69号・保医発0305第6号・保医発0305第7号)の範囲では、点数300点(1日につき)、算定期間(入院した日から3日を限度)、施設基準の骨格(患者サポート体制充実加算の届出・メディエーター配置・月1回程度のカンファレンス)のいずれについても、令和6年度(2024年度)改定時点からの変更は確認されていません。
みらい(新人医療事務)
けっこう前からある加算なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。参照されている疑義解釈は令和4年度(2022年度)に示されたもので、この加算の枠組み自体は制度導入時から大きくは変わっていないと考えられます。ただし、当サイトが未確認の告示・通知が別途存在する可能性もありますので、最新の改定情報は必ず公式資料でもご確認ください。
変更点確認の限界
「変更は確認されていません」は、当サイトが照合した一次資料の範囲内での確認結果です。自院の届出内容に関わる変更点は、必ず最新の告示・通知・疑義解釈をご自身でも確認してください。
算定上の注意点・よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
取り漏れやすいポイントを教えてください。
あおい(元・医療事務)
まず、算定できる期間は入院した日から3日が限度という点です。4日目以降の算定はできません。次に「入院した日」は当該加算を算定できる治療室への入院・転棟日を指すため、一般病棟からの転棟日をカウントの起点にし忘れないようにしましょう。
みらい(新人医療事務)
他にはありますか?
あおい(元・医療事務)
患者サポート体制充実加算の届出が前提条件になっている点も見落としやすいところです。届出の順番を誤ると、施設基準を満たしていないと判断される可能性があります。また、メディエーターが実施した支援の内容・実施時間を診療録等に記載することが求められていますので、記録の運用をあらかじめ体制に組み込んでおく必要があります。
みらい(新人医療事務)
メディエーターの研修は今からでも受けられますか?
あおい(元・医療事務)
疑義解釈(令和4年度)で紹介されている「入院時重症患者対応メディエーター講習会」など、医療関係団体等が実施する研修の実施状況は変わる可能性がありますので、最新の開催情報は実施団体や地方厚生局に確認することをおすすめします。研修修了を前提に人員配置計画を立てる際は、余裕を持ったスケジュールにしておくと安心です。
自院での確認手順
みらい(新人医療事務)
結局、どういう順番で確認すればいいですか?
自院で確認する順番
- 患者サポート体制充実加算(A234-3)の届出状況を確認する
- 対象となる特定入院料(特定集中治療室管理料・救命救急入院料・ハイケアユニット入院医療管理料等)の届出状況を確認する
- 入院時重症患者対応メディエーターの要件(資格・研修・経験)を満たす担当者を配置できるか確認する
- 支援体制のカンファレンス(月1回程度)・マニュアル・記録の運用を整備する
- 施設基準に係る届出(別添7様式36の2)を地方厚生局に提出する

みらい(新人医療事務)
順番に見ていけば、自院の状況が整理できそうです。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後によくある疑問を聞いておきたいです。まず、この加算は診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
対象は病院に入院している患者に限られており、診療所は想定されていません。まずは自院が病院かどうか、該当する特定入院料を届け出ているかを確認してください。
みらい(新人医療事務)
患者サポート体制充実加算を届け出ていない場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の要件で患者サポート体制充実加算の届出が前提とされていますので、その届出がない状態では、この加算の施設基準を満たしているとは言えません。まず患者サポート体制充実加算の要件確認が先になります。
みらい(新人医療事務)
入院時重症患者対応メディエーターは他の業務と兼任できますか?
あおい(元・医療事務)
患者の治療に直接関わらない者であることが要件です。複数の対象治療室がある場合でも、院内に配置されていればよく、治療室ごとに別の担当者を用意する必要はないとされています(疑義解釈・令和4年度)。
みらい(新人医療事務)
令和8年度でも研修修了の経過措置はありますか?
あおい(元・医療事務)
疑義解釈(令和4年度)で示された経過措置は令和5年3月31日までの期限が定められたものであり、現時点ではすでに終了しています。令和8年度時点で新たにメディエーターを配置する場合は、経過措置に頼らず、要件を満たす研修修了・経験を確認してください。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省公式資料を根拠としています。詳細な算定要件・施設基準・届出手続きは、必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚生労働省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号): https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号): https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/000433602.pdf
- 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第7号): https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/kihon080305.pdf
- 疑義解釈資料の送付について(その1)医科 問75-77(令和4年度): https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_21053.html
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。患者サポート体制充実加算の届出状況やメディエーターの配置状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。