術後疼痛管理チーム加算とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「術後疼痛管理チーム加算」という名前を最近よく聞くんですけど、どんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)現在の診療報酬で、区分番号A242-2として設けられている入院基本料等加算の一つです。全身麻酔の手術を受けた患者さんに対して、麻酔科医・看護師・薬剤師など多職種からなる「術後疼痛管理チーム」が疼痛管理を行った場合に、1日につき100点が加算される仕組みです。
みらい(新人医療事務)
「疼痛管理チーム」って、専門のチームがいるということですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。厚生労働省の留意事項通知には「質の高い疼痛管理による患者の疼痛スコアの減弱、生活の質の向上及び合併症予防等を目的として、術後疼痛管理に係る専門的知識を有した多職種からなるチームが必要な疼痛管理を実施することを評価したもの」と記載されています。単なる術後の痛み止め対応ではなく、チームとして体制化された疼痛管理を評価する加算なんですね。
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、この加算は病院の入院患者が対象です。診療所(外来)は対象になりません。まずその前提を押さえておいてください。
対象医療機関・対象患者を確認する
みらい(新人医療事務)
「病院の入院患者」というのはわかりましたが、どんな手術・どんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の注に具体的な対象が定義されています。区分番号L008に掲げる「声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔」を受けた患者さんが前提です。そのうえで、手術後も継続して疼痛管理を要する患者さんに対して、麻酔に従事する医師・看護師・薬剤師等が共同で疼痛管理を行った場合が算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
もう少し具体的に知りたいです。どんな処置をしている患者さんが対象なんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では「手術後に継続した硬膜外麻酔後における局所麻酔剤の持続的注入、神経ブロックにおける麻酔剤の持続的注入又は麻薬を静脈内注射により投与しているもの(覚醒下のものに限る。)」とされています。つまり、術後も持続的な鎮痛処置を受けている覚醒下の患者さんが対象という整理です。
みらい(新人医療事務)
入院基本料との関係はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
告示では「第1節の入院基本料(特別入院基本料等を除く。)又は第3節の特定入院料のうち、術後疼痛管理チーム加算を算定できるものを現に算定している患者に限る」と規定されています。つまり、対象となる入院基本料・特定入院料を現に算定している患者さんであることが前提条件です。特別入院基本料等は対象外という点も要確認です。
対象患者の整理(令和8年度)
- 前提: 区分番号L008(声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔)を受けた患者
- 状態: 術後継続して硬膜外麻酔の局所麻酔剤持続注入・神経ブロックの麻酔剤持続注入・麻薬の静脈内注射投与(覚醒下)のいずれかを受けている
- 入院料: 特別入院基本料等を除く入院基本料、または対象となる特定入院料を現に算定している患者
- 実施者: 麻酔に従事する医師・看護師・薬剤師等が共同して疼痛管理を実施
点数・算定単位の確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数も確認しておきたいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)時点の点数はこちらです。
| 区分番号 | 加算名 | 点数 | 算定単位 | 算定上限 |
|---|---|---|---|---|
| A242-2 | 術後疼痛管理チーム加算 | 100点 | 1日につき | 手術日の翌日から起算して3日を限度 |

みらい(新人医療事務)
「1日につき100点」で「3日を限度」ということは、最大で300点分ということですか?
あおい(元・医療事務)
そういう整理になります。ただし対象患者の要件を満たし続けていることが前提です。3日経過後や、対象となる持続的な鎮痛処置が終了した後は算定候補から外れますので、日々の状態確認が欠かせません。
施設基準: どんな体制が必要ですか?
みらい(新人医療事務)
算定するには届出が必要なんですよね?どんな施設基準があるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、届出が前提です。施設基準の通知(第26の2 術後疼痛管理チーム加算)では、まず「術後疼痛管理チーム」の人員構成が定義されています。
術後疼痛管理チームの構成要件(令和8年度)
- 麻酔に従事する常勤の医師(麻酔科医)
- 術後疼痛管理に係る所定の研修を修了した専任の看護師
- 術後疼痛管理に係る所定の研修を修了した専任の薬剤師
- 上記3職種に加え、研修を修了した臨床工学技士の配置が望ましいとされている(必須ではない)
| 職種 | 経験・研修要件 |
|---|---|
| 麻酔科医 | 麻酔に従事する常勤の医師であること |
| 専任看護師 | 年間200症例以上の麻酔管理を行う医療機関で、手術室又は周術期管理センター等の勤務経験を2年以上有すること |
| 専任薬剤師 | 薬剤師としての勤務経験5年以上、うち2年以上は周術期関連の勤務経験を有すること |
| 臨床工学技士(望ましい) | 手術室、周術期管理センター又は集中治療部門の勤務経験を3年以上有すること |
みらい(新人医療事務)
「所定の研修」というのは、具体的にはどんな研修なんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の通知では「医療関係団体等が主催する26時間以上の研修であって、当該団体より修了証が交付される研修」とされ、内容として解剖・生理・薬理学、術後疼痛発症例の抽出・早期対応、鎮痛薬の種類、硬膜外鎮痛法・末梢神経ブロックのプランニング等が含まれるとされています。加えて令和4年度の疑義解釈では、日本看護協会の認定看護師教育課程「手術看護」、特定行為研修の「術後疼痛管理関連」区分、日本麻酔科学会の「術後疼痛管理研修」などが該当研修として例示されています。
みらい(新人医療事務)
チーム体制以外にも要件はありますか?
あおい(元・医療事務)
あります。チームが組織上明確に位置づけられていること、そして算定対象の病棟の見やすい場所に「術後疼痛管理チームによる診療が行われている」旨を掲示するなど、患者への情報提供も求められています。
施設基準は自院で必ず確認
研修の修了実績・勤務経験年数の証明・チームの組織上の位置づけは、いずれも自院の人員体制に左右されます。当サイトの整理はあくまで一次資料の要約であり、充足しているかどうかの判定はできません。該当する医師・看護師・薬剤師の実務経験年数や研修修了証を、必ず自院で確認してください。
届出について
みらい(新人医療事務)
届出はどこにするんですか?
あおい(元・医療事務)
地方厚生局長等への届出が必要です。施設基準の通知では「術後疼痛管理チーム加算の施設基準に係る届出は、別添7の様式40の2の2を用いること」とされています。届出様式で、チーム構成・研修修了状況・勤務経験などを記載して提出する流れです。
みらい(新人医療事務)
届出済みであれば、もう算定候補として考えていいですか?
あおい(元・医療事務)
届出が受理されていることは前提ですが、それだけで確定ではありません。届出済みであっても、対象患者の要件(L008の全身麻酔・術後の持続的鎮痛処置・入院料の種類)を都度満たしているかどうかは、患者ごとに確認が必要です。「届出済み=全員に算定できる」ではない点にご注意ください。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
実務で気をつけるポイントを教えてください。
あおい(元・医療事務)
特に注意したいのはこちらです。
算定上の注意点
- 算定期間は手術日の翌日から起算して3日が限度です。4日目以降は対象外になります
- 対象患者は覚醒下の患者に限られます。硬膜外麻酔の持続注入・神経ブロックの持続注入・麻薬の静脈内注射投与のいずれかを受けている状態であることが前提です
- 特別入院基本料等を算定している患者は対象外です。対象となる入院基本料・特定入院料を現に算定していることが条件です
- 麻酔管理料(Ⅰ)との関係について、令和4年度の疑義解釈では、術後疼痛管理チームの医師が麻酔管理料(Ⅰ)における麻酔後の診察と併せて疼痛管理を行うことは可能とされています。ただし、それぞれの算定要件は個別に満たす必要があります
- 診療録への記載が必須です。術後疼痛管理プロトコルの作成、患者状態に応じた疼痛管理・評価の実施、その内容の診療録記載が求められています
みらい(新人医療事務)
診療録の記載って、具体的にどこまで書けばいいんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では「術後疼痛管理プロトコルを作成し、その内容に基づき、術後疼痛管理が必要な患者の状態に応じた疼痛管理及びその評価を行い、その内容を診療録に記載すること」とされています。また「必要に応じて当該患者の診療を行う医師及び術後疼痛管理チーム以外の医師、看護師等と連携して対応すること」も求められていますので、チーム外の医療スタッフとの連携記録も意識しておくとよいでしょう。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定で、この加算は何か変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した厚生労働省の一次資料(告示・留意事項通知・施設基準通知)の範囲では、令和8年度(2026年度)改定において、術後疼痛管理チーム加算の点数(100点・1日につき)、算定上限(3日)、施設基準の人員構成・研修要件について、前回改定(令和6年度・2024年度)からの変更は確認されていません(確認日: 2026年7月)。
みらい(新人医療事務)
この加算自体は、いつからあるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収載している疑義解釈資料(令和4年度・その1)に、すでにこの加算の研修要件や麻酔管理料との関係についての質疑が含まれています。つまり少なくとも令和4年度(2022年度)の時点で運用されていた加算ということが一次資料から確認できます。それ以前の新設時期の詳細な経緯については、当サイトが収載する資料の範囲では特定できていないため、正確な新設年度が必要な場合は厚生労働省の個別改定項目の資料で確認することをおすすめします。
改定差分まとめ(令和8年度・確認できた範囲)
| 項目 | 令和6年度(2024年度) | 令和8年度(2026年度) |
|---|---|---|
| 点数 | (当サイトの一次資料範囲では比較資料なし) | 100点(1日につき) |
| 算定上限 | (同上) | 手術日の翌日から3日を限度 |
| チーム構成 | (同上) | 麻酔科医・研修修了看護師・研修修了薬剤師(臨床工学技士は望ましい) |
| 令和8年度時点の変更有無 | — | 前回改定からの変更は確認されていません |
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
うちの病院で算定候補になるか確認したいんですが、どういう順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
こういう順番で確認するとわかりやすいです。
自院で確認する順番
-
病院かどうかを確認 — この加算は病院の入院患者が対象です。診療所(外来)は対象外です
-
対象患者かどうかを確認 — 区分番号L008の声門上器具又は気管挿管による閉鎖循環式全身麻酔を受け、術後も継続した鎮痛処置(硬膜外麻酔持続注入・神経ブロック持続注入・麻薬静脈内注射のいずれか、覚醒下)を受けている患者か
-
入院料の種類を確認 — 特別入院基本料等を除く入院基本料、または対象となる特定入院料を現に算定している患者か
-
術後疼痛管理チームの体制を確認 — 麻酔科医(常勤)・研修修了の専任看護師・研修修了の専任薬剤師が揃っているか。臨床工学技士の配置も検討する
-
研修修了状況を確認 — チームメンバーの所定研修(26時間以上等)の修了証、経験年数の証明が整っているか
-
地方厚生局への届出状況を確認 — 様式40の2の2による届出が受理されているか
-
算定期間・診療録記載を確認 — 手術日の翌日から3日以内であるか、疼痛管理プロトコルと診療録記載が整っているか

みらい(新人医療事務)
これだけ確認事項があると、抜け漏れが心配です。もっと手軽に確認する方法はないですか?
あおい(元・医療事務)
そんなときは加算チェッカーが便利です。自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況やチーム体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
算定上の注意点・よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実務でよくある取り漏れのパターンを教えてください。
あおい(元・医療事務)
こちらのようなケースが挙げられます。
よくある取り漏れポイント
- チーム体制は整っているのに、届出(様式40の2の2)が未提出のケース
- 研修修了証や勤務経験年数の証明書類が整理されていないケース
- 手術日の翌日から3日目までしか算定できないところを、日数管理が漏れて機会損失しているケース
- 対象患者の要件(覚醒下・持続的鎮痛処置の種類)の確認が曖昧なまま算定してしまっているケース
- 疼痛管理プロトコルの作成・診療録記載が徹底されていないケース
- 臨床工学技士の配置を必須と誤解し、配置できないという理由で届出を諦めているケース(望ましいとされているだけで必須要件ではありません)
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後によくある疑問も確認しておきたいです。「うちの病院は麻酔科医が非常勤しかいないので無理ですよね?」と聞かれることがあるんですが。
あおい(元・医療事務)
施設基準では「麻酔に従事する常勤の医師」がチームに含まれることが求められています。非常勤の麻酔科医のみの体制では、この要件を満たしているかどうか要確認になります。常勤の麻酔科医が在籍しているかどうかを、まず人事情報で確認してください。
みらい(新人医療事務)
「呼吸ケアチーム加算」と一緒に算定できますか?
あおい(元・医療事務)
呼吸ケアチーム加算は人工呼吸器離脱を目的としたチームによる加算で、対象患者の状態や算定要件が異なります。同一患者について両方の対象要件をそれぞれ満たすかどうかは、個別の患者の状態に応じた確認が必要です。一律に「一緒に算定できる/できない」と言い切ることはできません。
みらい(新人医療事務)
術後何日も痛みが続いている患者さんの場合、4日目以降はどうすればいいですか?
あおい(元・医療事務)
制度上、この加算は手術日の翌日から起算して3日が限度と定められています。4日目以降は、この加算の対象からは外れます。継続的な疼痛管理自体は診療として必要に応じて行われますが、加算としての算定候補にはならない期間になる、という整理です。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省の公式資料を根拠としています。詳細な施設基準・届出手続きは、必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号・区分番号A242-2) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号・第26の2術後疼痛管理チーム加算部分)/基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第7号): 詳細は下記の厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」ページから最新版をご確認ください
- 疑義解釈資料の送付について(その1)(令和4年3月31日 事務連絡・医科 問87・問88) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_21053.html
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちの病院が算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況やチーム体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。