呼吸ケアチーム加算とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「呼吸ケアチーム加算」って名前を最近よく聞くんですけど、どんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)現在の診療報酬では、人工呼吸器を装着している入院患者に対して、医師・看護師・臨床工学技士・理学療法士などが専任のチームを組んで、人工呼吸器からの離脱を支援する診療を評価する加算です。区分番号はA242、入院基本料等加算(A章)の一つに分類されています。
みらい(新人医療事務)
対象は入院患者だけですか?外来や在宅でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
対象は入院中の患者に限られます。告示上、入院基本料(特別入院基本料等を除く)または特定入院料のうち、呼吸ケアチーム加算を算定できるものを現に算定している患者が対象です。外来・在宅・診療所は対象外と整理されています。病院に入院している患者が前提になる加算だと押さえておいてください。
みらい(新人医療事務)
「離脱を支援する」というのが目的なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。人工呼吸器を長期間装着したままにすると合併症のリスクが上がるため、専門チームが計画的に関わって早期の離脱を目指す取り組みを評価する加算です。以下、点数・対象患者・施設基準の順に整理していきますね。
点数・算定コードの確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的な点数を確認したいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)時点の点数はこちらの表のとおりです。
| 区分番号 | 加算名 | 点数 | 算定回数 |
|---|---|---|---|
| A242 | 呼吸ケアチーム加算 | 150点 | 週1回に限り |

みらい(新人医療事務)
週1回というのは、同じ患者に対して何度でも積み重ねて算定できるということですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、あくまで週1回が上限です。継続して人工呼吸器を装着している間、呼吸ケアチームによる診療が行われた週について1回のみ加算できる、という整理です。告示の注には「週1回に限り所定点数に加算する」と明記されています。
みらい(新人医療事務)
医科診療行為マスター上の具体的なレセプトコード(数字コード)はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
そこは今回確認できた資料の範囲では、区分番号「A242」という告示上の表記までしか確認できていません。実際にレセプトへ入力する際のマスターコード(数字コード)は、お手元のレセプトコンピュータや医科診療行為マスターでの確認をお願いします。確認できていない数字を推測でお伝えすることはできません。
対象患者・算定要件を確認する
みらい(新人医療事務)
どんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)では、対象患者の要件が細かく定められています。表にまとめるとこのようになります。
| 要件項目 | 内容 |
|---|---|
| 人工呼吸器の装着期間 | 48時間以上継続して装着していること |
| 入院日からの期間(装着した状態で入院した場合) | 当該病棟に入院した日から1月以内 |
| 装着日からの期間(入院後に装着した場合) | 装着日から1月以内 |
| 一時的な離脱期間の扱い | 離脱過程で一時的・短時間装着していない時間があっても、継続して装着しているものとみなす |
| 診療の実施者 | 保険医・看護師・臨床工学技士・理学療法士等が共同で実施 |
みらい(新人医療事務)
「48時間以上」と「1月以内」の両方を満たさないといけないんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、その理解で合っています。加えて、呼吸ケアチームは初回の診療にあたって診療計画書を作成し、その内容に基づいてチームで診療・評価を行うことが求められています。必要に応じて、呼吸ケアチーム以外の医師・看護師等に人工呼吸器の管理や呼吸ケアの指導を行うことも留意事項に記載されています。当該患者の診療を担う保険医・看護師等と十分に連携を図ることも要件のひとつです。
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するには、届出が必須なんですよね?
あおい(元・医療事務)
必須です。「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」であることが前提になっています。届出をしていない状態では、要件を満たしていても算定候補にはなりません。次は施設基準の中身を見ていきましょう。
施設基準: どんな体制が必要ですか?
みらい(新人医療事務)
施設基準は具体的にどんな内容なんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の届出通知(令和8年3月5日 保医発0305第7号 第26)では、院内に4名から構成される呼吸ケアチームの設置が求められています。

| 職種 | 求められる経験・資格の目安 |
|---|---|
| 専任の医師 | 人工呼吸器管理等について十分な経験があること |
| 専任の看護師 | 人工呼吸器管理・呼吸ケアの経験があり、かつ5年以上呼吸ケアを必要とする患者の看護に従事し、呼吸ケアに係る適切な研修(600時間以上等)を修了していること |
| 専任の臨床工学技士 | 人工呼吸器等の保守点検の経験を3年以上有すること |
| 専任の理学療法士 | 呼吸器リハビリテーション等の経験を5年以上有すること |
施設基準の追加ポイント(令和8年度)
- 当該患者の状態に応じて、歯科医師または歯科衛生士が呼吸ケアチームに参加することが望ましいとされています(努力目標であり必須ではありません)
- 呼吸ケアチームによる診療計画書には、人工呼吸器装着患者の安全管理・合併症予防・人工呼吸器離脱計画・呼吸器リハビリテーション等の内容を含めることが求められます
- 呼吸ケアチームは、診療を行った患者数や診療の回数、人工呼吸器離脱に至った患者数、患者1人当たりの平均人工呼吸器装着日数等について記録していることが必要です
みらい(新人医療事務)
看護師の「適切な研修」というのは、具体的にどんな研修なんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の通知では「国又は医療関係団体等が主催する研修(600時間以上の研修期間で、修了証が交付されるもの)」または「保健師助産師看護師法第37条の2第2項第5号に規定する指定研修機関において行われる研修」であることが求められています。具体的にどの研修が該当するかは資格取得ルートによって変わりますので、看護師本人の研修修了証で確認するのが確実です。
届出・記録のポイント
みらい(新人医療事務)
届出はどうやって進めればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
大まかな流れはこの順番になります。
自院で確認する順番
- 院内に4名の専任職種(医師・看護師・臨床工学技士・理学療法士)が揃っているか確認する
- 看護師の呼吸ケア研修修了証・臨床工学技士の実務経験・理学療法士の呼吸器リハビリ経験を書面で確認する
- 呼吸ケアチーム加算の施設基準に係る届出(様式40の2)を作成し、地方厚生局長等へ届け出る
- 届出後は、診療計画書の様式と、患者数・診療回数・離脱患者数・平均装着日数を記録する体制を整える
- 実際の算定時は、対象患者の要件(48時間以上装着・1月以内等)を診療録で都度確認する
みらい(新人医療事務)
記録は誰が管理するのがいいんですか?
あおい(元・医療事務)
呼吸ケアチームの中で記録担当を決めておくと運用がスムーズです。施設基準の要件として記録が求められているため、算定の都度ではなく、月次や四半期などのタイミングでまとめて確認できる仕組みにしておくと、届出内容の維持にも役立ちます。
併算定の注意点
みらい(新人医療事務)
他の加算と一緒に算定できないケースはありますか?
あおい(元・医療事務)
はい、1点注意が必要な組み合わせがあります。
医療機器安全管理料との関係に注意
告示の注では「区分番号B011-4に掲げる医療機器安全管理料の1は別に算定できない」と明記されています。呼吸ケアチーム加算を算定する月・期間については、医療機器安全管理料の1(生命維持管理装置に係る安全管理を行った場合の区分)との重複算定はできませんので、レセプト作成時にご確認ください。
みらい(新人医療事務)
医療機器安全管理料の2はどうですか?
あおい(元・医療事務)
告示で除外されているのは「医療機器安全管理料の1」のみです。ただし、医療機器安全管理料の区分ごとの算定要件自体は呼吸ケアチーム加算と別に定められていますので、算定を検討する場合は医療機器安全管理料側の要件も個別に確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定で、この加算は何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
今回確認できた厚労省の一次資料(令和8年厚生労働省告示第69号の医科点数表、保医発0305第6号・第7号)の範囲では、呼吸ケアチーム加算の点数(150点・週1回)、対象患者の考え方(48時間以上の人工呼吸器装着・1月以内)、施設基準の4職種チーム構成について、前回改定(令和6年度・2024年度)との比較で明確な変更点は確認されていません(確認日: 2026-07・厚労省告示および施設基準届出通知ベース)。
みらい(新人医療事務)
つまり、令和6年度から大きな変更はない加算という理解でいいですか?
あおい(元・医療事務)
今回参照した一次資料の範囲ではその理解で問題ありません。ただし、疑義解釈や様式の追加訂正は改定年度の途中でも発出されることがありますので、届出前には最新の厚労省通知を確認する習慣をおすすめします。
改定差分まとめ(令和8年度・前回比)
| 項目 | 令和6年度(2024年度) | 令和8年度(2026年度) |
|---|---|---|
| 点数・算定回数 | 150点・週1回 | 150点・週1回(一次資料の範囲で変更は確認されていません) |
| 対象患者の考え方 | 人工呼吸器48時間以上装着・1月以内 | 同上(変更は確認されていません) |
| 施設基準(4職種チーム) | 医師・看護師・臨床工学技士・理学療法士 | 同上(変更は確認されていません) |
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
最後に、自院がこの加算を検討するときの確認順序を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、こちらの順番で確認するのがおすすめです。
自院で確認する順番
- 対象となる入院患者がいるか(人工呼吸器を48時間以上継続装着し、入院日または装着日から1月以内)を確認する
- 院内に専任の医師・看護師・臨床工学技士・理学療法士の4職種が揃っているか確認する
- 各職種の経験年数・研修修了状況を書面で確認する
- 施設基準の届出(様式40の2)を地方厚生局長等に提出しているか確認する
- 医療機器安全管理料の1を同時に算定していないか確認する
- 診療計画書と記録(患者数・診療回数・離脱患者数・平均装着日数)の体制が整っているか確認する
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実務でつまずきやすいポイントを教えてください。
よくある取り漏れ・確認ポイント
- 人工呼吸器の装着期間が「48時間以上」の要件を満たしていても、「1月以内」の期間を過ぎていて算定対象から外れているケースを見落としやすい
- 看護師の「呼吸ケアに係る適切な研修」の修了証を確認しないまま、チームメンバーとして扱ってしまうケース
- 呼吸ケアチームの診療記録(患者数・診療回数・離脱患者数・平均装着日数)を、施設基準維持のために継続的に残せていないケース
- 医療機器安全管理料の1と同時算定してしまい、後から過誤請求として扱われるケース
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後によくある疑問も聞いておきたいです。「うちは一般病棟だから対象外ですよね?」と言われたことがあるんですが。
あおい(元・医療事務)
病棟の種類だけで一律に対象外と判断することはできません。入院基本料(特別入院基本料等を除く)または特定入院料のうち、呼吸ケアチーム加算を算定できるものを現に算定している患者であれば、一般病棟でも算定候補になり得ます。ただし、具体的にどの入院料の患者が対象になるかは、告示の区分ごとの規定を確認する必要がありますので、断定はできません。自院の入院料区分と照らし合わせて確認してください。
みらい(新人医療事務)
看護師の「呼吸ケアに係る適切な研修」って、具体的にどんな研修が該当するか例はありますか?
あおい(元・医療事務)
過去の疑義解釈(令和4年度・2022年度)では、日本看護協会の認定看護師教育課程(クリティカルケア等)や、特定行為研修制度の指定研修機関における呼吸器関連の研修などが例示されていました。ただし、これは令和4年度時点の疑義解釈であり、令和8年度時点で内容が更新されている可能性もあります。最新の要件は施設基準の届出通知(保医発0305第7号)と、必要に応じて最新の疑義解釈でご確認ください。
みらい(新人医療事務)
呼吸ケアチームのメンバーは、他の業務と兼任できないんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準では「専任」という表現が使われています。専任がどこまでの兼務を許容するかは、施設基準の届出通知の記載や地方厚生局への確認によって判断が分かれる場合がありますので、この記事だけで断定はできません。届出前に地方厚生局へ確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
届出をしていない状態で呼吸ケアチームによる診療を行った場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の届出が受理されていない状態での算定は、過誤請求として扱われる可能性があります。呼吸ケアチームとしての体制が整っていても、届出が受理されるまでは算定候補にはなりませんので、届出状況を必ず先に確認してください。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は以下の厚労省公式資料を根拠としています。詳細な施設基準・届出手続きは必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)別表第一 医科点数表 A242 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)A242 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001666951.pdf
- 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第7号)第26 呼吸ケアチーム加算 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713893.pdf
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。