みらい(新人医療事務)
産科病棟がある病院さんから「ハイリスク分娩等管理加算」について質問されたんですけど、正直まだよくわかっていなくて…。「ハイリスク妊娠管理加算」と名前が似ていて混乱してしまいます。
あおい(元・医療事務)
よくある混同ですね。簡単に言うと、「ハイリスク妊娠管理加算」(区分A236-2)は妊娠中の管理に対する加算、今回の「ハイリスク分娩等管理加算」(区分A237)は分娩(お産)の際の管理に対する加算です。令和8年度時点でも、この区分は変わっていません。
みらい(新人医療事務)
なるほど、妊娠中か、分娩のときか、というタイミングの違いなんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。しかもA237という区分の中には、実はさらに2つの加算が入っています。「1 ハイリスク分娩管理加算」と「2 地域連携分娩管理加算」ですね。
A237「ハイリスク分娩等管理加算」とは
みらい(新人医療事務)
2つの加算が同じ区分に入っているんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。厚生労働省の令和8年度医科点数表の告示では、区分番号A237の見出しが「ハイリスク分娩等管理加算(1日につき)」となっていて、その中に「1 ハイリスク分娩管理加算」と「2 地域連携分娩管理加算」という2つの点数が並んでいます。

A237の構成(令和8年度)
区分A237 ハイリスク分娩等管理加算(1日につき): 1 ハイリスク分娩管理加算 / 2 地域連携分娩管理加算 対象: いずれも病院の入院患者が対象。外来や診療所は対象になりません。
みらい(新人医療事務)
うちの病院は産婦人科の病棟がある病院なんですが、対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
対象医療機関になり得るのは病院に限られます(診療所は対象外です)。ただし、対象患者や施設基準を満たしているかは別途の確認が必要で、この段階では「算定候補になり得る」というところまでしか言えません。
点数と算定単位(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどれくらいなんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示に基づく点数は、次の通りです。
| 区分 | 点数 | 算定単位 | 上限 |
|---|---|---|---|
| 1 ハイリスク分娩管理加算 | 3,200点 | 1日につき | 1入院に限り8日を限度 |
| 2 地域連携分娩管理加算 | 3,200点 | 1日につき | 1入院に限り8日を限度 |
みらい(新人医療事務)
1と2、同じ点数なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、令和8年度時点ではどちらも3,200点です。ただし、対象患者の範囲や施設基準は1と2で異なるので、混同しないよう注意してください。
対象患者(1 ハイリスク分娩管理加算)
みらい(新人医療事務)
「1 ハイリスク分娩管理加算」の対象患者は、具体的にどんな患者さんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知に、次のような疾患等に該当する妊産婦であって、医師がハイリスク分娩管理が必要と認めた者、と定められています。
1 ハイリスク分娩管理加算の対象疾患等(留意事項通知より)
妊娠22週から32週未満の早産の患者/40歳以上の初産婦である患者/分娩前のBMIが35以上の初産婦である患者/妊娠高血圧症候群重症の患者/常位胎盤早期剥離の患者/前置胎盤(妊娠28週以降で出血等の症状を伴う場合に限る)の患者/双胎間輸血症候群の患者/多胎妊娠の患者/子宮内胎児発育遅延の患者/心疾患(治療中のものに限る)の患者/糖尿病(治療中のものに限る)の患者/特発性血小板減少性紫斑病(治療中のものに限る)の患者/白血病(治療中のものに限る)の患者/血友病(治療中のものに限る)の患者/出血傾向のある状態(治療中のものに限る)の患者/HIV陽性の患者/当該妊娠中に帝王切開術以外の開腹手術(腹腔鏡による手術を含む)を行った・行う予定のある患者/精神疾患の患者(当該保険医療機関または他の保険医療機関で精神療法を実施し、診療情報が文書提供されている場合に限る)
みらい(新人医療事務)
「治療中」というのがいくつも出てきますね。
あおい(元・医療事務)
そこは要注意ポイントです。厚生労働省の留意事項通知では「治療中のものとは、対象疾患について専門的治療が行われているものを指し、単なる経過観察のために年に数回程度通院しているのみの患者は算定できない」と明記されています。経過観察だけの患者さんは対象に含まれません。
「治療中」の解釈に注意
糖尿病・心疾患などの「治療中」要件は、専門的治療を実際に行っている状態を指します。年数回の経過観察通院のみでは対象患者に該当しないため、カルテ記載で治療内容を確認する必要があります。
対象患者(2 地域連携分娩管理加算)
みらい(新人医療事務)
「2 地域連携分娩管理加算」のほうは対象が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、こちらは総合周産期母子医療センター等と連携している場合の加算で、対象疾患も別に定められています。
2 地域連携分娩管理加算の対象疾患等(留意事項通知より)
40歳以上の初産婦である患者/子宮内胎児発育遅延の患者(重度の子宮内胎児発育遅延の患者を除き、総合周産期母子医療センター等から診療情報が文書で提供されている場合に限る)/糖尿病の患者(2型糖尿病または妊娠糖尿病で食事療法のみで血糖コントロールが可能なものに限り、専門医または総合周産期母子医療センター等から診療情報が文書で提供されている場合に限る)/精神疾患の患者(他の保険医療機関で精神療法を実施し、診療情報が文書提供されている場合に限る)
みらい(新人医療事務)
さっきの「1」の対象患者と重なる部分もありますね。複数の疾患がある場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは疑義解釈で明確にされていて、地域連携分娩管理加算の対象疾患を複数有する場合や、地域連携分娩管理加算とハイリスク分娩管理加算の対象疾患をあわせ持つ場合は、地域連携分娩管理加算を算定できないとされています。
みらい(新人医療事務)
え、じゃあ複数の疾患がある妊婦さんは、逆に「1」の対象になる可能性があるということですか?
あおい(元・医療事務)
そこは患者さんの状態次第で、一律には言えません。実際の算定候補判断は、担当医と事務が疾患の内容を個別に突き合わせて確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
地域連携分娩管理加算は、名前の通り「連携」が条件になっているんですね?
あおい(元・医療事務)
そうです。厚生労働省の留意事項通知では「地域連携分娩管理加算の算定に当たっては、当該患者の分娩を伴う入院前において、当該保険医療機関から、当該保険医療機関と連携している総合周産期母子医療センター等に対して当該患者を紹介し、当該患者が受診している必要があること」とされています。事前の紹介・受診の実績が前提です。
施設基準(1 ハイリスク分娩管理加算)
みらい(新人医療事務)
施設基準はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の施設基準通知(保医発0305第7号「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」)の「第23 ハイリスク分娩等管理加算」に定められています。まず「1 ハイリスク分娩管理加算」から確認しましょう。
1 ハイリスク分娩管理加算に関する施設基準
当該保険医療機関内に、専ら産婦人科又は産科に従事する常勤の医師が3名以上配置(週3日以上・所定労働時間週22時間以上勤務の非常勤医師2名以上の組み合わせで常勤換算可、換算算入できるのは常勤医師のうち2名まで)/当該保険医療機関内に、常勤の助産師が3名以上配置/1年間の分娩件数が120件以上であり、かつ実施件数・配置医師数・配置助産師数を見やすい場所に掲示/公益財団法人日本医療機能評価機構が定める産科医療補償制度標準補償約款と同一の補償を実施
みらい(新人医療事務)
医師3名、助産師3名、分娩件数120件以上…結構ハードルが高いですね。
あおい(元・医療事務)
はい、中小規模の病院だと届出のハードルになりやすい項目です。特に「1年間の分娩件数120件以上」は、実績として満たしているかどうかを事前に確認しておく必要があります。
施設基準(2 地域連携分娩管理加算)
みらい(新人医療事務)
「2」のほうの施設基準は?
あおい(元・医療事務)
「1」の一部の基準を引き継ぎつつ、連携体制についての基準が追加されます。

2 地域連携分娩管理加算に関する施設基準
「1」の常勤医師3名以上要件と産科医療補償制度の要件を満たすこと/常勤の助産師が3名以上配置(うち1名以上は、助産に関する専門の知識や技術を有することについて医療関係団体等から認証された助産師)/1年間の分娩件数が120件以上であり、実施件数・配置医師数・配置助産師数及び連携している保険医療機関を見やすい場所に掲示/当該患者の急変時には、総合周産期母子医療センター等へ迅速に搬送が行えるよう連携をとっていること
みらい(新人医療事務)
「認証された助産師」というのは、具体的にはどういう資格なんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の疑義解釈(令和4年度公表分)では、「一般財団法人日本助産評価機構の認証を受けた『アドバンス助産師』」を指すと示されています。この用語定義は令和8年度時点でも同様に扱われている前提で運用されていますが、最新の認証状況は当該団体・自院の届出内容で確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしているかどうかは、うちだけでは判断が難しそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。医師・助産師の人数や分娩件数の実績は病院ごとに違いますし、掲示要件も含めて自院での確認が欠かせません。届出済みであれば算定候補になりますが、届出前の段階では「施設基準の確認が必要」というのが正確な言い方です。
届出
みらい(新人医療事務)
届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
はい、必要です。厚生労働省の施設基準通知では「ハイリスク分娩等管理加算の施設基準に係る届出は、別添7の様式38を用いること」とされています。「1」「2」共通で様式38を使う形です。
届出なしでは算定候補になりません
施設基準を満たしていても、地方厚生局長等への届出が済んでいなければ算定候補にはなりません。届出の有無は必ず確認してください。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定できる期間や回数に制限はありますか?
あおい(元・医療事務)
はい、いくつか重要な制限があります。
算定タイミング・回数の要点
1入院に限り8日を限度として算定/ハイリスク妊娠管理加算(A236-2)と併せて算定する場合、合計で1入院あたり28日を限度/同一日にハイリスク妊娠管理とハイリスク分娩管理(または地域連携分娩管理)を行う場合は、分娩側の加算のみを算定(妊娠管理加算の費用は分娩側に含む)
みらい(新人医療事務)
妊娠管理加算(A236-2)と一緒に使えるんですね。
あおい(元・医療事務)
併算定は可能です。ただし合計で28日という上限があるので、妊娠中の管理日数が多い患者さんほど、分娩時に使える残り日数が少なくなる点に注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
もし赤ちゃんが亡くなってしまった場合(死産)は、算定できなくなるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
そこは疑義解釈で示されていて、「ハイリスク分娩等管理加算の対象となる妊産婦(妊娠85日以降の場合に限る)であって、医師がハイリスク分娩管理又は地域連携分娩管理が必要であると判断し、当該管理を行った者については算定できる」とされています。死産という結果だけで一律に算定不可になるわけではありません。
みらい(新人医療事務)
地域連携分娩管理加算の対象患者を紹介したときの診療情報提供料は、別に算定できますか?
あおい(元・医療事務)
疑義解釈では、診療情報提供料(Ⅰ)の算定要件を満たす場合は算定可能とされています。ただし要件を満たしているかどうかは個別確認が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から、この加算に変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の「個別改定項目について」(令和8年度改定)を確認した範囲では、A237ハイリスク分娩等管理加算に関する記載は見当たりませんでした。告示の点数も1・2とも3,200点で、当サイトが確認できた一次資料の範囲では、前回改定(令和6年度)からの主な変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省一次情報ベース)。
みらい(新人医療事務)
つまり「変わっていない」ということでいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
「一次資料で確認できる範囲では変更が見当たらない」という言い方が正確です。改定の全項目を横断的に確認したわけではないので、自院で届出内容を見直す際は、最新の告示・通知も併せて確認してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの病院はどう確認していけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
順番に並べると、こういう流れになります。
自院で確認する順番
- 病院として産婦人科・産科を標榜し、分娩を取り扱っているか確認する
- 常勤の産婦人科・産科医師が3名以上、常勤助産師が3名以上配置されているか確認する(地域連携分娩管理加算はさらにアドバンス助産師1名以上)
- 直近1年間の分娩件数が120件以上あるか確認する
- 産科医療補償制度に基づく補償を実施しているか確認する
- 対象患者の疾患等(治療中の定義を含む)に該当するか、カルテで個別に確認する
- 地方厚生局長等へ様式38で届出済みか確認する
- 判断に迷う場合は加算チェッカーで整理する
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としがちなポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
取り漏れがちなポイント
「治療中」の定義を経過観察と混同し、対象外の患者を算定してしまう/地域連携分娩管理加算で複数疾患保有の患者を誤って算定してしまう/ハイリスク妊娠管理加算と合わせて28日の上限を超えて算定してしまう/常勤換算できる非常勤医師の人数(2名まで)を超えて算入してしまう/分娩件数などの掲示要件を満たさないまま届出のみ済ませてしまう
あおい(元・医療事務)
特に、「1」と「2」で対象患者・施設基準が異なる点は、混同しやすいので注意してください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よくある質問をいくつか教えてください。
あおい(元・医療事務)
では対話形式でいくつか整理しますね。
みらい(新人医療事務)
ハイリスク妊娠管理加算(A236-2)とハイリスク分娩等管理加算(A237)の違いは何ですか?
あおい(元・医療事務)
A236-2は妊娠中の管理に対する加算、A237は分娩を伴う入院中の管理に対する加算です。対象患者の疾患等の考え方は共通する部分もありますが、算定するタイミング(妊娠中か分娩時か)が異なります。両方を算定する場合は合わせて1入院28日が上限になります。
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、A237は病院の入院患者が対象です。診療所は対象外となります。
みらい(新人医療事務)
「1 ハイリスク分娩管理加算」と「2 地域連携分娩管理加算」、両方を同時に算定できますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、区分1と2は別の加算で、対象患者も異なります。同じ入院期間内でどちらか該当する区分を算定する形で、両方を重ねて算定するものではありません。
みらい(新人医療事務)
令和6年度の改定からは変わっていないんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できた令和8年度の一次資料の範囲では、令和6年度改定からの変更点は見当たりませんでした。ただしすべての項目を確認したわけではないため、最終的には自院で最新の告示・通知を確認することをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。