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令和8年度最終更新 2026-07-06T18:12:57+00:00出典あり

身体的拘束最小化推進体制加算、自院は算定候補?【令和8年度】

編集監修: 福島 裕介(医師・循環器内科)

3行でわかる

令和8年度の身体的拘束最小化推進体制加算(区分A235)。40点。対象: 病院・届出必要・施設基準あり。施設基準に適合し地方厚生局長等に届け出た保険医療機関で算定(要届出・施設基準)。

この記事の案内役

  • みらい

    みらい新人医療事務

    医療事務になって1年目。算定や施設基準はまだ勉強中。読者の代わりに素朴な疑問を質問します。

  • あおい

    あおい元・医療事務(10年)

    レセプト・施設基準・届出を長く担当したベテラン。根拠と確認手順をやさしく解説します。

みらい

みらい新人医療事務

「身体的拘束最小化推進体制加算」って名前を最近よく聞くんですけど、これって新しい加算ですか?

あおい

あおい元・医療事務

はい、令和8年度(2026年度)の診療報酬改定で新設された加算です。区分番号はA235、点数は40点(1日につき)です。前回改定(令和6年度)にはこの加算自体は存在せず、令和8年度改定で新たに設けられました。

みらい

みらい新人医療事務

「身体的拘束」って、いわゆる抑制帯とかを使うことですよね。それを最小化する取組を評価する加算、ということですか?

あおい

あおい元・医療事務

そのとおりです。厚生労働省の資料では、身体的拘束を「抑制帯等、患者の身体又は衣服に触れる何らかの用具を使用して、一時的に当該患者の身体を拘束し、その運動を抑制する行動の制限」と定義しています。そのうえで、病院長や看護部長等の管理職員が中心となり、身体的拘束を原則として行わないという組織風土を醸成し、質の高い取組を行う体制を評価するのがこの加算の趣旨です。

対象になる病棟・患者は

みらい

みらい新人医療事務

どんな病棟で算定できるんですか?うちは療養病棟があるので気になります。

あおい

あおい元・医療事務

厚生労働省の「個別改定項目について」によると、対象になるのは次の入院料等を算定する病棟です。

対象となる入院料
療養病棟入院基本料
障害者施設等入院基本料
有床診療所療養病床入院基本料
地域包括ケア病棟入院料
特殊疾患入院医療管理料
特殊疾患病棟入院料
あおい

あおい元・医療事務

この一覧に含まれる入院料等を現に算定している患者のうち、施設基準に適合し地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者が対象になります。有床診療所の療養病床も対象に含まれている点は見落としやすいので、注意が必要です。

みらい

みらい新人医療事務

なるほど、病院だけじゃなく有床診療所も入っているんですね。うちは一般病棟だけなので対象外の可能性が高そうですね。

あおい

あおい元・医療事務

そうですね。一般病棟入院基本料や急性期の病棟だけの医療機関は、この加算の対象病棟に含まれていない可能性があります。対象病棟に該当するかどうかは、まず自院の届出済み入院料の種類を確認することから始めてください。

点数と算定の考え方

みらい

みらい新人医療事務

点数はさっき40点って聞きましたけど、算定の単位も確認したいです。

あおい

あおい元・医療事務

点数は40点で、算定の単位は1日につきです。告示の注では次のように定められています。

告示の注(原文)

注 身体的拘束最小化について質の高い取組を行う体制その他の事項につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者(第1節の入院基本料(特別入院基本料等を除く。)及び第3節の特定入院料のうち、身体的拘束最小化推進体制加算を算定できるものを現に算定している患者に限る。)について、所定点数に加算する。

あおい

あおい元・医療事務

つまり、対象の入院基本料や特定入院料を「現に算定している患者」であることが前提になります。入院基本料そのものを算定していない患者には、この加算だけを単独で算定することはできません。

身体的拘束最小化推進体制加算(令和8年度)40点/1日につきの対象病棟から算定までの流れ

施設基準で何を満たす必要があるか

みらい

みらい新人医療事務

施設基準はどんな内容なんですか?人員配置とか研修とか、具体的に知りたいです。

あおい

あおい元・医療事務

厚生労働省の資料では、施設基準の骨子として次の4点が示されています。

施設基準の骨子(令和8年度・個別改定項目について)

体制: 当該保険医療機関において、身体的拘束の最小化に資する十分な体制が整備されていること 実績: 当該病棟において、身体的拘束の最小化に関する十分な実績を有していること 方針の掲示: 身体的拘束最小化のために病院全体として取組を行っていること、原則として身体的拘束を行わない方針であること及び身体的拘束の実施状況について、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること ウェブ掲載: 掲示事項について、原則としてウェブサイトに掲載していること

みらい

みらい新人医療事務

掲示だけじゃなくてウェブサイトへの掲載まで求められるんですね。それ、忘れそうです。

あおい

あおい元・医療事務

はい、ここは見落とされやすいポイントです。院内掲示だけで満足してしまうと、ウェブサイト掲載の要件が抜け落ちてしまう可能性があります。

みらい

みらい新人医療事務

「実績」の要件って、身体的拘束の実施割合が一定の水準を満たしている必要がある、ということですよね。もし、ある月だけ一時的に割合が悪化してしまったら、その都度届出をやり直さないといけないんですか?

あおい

あおい元・医療事務

そこは疑義解釈で明確にされています。厚生労働省の「疑義解釈資料の送付について(その12)」(令和8年9月2日事務連絡)問4では、施設基準通知の「第3 届出受理後の措置等」の1(5)に定められている、算定要件中の該当患者の割合について暦月で3か月を超えない期間の1割以内の一時的な変動であればその都度の届出は不要という規定が、A235加算の身体的拘束の実施割合にも適用されるかが問われ、「適用される」と回答されています。

疑義解釈資料の送付について(その12)問4(令和8年9月2日事務連絡)

問4 施設基準通知の「第3 届出受理後の措置等」の1(5)において、算定要件中の該当患者の割合については暦月で3か月を超えない期間の1割以内の一時的な変動であれば、その都度の届け出は必要ない旨が規定されているが、「A235」身体的拘束最小化推進体制加算の施設基準における身体的拘束の実施割合についても、当該規定が適用されるか。 (答)適用される。

みらい

みらい新人医療事務

つまり、実施割合が一時的にちょっとだけ悪化した程度なら、その都度の届出は不要ということですね。

あおい

あおい元・医療事務

そのとおりです。ただし、あくまで「暦月で3か月を超えない期間」かつ「1割以内」の一時的な変動に限られる話です。この条件を超える変動や、継続的に実施割合が悪化している場合は、届出内容の見直しが必要になる可能性があります。自院の身体的拘束の実施割合を日頃から把握し、変動がこの条件の範囲内におさまっているかを確認できる体制にしておくとよいでしょう。

あおい

あおい元・医療事務

さらに、留意事項通知では「質の高い取組」の中身として、具体的な実施事項が示されています。抜粋すると次のような内容です。

留意事項通知が示す具体的な取組(抜粋)

組織風土の醸成: 病院長及び看護部長等の管理職員が、自らの言葉で身体的拘束を原則として行わずにケアを行うことを目指して病院全体で取組を行うことを全ての職員に周知し、組織風土の醸成を図る 患者・家族への説明: 身体的拘束を行う可能性がある患者、認知症の患者及びせん妄・転倒等のリスクのある患者並びにその家族等に対し、原則として行わない方針であること、拘束を行う場合と行わない場合それぞれのリスクを説明する 複数職員での検討: 身体的拘束を実施するかどうかは職員個々の判断ではなく、医師・看護師等、当該患者に関わる複数の職員で検討する 実施時の記録: やむを得ず実施する場合は、実施の必要性等のアセスメント・患者家族への説明と同意・具体的行為や実施時間等の記録・二次的な身体障害の予防・代替策の検討を行う 解除に向けた継続検討: 身体的拘束を実施した場合は、解除に向けた検討を少なくとも1日に1度は行う

みらい

みらい新人医療事務

掲示や記録だけじゃなくて、日々の運用そのものが問われる加算なんですね。

あおい

あおい元・医療事務

そうですね。書類上の体制整備だけでなく、実際のケアの現場で継続的に取り組まれているかが重要になります。

届出は必要ですか

みらい

みらい新人医療事務

これって届出は必須なんですか?

あおい

あおい元・医療事務

はい、必須です。施設基準に適合し、地方厚生局長等に届け出た保険医療機関でなければ算定できません。届出済みであれば算定候補になりますが、届出前の段階では算定できません。まずは自院の届出状況を確認することが出発点です。

算定タイミング・注意したい点

みらい

みらい新人医療事務

算定するときに気をつけたほうがいいことはありますか?

あおい

あおい元・医療事務

いくつかあります。まず、この加算は対象病棟の患者全員に自動的につくものではなく、施設基準に適合し届出をした病棟に入院している対象患者について、1日につき所定点数に加算するものです。対象入院料を算定していない日や、対象病棟以外に入院している患者には算定できません。

混同しやすい制度との違い

令和8年度改定では、入院料の通則にも「身体的拘束最小化の基準」が新設されており、この基準を満たさない保険医療機関は入院料等の所定点数から1日につき40点を減算(体制基準のみ満たす場合は20点減算)する仕組みが導入されています。これはA235 身体的拘束最小化推進体制加算(加算)とは別の制度です。「基準を満たさない場合の減算」と「質の高い取組を行う場合の加算」を混同しないよう、自院がどちらの位置づけにあるかを公式資料で確認してください。

みらい

みらい新人医療事務

加算と減算、両方に「身体的拘束最小化」という言葉が出てくるので、確かにややこしいです。

あおい

あおい元・医療事務

そうなんです。名前が似ているので事務職員の間でも混同が起きやすいところです。届出資料を確認するときは、どちらの届出をしているか、あるいはこれから届け出ようとしているかを明確にしておくとよいでしょう。

令和8年度改定での変更点(新設)

みらい

みらい新人医療事務

この加算、前の改定にはなかったんですよね?

あおい

あおい元・医療事務

はい。厚生労働省の「個別改定項目について」(令和8年2月13日答申)では、「身体的拘束の最小化に向け、組織的に特に質の高い取組を行っている場合の体制評価を新たに設け」、対象となる入院料を算定する病棟で算定可能とする、と説明されています。実際の記載でも加算名の前に「(新)」という表示がついており、令和8年度(2026年度)改定で新設された加算であることが確認できます。前回改定(令和6年度)には、この名称・区分番号の加算は存在していませんでした。

あおい

あおい元・医療事務

あわせて、入院料の通則に定められている身体的拘束最小化に関する基準そのものも、組織風土や研修内容、実績・取組に関する要件が充実する形で見直されています。これは加算とは別の、入院料算定の土台となる基準の見直しです。

自院で確認する順番

  1. 自院で届け出ている入院料の種類を確認する(療養病棟入院基本料・障害者施設等入院基本料・有床診療所療養病床入院基本料・地域包括ケア病棟入院料・特殊疾患入院医療管理料・特殊疾患病棟入院料のいずれかか)
  2. 対象病棟における身体的拘束最小化の体制(組織風土の醸成・研修・患者家族への説明の仕組み)が整っているか確認する
  3. 身体的拘束の実施状況の院内掲示とウェブサイト掲載ができているか確認する
  4. 身体的拘束を実施した場合の記録・解除に向けた検討(少なくとも1日に1度)の運用ができているか確認する
  5. 施設基準の届出状況(届出済みか、これから届け出るか)を確認する

自院で確認する順番(令和8年度・身体的拘束最小化推進体制加算)

よくある取り漏れ

みらい

みらい新人医療事務

実際に取り漏れやすいポイントって何ですか?

取り漏れやすいポイント

対象病棟の思い込み: 「病院なら対象」と思い込み、実際には対象の入院料一覧(療養病棟入院基本料等6種)に該当しない病棟で検討を進めてしまう 掲示の範囲不足: 院内掲示は行っていても、ウェブサイトへの掲載まで手が回っていない 個人判断での拘束実施: 身体的拘束の実施可否を職員個々の判断に任せてしまい、複数職員での検討という要件を満たせていない 通則の基準との混同: 入院料通則の「身体的拘束最小化の基準」(減算に関わる基準)とA235加算の施設基準を混同し、どちらを届け出ているか整理できていない

あおい

あおい元・医療事務

特に対象病棟の確認は最初のつまずきポイントになりやすいので、届出済みの入院料の名称を公式資料の一覧と照合するところから始めてください。

自院が算定候補か確認したい方へ

みらい

みらい新人医療事務

うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!

あおい

あおい元・医療事務

自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。

最終確認のお願い

最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。

公式データで見る算定要件・施設基準・届出

  • 対象医療機関

    施設基準に適合し地方厚生局長等に届け出た保険医療機関で算定(要届出・施設基準)。

  • 算定要件

    注身体的拘束最小化について質の高い取組を行う体制その他の事項につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者(第1節の入院基本料(特別入院基本料等を除く。)及び第 3節の特定入院料のうち、身体的拘束最小化推進体制加算を算定できるものを現に算定している患者に限る。)について、所定点数に加算する。じよくそう

よくある質問

身体的拘束最小化推進体制加算は一般病棟でも算定できますか?

対象入院料の一覧(療養病棟入院基本料・障害者施設等入院基本料・有床診療所療養病床入院基本料・地域包括ケア病棟入院料・特殊疾患入院医療管理料・特殊疾患病棟入院料)に一般病棟入院基本料は含まれていません。自院の病棟がこれらに該当するかを公式資料で確認する必要があります。

認知症の患者でなくても算定候補になりますか?

対象患者の要件に認知症の診断名は明記されていませんが、留意事項通知では認知症の患者やせん妄・転倒等のリスクのある患者への対応が想定されています。個々の患者が対象になるかは自院での確認が必要です。

前回改定(令和6年度)にあった加算と同じものですか?

いいえ、別のものです。令和6年度(2024年度)改定の時点ではこの名称・区分番号(A235)の加算は存在せず、令和8年度(2026年度)改定で新設されました。

身体的拘束の実施割合が一時的に悪化した場合、その都度届出をやり直す必要がありますか?

厚生労働省の疑義解釈資料の送付について(その12)(令和8年9月2日事務連絡)問4では、施設基準通知に定める「暦月で3か月を超えない期間の1割以内の一時的な変動であればその都度の届出は不要」という規定が、A235加算の身体的拘束の実施割合にも適用される旨が示されています。ただし、この条件を超える変動や継続的な悪化がある場合は自院での確認が必要です。

自院が算定候補になるか確認しましょう

加算チェッカーが、自院で確認すべき項目を質問形式で整理します。結果は算定可否を確約するものではなく、院内確認や地方厚生局等への確認に進むための参考情報です。

加算チェッカーで確認する

自院の体制から取り漏れ候補を試算する

病床数・診療場面など自院の体制を入力すると、確認すべき加算(取り漏れ候補)を整理します。患者数を入れると「取れた場合の概算インパクト(目安)」も試算できます。算定可否や算定額を保証するものではなく、院内確認や個別相談に進むための出発点です。

取り漏れシミュレーターで試算する

最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料(厚生労働省告示・通知等)・審査支払機関の判断でご確認ください。 本ページは 令和8年度 の情報です。

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