みらい(新人医療事務)
「バイオ後続品使用体制加算」という名前を初めて聞きました。バイオ後続品って、ジェネリック医薬品と同じようなものですか?
あおい(元・医療事務)
近い部分もありますが別物です。バイオ後続品は、バイオ医薬品(抗体医薬品やインスリンなど)の特許が切れた後に発売される、先行バイオ医薬品と同等・同質な医薬品のことです。この加算は、そのバイオ後続品を病院として積極的に採用・使用する体制を評価するもので、令和8年度(2026年度)の医科点数表では区分A243-2として100点が設定されています。
みらい(新人医療事務)
100点ということは、うちの病院でも届出さえすれば誰でも取れるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
そこは慎重に確認してほしいところです。届出が必要な加算ですし、施設基準(体制の整備・使用割合の基準)を満たしているかどうかで算定候補になるかが変わります。ここから一緒に整理していきましょう。
対象になるのはどんな医療機関ですか
みらい(新人医療事務)
まず、うちのクリニックでも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
この区分(A243-2)は病院の入院基本料等加算として設けられているもので、当サイトが収録している一次資料の範囲では、対象医療機関は病院、対象患者は入院患者です。診療所・外来・在宅療養は、この区分の対象には含まれていません。
| 区分 | 対象/対象外 |
|---|---|
| 病院(入院基本料・特定入院料算定患者) | 対象 |
| 診療所(無床・外来) | 対象外(この区分では対象に含まれていません) |
| 在宅療養 | 対象外 |
みらい(新人医療事務)
有床診療所はどうですか?関連の通知に「有床診療所」という言葉も出てきた気がするのですが。
あおい(元・医療事務)
いい着眼点です。施設基準を定めた通知には、体制整備の主体として「病院」と「有床診療所」の両方が挙げられている箇所があります。ただし、この区分A243-2自体は病院の入院基本料等加算に位置づけられており、有床診療所については入院基本料の別の注に規定されている可能性があります。有床診療所の場合は、この記事の内容をそのまま当てはめず、該当する入院基本料の注を個別に確認することをおすすめします。
点数はどのくらいですか
みらい(新人医療事務)
点数も教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表では、次のとおりです。
| 区分番号 | 加算名 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|---|
| A243-2 | バイオ後続品使用体制加算 | 100点 | 退院の日に1回に限り |
みらい(新人医療事務)
「退院の日に1回」というのは、入院1回につき1回という理解でいいですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)の注では、「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関に入院している患者(第1節の入院基本料(特別入院基本料等を含む。)又は第3節の特定入院料のうちバイオ後続品使用体制加算を算定できるものを現に算定している患者に限る。)であって、バイオ後続品のある先行バイオ医薬品(バイオ後続品の適応のない患者に対して使用する先行バイオ医薬品は除く。)及びバイオ後続品を使用する患者について、バイオ後続品使用体制加算として、退院の日に1回に限り所定点数に加算する」と定められています。入院期間中に何度もバイオ後続品を使っても、加算できるのは退院日の1回だけです。
みらい(新人医療事務)
「第1節の入院基本料又は第3節の特定入院料のうちバイオ後続品使用体制加算を算定できるものを現に算定している患者に限る」というのは、どういう意味ですか?
あおい(元・医療事務)
入院基本料や特定入院料であれば何でもよいわけではなく、その入院基本料・特定入院料の区分自体がバイオ後続品使用体制加算を算定できるものとして扱われている場合に限る、という限定です。自院がどの入院基本料・特定入院料を算定しているかによって対象になるかどうかが変わるため、この点は個別に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
「バイオ後続品のある先行バイオ医薬品」というのは、どういう意味ですか?
あおい(元・医療事務)
バイオ後続品が発売されている元の先行バイオ医薬品、という意味です。ただし括弧書きで「バイオ後続品の適応のない患者に対して使用する先行バイオ医薬品は除く」とされています。つまり、その患者の病態に対してバイオ後続品の適応がそもそも無いケースでは、先行品を使っていてもこの加算の対象にはならない、という条件です。
施設基準はどうなっていますか

みらい(新人医療事務)
ここが一番気になります。施設基準は具体的に何を満たせばいいんですか?
あおい(元・医療事務)
大きく3つの柱があります。1つ目は体制整備、2つ目は使用割合の基準、3つ目は掲示・ウェブサイト掲載です。順番に見ていきましょう。
みらい(新人医療事務)
まず体制整備からお願いします。
あおい(元・医療事務)
施設基準の通知には、「病院では、薬剤部門においてバイオ後続品の品質、安全性、安定供給体制等の情報を収集・評価し、その結果を踏まえ薬事委員会等でバイオ後続品の採用を決定する体制が整備されていること」と定められています。単に「バイオ後続品を使っている」だけでは足りず、薬剤部門が情報収集・評価を行い、薬事委員会等の場で採用を決定する仕組みそのものが施設基準として問われます。
みらい(新人医療事務)
なるほど、体制があるかどうかがポイントなんですね。次は使用割合の基準ですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。ここは数字が絡むので特に注意が必要です。施設基準の通知では、当該保険医療機関で調剤した先行バイオ医薬品とバイオ後続品を合算した規格単位数量に占める、バイオ後続品の規格単位数量の割合について、成分ごとに基準が定められています。
| 使用割合の基準 | 対象成分(例) |
|---|---|
| 80%以上 | エポエチン、リツキシマブ、トラスツズマブ、テリパラチド、ラニビズマブ、インスリングラルギン、ダルベポエチン、フィルグラスチム |
| 50%以上 | ソマトロピン、インフリキシマブ、エタネルセプト、アガルシダーゼベータ、ベバシズマブ、インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、アダリムマブ、アフリベルセプト、ウステキヌマブ、ペグフィルグラスチム、トシリズマブ |
みらい(新人医療事務)
全部の成分でこの割合を満たさないといけないんですか?大変そうです。
あおい(元・医療事務)
そこは緩和のルールもあります。通知では「直近1年間に当該保険医療機関において調剤した先行バイオ医薬品及びバイオ後続品の規格単位数量の合計が50未満の場合においては、当該成分に限り、基準未満であっても差し支えない」とされています。ただし、その場合でも「少なくとも1つ以上の成分については、規格単位数量の合計が50以上であること」という条件が付いています。つまり、扱う量が少ない成分は基準の対象から外れますが、対象になる成分がゼロになってしまうのは認められません。
みらい(新人医療事務)
掲示とウェブサイト掲載についても教えてください。
あおい(元・医療事務)
施設基準の通知には「入院及び外来においてバイオ後続品の使用に積極的に取り組んでいる旨及びバイオ後続品の導入に関する説明を積極的に行っている旨を当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること」、続けて「(3)の掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載していること。自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りではないこと」と定められています。自院のホームページを持たない場合はウェブサイト掲載の対象外になる、という例外も含めて条文どおりの内容です。
見落としやすいポイント
掲示は院内の入院エリアだけでなく外来エリアも対象とされています。加算そのものは入院患者にしか算定できませんが、掲示・説明の義務は入院・外来の両方に及ぶ点を混同しないよう注意してください。
届出はどうすればいいですか
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていそうな場合、届出はどう進めればいいですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の通知では、「バイオ後続品使用体制加算の施設基準に係る届出は、別添7の様式40の3の2を用いること」とされています。様式を使って地方厚生局長等に届け出て、受理されて初めて算定候補になります。届出前の使用実績だけで算定することはできません。
みらい(新人医療事務)
既に届出をしている病院にとって、何か経過措置のようなものはありますか?
あおい(元・医療事務)
あります。通知には「令和8年3月31日時点で、現にバイオ後続品使用体制加算の届出を行っている保険医療機関にあっては、令和9年5月31日までの間に限り」、使用割合の基準のうち一部の成分(80%基準のラニビズマブ・インスリングラルギン・ダルベポエチン・フィルグラスチム、50%基準のアフリベルセプト・ウステキヌマブ・ペグフィルグラスチム・トシリズマブ)については「基準を満たしているものとみなす」という経過措置が定められています。ただし「少なくとも1つ以上の成分について、直近1年間に調剤した規格単位数量の合計が50以上である必要がある」という条件は経過措置の下でも変わりません。
算定のタイミングと注意点
みらい(新人医療事務)
算定のタイミングでほかに注意することはありますか?
あおい(元・医療事務)
一番大事なのは「退院の日に1回に限り」という算定単位です。入院期間が長くバイオ後続品を継続的に使っていても、加算できるのは退院日の1回だけです。また、対象になる患者は「バイオ後続品のある先行バイオ医薬品及びバイオ後続品を使用する患者」に限られ、バイオ後続品の適応がない患者に先行品を使っている場合は対象外です。
算定候補と確定は別物
使用割合の基準は「直近1年間の実績」で判定されるため、月ごとに状況が変わり得ます。届出時点で基準を満たしていても、その後の実績次第では基準を下回ることがあります。継続的なモニタリングが必要です。
みらい(新人医療事務)
バイオ後続品を扱う加算は、これ以外にもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、名前が似た「バイオ後続品導入初期加算」という加算もあります。こちらは外来でバイオ後続品の説明・処方を行った場合に、届出不要で算定できるという別の加算で、対象・届出の有無ともにこの「バイオ後続品使用体制加算」とは異なります。名前が似ているので混同しないよう注意してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定(令和6年度)から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲で確認できる範囲でお伝えします。施設基準の通知には、令和8年3月31日時点で届出済みの医療機関向けの経過措置として、使用割合基準の対象成分のうち一部(80%基準のラニビズマブ・インスリングラルギン・ダルベポエチン・フィルグラスチム、50%基準のアフリベルセプト・ウステキヌマブ・ペグフィルグラスチム・トシリズマブ)について、令和9年5月31日までの間は基準を満たしているとみなす、という規定が置かれています。
みらい(新人医療事務)
それってつまり、これらの成分は新しく対象に加わったということですか?
あおい(元・医療事務)
経過措置が設けられているのは、通常「これまで基準の対象になっていなかった条件が新たに加わったとき」に、既存の届出医療機関へ準備期間を与える趣旨で置かれることが多いです。ですのでこの8成分は、令和8年度改定(前回の令和6年度改定から)で使用割合基準の対象に加わった可能性が高いと考えられます。ただし、これは経過措置の記載から読み取れる推測であり、改定の趣旨を直接説明した資料までは当サイトでは確認できていません。この点は断定せず、確認が必要な情報として扱ってください。
前回改定(令和6年度)との対比
令和6年度(2024年度)改定時点の対象成分リストと、令和8年度(2026年度)改定後のリストを比較すると、上記8成分の有無が違いとして見えてきます。ただし当サイトで一次資料として確認できているのは令和8年度時点の通知が中心のため、令和6年度時点の正確な成分リストそのものは、貴院の届出時の資料や厚生労働省の該当年度資料でご確認ください。
みらい(新人医療事務)
点数自体は変わっていないんですか?
あおい(元・医療事務)
点数(100点)と算定単位(退院の日に1回)については、当サイトが確認できた令和8年度の告示の範囲では変更を示す記載は見当たりませんでした。ただし、これは「変更が無かったことの確定」ではなく「当サイトで確認できた資料の範囲での結果」である点にご留意ください。
自院で確認する順番

みらい(新人医療事務)
情報が多いので、確認する順番を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
では自院チェックの順番をまとめます。
自院で確認する順番
- 病院として、入院基本料等加算のうちバイオ後続品使用体制加算を算定できる入院基本料・特定入院料を現に算定しているか確認する
- 薬剤部門がバイオ後続品の品質・安全性・安定供給体制の情報を収集・評価し、薬事委員会等で採用を決定する体制があるか確認する
- 直近1年間の調剤実績から、成分ごとの使用割合(80%または50%の基準)を集計する
- 使用割合が基準未満の成分について、規格単位数量の合計が50未満かどうか、また基準を満たす成分が1つ以上あるかを確認する
- 入院・外来エリアへの掲示とウェブサイト掲載(自院サイトがある場合)を整える
- 様式40の3の2を用いて地方厚生局長等に施設基準の届出を行う
よくある取り漏れ
経過措置の期限を見落とす
令和8年3月31日時点で届出済みの医療機関向けの経過措置は、令和9年5月31日までの期限付きです。期限後は8成分についても通常の使用割合基準(80%または50%)を満たす必要があるため、期限管理を忘れないようにしてください。
掲示エリアの取り漏れ
掲示・ウェブサイト掲載の義務は入院エリアだけでなく外来エリアにも及びます。入院病棟にだけ掲示して外来には掲示していない、というケースは基準を満たさない可能性があります。
適応外の先行品を数えてしまう
使用割合の分母・分子には、バイオ後続品の適応のない患者に対して使用した先行バイオ医薬品は含まれません。集計の際にこの除外を反映しているか確認してください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが疑問に思いそうなことをまとめてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかまとめますね。
みらい(新人医療事務)
診療所は本当に対象外なんですか?
あおい(元・医療事務)
この区分(A243-2)については、当サイトが収録している一次資料の範囲では病院の入院基本料等加算として位置づけられており、診療所・外来は対象に含まれていません。ただし有床診療所については別の区分・注で同様の取り扱いがある可能性があるため、該当する入院基本料の規定を個別に確認してください。
みらい(新人医療事務)
使用割合の基準は、どのタイミングで測るんですか?
あおい(元・医療事務)
通知の文言では「直近1年間」の調剤実績をもとに、成分ごとの規格単位数量の割合を算出する形になっています。届出時点だけでなく、その後の運用でも継続的に集計しておく必要があります。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)の時点でも、この加算はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、区分A243-2自体は令和6年度(2024年度)時点から存在していました。今回ご紹介した経過措置の内容から見ると、令和8年度(2026年度)改定で使用割合基準の対象成分が追加された可能性が高いとみられますが、この点は資料の記載から読み取れる範囲の情報として扱ってください。
みらい(新人医療事務)
バイオ後続品かどうかは、どうやって判断すればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の疑義解釈(令和6年度・その5 問2)では、対象薬剤がバイオ後続品かどうかは、厚生労働省ホームページの「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について」に示された情報を参考にしてよい、とされています。ただし新医薬品の収載や薬価改定で情報が更新されるため、最新の情報を確認するよう留意することとされています。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。